日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
第6話です。
鎮守府艦隊の派遣が決定される二日前――
防衛大臣の川島は、昼食後に予定が空いていたので、総理大臣と二人で話をしていた。
「鎮守府を政府直属でなくするとはどういう事ですか?彼らを見捨てるおつもりでか。」
やや食って掛かる勢いで川島が問う。何と増岡首相は鎮守府を政府の機関から除外すると伝えてきたのだ。
転移前の、鎮守府は戦力だ、法律違反だという追求に対し、
「なぜそんな馬鹿馬鹿しい事を言えるのだ。今の日本が生きているのは彼らのおかげだと言うのが分からないのか。そんなに彼らの力を借りたくないのであれば、あなた方を海に放り込んで囮にでもすればいいのか」という川島の発言はあまりにも有名だ。彼は鎮守府への予算の大幅増加など数々の政策を実現させた恩人であった。自由な四人の提督達も彼には頭が上がらない。ちなみに、退役後の艦娘達の生活保障を決めたのも彼である。
増岡総理は落ち着いた態度を崩さず返す。
「落ち着いてくれ防衛大臣。結論から言ったのが悪かったようだ。なぜそうするのかと言うとだね、彼らに働いてもらうために法の隙をつく必要があるからなんだ。」
「....どういうことでしょう。」
「良いかい、今のまま鎮守府を国の所属としていると、彼らは国が保有する戦力に限りなく近い存在となってしまう。それでは自衛隊と同じで、無闇に動かすことはできない。だから彼らには一度独立して貰って、必要があれば国が雇う、いわば傭兵のような存在になって貰うんだ。クワ・トイネ公国からの情報によると、この世界は未だに昔のイギリスのような覇権国家が多く存在するようだ。望まない衝突が起きるかもしれん。そうした場合に彼らを臨時で雇い、動いて貰う、ということだ。海自はこれからは基本的に日本の領海を守る集団として、鎮守府は派遣艦隊として扱う。陸上戦力は現在のまま陸自に担当して貰うしかないのだがね。そのため、鎮守府は現在四つに分かれているが、これからは佐世保に集まって貰う。距離が大陸に最も近いからね。ひとまず佐世保の拡張工事をしてから、彼らに動いてもらおう。」
総理の意外な言葉に川島は驚いた。
「なるほど...!それなら法にも抵触せずに戦力を派遣できます。当然反対意見も出るとは思いますが、今までよりは格段にやりやすいですね。しかも彼らにもう一度仕事を与えられます。今はどうやら暇を持て余しているようですから、胸を張ってうれしい報告が出来ます。ありがとうございます。」
増岡も笑顔で答える。
「屁理屈ではあるがね。とはいえ、彼らの力を無駄にするのもどうかと思うし、正直彼らも仕事を求めているだろう。さあ、早く彼らに教えてあげてくれ。」と締めくくり、話は終了した。
そして、4月25日、艦隊派遣当日早朝、佐世保鎮守府――
港には黒煙を吐き、今まさに出港せんとする艦船達が並んでいた。いつ見ても壮観な光景だ。
「さあ、久しぶりの出撃だ!皆準備は出来ているか!」
旗艦「扶桑」の艦橋で一人の男が通信機に叫ぶ。この男が佐世保の提督、森高千鶴である。彼はずっと再び海に出れるこの日を待ちわびていた。訓練ではない行動はおよそ半年ぶりだった。佐世保に艦隊派遣の指令が来たとき、彼と周囲の艦娘達は大いに驚いた。すべての情報を飲み込めているわけでもなく、しかも相手は深海棲艦ではなく異世界人だという。混乱は、確かにそこにあった。仕方なく、このような状況下にあっても命令を遂行できると考えられる艦娘たちが選ばれた。その結果決まった編成は以下の15隻である。
戦艦3隻
・扶桑(旗艦) ・リシュリュー ・武蔵
巡洋艦6隻
・羽黒 ・最上 ・加古 ・ザラ ・天龍 ・長良
駆逐艦6隻
・時雨 ・磯波 ・霞 ・吹雪 ・白露 ・満潮
実のところ、相手は小さな帆船であるとの情報もあり、派遣するのは戦艦だけでもよかったのだが、戦艦の援護と人員救助の為、結果的にこの編成となったのだ。
通信機から各々の返事が帰ってくる。どうやら全艦準備完了のようだ。
「よし、行くぞ!相手は人間ではあるが、あくまで我々の目的は守ることであって、攻めることではない!!!よく覚えておけ!!全館抜錨!!!」
「「「「「「「抜錨!!!!!」」」」」」」
声を揃え、錨が一斉に揚げられる。転移後の初めての戦闘だ。万が一にも負けるわけにはいかない。振り返ると、今回は留守番となった艦娘達が手を振っている。彼女たちの分まで頑張らねば。そんな思いを胸に、艦隊はマイハークに向かって舵を切った。
そして同日、クワ・トイネ公国マイハーク港―――
ついにロウリア王国が大艦隊を差し向けたとの情報が入った。その数は何と4000隻を超えるという。迎え撃つ公国海軍も、ここマイハークに艦船を集結させていた。その数はおよそ50隻、荷物の積み込みにかかっている。
「何とも壮観な光景だ。」
公国海軍提督、パンカーレは呟く。だが敵艦隊は4000隻を超えるという。彼の心は穏やかでなかった。軍事力にここまでの差があるとは思っていなかったのだ。味方は何人生き残れるのだろうか。日本国からも応援の艦隊が来るとの情報があったが、僅か15隻だそうだ。雀の涙のような戦力、彼らはやる気があるのだろうか。そんなことを一人考えていると、彼の側近である若手幹部、ブルーアイが走ってきた。何か連絡があるようだ。
「提督!本日早朝、日本から援軍が出港したようです。間もなく到着するとのこと。」
「了解した。しかしブルーアイよ、本当に行くのか?わざわざ優秀な部下を無駄に死なせたくないのだ。」
「はい、私は行きます。国の命運がかかっているこの戦いを見届ける使命が私にはあります。それに私はこの基地で一番泳ぎに自信があります。いざとなったら泳いででも帰ってきますよ。」
そう言ってブルーアイは笑いながら自分の腕をポンポンと叩く。
「すまない...。頼んだぞ。」
「はっ!!」
すると、沖の方から腹に響く奇妙な音が聞こえてきた。
「何だ?」と誰かが言った。敵襲かもしれない。次々と人が集まり、港に目を向ける。すると、黒い煙が見えた。それはだんだんと近づいてきている。次第にその姿が明らかになると、信じられないことにそれは船であるようだった。
「なっ、なんという大きさだ!!!」
パンカーレは思わず叫ぶ。通信兵が走ってきた。
「伝令です!日本国の艦隊が到着しました!!!」
「おおお!!!」「すげえっ!!!」
次々に兵士達が叫ぶ。
そして艦隊のうち、一隻が港に入ってきた。そしてその中から、男性と女性が降りてくる。だがパンカーレは、まるで城塞のようなその船に釘付けになっていて対応に遅れてしまった。森高は少し苦笑いをして、パンカーレに声をかけた。
「初めまして、この度日本より助太刀に参りました。自分はこの艦隊の司令を務めます、森高千鶴と申します。そして、こちらは扶桑といいます。この船の艦長といったところです。」
「ご紹介にあずかりました、扶桑と申します。」
二人は揃って一礼した。
パンカーレも少し慌てて、
「これは失礼した。私はパンカーレといいます。この基地の提督をしている者です。よろしくお願いします。」と返す。ブルーアイも自己紹介した。一通りの社交辞令を済ませた後、四人は基地に移動し明朝と予測される戦闘について話し込んだ。パンカーレとブルーアイは、久しぶりに安心して眠れたという。
そして、ロウリア王国艦隊もマイハークに近づいていた。日本の転移後初めての戦いは、すぐそこまでやってきているのであった
戦闘は次回からです。ありがとうございました。
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