日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
翌日 午前9時32分 東京駅
すべりこむようにホームへやってきた新幹線に帝国使節団一同は目を奪われていた。
「さあ、どうぞお乗りください。」
担当の外交官が彼らを車内へと招き入れる。数分後、発車ベルがホームに響くと、すうっと新幹線は出発した。
窓から移りゆく景色を、シエリアは眺める。
(騒音もなく、乗り心地も良い....昨日の飛行機もそうだったが、日本は交通においても、本当によく発達しているのだな...)
案内役の外交官、近藤が説明する。
「これから我々は山梨県に向かいます。電車を乗り換えまして、最後は車でリニア実験線に参ります。」
「すいません、質問よろしいですか?」
シエリアが手をあげた。
「もちろんです。何でしょうか?」
「ええと、その....リニア?...とは何ですか?」
「ああ、これは失礼しました、簡単に説明しますね。ええと、強力な磁石を使って車体を動かす鉄道ですね。」
これは帝国使節団にはあまり想像のつかない説明であった。
「なるほど...」
よくわからなかったが、どうせ数時間後には分かることだ。気を取り直し、シエリアはお茶を飲むのだった。
同じ頃、佐世保鎮守府―――
「ふう...」
白い煙が放たれる。
鎮守府に一カ所だけの喫煙所で、数少ないスモーカーが何人か集まって話に花を咲かせていた。そこには、カイザル、ラクスタル、高橋、赤松、ガングートらの姿がある。
「ふう~....」
「一誠、お前やめたんじゃなかったのか?」
高橋は赤松に尋ねる。
「ああ...確かにしばらくやめてたよ。けどやっぱ、無理だったなあ。」
「....ふーん、そうかい。」
「京介さん、ちょっと来ていただいて宜しいですか?」
「ん?あいよ」
数分後、艦娘「鹿島」に呼ばれた高橋は吸いかけだった一本をちょっぴり名残惜しそうに消すと、一足先に喫煙所から出て行った。
また数分後、ガングートも退出し、残っていたのは三人になった。赤松はもう吸っていなかったが、二人を置いていくわけにもいかないので残って話をしていた。
「一本いかがかな?私の好きな銘柄です。」
カイザルが差し出してきたそれを口に咥え、マッチで火を付けてもらう。だが赤松はちょっと深く吸い込んだだけでせき込んでしまった。
「あー、こりゃあずいぶん強いやつですね...」
息を整えて呟く。
「お口にあいませんでしたかな?」
「いや、少し強く吸い込んでしまっただけです、ゆっくり吸えば....ほら、このとおり大丈夫です。」
そう言って笑顔を見せると、カイザルも安心したように煙を吐き出した。
「良かったです。日本は喫煙者が少ないのですか?」
「ええ、ここ10年ほどでだいぶ減った気がしますね。まああまり良いことは無いですからね...体にも悪いし。」
「帝国では成人は殆ど喫煙者ですよ。割合は確か...どのくらいだったかな?」
ここでラクスタルが会話に入ってくる。
「たしか男性が92%、女性が78%ほどだったかと。」
「おお、さすがだラクスタル君。煙草と酒は優秀なコミュニケーションを生み出す道具ですからね。」
「日本も昔は同じような感じでしたよ。私の父も母もどちらもそうでしたから、煙に包まれて育ったようなものですね。」
「はは、私もそうでした。最近は帝国でもある程度分煙は進んでいますがね。」
彼らはその後も話し込み、話題は移り変わってゆく。
「―――帝国は前世界ユグドにおいて、間違いなく最強の国家でした。転移していなければ、おそらく一年以内に世界を支配していたでしょう。」
カイザルの話を赤松は聞いていた。
「最大のライバルだったケイン神王国でも、我らに比べれば一段劣っていました。ユグドではどの国も覇権主義でしたので、何もしなければ奪われます。そういう世界だったのです。」
「昔の地球も似たようなものです....そしてこの世界も..我々としては平和に過ごしたいのですがね。」
「私とラクスタル君もそう考えています。それと、帝王グラルークス陛下も。正直なところ私は少し疲れました...それに、覇権主義はもう時代遅れだ。」
「ほう...」
赤松は今回の訪問を通して、帝国のイメージが変わりつつあった。イルネティアで初めて遭遇した時の帝国は乱暴で野心的だったと聞いていたからだ。だが現在日本に来ている帝国の人間は、皆礼儀正しく理性的だ。
カイザルは続ける。
「ですが...国内には当然頭の硬い人間もいるものです。転移直後の混乱の中、急進派と穏健派がぶつかり合っていました。陛下の御意志もあり、ひとまずは近くの国に接触を試みようとしたのです。しかし....」
ここで彼は軍帽の向きを直した。
「パガンダ王国のドグラスという男は帝国の使節団に対し終始横柄な態度であり、ついには我が国の貴族を勝手に処刑するという信じられない行動に出たのです。当然我らはこれに報復し、次に宣戦布告してきたレイフォルも滅ぼしました。」
赤松が口を開いた。
「なるほど....お互い苦労しているようですね。日本も、パーパルディア皇国に一般市民を200人ほど惨殺されました...。そしてその中には、京介....先ほどまでここにいた、目つきの悪い男です。その兄も含まれていました。」
「それは、なんと...お気の毒な。」
「....あいつが泣いてるのは初めて見ましたよ。家族を失ったのだから当然といえば当然ですが...そしてパーパルディア皇国と日本は戦争になったのです。」
「なるほど...」
カイザルとラクスタルは頷く。
「しかし、使節団が戻ってくるまでまだ十日ほどあるというのに、もうやることが無くなってしまいましたね....。そこで提案なのですが....」
赤松は一度言葉を切った。
「何でしょう?」
「せっかくですし、私たちと旅行にでも行きませんか?こんなに遠くまで来たんだから、何かしなければ勿体ないでしょう?」
ラクスタルはこれに思わず食いつく。彼は出来ることなら佐世保以外も見てみたかったのだ。
「よろしいのですか?」
「もちろんです。我々もやることがないし、使節団も観光はしています。これはなんだか不公平と思いませんか?こんな遠くまで送迎させられて、さらに留守番だなんて。」
「はは...確かにそうかもしれませんね。では、よろしくお願いします。留守番は副艦長に頼んでおきましょう。」
「良かったです。明後日の朝出発するので、明日必要な物を買いに行きましょう。」
その夜、船に戻ったラクスタルはご機嫌だった。佐世保も良い町だったが、そのせいで日本の他の場所にも行ってみたいという気持ちが出てきてしまっていたのだ。
艦長室でお気に入りのレコードをかけ、愛用のカメラをいじくり、少し酒を飲んで床についた。
翌日、提督達は必要な物を買い揃え、旅館等の手配を行った。鎮守府には艦娘がいるし、頼もしい警備の妖精もたくさんいる。何か問題があっても対処してくれるだろう。艦娘達も、たまには男だけで水入らずの休暇を楽しんできてほしいという気持ちもあり、快諾してくれた。
その日の夜―――
「明日の朝行っちゃうの?寂しいわね...。」
「ああ、だから今日はもう寝るよ。悪いな。」
吉川の私室で、彼と重巡洋艦娘「足柄」が話をしていた。暗くなった部屋で吉川はベッドに寝ころび、その隣に彼女も並ぶ。
「ふぁぁ...」
大きなあくびをして目を閉じると、足柄が話しかけてくる。
「何日間なの?」
「えーと...10日だったかな。」
「長いわね...」
「留守番は任せたぞ。また今度どこか連れてってやるからさ。」
「待ってるわ...おやすみ..」
「ああ、おやすみ。」
足柄も目を閉じた。
翌朝早く、森高の運転する車に乗って一行は福岡に向けて出発したのだった。
帝国の文化は70年くらい前だとしたら、喫煙率高いんだろうな、と思ってこの描写を入れました。たばこ嫌いな人はすいません。
11ヶ国会議の前にドンパチパートがあるかもしれません...相手は人間じゃないけど。
見たい組み合わせは?
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紀伊vsGA級
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長門型vsヘルクレス級
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