日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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原作と違い、グラ・バルカス帝国は第二文明圏全体への宣戦布告はしていません。


第34話 無人島の忘れ物 その2

「何だこれは!!!」全員が驚いた顔をする。普段落ち着いている高橋やアンリ4世もこれには面食らった。

 

そこに浮かび上がったのは、巨大な円盤状の物体だった。それはまるで―――

 

「UFO、だな。」

 

高橋が呟くと日本側は全員が頷く。まさにその珍奇な姿は未確認飛行物体、UFOにそっくりだった。

 

ヤミレイが話し出す。

「これは....間違いありません。古代兵器、『空中戦艦パル・キマイラ』です。」

 

 

「空中戦艦?」

 

高橋の疑問にヤミレイが答える。

 

「ええ、文字通り、空を飛ぶ戦艦です。敵の攻撃の届かない高度から一方的に攻撃できるというものです。古い言い伝えにもおそらくこれだと思われる兵器が登場します。いくつもの国を滅ぼした、"空飛ぶ悪魔"として。」

 

「ふーん...にしても暗くてよく姿が見えないな。電気のスイッチとか無いのかな?」

 

 

「これですかね?」

 

ザネルが壁についたレバーのような物を見つけた。それはいかにも電気のスイッチといった風情だ。

 

「とりあえず動かしてみましょう。このままじゃあ暗すぎて何も出来ません。」

 

高橋がそう言うとザネルはレバーを下ろした。どうやら正解だったようで、パッと部屋が明るくなった。

 

「んん...眩しいな...」光に慣れず、誰もが目を覆う。

 

 

「....ん?あれはっ!?」

 

一足先に目を開けたビスマルクがどうやら何か見つけたらしい。遅れて全員が部屋を見渡す。

 

明るくなった部屋は思った以上に広かった。そして更なる発見があった。

 

「戦艦!?」

 

そう、そこには1隻の戦艦の姿があった。とはいっても、どちらも白く、日本の戦艦とはまるで違った、SFじみた形をしている。

 

「おお...これは、魔導戦艦....。これは驚いた。皆さん、どうやら大当たりのようですね。」

ザネルが髭を撫でながら呟いた。

 

全員がその戦艦のもとに近づく。

 

「魔導戦艦....確か神聖ミリシアル帝国が使用していましたよね?これと同じ物ですか?」

 

高橋が尋ねると、ザネルがそれに答える。

 

「ええ、神聖ミリシアル帝国は魔導戦艦を運用しています。ですがあれははっきり言って劣化コピーの可能性が高いです。文献にあった魔導戦艦はもっと強力な物ですからね。」

 

船の下にたどり着くと、ヤミレイは船体を軽くコンコンと叩くと、眼鏡を出してなにやら調べだした。

 

「ふむ。これは....間違いなくアダマンタイトですな。」

 

船体を撫でながら彼はそう言った。

 

「アダマンタイト?とは?」

 

「簡単に言えば特殊な金属です。その製造法は現在は失われているとされており、非常に貴重なものです。私も実物はこれまで一度しか見たことがありません。」

 

「ほう...つまりこれは、"当たり"ですか?」

 

「はい、それも"大当たり"です。私たちはすごい物を見つけてしまいましたね。」

ヤミレイはにっこりと微笑んだ。

 

「それは良かった。しかしこれは動くんですかね?かなり古いようですが。」

 

戦艦を指さしながら高橋が呟くと、ザネルが返した。

 

「大丈夫だと思います。ここは恐らく時空遅延魔法がかけられていたので、およそ一週間ほどしか経っていない状態だと思われます。燃料さえあれば動くかと...」

 

「へえ、面白い魔法があるんですね。言われてみればこの部屋はずいぶんと綺麗だ。一万年も経ってるようには見えませんね。燃料とは、この船は何で動くのですか?」

 

 

「これは...液体状にした魔石で動くと思われます。調べてみないことには分かりませんが、魔石ならフェン王国にもあるでしょう。」

 

魔石は照明器具などとして、魔法の使えないフェン王国でも最近になって使用されはじめていた。それらはアルタラス王国等から輸入されている。

 

「なるほど、分かりました。とりあえず、いろいろ調べてみましょう。」

 

高橋がそう言うと、それぞれが調査を開始した。

 

 

 

その頃―――

 

エストシラント カイオス邸

 

暫定国家元首となったカイオスは、祖国を新しく生まれ変わらせるべく頭を働かせていた。

 

(うーむ....ここまで一気に体制を変えるとなるとやることが多いな。だが思ったよりもスムーズに移行できている。国民が日本の戦艦を見て力の差を認識したのも大きい。しかし.....)

 

彼は手を止め、一ヶ月前の事を思い出す。戦争終結後、皇国はパーパルディア民主共和国と名前を変えた。73の属領はすべて独立することとなったが、政治体制を維持できないと判断した元属領は、自治権を保証したうえで区として受け入れることとなった。そして日本の要請により、ようやく使節を派遣する事になった。その中にはカイオスの他、元第一外務局長エルトや、元皇国軍最高司令官アルデの姿もあった。

 

エストシラントに簡易に建設された空港から日本の航空機に乗り、地方都市の一つであり外交の窓口である福岡に向かった。

 

飛行機に乗った時点でエルトとアルデの顔色が変わっていた。彼らとカイオスは過去にムーや神聖ミリシアル帝国との交流において、両国の航空機に乗った事があった。彼らはこの時点でムーとミリシアルには勝てないことは理解していた。日本の航空機は両国のそれよりも大きく、速く、そして乗り心地も良かった。シートに座ったカイオスは、疲れからかいつのまにか目を閉じていた。

 

そして、半日と経たず日本に到着した。

 

それはもう、凄いとしか言えなかった。天を貫く建築物、町を行き交う航空機や車、その全てがこの世界の列強国のレベルを間違いなく上回っている。

 

外交官に案内してもらい、日本各地を回った。その度に使節団は目をむいて驚き、まるで蛇に睨まれた小動物のように肩をすくめながら移動した。その姿は、かつて皇国を訪れた文明圏外国の使者が見せた姿によく似ていた。日本と皇国にはそれくらいの差があったのだ。

 

最後に、自衛隊という国防組織の基地を見学したが、あれは本当に恐ろしい物だった。日本によると、自衛隊は皇国と交戦した軍とは別の組織で、数こそ少ないもののそれを軽く叩き潰せる程の戦力差があるそうだ。

 

それを聞いたアルデの顔色は悪くなっていた。一方でカイオスは、日本がこの程度で済ませていた事に安堵していた。彼らが本気を出していれば、きっと皇国はレイフォルよりも惨たらしく滅んでいたのだろう。

 

 

今日の仕事を終えたカイオスは、棚にしまっていたウイスキーのボトルを取り出した。日本土産として買ったものだ。小さなグラスにそれを注ぎ、ゆっくりと味わう。日本は料理などの文化においても皇国を凌駕していた。

 

カイオスは祖国の再興のために日々走り回るのだった。

 

 

一方、グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ―――

 

帝王府において、帝王グラルークスは執務に当たっていた。先日、帝国海軍大将であるカイザルが、日本に一度使節を派遣すべきだと直接具申してきた。

 

普段冷静ながらどこか飄々としている彼が珍しく真剣な顔でやってきたので、グラルークスもしっかりと彼の意見に耳を傾けた。

 

そもそも彼が意味のない行動をする事はありえない。

 

カイザルが言うには、この辺りで征服をやめないか、とのことだ。植民地支配は確かにメリットはあるが、それは一時的な物であり、いつかは失うことになる。これからは技術的優位を背景にこの世界の国々と協調すべきだと言う。

 

グラルークスも日本については情報を手に入れていた。帝国と同等以上の技術と工業力を持ちながら、平和的な国家であると。そして帝国と同じく転移国家で、この世界における列強国の一角、パーパルディア皇国に一方的に宣戦布告を受け、民間人を虐殺された、と。

 

転移してからの流れは、どこか帝国と似たものがある。帝国も当初は、右も左も分からず、当初は平和的な外交を試みていたが、あろうことか派遣した皇族が惨殺されてしまい、一気に情勢が変わった。帝国に土を付けたパガンダ王国と、その親玉のレイフォル国を一気に滅ぼした。

 

ここまではまだ良かった。この行動において帝国に非は無く、正当防衛の延長線上に過ぎない。だがこの戦いの後から、この世界の全てを支配すべきと言い出す勢力が現れた。列強であるレイフォルがあの弱さなら、この世界は大したことのない国ばかりだ、だからこそ我々が支配すべきだという。

 

その波に押され、仕方なくイルネティア王国を征服すべく、再びグレードアトラスターを派遣した。だがここで思いがけない遭遇を果たした。それが日本だった。

 

ここで日本の力を認識した帝国は一度踏みとどまる。

 

ムーと日本が密接な関係にあると知るやいなや、予定していた第二文明圏への宣戦布告を取りやめた。そして現在に至る。

 

帝国のこれからの動向は日本の動き次第と言っても良かった。

 

「まったく......面白き世界よ。」

 

グラルークスはペンを机に置き、ひとり物思いに耽るのだった。

 

 

一週間後 佐世保鎮守府―――

 

昼下がり、この日の佐世保では特に急ぎの用事も無く、それぞれがのんびりと時間を過ごしていた。

 

今日の予定と言えばフェン王国に行っていた高橋が帰ってくることくらいだ。

 

赤松は大部屋で艦娘達とテレビゲームに勤しみ、森高は扶桑と私室にいた。そして吉川は昼食後の軽い運動の後、大浴場とは別の貸し切り風呂に入っていた。

 

「あ゛ぁ゛~~~~」

 

力の抜けた声をあげながら、吉川は四肢を浴槽に投げ出していた。そんな彼の腕には、艦娘「足柄」がもたれかかっている。

 

「ちょっと、そんなオジサンみたいな事しないで欲しいわ。」

 

足柄が軽口をたたくと、吉川は笑って答える。

 

「悪い悪い、どうもクセでね....。そういや今日は京介とビスマルクが帰ってくるな。何か見つけたらしいが、どうして写真も何も寄越さないんだろう?」

 

「何か面白い物があって、私たちを驚かせたいんじゃない?あの人らしいわ。」

 

「ああ、なるほど....。あいつ、意外といたずら好きだからな。あり得る話だ。しかしいったい何を見つけたんだ?」

 

「まあ、どのみち今日中には分かるんだから、のんびり待ちましょう。」

 

そんな事を話していると、突然ドタドタという足音と共に、誰かが勢いよくドアをあけて入ってきた。

 

「晃輔さん!!!足柄さん!!!今すぐ来てほしいっぽい!!!たたたた大変っぽい!!!」

 

駆逐艦娘「夕立」だった。元々活発な性格だったが、いつも以上に慌てた様子だ。

 

「どうした夕立、何があった?」

 

「いいから早く来て欲しいっぽい!!」

 

彼女の剣幕に圧された吉川と足柄は急いで着替え、夕立に引っ張られながら建物の外に出た。

 

 

空から聞き慣れない怪音が聞こえていた。そしてその音がする方向を見た吉川は思わず叫んでいた。

 

 

「なななな、何じゃこりゃあ!!!???」と。

 

 







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