日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
11月14日 佐世保鎮守府―――
「はあ~~....。」
「暇ですわ.....。」
「退屈デース....。」
提督のいない執務室のソファに座る艦娘達はぐったりとしていた。とは言っても、疲れているわけではない。単純に提督達がいないのが寂しいだけだ。一日目はどうにか耐えたが、二日目にはちらほらこのような艦娘が現れはじめ、三日目にはほぼ全員がこうなった。普段、何か作戦があったとしても、誰か一人は留守番で残っていることが多いので、佐世保に誰もいないのは非常に珍しいことだ。というわけで、まるでお通夜のようなムードになってしまっていた。
「まあまあ皆さん、しんみりしていても何も変わりませんよ....お茶にしましょう。」
部屋に入ってきた「鳳翔」が優しく喝を入れる。彼女がお茶を入れ、そこにいた3人のところへ運んできた。
「鳳翔さんは大人ですわね....。」
「熊野」が羊羹を食べつつ呟く。
「私だって寂しくないわけではありませんよ?ですが、提督達に心配をかける訳にはいきませんから。」
「その通りですわ.....。」
「それに、今遠征にでている子達は、見知らぬ土地で頑張ってくれています...私たちは日本にいれるだけ恵まれているのかもしれません。」
その頃、別室では「大淀」がパソコンを開き、誰かと話をしていた。画面に映る相手の男は、防衛大臣の川島雄一だ。
「やあ、大淀君。佐世保の皆は元気にしてるかい?」
「ええ、皆元気です。川島大臣はいかがお過ごしでしょうか?」
簡単な挨拶をしただけだが、大淀の表情は明るい。艦娘達を裏から支えてくれた男ということもあり、彼女たちが提督以外で唯一心を許しているといってもいい存在が川島だった。
「元気だが、あまりのんびりもしていられなくてね。悪いが、早速本題に入るよ。」
「はい。」
「先日、トーパ王国からSOSが来てね。以前に陸自が魔王を排除したのは知ってると思うけど、また魔物が増えてて危ないんだとか。海魔も出てきて、漁業にも影響が出ている。日本としてもこれは困る。というわけで、また君たちに一働きしてもらいたい。」
「...トーパ王国にいる艦娘達に依頼をすればよろしいでしょうか?」
「うーん、詳しいことがまだ分からないのだけれど、それだとちょっと戦力が足りないかもしれないね。」
「...!?そんなに大事なのでしょうか?」
「まあ、詳細な情報が入り次第追って連絡するよ。まあ、年明け後少ししたくらいかな。」
「分かりました。」
「うん、よろしく頼むよ。では、お疲れ様。」
要件が伝えられると、通話は終了した。
同日昼頃、再び執務室―――
「帰投しました。」
「お疲れさまです。どうでしたか?」
キング・ジョージV世級戦艦「アンソン」とポルタヴァ級戦艦「ポルタヴァ」が模擬戦を終えて戻ってきた。そしてそれを執務室にいた面々が迎える。
「私が負けました...とほほ...」
がっかりしている様子のアンソンをポルタヴァが心配そうに見つめていた。
「アンソンさんの主砲が詰まっちゃいまして....第二砲塔しか使えなかったんです。同じ356mm砲を、9門と2門じゃ勝負にならないのは仕方ないです....。」
ポルタヴァが説明してくれた。
「あらら....またですか...」
キング・ジョージV世級戦艦の主砲には問題があった。第一及び第三砲塔に複雑な構造の四連装砲を装備した事で、それによる弾詰まりが頻発していたのだ。
「うう...悲しいです...私たちは大英帝国の誇る世界最強の戦艦だって...サー・チャーチルは言ってたのに...。」
アンソンはすっかり自信を無くしてしまっているようだ。
「まあまあアンソンさん、落ち着いて...外は寒かったでしょう、お茶をどうぞ。」
「ありがとうございます.....。」
「あ、どうも。」
二人は、鳳翔が淹れてくれた緑茶を飲む。
「緑茶もおいしいですね....。」
アンソンはやっと笑顔を見せてくれた。
「私は風呂に入ってきます。」
ポルタヴァは疲れを癒すべく、風呂に向かっていった。その一方で、アンソンはこたつで休んでいる。
「私にも...活躍できる時が来るのでしょうか....?」
彼女の問いに、大和が答える。
「大丈夫、きっと大丈夫ですよ....提督が帰ってきたら相談してみましょう。」
「ありがとうございます....。」
みかんを食べつつ、大和は提督達のことを思う。
(帰りが待ち遠しいですね....。)
その頃、東京駅―――
「ぶえっくしょい!!」
吉川が大きなくしゃみをしていた。
「おいおい大丈夫か?風邪か?」
「誰かが俺の噂話をしてるな。まったく.....。」
「はいはいわかったわかった。そんじゃまた後でな。」
「あいよ、じゃあ七時にまた東京駅で。」
ここで吉川が一端別れた。そして、他の面々は横須賀線のホームへ向かう。
「彼はどこへ?」
「友人と会うそうです。」
「なるほど...」
カイザルの質問を森高が拾った。彼らは横須賀線に乗り込み、終点の横須賀駅に向かう。
およそ二時間後―――
「大きい...!!!」
横須賀駅の改札を出てすぐに彼らを迎えたのは、海上自衛隊唯一の航空母艦「おわり」だった。全長328mの巨体は見る物を圧倒する。
「ああ~~、久しぶりの横須賀だあ。」
赤松は嬉しそうだ。
「...まだ時間がありますね。せっかくなので『三笠公園』にでも行きましょうか。」
彼らはヴェルニー公園を通って三笠公園へと歩いていった。
「これが戦艦『ミカサ』..."日本の英雄"か。」
戦艦三笠を見て、ラクスタルはそう呟いた。もう100年以上も昔の船らしい。グラ・バルカス帝国の二人から見ると、4~50年ほど前の戦艦と似ている。
「...残念ながら今日は開いていませんね。少し早いですが、もう行きましょうか。」
「分かりました。」
数分後―――
「ん?あれは....慰霊碑ですか?」
カイザルは、道の外れにある石碑を見つけた。そしてそこには軍艦を象ったレリーフがついている。
「その通りです。戦艦長門と...山城の慰霊碑です。」
「....手を合わせても?」
「もちろんです。」
5人は慰霊碑に手を合わせ、少しの間目を閉じる。それが終わると、彼らは米国海軍横須賀基地へと向かっていった。
その頃、東京都某所―――
「久しぶり~~。」
吉川はとある中華料理店の個室に入ると、中にいた二人の男に声をかけた。
「コウスケ!久しぶりだな!」
「やあコウスケ!元気にしてた?」
「俺ぁいつも元気さ!どうだい調子は?」
吉川もテーブルに座り、話を始める。相手は、彼の大学時代からの友人であるジャック・リーとダニエル・パークだ。名前から何となくお分かりになるかもしれないが、二人は中国人と韓国人だ。およそ十年前に日本の大学で留学生として学び、転移の前に日本に出張に来ていた。そして、運の悪いことに祖国へ帰れなくなってしまっていたのだ。
「僕は、日本の会社が雇ってくれたから何とかうまくやってるよ......。」
「僕の会社も、日本の提携企業と協力することになったよ。本社は中国にあるからどうしようもないね...。」
転移後、彼らを含め日本にいた外国人は非常に苦労していた。政府は、彼らの雇用増加政策や留学生の生活援助などを決め、どうにかつないでいた。最近では日本製品の需要が増えたことで、雇用もされやすくなっている。
韓国人のパークは日本での企業に雇用され、中国に本社を構えるIT系企業に務めていたリーは提携していた会社の援助によりそれぞれ窮地を脱していた。
「とりあえず仕事は出来てるのか、良かった...けど家族と離れたのは辛いだろ?」
「そりゃそうさ!帰れるのなら帰りたいよ。けど、いじけててもどうしようもない。僕は今度ムーに行くよ。向こうで取引をするんだ。」
「僕も頑張らなきゃね!この世界でも成功して見せるよ!」
元気そうな様子を見れて、吉川は安心した。
「頼もしいね。お互い頑張ろうぜ。」
「ああ、もちろんさ!」
「コウスケも頑張れよ!じゃあ、それぞれの成功を祈って.....乾杯!」
「「乾杯!!!」」
昼だったので酒は頼まなかったが、ソフトドリンクの入ったグラスで乾杯をした。ひとしきり語り合った後、吉川は二人と別れて再び提督達と合流したのだった。
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