日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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あけましておめでとうございます。

評価が500ポイントを超えました、ありがとうございます。マイペースな更新になりますが、今年も本作をよろしくお願いします。


第50話 交流 その9

11月23日 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス 

 

今日、ベルーノはおそらく、今まで生きてきたなかで最も緊張していた。昨日、突然皇帝の住まうアルビオン城に呼び出されていたからだ。門番の衛兵に身分証を見せると、また別の衛兵に連れられて中へと案内された。

 

「こちらが皇帝陛下のお部屋でございます。衛兵に取り次ぎますので、いましばらくお待ちください。」

 

豪華絢爛なドアの前にも屈強な衛兵が控えており、周囲に目を光らせている。ここまで案内してくれた衛兵が彼らになにやら話しかけると、門番が部屋の中に様子を伝えているようだ。少しして門番はこちらにやってきて、短く「どうぞ。」とだけ言った。

 

ベルーノは彼らに礼をして、おそるおそる部屋の扉を開ける。中に入ると、彼が思っていたよりかはずいぶんと質素な部屋で、その中央のこれまたシンプルな机に、皇帝ミリシアル8世が座っていた。

 

 

 

「たっ、ただいま参りました、神聖ミリシアル帝国技術研究開発局室長、ロザリオ・ベルーノでございます!!」

 

緊張しすぎて噛んでしまったことを恥ずかしく思い、ベルーノが顔を赤らめていると、ミリシアル8世は彼の緊張をほぐすように柔らかい笑顔を見せた。

 

「ベルーノよ、よく来てくれたな。そのようにに堅くならなくていい、ここに座るが良い。」

 

「は、はいっ!!しっ、失礼します!!」

 

そう言われても目の前にいる相手は世界最強の国の皇帝、簡単に言えば世界で最も偉い男なのだ。緊張しないわけがない。

 

遠慮しつつも紅茶を勧められ、口に含むとようやく落ち着いた。後からそれは王室専用の超高級茶葉(日本円にして1グラムあたりおよそ1万円)だったと知って気絶しそうにはなったが。そして当然、器もとんでもなく高額なものであった。

 

 

 

「............さて。」

 

少しの沈黙の後、ミリシアル8世はその口を開いた。

 

「今日ここにそなたを呼んだのは...聞きたいことがあったからだ。」

 

ベルーノは再び姿勢を正し、少し身構える。

 

「はい。どのようなことでしょうか......。」

 

「日本と、グラ・バルカス帝国について......その技術について、そなたの意見を正直に、包み隠さず述べてほしいのだ。」

 

これを聞いたベルーノは一度深呼吸をして、自分の持論を語り出した。

 

「それでは、まずグラ・バルカス帝国ですが......私の見立てでは、神聖ミリシアル帝国以上の技術と兵力を持っていると思われます。そして、日本についてですが.......こちらについては、私が直接見たものを語らせていただきたいと思います。」

 

「ほう...是非、聞かせてもらいたい。」

 

「はい。では、はじめに―――」

 

 

 

 

「―――というわけであります。我ら使節団の報告を議員や外交官の皆様方は一笑に付し、信じようともなさりませんでした.......。ですが、これらのことは本当に我々がこの目で見たものであり、事実なのです。」

 

およそ5分ほど、ベルーノは話していた。ミリシアル8世は紅茶のお代わりを注ぐと、それを口にしてゆっくりと息を吐いた。

 

「......よくぞ話してくれた。礼を言う。そなたのような冷静な人間がいたことを知れて安心したよ。」

 

「......?それは、どのような.......?」

 

「神聖ミリシアル帝国は、誰もが認める世界最強の国....それは、分かっている。しかし、その事を鼻にかけ、すっかりのぼせきっている輩が多くなっているのだ。」

 

「......!!!」

 

当然、ベルーノにも心当たりがある。

 

「だが、私が即位しておよそ、2000年......長い時間だ。その中で近年、ムーは急速に技術を発展させてきていた。それに加え、日本とグラ・バルカス帝国が出てきた。この3国は低く見積もっても我らと同等の国力を持っている。しかしこのことに危機感を持っていない者があまりにも多すぎる。それも....『蛮族が我々を超えられるはずがない。』という考えでな。まったく......愚かなことよ。」

 

「そっ、それは......。」

 

「....よい。これは、本当の事なのだ。....しかし、そなたのような、客観的に物事を見ている人間もいる。このことが分かっただけでも大きな収穫だ。

 

 

 

―――決めた。神聖ミリシアル帝国は、日本に技術提携及び供与を依頼する。」

 

「おお......!!!」

 

 

「しかし、そなたのような人間は残念ながら少ない...。一筋縄ではいかないのは分かっているが、なんとしてでも成功させよう。」

 

「素晴らしいお考えであります!!!」

 

 

ベルーノは、皇帝が自分の意見に理解を示してくれたことに深く感動していた。今まで彼と同じような考えを持っている人間は少なかったが、ここに誰よりも強力な味方を得ることができたからだ。

 

後日ベルーノは、日本との数々の交流を任されることとなるのだった。

 

 

同日 トーパ王国 王都ベルンゲン 日本国艦隊居留地

 

「あ゛あ゛あ゛さささ寒いぃぃ~~~~~~あ゛あ゛~~い゛ぎがえ゛る゛ぅ゛~~~~」

 

部屋に入って来るなり滑るようにこたつに入り込んだのは、大型巡洋艦娘「グアム」だ。現在彼女はこの基地の旗艦及びリーダーを務めており、今は用事をすませて帰ってきたところだった。トーパ王国は非常に冷涼な気候が風土的特性の国である。しかも今年は特に寒く、まだ11月だと言うのにも関わらず外は大雪だった。そのため多くの艦娘達は厳しい寒さにやられていた。

 

 

「おいおい大丈夫か?だから私が代わってやると言ったのに....。」

 

こたつに潜り込んだ「グアム」にまた別の艦娘が声をかけた。

 

「なんでアンタは平気なのよ......。」

 

「簡単よ。私は"Wisconsin"だからさ。」

 

「いくらウィスコンシン州が寒いからって、名前は関係ないような気がするんだけど...。でも私は『Guam』だから寒さに弱い...?いや、まさか。」

 

グアムはその戦艦娘「ウィスコンシン」を一瞥すると、そう独り言を言った。

 

「まあそれはおいといて......年明け、Januaryの仕事についてよ。―――9日から、グラメウス大陸より魔物.....もとい有害鳥獣を駆除します。以前のように自衛隊でもいいのですが、私たちの方が都合がよいとのことです。」

 

これを聞いた取り巻きの艦娘達にも少しの緊張が走る。少し前から噂はある程度聞いていたとはいえ、本格的な仕事は久しぶりだ。

 

「......んで、ここには空母がいないから日本から応援が来るらしい。キョースケとコウスケも来てくれるって。様子を見に来るらしい。」

 

「!!!本当に?」

 

「私はジョークは嫌いなの、知ってるでしょう?」

 

「イェーーース!!!」

 

ウィスコンシンがガッツポーズを決めていた。彼女は久しぶりに提督に会えるのが嬉しいようだ。実を言うとグアムも嬉しかったのだが、それを表情には出さなかった。

 

『はいはい、皆さんお昼ご飯にしますよーー。食堂へ来てくださーーい。』

 

そこに昼食の時間を告げる放送が入り、それを聞いた面々は食堂へと歩いていった。

 

 

11月25日 日本国 山形県尾花沢市

 

ここは銀山温泉。大正ロマンを感じさせるレトロな木造の旅館が川に沿って並んでいる、実に風光明媚な温泉街だ。

 

グラ・バルカス帝国使節団は今日、観光と伝統文化の視察のためこの温泉地にやってきていた。過去の町並みが失われつつある帝国にとって、このような懐かしい雰囲気の町は失われつつあった。

 

 

「ああ.....良い湯だ。」

 

「そうですね......。気持ちいいです...。」

 

とある旅館の露天風呂で、シエリアと部下の女性外交官が湯に浸かっていた。今日はまだ11月の末というのに、外には雪が降っている。疲れを癒やしながら、シエリアは隣の彼女に話しかけた。

 

「明後日には日本を発つが......今回の訪問はどうだった?」

 

「そうですね......参加できて良かった、と心の底から思っています。ここまで有意義な仕事は、外交官になってから初めてのことです。何もかもが新鮮で、驚きに満ちていました。」

 

「うん.....私も同じ意見だ。しかし、帰ったらきっと大変だろうな.....ありのままを報告しても信じてもらえないような気がするよ。」

 

「うーん...確かに私もこの目で見なければとても信じれないかもしれません...。難しいですね。」

 

部下はため息をついた。

 

「だが、絶対に説得に成功し...日本に喧嘩を売るような事は避けねばならない。まあ、帝王陛下がいらっしゃる限りどうにかなるだろう。それより、今はゆっくりと休もうじゃないか。」

 

「うん、そうですね。あっ、そろそろ夕ご飯の時間ですよ、もうあがりましょう。」

 

彼女たちは湯船からあがり、体を拭くと脱衣所に戻っていった。

 

 

一方、同じ温泉地の別の旅館では、四人の提督とグラ・バルカス帝国の二人の軍人が滞在していた。彼らはシエリアら使節団が同じ温泉地にいるとは知らなかった。

 

「良い湯ですね......温泉は好きです。」

 

「それは良かったです。ここは私たちも何回も訪れている、お気に入りの場所なんです。」

 

「なるほど...いつもは誰と来ているのですか?」

 

「えーと...まあ、この4人だったり、あとは基地にいる艦長の女性達とも時々旅行に行きますね。」

 

「ほう、それは羨ましいですね。ですが今回は連れが男だけで少し申し訳ないですな。」

 

「ああいえいえ、そんなことはないですよ。これはこれ、それはそれです。」

 

 

タオルを頭に乗せたラクスタルは、すっかりリラックスしているようだ。その様子を見た森高は嬉しそうな表情を見せる。

 

「ラクスタル君は旅が好きなんです。休暇を取ると、よく家族を連れて旅行に行っているのだとか。彼は家族をとても大事にしているのです。」

 

カイザルがそう説明した。

 

「ほう...ラクスタル大佐には家族がいらっしゃるのですか。」

 

赤松の言葉に、ラクスタルは少し照れくさそうにこう答えた。

 

「私には二つ年下の妻と、娘が一人います。家族という守るものがあるからこそ、私は闘うのです。そして、家族がいるからこそ、必ず生きて帰らねばとも思えるのです。」

 

「なるほど...カイザル大将にも家族はおられるのですか?」

 

この質問を聞くと、カイザルはふっと息を吐く。そしてそれが終わると、ゆっくりと話し出した。

 

「.....私にも若い頃、結婚を考えている女性がいました。彼女は私と同期の軍人で...まあ、一目惚れというやつでした。ですが....

 

―――演習中の事故で、彼女は死んでしまいました。古い艦だったもので、ボイラーが突然爆発しましてね。私は彼女のちょうど後ろにいて、守られるような形になっていました.....。私も大けがを負い、太股に大火傷をし、左手の指を2本失いました。」

 

ラクスタルも初めて聞く話だった。いつもは手袋をしていて気づかなかったが、彼らがカイザルの左手に目をやると、確かにその指が2本欠けていた。

 

「....一週間ほど死の淵をさまよい、目が覚めてようやく彼女の死を知りました。....何と言いますか、そこで糸が切れてしまったんですね。ああ、軍人が家族なんて持たない方がいいんだ、どうせ長生きしないんだから、と。しかし、どういうわけかこんな歳まで生き残ってしまいました。....全く、人生というものはよく分からない。」

 

彼はそう言うと少し悲しみを帯びた笑顔を見せた。他の面々もどう声をかけるべきか分からず、少し気まずい沈黙がその場を包む。そしてその空気を破ったのもカイザルだった。

 

「ああいや、このような暗い話をしてしまって申し訳ない。私はこのことを後悔しているわけではありませんし、勿論ラクスタル君のように家族を持つことを否定するわけもありません。ただの、遠い昔の思い出です。...おや、そろそろ夕食の時間ですかな。」

 

「ああ、そうですね、そろそろ上がりましょうか。」

 

あと少しで予定していた食事の時間だったので、彼らは風呂場を後にした。

 

翌日、彼らは東京に戻っていった。

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