日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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4話です。 よろしくお願いします。


第4話 呉鎮守府

同日 朝七時半、広島県呉市―――

 

かつての軍港であり今では米海軍の艦艇も停泊している呉港、その海沿いに位置する呉鎮守府。もう明かりが灯っており、中からは忙しそうな声が聞こえてくる。

 

だが―――

 

その中の一室、執務室。その中にある小部屋は提督の寝室であり、誰かが書いたのだろう、「しれいのおへや」という紙がドアに貼られている。そしてその中からはぐおお、がおお、とまるで猛獣のようなうなり声、いやいびきが聞こえてくる。どうやら提督だけがまだ眠っているようだ。

 

廊下からパタパタと足音が聞こえ、幼い少女が執務室に入ってきた。そして寝室のドアを開け、提督に声をかける。日本海軍屈指の幸運艦として名を馳せた「雪風」である。

「しれぇ、朝ですよ!起きてください!」体をゆさゆさと揺するが、特に反応もなく布団からは相変わらず幸せそうないびきが聞こえてくる。雪風は少し困った顔をして提督を起こそうとするがやっぱり反応がない。

 

「だめよ雪風ちゃん。そんなんじゃこいつはいつまでたっても起きないわ。」

そう言ってまた誰かが部屋に入ってきた。駆逐艦「曙」だ。

「曙ちゃん、いったいどうするのですか?」と雪風が聞くと、「こうするのよ」と言って、曙は何かを取り出し、枕元に置いた。

 

「これが最後のチャンスよ、今すぐ起きなさい」

  ぐおお……

「分かったわ、それが答えのようね。」

  ぐおお……

 

まるで返事のようないびきをする提督に雪風が苦笑いしていると、曙が何か渡してきた。耳栓だった。「それつけといて。」と言われる。雪風が不思議そうな顔をしつつも耳栓をつけると、曙も耳栓をつけた。そして枕元の「何か」に手を伸ばす。次の瞬間、部屋のガラスがビリビリと揺れるほどの凄まじいクラクションの様な音が鳴った。

 

「わぁぁぁーーーーーーーっ!?」と情けない声を挙げて、ようやく起きた……のだが、ベッドから驚いて飛び出したせいで運悪く頭から落ち、ゴッという鈍い音が部屋に響く。

 

「ようやく起きたわね。まったくもう」曙がため息をつく。

 

「曙ちゃ~ん、もっと優しく起こしてよ~」と頭から落ちた体勢のまま、呉鎮守府提督、吉川晃輔が文句を言う。

 

「あんたが何しても起きないからこうしてるんじゃない!!むしろ感謝してほしいくらいだわ」

「わかったわかったありがとうよ、ところでそんなものどこで買ったんだ?」と曙が手に持つエアーホーンを指さす。

「通販よ。あなたを起こせるのならこれくらい安い出費よ。それと横須賀から手紙が来てる、重要な案件らしいわ」そう言って紙を渡す。

 

体を起こし、「横須賀から?なんだろう」といって紙を受け取る。手紙に目を通すうちに吉川の目の色が変わるのを曙は見逃さなかった。

 

紙から目を離し、吉川は言う。

「なるほど、こいつは確かに重大な案件だ。全くもって信じられん。ありがとうよ曙。」

 

曙はフンと鼻を鳴らすだけだ。朝に弱くなければ欠点なしの完璧な提督なのに……と小さな声でぼやく。まるで父親と反抗期の娘のような光景だ。相変わらずだな、と雪風は微笑む。だけどこのやりとりも今日で最後だ……。しかし大事な用事とはなんだろう。鎮守府の廃止が取りやめになったりしたら良いのにな……。

雪風がそんなことを考えていると、近づいてきた吉川が彼女を抱き上げて言う。

 

「まあ、とりあえず腹減ったし飯にしよう。曙、みんなを起こしてきてくれ。」

 

「とっくにみんな起きてるわよバカ!」

 

「そうかそうか。うちはみんな優秀な子達ばかりでいつも助かってるよ。」

 

吉川晃輔。呉鎮守府の提督になる前は海自でも屈指の男前として有名だった。187cmの長身に水球で鍛えた強靱な肉体を持つ。そのシルエットは遠くから見ると、まるで男子トイレのマークのような見事な逆三角形をしている。広島に生まれ広島市で育った生粋の広島っ子である。彼の祖父は広島市の中央で旅館を営んでいたため、原爆投下に巻き込まれた可能性もあった。そのため日本の降伏が遅れていたら自分は存在していないと思っている。そのせいか、広島に落とされるはずだった原爆を結果的に身代わりとして受けた「長門」を命の恩人としてとても尊敬しているらしい。

 

きゃっきゃっとはしゃぐ雪風を肩に乗せ、曙と一緒に部屋を出て食堂に向かって歩いていく。誰もいなくなった執務室の机には、四人の提督の着任時に撮影された集合写真が飾られていた。

 

 

 

同じ頃、佐世保鎮守府と舞鶴鎮守府でも同様の知らせが入ってきていた。佐世保の提督森高千鶴と、舞鶴の提督高橋京介も緊急事態に備え、動き出すのであった。

 

 

そして少し後、日本国政府は護衛艦「いずも」船上にて

クワ・トイネ公国と名乗る国家の艦隊に臨検を受ける。

会議の約束を取り付けた使節団は、無事日本に情報を持ち帰った。食料や物資の貯蓄が心許ない日本にとって、公国は助け船となるのだろうか。そんな不安を抱えながらも、日本は転移後初の外交に乗り出すのであった。

 

 




ありがとうございました。
次回は公国での会談について書くつもりです。

見たい組み合わせは?

  • 大和型vsGA級
  • 紀伊vsGA級
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