日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
翌日昼頃、ムー統括海軍 マイカル基地―――
「ふーん.....」
海軍基地の中にある大きな格納庫で、マイラスが唸っていた。彼の目の前には数々の航空機が軒を連ねており、それらは全て日本から無償譲渡されたものだ。ムーが日本から購入する航空機のサンプルたちである。マイラスからすれば、眼前の航空機は非常に先進的に見えるが、ジェット機を主力とする日本国自衛隊からすればこれらの航空機はただの型落ち品に過ぎないのであろう。改めて彼は、日本の強さを認識する。
ずらりと並べられたそれらの飛行機をマイラスは昼食をとるのも忘れて、かれこれ3時間も観察していた。
「これは...."ノースアメリカンP-51"、という戦闘機か。液冷式エンジンは、空気抵抗が少なそうだな。」
手渡されたカタログをパラパラとめくり、該当ページに見入る。およそ100機近い航空機の情報が表記されており、その内のどれでも日本に発注することができる。明日にはムー統括軍の士官や技術者らが多数集まり、これらの航空機を見学する予定だ。
「そしてこちらは....デカいな。えーと...?"リパブリックP-47"か。大きい上に重い.....。被弾には強そうだ。うーん....」
彼は一人考える。
(だが、上が欲しがるのは、おそらく艦上戦闘機だろうな....。陸上機も当然手に入れたいが、予算が足りない....)
「と、いうことは.....」
マイラスは場所を少し移動する。そこには様々な艦上戦闘機が並べられていた。彼はそれらのデータを見比べ、物思いに耽る。
(零式艦上戦闘機....運動性能が非常に高いらしい。そして、グラ・バルカス帝国のアンタレス戦闘機はこれによく似ているとの情報があった。恐らく、性能も多少近いものがあるだろう。と、いうことはマリンでこれに対抗するのは不可能だな....。)
「うーん....」
今日の彼はずっとこのような調子だ。機体を舐め回すように見つめては、何か考えながらその周りを歩き回る。
(無理に機体を購入しなくとも、エンジンの供与や、設計図の購入というやり方もある。本当はそのほうがいいが、今のムーにこれらをうまくコピーできる技術があるとは到底思えない...。残念だ。そして、隣のこの戦闘機は...)
「美しいな....」
「シーファイアがお気に召されましたか?」
零戦の隣に停められていた、銀色が眩しいその戦闘機に手をふれていると後ろから誰かに声をかけられた。マイラスがはっとして振り返ると、そこには艦娘「ロイヤル・オーク」が籠を手に立っていた。
「これは、『ロイヤル・オーク』さん。失礼しました....」
気づかなかったことを詫びると、彼女は優しい微笑みを浮かべた。
「いえいえ、ただ今参った次第ですので、お気になさらず...マイラスさん、お昼を食べていないでしょう?簡単な食事を持ってきましたので、一緒にいかがですか?」
「あっ....はい、ありがとうございます!」
二人は床にシートを広げ、いそいそと食事の支度をする。大きなレジャーシートの上には、やはりというべきかサンドイッチの入ったボックスと熱い紅茶が注がれたカップがあった。
「先ほどの答えですが...とても気に入りましたよ。」
サンドイッチを食べながら二人は会話を始める。
「嬉しいです。...."
「確か、その戦闘機は元々陸上用なのですよね?」
「はい、その通りです。とても優秀だったので、艦上機にも転用されたのです。もっとも、欠点もあるのですが....お分かりでしょうか?」
試すような質問にマイラスは少し堅い表情になる。しかし彼はシーファイアを監察した上で、気になった点があった。
「....あのように主脚の幅が狭いとなると、空母での着艦が難しそうに私には思えます。」
「ご名答です!さすがですね。」
素直にほめられて、マイラスはなんだか照れくさそうだ。
「その通り、性能は言うことなしですが、主脚の幅がとても狭いので空母での着艦が難しいのです。」
「なるほど、説明ありがとうございます。」
その後も二人は食事をとりつつ話しあっていた。
「ふあぁ....」
食事を終えてから少しして、マイラスは大きなあくびをした。ロイヤル・オークが少し心配そうに尋ねる。
「眠いのですか?」
「失礼しました...ここ一週間ほど仕事ずくめで、あまり睡眠時間がとれていないのです。」
「それはいけません。仕事熱心なのはよいことですが、それ以上に自分の体を大事にせねばなりませんよ。」
諫めるように言われて、マイラスは肩をすくめた。だが彼女の言うことは正しいのだからどうしようもない。
「はい、すいません。」
「よろしい。日本では働きすぎて死んでしまう人がいます。それを"過労死"といいます。そうならないように、きっちりと休息はとってくださいね。」
「わかりました....」
その夜、彼女の言いつけ通りマイラスはいつもより早く床についたのだった。
グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ―――
急進派、もとい過激派議員の筆頭的存在である男、ギーニ・マリクスは帝王府に呼び出しを食らっていた。
「ですが陛下!!帝国の悲願である世界征服を、なぜあきらめようとなさるのですか!!それも、この世界の蛮族と友好関係!?私には理解できません!」
彼は帝王グラルークスの目の前で萎縮しつつも、必死に自分の意見を述べる。
「それに、この世界の国々は恐ろしく弱い!!だからこそ、我らがか弱い蛮族を統治すべきなのです!!医療も、技術も、我が国の方が上です!」
実際は植民地化された土地の人々は悲惨な扱いを受けている、ということは棚に上げている。
グラルークスはギーニを睨みつける。
「マリクスよ。なぜこの世界に我々より強い国は存在しないと言い切れる?」
「....あのレイフォルなどという国が列強などというのなら、その他の国も大したこともないかと。」
「例外はないといえるのか?」
「....神聖ミリシアル帝国とやらは、我々と同レベルの技術を持っていると思われます。ですが、数は多くありません。せいぜいケイン神王国程度の脅威でしょう。」
「.....日本については?」
「技術においては、我が国と同等以上のものがあるかも知れませぬ。ですが、軍事力も少なく、食料自給率も低いような国は、それを支えている国を崩せば簡単に落ちます。」
グラルークスはため息をついた。
「.....そうか、もう良い。下がってくれ。」
「はっ。失礼しました。」
部屋を出たギーニは考える。
(くそっ!もう陛下を説得するのは不可能か!不本意だが、やむを得まい。)
彼は帝王府を出て、別の建物に入っていった。
「失礼します。」
ノックをしたが返事は帰ってこない。いつものことなので、ギーニは気にせず入室した。
「うっ...」
彼は思わず顔をしかめる。香水と、その他様々な体液の混ざったような匂いが鼻をつくからだ。それに、奥からはくぐもった嬌声が聞こえてくる。
できればこんな所からはすぐにおさらばしたいところだが、そうもいかない。意を決して暗い部屋の奥へ目をやり、大声でその男を呼ぶ。
「殿下!皇太子殿下!どちらにいらっしゃいますか!」
「....何だ、貴様か。」
奥から姿を現したのは、第二皇太子のグラ・アデルだ。兄のグラ・カバルと同じく、背が高くがっしりとした体躯の、まさに美丈夫といった風体をしている。といっても、中身は別だ。
「で?親父の説得には成功したのか?」
「....いえ。残念ながら....」
裸体のままのアデルを前に、ギーニは思わず目を背けたくなるが、そんなことは出来るわけもない。
「はっはっはっは!!!だろうな!!親父も老けたのさ!!―――なあ、そうだろう?」
「はっ、はい!!仰るとおりでございます!!」
「親父は老け、兄貴は弱腰―――人の上に立つのは、強い男でなくてはな。」
「はい!次期皇帝の座はアデル殿下のものです!」
「そうだ、その通りだ。....その時になったら、よろしく頼むぞ。」
「はい、お任せください。」
「ご苦労、もう戻って良いぞ。ああそうだ、前にお前が連れてきたレイフォルの貴族の女だが、なかなか良かったぞ。」
「ありがとうございます。失礼します。」
部屋を出て、ギーニは自分の仕事場へと戻っていく。
(あのクソバカ皇太子め...戦争と女にしか興味がないのか!?....まあいい、せいぜい踊らされるがいい。事が済んでしまえば、お前はお払い箱だ。)
その思いを胸に、彼はほくそ笑むのだった。
その日の夜、日本国 首都東京―――
「「「「かんぱ~い!!!」」」」
4人の提督は慣れた様子で、そしてグラ・バルカス帝国の2人は少しぎこちない手つきでグラスを交わした。そして吉川はなんと一口で大ジョッキのビールを飲み干し、もうおかわりを頼んでいた。
「おいおい、もっと落ち着いて飲めよ。」
「何言ってるんだ?ビールなんざ水と同じさ。」
呆れる赤松を横目に吉川はとにかく飲むのだった。
「おお、冷えたビールはうまいな。」
「はい、とてもおいしいです。」
「くくく、ラクスタル君...。その顔で真面目な事を言われても...」
「はい?私の顔になにか?」
「「「「....あっはっはっは!!!」」」」
カイザルも豪快に飲んでいる。そしてその横で顔に見事な白ひげをつけたラクスタルを見て、全員が笑ってしまった。
当然、カイザルとラクスタルは帝国本土に不穏な空気が流れてきていることに気づくはずも無かった。
と、いうわけで帝国の不穏分子が登場しましたね。原作よりも強化されてるので、自信があるのも無理もないのかもしれませんが......
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