日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
あと数話で魔王編終了→ミリシアル帝国でのうんぬん→ムーでの観艦式→番外編→会議とする予定です。
マイペースに更新していくので気長にお待ちください。
1月17日 午前5時30分 戦艦「リットリオ」艦内―――
『♪~~~』
キル・ビルのテーマで目が覚める。
「ん~~~.........。」
赤松はゆっくりと目を開けると、携帯のアラームをとめる。いつもより時間が早い上に、真冬なのでなかなかに体が重い。布団からでるのが辛いが、彼はどうにか身を起こした。
「...あら?お早いですね...。」
隣のベッドで寝ていた艦娘「リットリオ」も目を開けていた。しかし、彼が楽しみにしている朝食まではまだ1時間と30分もある。
「......ああいや、昨日、寝る前に大事なことを思い出しちゃってね......。」
「?」
「この船の炊事担当....米炊くのド下手なんだよねえ。なんか、ドリアが出来ちゃうんだよ。」
ヘアゴムを結びながら、赤松はそう答えてにやりと笑った。
「あら、そうなんですか...。ふふっ。」
「ああ、だからこそ俺がやんなきゃあね。」
さらにこう言うと、彼は部屋のドアを開けて去っていった。
午前6時30分頃 グラメウス大陸 遺跡上空―――
「ふあぁ.......眠いなあ。」
「おいおい、大丈夫か?」
TBF雷撃機のパイロットは、大きなあくびをした。彼らは現在遺跡を見張っているが、これといって何の動きもなく暇を持て余しているところだった。
「ああ....7時になったら戻れるから...あと30分の辛抱だ。」
「そうだな。帰ったらゆっくり休もう。」
「おう。....あっ、出てきたぞ!!」
気がつくと、遺跡の地下へ続く穴からぞろぞろと魔物が出てきていた。小さな人のような魔物もいれば、豚のような頭をした2足歩行の魔物もいる。
「おいおい...いったいどれだけいるんだ.....」
彼らにはほんの少し、焦りの表情が浮かぶ。穴からは今も大量の魔物が次々と、ゾンビのように出てきている。
「報告だ!」
彼らは急いで艦隊に連絡を入れると、引き続き上空から監視を続ける。
その少し後 戦艦「ペトログラード」艦内―――
艦内の、とある部屋。そのドアは閉ざされていたが、獣のようないびきが廊下にまで響いていた。
そして、その部屋に向かって走る女性の姿がある。艦娘「ペトログラード」だ。彼女はたいてい6時頃には起きていて、先ほど偵察機からの連絡を聞いていた。今、彼女は寝ている吉川を起こしに来ている。
ドアを勢いよく開けて、ベッドへと歩を進める。ところが―――。
「あれっ?」
ハイヒールを履いていたせいか、うっかり彼女は何かにつまづいてしまった。そして、倒れた先にはベッドがあり―――。
「お゛お゛ぅ゛っ!?」
数秒後、鈍い悲鳴があがった。ペトログラードの右手が吉川の大事なところにスレッジハンマーをキメてしまったからだ。これには、いくら彼でも堪らない。
「あっ...すまん。」
「おっ.....俺のラスプーチンちゃんが.....。」
(ラスプーチン.....?)
吉川が何を言っているのかよく分からなかったが、冗談を言う余裕があるのなら、まあ大したことはないのだろう。
「なんだ、こうすれば一発で起きれるのか。」
「......なんかお前最近、俺の扱いヒドくない?」
「気のせいだな。」
吉川のぼやきをペトログラードは一蹴した。
「まあいいや。.....で、用件は?まあ、おおかた予想はつくけど。」
「動きがあったぞ。魔物が.....6000体ほど出てきたらしい。」
「....多いなあ。」
「で、キョースケが既に攻撃隊に準備をさせている。」
「そうかい。じゃあ俺、やることあるのか?」
「......無いな。」
「だよな。じゃあもっかい......」
さりげなくベッドに戻ろうとした吉川の肩をつかむ。
「もう一回、殴ってほしいのか?」
「......シャワー行ってくる。」
吉川は苦笑いを浮かべ、逃げるように部屋を出ていった。
同じ頃 戦艦「スターリン」艦内―――
「よーし、行け行け。準備できたらどんどん行って良いぞ。」
高橋がそれぞれの空母に指示を出している。とは言っても、非常にざっくりとしたものだ。攻撃を終えたら戻ってきて、補給を終えたらまた出撃する。これを繰り返せば十分だろう。最も恐れていた海魔は気配すらない。魔王以外の魔物も機銃で倒せる。
「よし、朝飯にしようか。」
「ああ。」
指示を終えた高橋は、隣にいた艦娘「スターリン」を連れて食堂に向かった。
おそらくこの作戦は、今日で終わるだろう。魔王を倒せば、ミッションコンプリートだ。
他の艦でも、それぞれ食事をとっていた。「ペトログラード」でも、朝食の時間となっている。
「ゴブリン?とオーク?が合わせて5千か6千ほど確認されたらしい。それと、最後尾にこんなやつがいる。」
トーストを齧りつつ、ペトログラードは吉川に写真を見せる。魔導アーマーを纏ったハネスの姿が、そこにあった。
「んー?これは...なんだか鎧みたいだな。もしかして、こいつが魔王か?」
「そうかもな。一体だけらしいし、一応警戒対象だ。」
「ふーん.....まあ、こっちに来る前に全滅してるだろう。」
「そうだな。しかし、空母以外は暇だな。」
「まあ、今回は砲艦の役目はあくまでも護衛だからなあ。仕方ないさ。」
「ああ、分かってるさ。早く帰って酒が飲みたいな。」
「そうだな......。」
およそ2時間後、午前9時頃、魔王ハネスは配下の魔物達の最後尾を歩いていた。彼の前には、まるで軍隊アリの行進のような風景が広がっている。あわせておよそ6千の魔物たちは、この世界の蛮族が見たら震え上がるほどの恐怖をもたらすであろう。
しかし―――。
ハネスの頭の中には、とある感情が渦巻いていた。それは、彼が生まれて初めて感じる、微かな恐怖。魔帝の技術の結晶たる自分が、防御に徹することしか出来なかったという信じがたい事実が、彼を混乱させていた。
(.....くそっ!!)
こんな情けない事は初めてだ。あの憎たらしい天の浮舟を飛ばしてきた連中は、おそらくここから60kmほど進んだ先に停泊しているだろう。そこにたどり着きさえすれば、自身の究極魔法を以て消し炭にしてやろう。いざとなれば、最後の手段もある。おそらく敵は既に感づいているだろう。間違いなく、来る。
決意を固め、彼は歩を進めるのだった。
同じ頃 戦艦「リットリオ」艦内―――
『ヘイ、腕を下げないで!もう2セットだ!』
「リットリオ」艦内のとある部屋にある、大きなテレビから、ご機嫌なリズムとよく通る英語が流れている。そしてそれに合わせて体を動かしているのは赤松だ。暇を持て余した彼は日課の運動の一つとして、どこかから引っ張り出してきたこのビデオを流していた。船の上だからって、運動を怠るわけにはいかないのだ。
それは10年以上も前に日本で流行った、とあるブートキャンプの映像だ。今も画面から、ムキムキの黒人男性が檄を飛ばしている。
『オーライ、良く頑張ったな!』
「ふう、上がりっと...。」
およそ1時間のプログラムが終わり、赤松は水を飲む。明日の昼頃には無事に目的地、神聖ミリシアル帝国に到着するだろう。今朝、ようやく味噌汁を補給して活力を補給した彼は、鼻歌を歌いながら風呂場に向かったのだった。
ラスプーチンはまああれですね、クソしょーもないジョークですね。すいませんでした。