日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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ちなみに、"ロッド"という名前は、未確認生物「スカイフィッシュ」の別名からとっています。


第55話 グラメウス大陸大掃除作戦④

1月16日 午後1時15分 グラメウス大陸 とある古代遺跡―――

 

 

(......?何だ?)

 

岩に腰掛けていた体がぴくりと動いた。

 

その体は、大きさは成人男性とさほど変わりない。しかし、その皮膚は青と緑の斑模様でごつごつしており、おまけに目はどす黒い。誰がどう見たって、人間とは思わないだろう。

 

彼の―――と言っても、男なのかは分からないが―――、その名前は「量産型戦闘培養体・コード021」通称"ハネス"。古の魔法帝国・ラヴァーナル帝国によって作られた生物兵器である。彼はこの遺跡に封印されていたが、先日何者かによって目覚めさせられたのであった。

 

 

ハネスは自分が目覚めた理由を知らなかったが、遺跡に残された資料を読み、この世界の現在の情勢をおおよそ把握していた。近々復活するらしい魔法帝国の為、彼は手近な国を滅ぼそうとも企んでいる真っ最中だ。

 

 

まずはこの、グラメウス大陸と地続きになってるトーパ王国とやらを滅ぼして、ついでにフィルアデス大陸もまとめて手に入れれば、復活した魔帝様にも顔向けが出来るだろう.....と、彼は考えていた。

 

この世界のどこかにも、恐らく彼の仲間が眠っているはずだったが、今のところ反応はなかった。まだ眠っているのか、それとも機能が復活していないのか。そんなことも考えつつ、まずは遺跡に残っていたクローンのデータを元に、空を飛ぶ魔物である"ロッド"などを使役した。

 

 

"ロッド"はワイバーンとは違って、寒冷地でも行動できる魔物だ。その見た目は、青白いワイバーンといった様子だ。大きさはほぼ同じだが、上昇高度はおよそ2,500mが限界であり、その分運動性能に優れる。また、導力火炎弾と導力氷結弾をどちらも使うことが出来る。そして、その最高速度はおよそ280km/hだ。

 

これだけ見ると、「寒冷地でも扱えるワイバーン」と言える。しかしこの魔物は、それなりに強力な念動波でないと使役できない上に数も少ないため、この世界の国々では兵器として使用できなかったのである。数が少ないこともあり、魔法帝国の技術によりクローンを作ることに成功し、さらに魔王の能力を使うことでようやく使役できる代物なのだ。

 

 

 

そして、この魔王―――ハネスは、量産型魔王の中でも魔物を使役することに長けた個体だ。彼らにはそれぞれ長所短所があり、ハネスの短所は、自分自身が扱える魔法が少ないということである。

 

 

 

 

―――まさに今、グラメウス大陸とフィルアデス大陸の境界付近に向かわせたロッドの反応がいくつか消えたことに彼は気づいていた。

 

 

(......なんだ?事故か?それとも......まさか、敵か?)

 

彼の考えでは、この付近でロッドを倒せる魔物はほとんどいない。未知の脅威の出現に、ハネスは警戒を強めるのだった。

 

 

 

 

その頃 「世界の門」よりグラメウス大陸方面 約3km地点―――

 

 

 

「ギャアッ!!!」

 

 

 

痛々しげな悲鳴が響き、生暖かい血しぶきが飛び散る。そこいにた、およそ200匹のロッドは急速にその数を減らしていた。以前のパーパルディア皇国との戦いや、グラ・バルカス帝国とレイフォルとの戦いの結果によって、ワイバーンが航空機に敵わない事はもはや周知の事実となっていた。ワイバーンオーバーロードですら勝てないのに、普通のワイバーンより少し強い程度のロッドで歯が立つわけもない。

 

5隻のエセックス級航空母艦から飛び立った100機近くのF6F戦闘機とF4U戦闘機は、僅か15分ほどで殆どのロッドを撃墜していた。そして、TBFアヴェンジャーやSBDドーントレスの密度の高い爆撃により、地上にいたおよそ1000匹のゴブリンやオークも一掃されていた。

 

 

『イントレピッドリーダー、トカゲはあらかた落としたぜ。』

 

この攻撃隊のリーダーを務める「イントレピッド」所属機のもとに通信が入った。髭を蓄えた隊長の妖精は、無表情のまま外に目をやる。すると、大陸の奥の方へ数匹のロッドが逃げていくところが見えた。

 

「オーケー、ご苦労。やっぱり遺跡の方から魔物が来ているようだな。俺んところとヴァリー・フォージの隊は偵察に行ってみよう。他のところは爆撃隊と一緒にひとまず帰還してくれ。」

 

 

『『『了解!』』』

 

彼の指示通り、ここで爆撃機隊及び「ボクサー」「ゲティスバーグ」「イオー・ジマ」の戦闘機隊と、「イントレピッド」「ヴァリー・フォージ」の戦闘機隊が分かれる。前者は一足先に母艦へ、後者は鉱山の方へそれぞれ向かっていく。

 

 

 

イントレピッドの隊長は、改めて母艦に連絡を入れる。

 

「こちらイントレピッドリーダー、俺とヴァリー・フォージの戦闘機隊は遺跡付近の偵察に向かう。その他は先にそっちに帰らせたぜ。」

 

『OK、何かいたら倒しても良いが無理はするなよ。』

 

「もちろんさ、任せてくれ!!」

 

自信満々にそう答えると、通信を終えた。

 

彼の操るF4Uの機首付近には、2種類の国旗に赤い×印のマークがいくつも描かれている。1つは、ロウリア王国の国旗。そしてもう1つは、パーパルディア皇国のものだ。これまでの戦争で墜としたワイバーンの数だけ、このマークが描かれている。尤も彼らからしてみれば、ワイバーンなど"本当にどうしようもないくらいの弱敵"扱いなので、大した自慢にはならないらしい。

 

 

「よしお前ら、行くぞ!」

 

『『『イエッサー!!!』』』

 

陽気な戦闘機隊は、翼を翻し去っていった。

 

 

 

同じ頃 戦艦「スターリン」艦内―――

 

「おいキョースケ。攻撃隊は、とりあえず大陸の境界線あたりにいた魔物を片づけたらしいぞ。」

 

スターリンの報告を聞いた高橋は、少し面倒くさそうに、ゆっくりと身を起こす。

 

「.......そうかい。まあ、そうなるだろ。」

 

そう呟くと、大きなあくびをした。

 

「おいおい、提督がそんなんでいいのかよ。」

 

スターリンは少し呆れたような顔をする。

 

「だって暇だしなあ......。例の海魔もいないし。ああ、攻撃隊が帰ってきたら、もっと奥の方へ艦隊を移動するように伝えといてくれ。」

 

「分かった。目が覚めないならシャワーを浴びるなりしろよ。」

 

そう言うと彼女はドアを開けて去っていった。

 

 

 

この後、帰ってきた攻撃隊を迎えた艦隊は、高橋の指示に従いより大陸の奥地に近い海域に移動した。

 

 

 

 

 

同日 午後2時頃 神聖ミリシアル帝国 港湾都市カルトアルパス 港湾管理局―――

 

 

「......ほほう、日本からは戦艦が4隻に、巡洋艦が3隻くるのか。これは楽しみだな。」

 

管理局長ブロントは、上から渡されたメモに目を通すと嬉しそうな表情を見せた。近日、カルトアルパスにやってくる日本の軍艦についての情報がざっくりと記されている。軍艦好きの彼にとってはビッグなサプライズだった。

 

彼は自身の仕事机の引き出しから、一冊のノートを取り出し、とあるページに目を通す。それはパーパルディア皇国の降伏を伝える新聞の切り抜きで、調印式に参加した日本の戦艦の魔写が大きく掲載されていた。そしてそこには、戦艦「ミズーリ」や、「プリンス・オブ・ウェールズ」の姿がある。

 

文明圏外の国がムー以上、いや神聖ミリシアル帝国と同等の軍艦を所有していることは彼をひどく驚かせたが、むしろ実際に見てみたいという気持ちも強まった。

 

(先進11ヶ国会議の前に、日本の軍艦をお目にかかれるとはな....。今から楽しみだ。)

 

カルトアルパスに他国の軍艦が入港することは、先進11ヶ国会議を除いて滅多にないことであった。思わぬところで舞い込んだ仕事に、彼の気分はとても高揚している。こころなしか弾んだ足取りで、彼は自室を後にしたのだった。

 

 

 

 

同じ頃 グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ―――

 

 

自室で、カイザルは苦悩していた。彼の祖国は今、かつてない危機的状況にある。そしてそのことに気づいているのはごく少数の人間だけだ。驕り高ぶった人間達の表情は、彼の目にはおそろしく醜く映った。

 

(いったい、どうすれば戦争を回避できる......!?少なくとも、日本を含めこの世界の国々が帝国に宣戦布告をしてくることは無いだろう。だが、逆に過激派が仕掛ける可能性は高い......。)

 

秘書に頼み、熱いコーヒーを淹れてもらった。そしてそれを口にしつつ、カイザルは考えを巡らせる。

 

 

 

(タイムリミットは...........先進11ヶ国会議だ!!!)

 

 

 

このとき飲んだコーヒーは、なんだかやけに苦いような気がした。

 




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