日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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評価をつけてくださった方々、ありがとうございます。

感想が少ないとちょっと悲しいので、ぜひそちらもよろしくお願いします。




第53話 グラメウス大陸大掃除作戦②

1月14日 午前11時47分―――

 

 

 

「ふぃー、やっとついたぁ。」

 

トーパ王国の王都ベルンゲン郊外にある基地に到着し、船から下りたった吉川はそう言って大きな伸びをした。同時に降りてきたペトログラードも、軽くストレッチをしている。そこに、この基地に所属している妖精が駆け寄ってきて敬礼をした。

 

「ご苦労様です!」

 

「おう、お疲れさん。寒いしさっさと中行こうぜ。」

 

吉川とその他艦娘達は建物の中へと入っていった。ただし、高橋とスターリンだけはその場に残って指示を出す。

 

「悪いがこいつの船体を診てやってくれ。異常があったら修理を頼む。あと、あの鬱陶しい足を引っ剥がすのも頼む。あんなマヌケな姿じゃ話にならん。」

 

「分かりました。今日中に仕上げます。」

 

「無理はすんなよ。最悪、こいつはお留守番でも構わない。」

 

これを聞き、後ろにいたスターリンの表情がゆがむ。

 

「お、おい!留守番なんて嫌だぞ!!あ痛っ!?」

 

気づけば彼女は強烈なデコピンを額に喰らっていた。犯人の高橋は痛がる彼女を無視し、妖精に向き直る。

 

「....悪ィ、こいつの言うことは気にすんな。取りあえずよろしく頼むぜ。」

 

「は、はい!」

 

妖精が敬礼で答えると、彼はスターリンの首根っこを掴んで建物へ引きずっていったのだった。その様子を、妖精たちは驚いた顔で見ていたが、すぐにそれぞれの持ち場につき、戦艦スターリンの点検を始めた。

 

 

 

 

「うう、痛い......。手加減しろよ....。」

 

ヒリヒリと痛む額を抑えつつ、スターリンは文句を垂れる。

 

「どあほう。わざわざ急かさなくてもさっさと終わらせてくれるっつーの。いらないプレッシャーをかけるんじゃねえ。」

 

「....口で言ってくれよ...。」

 

「回りくどいことは嫌いなんだよ。知ってるだろ。」

 

それだけ返すと、高橋は建物のドアを開けて、中に入っていった。

 

 

ちょうど昼時だったので、昼食をとりつつ簡単な打ち合わせをすることになった。

 

 

およそ10分後―――

 

 

「おお.....」

 

「うおぉ.....!!」

 

目の前に並べられたご馳走を見つめる高橋と吉川の目は光り輝いていた。彼らの前の机には、立派な蟹の脚や、マグロやサーモン、いくらなどが惜しげもなく乗せられた海鮮丼が置かれている。刺身はてらてらと艶やかに光り輝き、食欲をそそる一品だ。

 

 

「「いただきます!」」

 

二人揃って手を合わせると、丼を持ち上げ一気にかっこむ。

 

「うっま....。」

 

 

思わずそれを口に出してしまうくらいの美味しさだった。

 

「いかかですか?トーパ王国の海産物は。」

 

現在この基地に在籍している給糧艦娘「間宮」が二人の元にやってきて、声をかけた。彼女はここで主に料理番を務めている。

 

「いやー、めっちゃ美味しいじゃん。俺ここに住もうかな。おかわり!」

 

「お前は何しにここにきたんだ....。」

 

はしゃぐ吉川の隣で高橋が突っ込みを入れる。結局吉川が3杯、そして高橋は2杯、特盛りの海鮮丼をそれぞれ平らげたのだった。彼らは休憩の後、王都ベルンゲンの中心地にある王城に向かって車を走らせた。

 

ベルンゲンも、他の日本の友好国と同じようにインフラ整備が進み、町には街灯やコンクリートの道路などが見受けられる。とは言っても自動車はまだ国内では一部の金持ち商人や日本人が所有しているのみで、道を通り過ぎる車を人々は物珍しそうに見ていた。

 

 

およそ30分後―――

 

「おお日本の方々、よくぞいらっしゃった。」

 

王の間に通されるなり、トーパ王国国王ラドス16世は吉川と高橋を満面の笑みで迎えた。豪華な椅子から降り、わざわざこちらに歩いてきて握手もしてくれた。よほど待ちわびていたのだろう。二人の提督も挨拶をして、会議が始められる。長い机に吉川と高橋が座り、その向かい側にラドス16世と側近が座っていた。

 

「.....えー、では、今回の依頼について改めて確認いたしましょう。」

 

机の上に広げられた地図を指さし、側近が話を始める。

 

「以前、日本の陸上自衛隊の活躍により、魔王ノスグーラを筆頭とする脅威は去りました。しかし、昨年の終わり頃から再び魔物の活動が盛んになってきており、重大な脅威となっています。お恥ずかしながら我らトーパ王国の戦力では守ることで手一杯なのです....。」

 

「今回の件は我ら日本としても対処せねばならないものですのでご安心ください。全力を以て協力させていただきます。」

 

実は日本は、トーパ王国とエスペラント王国を結ぶ高速鉄道もしくは空路を整備しようと考えていた。

 

「ありがとうございます。...えー、今回主に目撃されている魔物についてですが....」

 

側近はそこで一度言葉を切り、分厚い本のページをパラパラとめくって見せた。その本は簡単に言えば主な魔物を記した図鑑のような物だった。

 

「まずはこれです。海魔の一種で、クラーケンといいます。見た目はイカのようですが、とても大きく獰猛で、漁船や客船が沈められることが稀にあります。」

 

「.....そいつは今朝出くわしましたよ。確かに、バカデカいイカでした。...まあ、大砲ぶっ放したらどっか行きましたけどね。」

 

高橋のこの言葉を聞いて、ラドス16世と側近の目の色が変わった。

 

「...流石でございます。普段はめったに出没しないのですが、ここ最近は数が増えており、漁に出れない状況になっております。そのため、日本の業者も影響を受けている状態になっているのです。このままでは日本に我が国の海産物が出荷出来なくなってしまいます。」

 

今度は吉川の目の色が変わった。

 

「それは困りますね...。なんとしてでも脅威を取り払ってみせましょう。」

 

「頼もしい限りです。次に、空を飛ぶこの魔物ですが....名前を"ロッド"と言いまして―――」

 

 

 

 

 

 

 

―――およそ一時間に渡る話し合いも終わり、二人の提督は帰路に就いていた。

 

「...なんかお前、やけに気合い入ってるよな。どうした?」

 

助手席に座る高橋が、ハンドルを握る吉川に話しかけると、彼は笑って答えた。

 

「そりゃそうだろ。あんなに美味いマグロが食えなくなるのは困る。」

 

「...ふん、相変わらずだなあ。食い意地張ってやがる。」

 

「いやいや、お前だって刺身好きだろ?」

 

「まあな。けど俺ぁお前みたいに三大欲求剥き出し人間じゃないからな。」

 

高橋のこの言葉に吉川は苦笑いだ。

 

「ははは...ひでぇ言われようだな....。」

 

「本当のことだろ?」

 

「...まあな。」

 

基地に帰った二人は、艦娘達と作戦会議を行い、二日後の行動開始に向けて準備を進めるのだった。

 

 

 

 

同日 佐世保近海―――

 

 

「....ふん、間もなく日本か。」

 

艦娘「ネルソン」は紅茶を啜ると、そう呟いた。彼女と姉妹艦の「ロドニー」は、主砲の交換を行うため、マール王国から佐世保に戻る途中だった。なお、彼女たちの代わりとして、佐世保からは戦艦「アルミランテ・ラトーレ」と「ワシントン」が出向している。

 

 

特にやることも無いため、私室で彼女は優雅にティータイムを過ごしていた。その時、部屋のドアがノックされ、一人の妖精が入ってきた。

 

「....どうした?」

 

「ソナーに潜水艦と思われる影が捉えられました。」

 

これを聞いたネルソンの頭には疑問符が浮かんだ。

 

「....?それがどうかしたのか?ジエイタイのものだろう?」

 

しかし、妖精は首を横に振って答える。

 

「...いえ、自衛隊に確認したところ、今日この辺りを行動している潜水艦はいないそうです。」

 

これを聞いたネルソンの片眉がつり上がった。

 

「....何?ではどこの国のものかも分からない潜水艦が近くにいるというのか?」

 

戦艦2隻だけの状況で潜水艦に狙われているとしたら、非常に危険だ。船内には緊張が走り、ピリピリとした空気で包まれる。

 

 

しかしその潜水艦はおよそ10分後にはどこかへ姿を消し、無事に二隻の戦艦は佐世保に入港した。しかしこのことを知らされた政府は、海保や海自を警戒に当たらせたが、これといった情報が手にはいることはついに無かった。

 

 

その身元不明潜水艦の中では、このような会話がされていた。

 

「...人間だけの国が、あのような戦艦を持っているとはな。ざっと見る限り、少なくとも神聖ミリシアル帝国よりは上だと思う。潜水艦と魚雷もあるのだろうか?」

 

「チッ、下等種族の人間の癖に生意気な...。それにしても、あの不気味な音はなんだったんだ?」

 

1人の男が文句を言う。

 

「うーむ、おそらく水中の様子を探る音波のようなものじゃないか?日本は機械文明国らしいから、俺はそう思うぞ。」

 

「...はあ、本当に潜水艦任務はストレスがたまるな。狭いし暇だし、何より翼が引っかかって鬱陶しい。」

 

「まあまあ、もう帰れるんだからそう言うなよ。」

 

「...分かってる。」

 

彼らの乗る潜水艦は南に向かって進んでいった。

 

 

 

その頃、佐世保鎮守府では、キング・ジョージV世級戦艦姉妹が森高と話し合いをしていた。

 

 

「.....えー、今回の改装については2つ案がある。1つ目はこれ。まあ無難に、主砲を全部381mm三連装砲に変える。」 

 

これに対する姉妹の反応は全て似たような物だった。

 

「はあ?」

 

「うーん...。」

 

「イヤです。」

 

「それはちょっと...。」

 

「No.」

 

長女から順番に並べてみると、反応はこの有様だった。尤も、これはおおよそ森高の予想していた答えと一致していた。

 

「....まあ、そうだろうと思ったよ。これだとモナーク姉妹と見分けつかなくなっちゃうしな。じゃあ、こっちはどうだ?」

 

「おお、なるほど。これはいいじゃないか。」

 

「だろ?」

 

次に彼が出した案は好評だった。 

 

簡潔に説明すると、特徴的な356mm主砲を、フランス戦艦の4連装砲を参考にした機構で新しく作り直す、というものだ。 

 

フランス式の4連装砲塔は、中央部を隔壁が砲室を左右に分断しているため、実際は連装砲2基が隔壁を挟んで並列に2基配置した4連装砲塔となっている。この方式の利点としては、敵弾が砲身に被弾した時や砲弾不良で故障した際の喪失門数も最悪2門に限定できる利点があった。反対に、キング・ジョージV世級の4連装砲塔は純然たる4連装砲であったため非常に複雑な構造をしている。

 

満場一致で後者の案が採用され、すぐに改装が始められた。その後で、ネルソン級姉妹の主砲も、ライオン級戦艦と同じ新型の406mm3連装砲に取り替える作業が行われたのだった。

 




・どうでもいいメモ  

主要キャラである提督達の簡単なデータです。


・吉川晃輔(きっかわ こうすけ)
 
広島市出身、元呉鎮守府提督。身長187cm。
本編で言われていたように、基本欲求丸出しで豪快な性格。バンド、サーフィン、ミリタリー、酒、筋トレなど男が好きなものは大体やっている。艦娘との距離感は"従兄弟の兄ちゃん"とよく言われる。自衛隊にいた頃は屈指の男前として有名だった。容姿は名前の元ネタになった人に似ている。相棒は雪風、曙、ペトログラード。8月18日生まれ。


・高橋京介(たかはし きょうすけ)

高崎市出身、元舞鶴鎮守府提督。身長171cm。
自衛隊に入る前は北関東でも有名な悪童だった。その名残か、口調が「ァ!」のようになることが多い。こちらも昔バンドをやっていたので、歌は上手い。ぶっきらぼうだが面倒見はよい。ヘビースモーカーで、弱点は酒にあまり強くないこと。相棒は霧島。10月7日生まれ。

・森高千鶴(もりたか ちづる)
 
熊本市出身、佐世保鎮守府提督。身長182cm。
温厚な性格で、よくお爺ちゃんぽいと言われる。元ラグビー部で、趣味はスポーツ観戦の他に登山など。相棒は扶桑とサラトガ。4月11日生まれ。
 
・赤松一誠 (あかまつ いっせい)

鎌倉市出身、元横須賀鎮守府提督。身長179cm。
最初に艦娘と遭遇したときの護衛艦の乗組員の一人だった。吉川とつるんでよくふざけるが、根は真面目でそこそこストイック。趣味はギターとテレビゲーム、ベースも弾ける。中分けロングにした髪を後ろでまとめて、顎髭を生やしている。この人だけは特にモデルはいない。相棒は鳳翔...というより、ほとんど夫婦に近い関係。2月3日、通称"ロックが死んだ日"の生まれ。

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