日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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佐世保鎮守府は埋め立てをして広めの飛行場を確保してます。


第43話 トップ・オブ・ザ・ワールド

11月11日 午後2時17分 佐世保―――

 

コツ...コツ...と言う無機質な音が格納庫に響く。

 

音の主はカイザルとラクスタルだ。昼食後数時間の休憩を挟み、佐世保鎮守府の飛行場の隅にある格納庫の一つに足を運んでいる。そしてその横には若い男の姿もあった。

 

「おお....」

 

「ほう」

 

2人は中にあったものを見上げると思わずため息をもらした。そこには彼らからすればかなり大きい機体が収納されていた。爆撃機と変わりない大きさで、戦闘機としては相当に大きい。鋭く研ぎ澄まされた機体は針のようだ。

 

「やあ、ようこそ俺の秘密基地へ。」

 

奥の暗がりから姿を現したのは吉川、そして艦娘「夕張」と「明石」だ。どうやらここは彼らの持ち場のようだ。

 

「吉川さん、その服は飛行服ですか?」

 

ラクスタルは吉川の着ている服について尋ねる。

 

「はい、これは耐Gスーツと言います。これが無いと飛行中に意識を失ってしまうので、ジェット戦闘機に乗るには必須ですね。」

 

「なるほど...速度が速くなればなるほど重力の負担は重くなる。音速を超えるとなると、かなりの物になるでしょうね。」

 

「その通りです。まあこれを着ていてもキツいのには変わりないのですがね...当然、無いよりはずうっとマシですが。」

 

「...我々には未知の世界です。」

 

「そうですね。ですから今日は少しでも知っていただこうかと思います。今日動かすのはこの、MiG-25です。日本の物ではありませんがね。」

 

「...?他国の物を運用して問題ないのですか?」

 

「大丈夫ですよ。その国はこの世界には存在しませんから、怒る人はいませんよ。それにこいつは古いですしね。初めて飛んだのはもう50年も前です。」

 

「50年!?」

 

カイザルはひどく驚いた。日本と帝国の技術差は確か70~80年ほどと聞かされていた。このような先進的な飛行機が半世紀前のものと言われても、30年後の帝国で同じような物が作れるとはとても思えない。

 

「古いといってもとても速いですよ。最高速度はマッハ3、時速にしておよそ3600km/hですね。」

 

ラクスタルは困ったように帽子を押さえて呟いた。

 

「ははは...アンタレスの7倍...」

 

カイザルもこれにはもう笑うしか無かった。現在帝国での主力戦闘機であるアンタレスの最高速度はおよそ550km/h、改良型でも580km/hだ。そして間もなく実用化されるであろう新型戦闘機でも700km/hである。こんな化け物にどう抗えばいいんだ?何も思いつかない。

 

「まあ立ち話はこれくらいにして....乗せるのはそこの彼でよろしいですか?」

 

吉川はカイザルの隣に立つ若い男に視線を向ける。

 

「はっ...はいっ!!私はレニー・リヴァースと申します!グレードアトラスターの水上観測機パイロットを務めております!」

 

彼は若干緊張した様子で自己紹介し、これをラクスタルが補足する。

 

「若いですが優秀なパイロットです。私とカイザル大将もできるものなら乗りたかったのですが、なにぶん歳ですし、残念ながら耐えられる自信がありません。そういうわけですので、彼をよろしくお願いします。」

 

「よっ、よろしくお願いします!!」

 

「こちらこそよろしくお願いします。では、ぼちぼち準備を始めましょう。皆さんこちらへ。」

 

彼らは格納庫の奥へ入っていった。

 

 

そしておよそ30分後、説明と準備を終えた彼らは離陸の準備に入っていた。既に吉川とリヴァースは機体に搭乗している。外に引っ張り出されたMiG-25は銀の機体に派手な紅葉の模様があしらわれた特別仕様だ。

 

吉川は尋ねる。

 

「では、そろそろ行きましょうか。注意事項は覚えていますか?」

 

『はい、飛行中は首を引っ込め、背中を背もたれにくっつけ体に力を入れること、下腹部に力を入れて呼吸することです。』

 

「いいですね。それと、計器には手を触れないように。大声も出さないようにお願いします。それでは行きましょう。準備はよろしいですか?」

 

『はい。よろしくお願いします。』

 

心なしか彼の声は震えているようだった。

 

「こちらこそ。では指示が入り次第離陸しますので、心の準備をしておいてください。」

 

吉川は管制塔からの指示を待つ。そしておよそ1分後、ついに指示がやってきた。

 

『Clear For Take Off!』

 

「Roger.」

 

後部座席にいるリヴァースに告げる。

 

「出発します」

 

『は、はい!』

 

数秒後、エアインテークに空気が流れ込み、特徴的な大きい排気口から炎が吹き出す。そしてほんの数十秒で一気に加速したMiG-25は爆音と共に空へと飛び立っていったのだった。

 

「おォ、速い速い。」

 

鎮守府内のガラス張りプールで、プールサイドベッドに横たわりバカンス気分を楽しんでいた高橋は、サングラスを外して外に目をやるとこう呟いた。

 

4人の提督は全員がレシプロ機なら操縦できるが、比較的新しいジェット機を操れるのは吉川だけだ。Me262くらいなら出来なくもないのだが。一度彼の後ろに乗せてもらったことがあるが、とてもひどい目にあわされた。

 

「やはりジェット機はとてつもなく速いですね。」

 

高橋の隣のベッドで同じく寝そべっていた「霧島」も上体を起こし、そう呟いた。そして二人は会話を交わす。

 

「ああ、速いな。」

 

「うちでもジェット機を本格的に配備できないのでしょうか...?」

 

高橋はサングラスをかけ直し、もう一度うつ伏せになる。

 

「...難しいな。()()()()()があるからな。それはお前も知ってるだろ?」

 

「はあ、やっぱりそうですよね...ですがこのままだといずれやってくる古の魔法帝国?との戦いでは私たちは戦力外になってしまいます。」

 

「だよなあ。こればっかりは法が変わらないとどうしようもないよなぁ.....おい、重いぞ。」

 

いつの間にか霧島が彼の背中に重なるように乗っかってきていた。高橋のぼやきは無視し、霧島はため息をつく。

 

「私たちは日本の力であり続けなければならないというのに....」

 

 

 

そしてその様子を離れて見守っていたカイザルとラクスタルは双眼鏡をのぞき込み呟く。

 

「なんと凄まじい速度だ。それに加速も...」

 

隣に立つ「夕張」が説明する。

 

「MiG-25は離陸後一分で383km/hまで加速できますからね。高度20kmに到達するのには10分もかかりません。」

 

「ははは....別次元という言葉がぴったりだ...」

 

「カメラの中継映像がありますが、ご覧になられますか?」

 

「ええ、もちろん。」

 

彼らは建物の中へと入っていった。

 

 

 

 

一方―――

 

(ぐうっ...苦しい!!)

 

MiG-25ではリヴァースが必死に姿勢を保とうとしていた。前にいる吉川から通信が入る。

 

『いかがです、初飛行の感想は?』

 

「重力のせいで姿勢を保つのも苦しいです....」

 

絞り出すように彼は答えた。

 

『MiG-25は20kmまで上がるのに10分もかかりませんが少し速度を落としましょう。』

 

「はっ、はいっ!」

 

(いっ、いつの間にこんな高さまで!?)

 

目を開き、どうにか外に視線をやると既に彼は自分が雲の上にいることに気づいた。佐世保の町が、港がとても小さく見える。

 

「今の速度はどれくらいですか?」

 

『現在はマッハ1。秒速340m、時速にして1224kmです。』

 

(マッハ1...!!これでこんなにも苦しいのに、マッハ3で俺は耐えられるのか!?)

 

そんな事を考えていると、また通信が入る。

 

『この飛行での最高重力加速度は3~4Gです。せっかくですし、面白い体験をさせてあげましょう。』

 

なんだか猛烈に嫌な予感がして、思わず表情がゆがむ。

 

「なっ、なにを!?」

 

リヴァースがそう言ったとき、吉川は人知れずにやりと笑って操縦桿を捻った。すると機体は猛烈な回転を始める。当然とてつもない恐怖が彼を襲う。

 

「う゛わ゛あ゛あ゛っ!!!???」

 

悲鳴を上げるがどうにか耐えているようだ。スタントはこのあたりでやめ、通常の飛行に戻る。

 

「速度を上げますよ!もう少し頑張って下さい!今からマッハ2.6、4Gです!」

 

吉川はそう告げると再び操縦に戻った。

 

リヴァースは今までにない別種の恐怖に耐えながら必死に姿勢と意識を保とうとする。

 

(ううっ...!!身体中の血が絞られているようだ!!)

 

圧力によって彼の血は下半身に集まろうとし、耐Gスーツが膨らんでそこを圧迫する。少しでも気を抜けば意識が持って行かれるだろう。

 

そして数分後―――

 

リヴァースはどうにか意識を保っていた。ここで吉川から通信が入る。

 

『目標高度に到達しましたよ。外を見てください。』

 

「ううっ....。!!!こ、これは!!」

 

窓の外には巨大な星が見える。それはとても青く、何物にも代え難い美しさだった。吉川も転移してからこの高度に来るのは初めてだったため、改めてこの星の大きさを実感している。

 

「すごい....」

 

『よくここまで耐えましたね。おそらくグラ・バルカス帝国の歴史上この高さまで来たのはあなたが初めてでしょう。』

 

「はい....!!」

 

かみしめるようにリヴァースは呟く。自分が帝国の歴史に名を刻んだのかもしれないという感動にうち震えているのだ。

 

『私たちは今、正に世界の頂上にいるんです。』

 

「はい..!はい!!!」

 

約十分後、彼らはゆっくりと佐世保に戻っていったのだった。

 

 

 

その頃、東京―――

 

「はあ~~~~~~~......」

 

東京スカイツリーの展望台から首都を望む使節団は、揃ってこのような嘆声をあげていた。

 

眼下には高層ビルが敷き詰められており、遠くには白雪で化粧した美しい火山が見える。

 

(これが...日本の首都!!福岡も凄かったが、東京は段違いだ!!改めて、なんという国なのだろう!)

 

ガラスに張り付いたままシエリアは一人考える。

 

彼らは残りの約十日に日本各地を巡り、ちょっとした観光もかねて日本の技術や文化に触れる予定だ。

 

(明日はあの火山の近くまで行くのか...)

 

初めて現れた自分たちの遙か上をいく国において、彼らはある種の畏怖と興奮をもちつつ行動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 




タイトルは、物理的な頂上と、技術的な頂上をかけています。  

ジェット機の飛行シーンの描写にはまるで自信がありません....。

見たい組み合わせは?

  • 大和型vsGA級
  • 紀伊vsGA級
  • 長門型vsヘルクレス級
  • 金剛型vsオリオン級
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