日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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ちょくちょくキャラクターが歌ってたりする曲は完全に作者の趣味なんであんまり気にしないでください。

そしてやっぱり魔王は影が薄いです。


第61話 グラメウス大陸大掃除作戦⑩

午後13時6分 第一文明圏付近某海域―――

 

 

 

「「「「「「~~~~~~~~♪」」」」」」

 

 

「...........んん~~?」

 

 

外が何やら騒がしい。この時間まで眠りこけていた艦娘「サモア」はようやく目を覚ました。ここのところは暇な日々が続いていたため、昨晩はずっとゲームをしていたようだ。

 

 

 

(何の騒ぎだろう....?)

 

 

大きな伸びをして、目をこすりながらメガネをかける。そして寝間着のまま外に出て、音のする方向へと気だるそうに視線をやった。どうやら音の正体は「リットリオ」にあるようだ。

 

よく目を凝らすと、どうやら艦橋の上に誰かが立っている。そして甲板上には大勢の男たちがひしめき合い、大合唱をしているようだった。しかも、艦橋で踊りながら歌っている男は恐らく赤松だ。サモアには彼らが何をしているのかよく理解できず、少しの間固まってしまった。この寒いのに、なぜ外に集まっているのだろうか。

 

 

そんなことは露知らず、「リットリオ」の甲板では大勢の男たちが大勢集まって歌っていた。彼らの視線は揃って艦橋に向いている。そしてそこには、ストライプのスーツを身にまとった赤松がマイクを携え立っていた。

 

 

『TO~KI~O♪ やさしい女が眠る街』

 

『TO~KI~O♪  TOKIOが空を飛ぶ』 

 

『TO~KI~O♪  TOKIOが二人を抱いたまま』

 

 『TO~KI~O♪  TOKIOが星になる~~~』

 

 

数分後、男数百人のやかましい大合唱が止んだ。それから少しして歓声も止まり、辺りに静けさが戻る。

 

 

そしてその様子を呆然と眺めていたサモアも、少しして船内へと戻った。

 

(そういえば........)

 

またベッドに横になり、ふと昨年末の忘年会のことを思い出してみる。

 

そう言えば、提督達が演奏を披露していた...ような気がする。しかしあの時は、彼女は他の艦娘に酒瓶を口に押し込まれ、べろべろに酔わされたあげく全裸で放置され、翌朝風邪を引いてしまったために記憶があまりないのだった。.....思い出すだけで、少し頭が痛くなる気がする。

 

 

そもそも赤松と吉川の二人は、よく分からない行動に走っているようなことが多いような気がする。どちらがどちらのものかは知らないが、聞いた話によると空母の甲板で昼寝をしたり、戦艦扶桑の艦橋の上でジェンガをしたり.....と。二人の性格を考えると、本当にやっていそうだから恐ろしい。

 

 

「変な人......。」

 

 

彼女が小さく呟いた時、天井のスピーカーからよく通るがどことなく力の抜けた声が聞こえてきた。赤松の声だ。

 

 

『あ、あー、こちら俺だ、赤松だ。我々は明日の午前11時頃、目的地の港湾都市..........えーと......なあリットリオ、なんだったっけ目的地の名前。なんか.......おやつカルパスみたいな。』

 

 

『カルトアルパスです!』

 

 

「ぷっ......。」

 

スピーカーから聞こえてくる可笑しなやりとりに、思わず吹き出しそうになる。

 

 

『そうそう、それそれ。そこに到着する予定だから、ぼちぼち準備しといてくれよ~~。あ、あと今日の夕飯は俺が作るからみんな遊びに来てくれ。7時な~~。』

 

 

彼がそう言い終わると少しして、ブツリ、という音がして放送は終わった。

 

 

「ふぁぁ.....。」

 

サモアは時計に一瞬だけ目をやると、またすぐ眠り始めてしまった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――

 

午後3時頃―――

 

 

「はい、どうぞ。」

 

 

「お、ありがとさん。」

 

 

「リットリオ」艦内の食堂付近の部屋で、テーブルに赤松と艦娘「リットリオ」が向かい合ってコーヒーを飲んでいた。

 

現在の時刻は午後2時を少し回った頃。船内は暖かく、ついついあくびをしてしまう。この「リットリオ」を含め、イタリアの軍艦は艦内の豪華さが抜きんでている。そしてそれが生む居心地の良さも、眠気の原因だ。

 

 

 

 

「.......でさあ、俺はやっぱり転移は偶発的なものじゃなくて、何かあると思うんだよね。なんて言うか......こう、人ならざるものの仕業って言うかさ。」

 

その眠気を忘れるために、先ほどから赤松とリットリオは雑談に興じていた。机の上には、もう何杯目か分からなくなったコーヒーもある。そして今の話題は、日本の転移についてだ。

 

「...それはつまり?」

 

赤松の意見をリットリオが聞いている。

 

「だってさあ、そもそもおかしいだろ?なんで領土が全部丁寧に揃ってついてきてるんだ?それに隣には平和で友好的、しかも腐るほど資源がある国。天候もほぼ変わらない。自然現象にしては出来過ぎている気がするんだ。...まあ、根拠なんて無いんだけどさ。」

 

 

「........。」

 

 

「....で、あと何年...何十年か知らないが、ヤバい国がそのうち復活するんだろう?その国はとてつもなく横暴で、恐らく60か70年代程度の技術、おまけに核も持っている。この世界の国々の力では対抗できない....。」

 

ここまで言ってしまえば、リットリオも赤松の言いたいことがおおよそ分かっていた。日本は、その国を倒すために何者かの力によって転移させられたのではないか、と。

 

「それとさ...。転移した日のこと、覚えてるか?濃い霧がかかっていただろ。俺が長門たちに初めて会った日も同じように霧がかかっていたんだ。もしかすると、何か関係があったりするのかもな。」

 

2008年の1月、横須賀近海にて艦娘との初遭遇を果たしたあの日、赤松は護衛艦「きりしま」に乗り込んでいたのだ。その時のことを、彼は今でもよく覚えている。

 

「それって.....。」

 

リットリオは少し驚いた顔をしていた。彼女が加わったのはそれからしばらく後の話であり、所属も舞鶴であったためにその日のことについては知らなかったのだ。

 

「いやまあ、これは多分無いと思うけどな。」

 

赤松はそう言うと、帽子を取って指でくるくると回し始めた。一方、リットリオにも気になることがあるようだ。

 

「......イッセーさん。そもそも.....転移じゃない、という可能性もありますよね?」

 

この言葉を聞き、赤松は興味深げに彼女の方に向き直った。

 

「....つまり?」

 

「例えば今の日本は、地球にあった日本をそっくりそのままコピーした物だとしたら?」

 

「.....!」

 

「...地球から日本がいなくなったら、それこそ大変なことになりませんか?もしかすると、それが原因で戦争が起きかねないですよね?もし転移が人為的なものであれば、この考えの方が自然だと私は思います。」

 

「....随分、面白いこと言ってくれるじゃん。まあそれが分かる日が来るのかは知らないけどな。とにかく、魔帝が復活する時までにルールが変わってくれればいいよ。そうじゃなけりゃ、俺たちは......。」

 

「......どうしました?」

 

急に言葉を切った赤松を、リットリオが少し心配そうに見つめている。

 

「ああいや、なんでもない。.....そろそろ夕食の支度をしよう、手伝ってくれ。餃子1000個作るぞ。タネはもう出来てるから、後は包むだけだ。」

 

彼はそう言うと立ち上がり、一人キッチンに歩いていってしまった。一方で残されたリットリオは、その後ろ姿を見つめていた。

 

....何を言おうとしていたのだろう。それが少し、彼女の心に引っかかっていた。

 

 

 

 

 

(.......ああ、まずいなあ......。)

 

一方、キッチンに立った赤松は顔を洗い、思わずそう呟いた。

 

まるで、捨て駒みたいじゃないか。.....思わずそう言ってしまいそうになった先ほどの自分を、彼はひどく恥じていた。自分の抱えている不安を人前で出してしまいそうになったのは、いつ以来のことだろう。

 

いつ復活するのかはとんと分からないが、ラヴァーナル帝国というのは非常に傲慢で暴力的な国だと聞かされている。その時は、きっと戦うことになるだろう。しかし今のままでは、自衛隊は領海から外には出ることができない。そして自分たちの、現時点の戦力では勝てるかかなり怪しいし、それなりの被害を被ることはほぼ間違いないだろう。

 

なら、さっさと近代化をするなり方法はあるだろう.....と言いたいところだが、それは難しい。なぜなら、彼らにはある制約が課されているからだ。

 

それは、"自衛隊の脅威になってはいけない"という決まりだ。

 

そもそも建前上戦力を放棄している日本にとって、護衛艦と同等レベルの装備を持った軍艦がそれ以上いては困る...ということで、これは転移よりも随分前から決められていたことだ。あの時は特に問題は無かったこの決まりが、いまさら足枷になってしまっている。

 

ただ最近では、パーパルディア皇国戦での苦い経験もあり、世論は"積極的な防衛"を支持する方向に傾きつつあった。それでも、赤松の不安が無事消えるかどうかはまだ分からないままではあるが。

 

 

 

「......イッセーさん?」

 

気づけば、いつの間にかリットリオがきっいんの入り口に立っていた。赤松は考え事をしていたせいで、間抜けなポーズのままシンクの前に突っ立っていたようだった。しかも、電気のスイッチもつけないままで。

 

「ああ悪い、ちょっと考え事をしてたんだ。」

 

「....部屋の明かりもつけずにですか?」

 

電気をつけて、リットリオが部屋に入ってくる。

 

「それは、まあ...ボンヤリしてただけさ。さあ、夕食の準備をしようぜ。」

 

はぐらかすような言い方をして、赤松は冷凍庫から冷えたグラスを取り出すと、サーバーから炭酸水を並々と注いで一気に飲み干した。そして大きな冷蔵庫の扉を開け、支度に取りかかろうとする。

 

 

「.......溜め込みすぎないでくださいね?」

 

「...うん。」

 

リットリオはただそれだけ言うと、赤松と一緒に支度を始めた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

同日午後3時46分 グラメウス大陸沖某所―――

 

 

『全艦.......砲撃開始。』

 

偵察機が安全のためその場から一旦離脱したことを確認し、吉川は艦隊に命令を出した。既に準備は完了しており、この命令が来たとほぼ同時に、次々と砲撃が始まった。

 

凄まじい轟音と硝煙が辺りを包み、一気に静寂を破った。中でも、吉川の乗っているクレムリン級戦艦「ペトログラード」の搭載する457mm砲の放つ音と煙は飛び抜けて大きい。

 

その他、レーニン級戦艦「スターリン」、ビスマルク級戦艦「ビスマルク」「ティルピッツ」、アレクサンドル・ネフスキー級軽巡洋艦「アレクサンドル・ネフスキー」「ドミートリィ・ドンスコイ」「ピョートル・バグラチオン」、モスクヴァ級重巡洋艦「モスクヴァ」「ペトロハブロフスク」「リガ」の合計10隻、55門の主砲から放たれた砲弾は、海岸からおよそ15km地点にいる魔王を狙い、一直線に向かって行った。

 

 

 

 

その数分後―――

 

 

「ぐ........」

 

 

魔王ハネスは荒れ地を一人歩いていた。その後ろ姿にはもう、塵ほどの自信も感じられなかった。盾につれてきた魔物はとっくのとうに全滅し、魔導アーマーをつけていなければ自身も危なかったかもしれない。そして魔物を消し去った憎たらしい天の浮舟は突然来なくなり、一機だけ嘗め回すようにこちらを監視していたものも先ほど姿を消した。

 

 

(.........。)

 

 

薄ら寒い予感がして、ハネスは思わず足を止める。すると、空から何かが落ちてくるような音がした。次の瞬間、周囲で突然大爆発が次々と起きはじめ、彼の表情は戦慄に歪む。

 

(こんな.....こんな馬鹿な.....!!!)

 

爆発の中で、彼の頭の中には様々な考えが浮かんでくる。

 

間違いなく、この者たちは魔帝の覇道の障害になる。

 

それなら、せめて記録を残しておくべきだっただろうか。

 

それとも、復活まで大人しく待っていれば良かったのだろうか。

 

 

ハネスのその心が後悔と恐怖に押しつぶされる前に、至近距離の爆発に巻き込まれ、ついに意識を手放した。そしてその爆発の衝撃によりアーマーの回路が暴走を始め、とてつもないエネルギーを発生させる。これによって起きた大爆発により、爆心地から半径1km以内は根こそぎ焼き払われ、地面には大きな穴があいた。

 

 

そしてこの爆発は艦隊からも確認され、更に偵察機によって魔王の消滅は確認された。

 

 

その後、艦隊はトーパ王国の基地に帰還し、目標の消滅を報告。その後は無事に魔物の出現回数も減り、この国の海域における安全が再び確保されたのだった。

 

 

翌日、吉川と高橋たちは佐世保に帰っていった。

 




最近更新遅くてすいません。暇な時間にちまちま書いてます。
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