日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
11月2日 ムー国 港湾都市マイカル―――
「こんにちは皆さん、私は今リグリエラ・ビサンズ社マイカル工場に来ています!今日ここでムー海軍の新戦艦がお披露目されます!」
カメラに向かってリポーターの若い女性が元気に話す。彼女の言うとおり、今日ここでは日本の協力により一足早く一隻の戦艦が公開されることになっていた。
ラ・タウンゼント級戦艦1番艦「ラ・タウンゼント」。それが今日披露される戦艦の名前だ。今は大きなベールに囲まれており、その姿は見えない。
「あっ!どうやら始まるようです!」
リポーターがそう告げると、カメラは一斉に同じ方向を向く。
マイラスがマイクの前に立ち、話を始める。
『あ、あー。本日は忙しい中お集まりいただいてありがとうございます。司会を務めさせていただきます、マイラス・ルクレールと申します。よろしくお願いします。』
そう言うと彼は言葉を切り、一礼した。激しいフラッシュが彼を包む。顔を上げ、もう一度話し出す。
『えー、今回の新戦艦設計につきまして多大な貢献をしてくださった日本国より、ゲストに来ていただいています。技術提携の一環として派遣されている戦艦の艦長の皆様です!それではどうぞ、拍手でお迎えください!!』
彼がそう言うと、舞台の横から5人の艦娘が姿を現す。艦娘について知っているのはムーでもごく一部の人間のみであり、一般向けにはこういった説明がなされている。女性の軍人、それも艦長というのはムーでは珍しいが決してあり得ないことではない。それに他国のあり方にケチをつける理由もないため、こんな言い訳で十分なのだ。
「おおお...!!!」
観衆にどよめきがあがる。艦娘達はどれも豪華絢爛かつ大胆なドレスに身を包んでいた。それは彼女たちの抜群のスタイルをいやというほど見せつけている。
「うわっ、すげぇ美女だ!」
「本当に軍人なのか?信じられん」
テレビの生中継を酒場から見ていた酔っぱらい達も思わず身を乗り出す。彼らの言うとおり、5人の艦娘達はとても軍人には見えない美女揃いだったのだ。
彼女たちはマイラスに一礼すると、並んで横に立つ。
マイラスも返すと、再びマイクに向き直る。
『続きまして、機動部隊司令、アルバート・レイダー中将です!』
今度は一人の軍人が姿を現す。マイラスの説明の通り、彼はムー海軍の機動部隊の司令であり、今回の新戦艦開発に非常に興味を持っていたのだ。そしてその表情はどこか高揚しているように見える。
少しして、全ての出席者が登場し着席した。
これでようやく本題に入る。
『それではただ今より落成式に移ります。代表者の方々は席をお立ちください。』
マイラスのアナウンスにより、レイダー、議員、そして日本からはフッドが席を立ち、テープの前にそれぞれ並ぶ。
『では、テープカットに移ります。皆さんお願いします!』
そのかけ声に従い、全員が目の前のテープを切る。すると、ベールが落ち、「ラ・タウンゼント」はついにその姿を現した。ムーの戦艦として初めて381mmの大口径砲を装備しており、神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦にも引けを取らない高性能が予測される
「おお!!!」
歓声と、少し遅れて盛大な拍手がその場を包み込む。こうして、ムー海軍期待の新戦艦はこの世に生を受けたのだった。
二日後、11月4日 神聖ミリシアル帝国 首都ルーンポリス
「いったいどうなっているんだ!!何故ムーがここまでの戦艦を!?こ、これは我が国の魔導戦艦と同等ではないか!!!」
ルーンポリスでは臨時の会議が執り行われていた。
会議室は大騒ぎだ。数日前にムーが公開した戦艦が予想を大きく上回る規模のものだったからだ。神聖ミリシアル帝国上層部はムーのラ・カサミ級戦艦やマリン戦闘機を見て、その技術差はまだ大きく、よもや追いつかれることはないだろうと高をくくっていた。ところがこれはどうしたことか。いきなり自分たちと同様の技術の産物を見せつけられ、ひどく驚いている。
説明係が新聞を手に話す。
「そっそれが....どうやらムーは日本から技術提携を受けていたようです。記事に、そうあります。そしてこの一隻はあらかじめ日本で部品を作り、あとは組み立てるだけの状態でムーに引き渡されたとか。」
出席者達も配布された記事に目を通し、難しい顔をする。
「むむ...確かにそうあるな。しかしまた日本か、本当にどうなっているんだ?」
ぽっと出の文明圏外国に振り回され続け、彼らは頭を痛めるのだった。
その一週間後、佐世保ではムーにいる艦娘達とテレビ電話をしていた。
「―――なるほど、無事完成したんだな。そりゃあ良かった。」
今は吉川とレパルスが話している。
『はい、私たちも出席しましたが中々に頼もしい姿をしていましたよ。』
「そうかそうか。そっちの生活はどうだ?もうなれたか?」
『ええ、大分馴染むことが出来ています。私たち今、すごい豪邸に住んでいるんです!』
そう言うと彼女は画面を動かし、背景を見せる。
「へえ、凄いじゃないか。まるでセレブだな。」
『そんな感じですね。もし良かったら遊びに来て下さい!』
「分かった、ムーに用事があったら絶対に行くよ。」
『約束ですよ?』
「ああもちろんさ、それじゃ頑張ってな。」
『はい、ありがとうございます。では....』
通信が切られ、画面が閉じられた。吉川はパソコンを畳み、仕事に戻る。
(グラ・バルカス帝国の使節団が到着するまでだいたい10日ってところだな....どうなることやら。)
使節団を乗せたグレードアトラスター級戦艦は順調に進路を辿っているようだった。衛星写真により、少なくとも4隻の同型艦を確認しているが、そのうちのどれなのかは分からない。
(楽しみだな...さて、俺は俺の仕事をしなきゃな。)
佐世保鎮守府も帝国使節団を迎える準備をするのだった。
11月10日、佐世保沖―――
「日本の領海に入りました。」
「了解。全員準備をしておいてくれ。」
兵士がラクスタルに報告すると、彼も指示を出す。
「ようやく到着か。やはり遠かったな。」
いつの間にか艦橋内に立っていたカイザルも大きく体をのばしつつそう呟く。
「ええ、そうですね。お待ちかねの日本ですよ。」
数分後、シエリアも艦橋内に上がってきていた。3人で話をしていると、通信兵が報告してくる。
「艦長、通信をキャッチしました!日本からです!」
「よし分かった、つなげてくれ。」
「はい!」
無線機を手に取る。
「こちらはグラ・バルカス帝国監察軍旗艦、グレードアトラスター。私は艦長のラクスタル・マクヘンリーと申します。」
すると向こうからは、比較的若そうな男の声が帰ってきた。
『こちらは日本国、佐世保鎮守府です。そして私は司令の森高千鶴と申します。ようこそ日本へ。我々はあなた方を歓迎いたします。』
「ありがとうございます、森高殿。我々はどう動けば宜しいか?」
『先導の駆逐艦が向かっていますので、その指示に従ってください。航空機も向かっていますが、我が国の報道機関によるものですのでご安心を。それと、戦艦も2隻近づいていますが敵意はありませんのでよろしくお願いします。』
「...?了解しました、ありがとうございます。」
『はい、ではお待ちしております。』
通信が切られた。
ラクスタルの表情には疑問符が浮かんでいた。それを見たカイザルが尋ねる。
「どうしたのかね?」
「いえ、先導のため駆逐艦が向かっているとあったのですが、同じく戦艦も向かっている、とのことです。一体何のつもりでしょうか。」
「確かに気になるな。しかし直にわかることだ、素直に待とう。」
「そうですね。」
既にレーダーに艦影は捉えられており、前方からは2隻の小型艦の姿を、そして左右後方から1隻ずつ近づいてくる大型艦の姿が映し出されていた。事前の連絡の通りだ。
「前方より駆逐艦発見!発光信号を放っています。」
「よし、指示に従え。」
「はい!.....えっ!?」
「どうした?」
素っ頓狂な声を上げた見張りに尋ねると、彼はとても驚いているようだった。
「あれを見てください!!」
ラクスタルは双眼鏡でその方向をのぞき込む。
「ん?....何っ!?」
カイザルも同じく双眼鏡をのぞき、驚いた顔をする。
「...エクレウス級駆逐艦!?」
そこには帝国の駆逐艦に瓜二つな船の姿があったのだ。それはあまりにも似ており、彼らに衝撃を与える。実際のところ先導を担当しているのは陽炎型駆逐艦「浜風」と「磯風」であるが、その姿はエクレウス級にそっくりだった。
驚くべきはこれだけでは無かった。
森高は2隻の戦艦に通信を入れる。
「さあ2人とも、異世界の姉妹艦に挨拶してやれ。」と。
見張りが更に報告する。
「左右後方より戦艦発見!接近しています!」
次第にそれは近づき、はっきりとその姿を現しはじめる。
「なにぃっ!?そ、そんなばかな!!」
「何故、こんなところに!!」
艦橋は騒然としている。ラクスタル、カイザル、シエリアもあまりの出来事に固まっていた。
「「「「グレードアトラスター!?」」」」」
そこには、自分たちが乗っている筈の戦艦、「グレードアトラスター」の姿があったのだ。
というわけで、グレードアトラスターと大和、武蔵が出くわしました。
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