日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
ロデニウス沖海戦からおよそ一ヶ月、陸上自衛隊は相変わらず勝利を重ね、ロウリア王国の敗戦はもはや誰の目にも明らかだった。一仕事終えた鎮守府は、佐世保に集合すべく準備を進めていた。佐世保鎮守府は、独立前の国の最後の仕事として、各施設の大規模な増設、港の拡張が行われ、以前とは見違えるような規模の施設になっていた。
そしてその頃、京都府舞鶴市―――
「今まで、大変お世話になりました。」
そう言って商店の主人に頭を下げる男は、舞鶴鎮守府提督の高橋京介だ。群馬県出身、高校時代は関東にその名を轟かす生粋の不良であり、防大及び自衛隊に入隊後もたびたび騒ぎを起こす問題児だったが、今では時間も経ち、今ではかつての上司が驚くほどの人間的成長を見せていた。人の上に立つ者としての自覚が芽生えたのかもしれない。そんな彼は今、異動にあたりこれまで世話になった近くの商店街の店をまわっていたのだった。
「あらあら、寂しくなるねぇ。まあ、あんたなら上手くやっていけるやろ。ほれ、これ持っていき。餞別や。」
そういって女店主は彼に店の商品をいくつか渡す。
「ありがとうございます。失礼します。」
それを受け取り、商店街を後にする。彼と付き添いの艦娘「霧島」の両手には溢れんばかりの荷物が抱えられていた。全て餞別として商店街の人々から頂いたものだ。
「こうしてみると、やはり寂しくなるなあ。」
「そうですね。」
そんな事を言いながら、二人は鎮守府へ戻っていった。
翌日、全ての支度を終えた各鎮守府の提督と艦娘たちは、遠く長崎に向けて次々に移動していった。これほどの規模の大艦隊の移動は、歴史上でも稀であっただろう。
そして佐世保鎮守府では、森高と艦娘たちが歓迎の準備をして待っていた。全ての鎮守府の面子が揃うと、「武蔵」が汽笛を鳴らし、出迎えの演奏が始まる。
四人の提督達は久しぶりの再会を喜んだ。彼らは偶然か必然か全員が同期であったため、とても仲が良かった。
また、艦娘達の多くも姉妹との久しぶりの再会を喜んでいた。宴会が開かれ、日付をまたぐ大騒ぎとなった。また、お忍びで川島防衛大臣も訪れ、鎮守府の独立を祝った。とはいっても、あくまでも政府の直属でなくなるだけで、運営資金の援助や資材の寄付などは続けられることとなっていた。実はかなりの酒好きである川島は、飲んだくれのポーラや隼鷹にも負けない飲みっぷりを見せ、周囲を驚かせてご機嫌で帰って行った。
以前と比べ圧倒的な規模になった鎮守府だが、ここからどんどんと愉快な仲間が増えることになる。だがそんなことは今の彼らには知る由もなかった。和やかな雰囲気の中、後にこの世界で最高クラスの戦力を持つことになる艦隊が今ここに産声をあげたのだった。
同日 ロウリア王国 首都ジン・ハーク―――
「....ここのところ我が軍は負け続きだ。いったいどういうことだ?」
ロウリア国王、ハーク・ロウリア34世が重い口調で将軍パタジンに問う。開戦当初は間違いなく勝てる戦と思われていたというのに、ロデニウス沖海戦に惨敗してからは全く勝てない状態が続いていた。
パタジンは心なしか震えた声で答える。
「はっ、報告によりますとクワ・トイネ公国、クイラ王国と同盟を結んだ日本国が参戦しているとのこと。」
「ん?日本国とやらは東方の新興国家と聞いているがどういうことか」
「実はロデニウス沖海戦で友軍を攻撃した謎の超巨大船は、事前に自らを日本国所属だと名乗りました。情報によるとその船には白地に赤い丸をあしらった旗を掲げており、また同じ紋章をつけた軍が次々とこちらを破っています。おそらくそれが日本とやらの国旗なのだと思われます」
「そうか...わかった、ご苦労。下がって良いぞ」
「はっ」
パタジンが退室し他に誰もいなくなった部屋で、ハーク・ロウリア34世はひとり頭を抱えていた。日本の力は彼の予想以上だったのだ。最初に日本が転移国家を自称していることを聞いたとき、彼はそんなおとぎ話を信じていなかった上に、蛮族の集まりの新興国家が小国である公国と組んだところでさしたる影響は無いだろうと思っていたのだ。
だが報告により日本が転移国家であるという話が現実味を帯びてきた。日本はロウリアの技術では理解すらできない大型の鉄船を有し、飛竜より速く飛ぶ鉄竜をも持つという。もし本当ならばその力は列強に比肩するものだ。蛮族の新興国家にそんなものが作れるはずがない。講和という言葉が彼の脳裏に浮かぶが、ロウリア王国は現在、第三文明圏唯一の列強国であるパーパルディア皇国の支援を受けている。そんなことを言い出したら彼らの怒りを買うことは間違いない。
「もはや、止まることは出来ないのか...」
想像のつかない恐怖に、王はひとり怯えるのであった。
――――――――――――――――――――――――――
そして同じ頃 パーパルディア皇国第三外務局
「観戦武官とはまだ連絡がつかないのか!どうなっている!!」
上司が部下を怒鳴りつける。
第三外務局が支援を行っているロウリア王国に一人の武官を送り込んだのだが、その男はいつまでたっても帰ってこない上、連絡すら取れなくなっており完全に行方不明だった。部下が恐る恐る報告する。
「それが....。つい先ほど入った情報によるとこの間の海戦ではどうやらロウリア王国が敗れたそうです。しかもロウリア王国海軍は4000隻の内七割以上の艦船を一方的に沈められており、その中にはおそらく派遣した武官のヴァルハル様が乗った船も有りました」
この報告に上司は耳を疑う。
「そんなバカな。確かクワ・トイネ公国は大した軍事力もない弱小国だったはずだぞ、なぜ負けているのだ。」
部下は続ける。
「はい、それについてですが、どうやらクワ・トイネ公国と同盟を結んだ日本なる国が支援を行い、ロウリアを退けたようです。また、日本の使用している武器は第二文明圏の列強であるムー国の所有する機械と似た特徴があるらしく、現在目下調査中です」
「そうか...分かった」
第三外務局は日本について少しずつ調査を始めるのであった。
その数日後、新製佐世保鎮守府ではとある事件が起きた。景気付けに久しぶりの建造を行ったところ、誰も見たことのない船が出てきたのだった。これ以降、何故かここのドックからは史実通りの実在した艦船に加え、建造が中止された船や計画だけに終わった未成艦が次々と産まれることになるのだった―――
ありがとうございました。次回は最初の未成艦が登場します。
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