日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
翌朝―――
ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦四姉妹は朝食前に散歩をしていた。ドックの前を通ったとき、彼女たちはその中に何かの気配を感じた。
「誰かいるのかしら?」
おそるおそる中を覗くと、見たことのない船体の姿があった。かなり久しぶりのことだったが、おそらくまた新しい艦娘が生まれたのだろう。今は鍵がかかってしまっているため、提督を呼びに一度姉妹は戻っていった。
「また誰かいたのか?にしても久しぶりだなあ。」
報告を受けた赤松は鍵を持ってドックへと向かう。パーパルディア皇国戦の途中では防空巡洋艦「スモレンスク」級4隻や大型巡洋艦「ジークフリート」級3隻、それに「アレクサンドル・ネフスキー」級巡洋艦3隻が誕生していたが、それ以来しばらく止まっていた。というより、てっきりもう生まれないと思っていたので、これは少々意外だった。
鍵を開けて中にはいると、かなり大きい戦艦が鎮座していた。4連装砲を2基搭載しているのが分かる。それだけ見ればフランス戦艦のようだが、艦橋や船体はイタリア戦艦のそれに似ている。
(....こんな戦艦あったっけか?まあ、おそらく計画艦の類だろうな。)
タラップから船内へと上がり、中を探索する。
(こりゃまた随分とでかいな...300mはないが、レピュブリクと同じくらいか...?)
そんな事を思いながら、軽く探索する。後ろにも4連装砲を2基装備しており、合計で驚きの16門だ。これは、リヨン級戦艦とタイで最多の門数だ。だが、リヨン級の主砲は340mmなのに対し、こちらはおそらくヴィットリオ・ヴェネト級と同じ381mm砲の可能性が高い。
艦内を回り、恐らくこの船の艦娘がいるであろう部屋にたどり着いた。ノックをしてみるが反応がない。仕方がないのでゆっくりとドアを開けると、ベッドがあるだけの簡素な部屋に、一人の女性が横たわっていた。赤松は声をかけようとして、一瞬硬直した。思わずその姿に目を奪われてしまっていたのだ。
(い....いかんいかん!!)
彼ははっとすると、自分にそう強く言い聞かせた。
鎌首をもたげた邪な心を取り払い、肩を軽くたたきながらその艦娘に声をかける。
「あー、寝てるところすまないが起きてくれないか?」
この言葉に、その艦娘はゆっくりと目を開く。
「んっ.....あなたは?」
「俺は赤松一誠、ここの提督をしている者だ。君の名前は?」
「...私は...クリストフォロ・コロンボ、です....」
ゆっくりと彼女はそう答える。とろんとしたその瞳にうっかり吸い込まれそうだった。その体は全体的に甘い雰囲気を醸し出している。
「....いい名前だね。ところで君は自分が何者か分かるかい?」
「はい、なんとなくは.....」
「そうか、なら良かった。君には色々と説明することがあるんだが、ついてこれるかい?」
「はい、お供させていただきます。」
「ははは、そんなに畏まらなくて大丈夫だよ。君もきっとすぐに馴染めるはずさ。」
そう言うと赤松は彼女の手を取り、外に連れ出すのだった。
そしてその隣のドックでも、彼女の妹が2隻誕生していた。長女が「クリストフォロ・コロンボ」、次女が「ダンテ・アリギエーリ」、そして三女は「サンドロ・ボッティチェリ」という名前だった。
比較的数が少なかったイタリア艦達は仲間の誕生を心から喜んだ。
彼女たちはその夜イタリア料理を振る舞い歓迎した。
そして昼過ぎ―――
「さてと、動かしてみるか.....」
佐世保ではアダマン級魔導戦艦の公試が行われようとしていた。
「よし、出港だ。」
高橋の合図により、ドックから引っ張り出された1隻はゆっくりと動き出す。ここまでは特に鎮守府の戦艦と変わったところはない。まずは速力と機動性の計測をすることになっていた。
「出力最大」
通信を入れると、徐々に速度が上がっていくのがわかる。今のところそれなりに速度が出ているようだ。高橋は計測係に尋ねる。
「何ノットだ?」
「えー、現在30.2ノット出ています。」
「了解。....まあまあ速いな。よし、魔法を使ってみよう。よろしく頼む。」
「了解しました。」
ヤミレイの指示をもとに、妖精達が少したどたどしさを見せつつも操作を始める。
「えーと....魔力注入開始!!」
タッチパネルを操作すると、艦内を巡る魔素が移動し、推力部に集中的に注がれる。数十秒後、注入が完了すると、一気に速度が上がっていくのが手に取るように分かった。
「おおっ....!?これは中々速いな!!」
思わずそう呟く。
「何ノットだ!?」
「はいっ!さ、36ノット!36ノットです!!」
「36!?そりゃすごいな!!」
これは戦艦にしては類を見ないほどの高速だった。続いて機動力についてだが、これは特筆すべき点は無かった。素の状態ではアイオワ級とほぼ同じ、加速するとさらに悪化するといったところだ。
次は砲撃の試験に移る。標的から距離およそ35km地点に横向きに移動し、主砲をその方向へと向ける。
「主砲準備いいか?」
『はい、いつでも撃てます!!』
「よし、目標、標的艦!撃てぇっ!!」
ドォッ―――
合図と共に主砲9門が一斉にその力を解放する。とはいってもそれは青い線を引いていて、他の戦艦の物とは一線を画している。魔法で弾を生成、発射しているため薬莢は出ず、硝煙の匂いもしない。代わりに廃棄された魔素が排出され、青い光跡を引く。
『3、2、1、弾着いま!!』
その通信が入ると同時に、標的艦の周囲に巨大な水柱があがる。
「どうだ?」
高橋は双眼鏡を覗きつつ、着弾観測機に連絡を入れる。
『はい、至近弾2を確認しました。』
「へえ....いいじゃん」
ニヤリと笑い、そう呟いた。尤も、これが主砲の性能のせいなのか、それとも妖精の腕が良いせいなのかは分からないが。
「よし、弾種変更。次だ。」
弾の魔法属性を変更し、再び試験に入るのだった。
結果として、この魔導戦艦はかなり優秀な成績を残した。まだ馴れない部分が多く、実戦で活躍できるかははっきりしないが、魔帝の実力の片鱗を知れただけでも大きな収穫だ。
公試を終え、得られたデータは自衛隊や防衛省にも提出された。
高橋は一人考える。
(魔導戦艦....思った以上に強力だな、ということは神聖ミリシアル帝国の海軍は中々強いのかもしれん。)
だが彼の考えは悪い意味で裏切られることになるのだった。
同じ頃、グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ―――
(やっと着いたか。本土に戻ってくるのは久しぶりだな。それにしても、大事な用件とはなんだろう...?)
「デュトワ・デルポルト」、「エル・ヴァーゴ」と入れ替えにレイフォルから帝国本土に2隻の戦艦、「プロキオン」「アル・マーズ」が戻ってきていた。
そして帝国に到着した「プロキオン」からは一人の女性が下りてきていた。その服装から判断するに、軍人ではないだろう。
それもそのはず、彼女は外交官であり、レイフォルで働いていた。名前をシエリア・オウドウィンといい、若いながらも優秀、そして容姿端麗な人物として知られていた。
彼女は今度日本へ派遣する外交官の代表として選ばれ、一度本土へ呼び出されていたのだ。シエリアは帝王府へと向かっていった。
その夜、佐世保鎮守府―――
「千鶴さん、トリックオアトリート!!です!!」
「はい、これをどうぞ。」
「わーい、ありがとう!!」
今日は10月31日、ハロウィンだ。そのため鎮守府の中では仮装した艦娘達がそこらを歩き回り、提督達や妖精に声をかけてお菓子をもらったり、交換したりしていた。
森高は仕事をしつつ、やってきた艦娘達にお菓子を渡していた。
明日は近くにある海上自衛隊の佐世保基地でイベントが開かれる。そこに何人か艦娘達を送り込み、船を公開することで地元の人たちや自衛官との交流をはかる。
その担当が森高であり、明日送るのは「大和」「金剛」「陸奥」の三隻となっていた。
「ふう、そろそろ終わりそうだ。明日の礼服は用意出来てるかい?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ。」
礼服というのは白い軍服の事だ。見た目は自衛隊の物に似ており、提督用はスーツ、艦娘用は膝丈のタイトスカートだ。
「そうか、ありがとう。俺もそろそろ終わりそうだ。」
いったん手を止め、森高はそう呟く。秘書艦の扶桑とサラトガは既に仕事を終え、ソファでくつろいでいた。
「頑張ってください千鶴さん。もう少しですよ...」
少しして、今日の仕事を終えた3人は部屋を出て行ったのだった。
今回名前が登場した船についてはそのうちコラムに載せておきます。後々登場する可能性が高いので、気になったらそこをご覧ください。
見たい組み合わせは?
-
大和型vsGA級
-
紀伊vsGA級
-
長門型vsヘルクレス級
-
金剛型vsオリオン級