鎮守府海上護衛総隊異状なし!   作:うみねこ06

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※作中のイレギュラーは全てフィクションです。実際に発生した事例は特に参考にされていません。無いったら。


第2話 日常業務異状なし

 ガンビア・ベイは緊張していた。そらもう緊張の極みであった。

 

 つい先日、大規模攻勢参加艦隊によって最深部領域で漂っていたところを救出され、そろそろ一大勢力を築きつつある鎮守府米国艦隊と再会を祝ったのも束の間。てっきり、このままずっと米国仲間と訓練艦隊で錬成と思っていたところで受けた辞令には、何度目を凝らして確認してみても『貴艦を鎮守府海上護衛総隊司令室付に任ずる』としか書かれていないのである。

 

 しかも、泡を食ってあの戦争での同僚たちに確認すれば、司令官は「サボりぐせがあるけど良い人(アイオワ談)」とは言え、提督とは異なり男性だそうで。おまけに幕僚長は羽黒――あの、強敵にしてトラウマ、栗田艦隊の羽黒と来ている。アイオワやサラトガは「頑張って」と笑顔で送り出してくれたが、初っ端からガンビーの士気はだだ下がりも良いところである。

 

 だので。

 

 

 「すぅーーーー。はぁーーーーー」

 

 

 あまりにも、あまりにも長い深呼吸をガンビーが繰り返した。護衛総隊司令室前にたどり着いてからやり始めて、これでそろそろ三桁の大台に乗るところである。実は、通りすがりや、司令室に用事のあった艦娘がこの有様を目撃しており何回か曲がれ右されているのだが、まさに知らぬは仏というやつであった。

 

 

 (うぅ……でも、負けたらダメだよ、ガンビア・ベイ! 確かに怖い人は居るけど、おかしな人が居るわけじゃないし。は、初めにガツンと行かなくちゃ!)

 

 

 と、ベイがベーイと気合を入れた。もう一度深呼吸。これで三桁だ。そうして、いざ、と司令室のドアノブに手をかけ、ガチャリと回す。さぁ、出来る限り大声で、自信を持って着任を告げよう。と引き戸を引いた。そのまま、目の前にいるであろう人物に――。

 

 …………。

 

 

 「ないすつーみーつーつー。りぴーとあふたみー?」

 

 「な、ないすつーみーつーつーつー」

 

 「のー! ないすつーみーつーつーつーつー! りぴーとあふたみー!」

 

 「な、ないすつーみーつーつーつーつーつー!」

 

 

 頭に『Welcome to 海上護衛総隊司令室!』と書かれた謎の帽子をかぶり、手元の冊子を眺めながら謎の呪文を詠唱しあっている司令官と幕僚長を視認したガンビア・ベイが、無言のまま扉を締めた。茫然自失としてカウントしそこねたので、101回めは記録外扱いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第2話 日常業務異状なし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやー、そうかそうか。日本語は習得済みだったのか。てっきりわからないもんだとばっかり」

 

 「あぅ…………」

 

 

 あの後、どうしようかと扉の外で固まっていたところ通された司令室の応接椅子で、ガンビーが顔面を引きつらせながら司令官の話を聞いていた。彼の説明によれば、謎の儀式はガンビーを歓迎するために急遽行っていた英語の練習だったらしい。ガンビーにそれを深く突っ込む気力はなかった。真っ赤な顔で突っ伏している幕僚長(はぐろ)があまりに不憫だったのだ。

 

 

 「まぁ、順番がおかしくなったが改めて。俺がここの司令官だ。一応、国連海軍大佐の階級を仰せつかっている。司令(コマンダー)でも大佐(キャプテン)でもどちらでも構わんから、気軽に呼んでくれ」

 

 「羽黒です……妙高型姉妹の末っ子です……よろしくです……」

 

 「ガ、ガンビア・ベイ、護衛空母です! その、Nice to meet to too. ……あっ」

 

 「はぅっ!?」

 

 

 トラウマを刺激された羽黒がびくんと跳ねて力が抜けた。おろおろとするガンビーを尻目に、司令官がごほんごほん、と咳払いする。

 

 

 「で、だ。早速仕事の話で悪いんだが」司令官が書類を捲った。「君、錬成途中でうちに駆り出された、って理解で間違い無いかな?」

 

 「ハ、ハイ……」

 

 「了解。……俺が言えた話ではないが、正直申し訳ないと思っている。すまんな」

 

 

 ガンビーの挙動不審度が増大した。上官がいきなり頭を下げたのだから当然だろう。

 

 

 「いっ、いえ、そんな、謝られるようなことじゃ……」

 

 「とは言え、護衛空母が足りんとせっついたのは俺だからな」司令官が大きく息を吐いた。「我が鎮守府の方針として、なるべく基礎的な錬成が済んでから実働部隊へ配属される、というのがあるんだが、君に関してはそれを無視する結果になってしまった。まぁ、君が戦闘に参加する機会はあまりないんだが、そこはな?」

 

 「……戦闘に参加する機会があまりない?」ガンビーが首を傾げた。人手不足で招集されるくらいなのだから、当然激戦区だと確信していたのであった。

 

 「それもまた謝罪のうち、だな」提督がお茶で喉を潤した。「例外で曲げたうちの方針、本来はどんな業務を行っているか理解してから配属になる手はずだったんだが」

 

 

 滔々と語る司令官に、ガンビーがこくこくと頷いた。気づけば、事前に抱いていた司令官への恐怖心など消え去っている。そりゃ、第一印象が目の前でないすつーみーつーつーつーなどと艦娘へ真顔で教え込んでいる姿で、第二印象が真面目に職務の説明をしてくれる良き上官なのだから当然だ――とまで考えて、ガンビーがあっと気づいた。そうか、あれは私の緊張をほぐす演技だったのか。なるほど、アイオワさんが「良い人」と評したのも頷け――

 

 「君の国の言葉でにいどつーのおという物があるが、少なくともうちでは可能な限り全体像を把握してもらった上での業務を心がけて欲しい。そっちの方がもらあるも上がるだろうし、えふいしぇんすぃーやくおりていおぶらいふの向上にも資するからな」

 

 「えっ、あっはい」

 

 

 あっ、これ発音があれなのはガチなやつだ。

 

 

 「というわけで、羽黒」司令官が傍らの幕僚長の肩を揺らした。「はーぐーろ。落ち込んでるところ悪いけども」

 

 「誰のせいですかぁ……」

 

 「ここから先、お前さんの出番だぞ。打ち合わせの内容忘れたかい」

 

 

 羽黒が顔をのっそりと上げ、次の瞬間ガバっと立ち上がった。

 

 

 「エ、エート」

 

 「と、言うわけでだ」司令官が無意識のうちにシワになった羽黒の服を伸ばしてやりながら言った。「今から幕僚長(はぐろ)が説明がてら簡単にうちの業務を案内してくれるから、今日の任務はそれを聞くこと、ということで」

 

 

 ガンビーがほんの少し、顔をこわばらせた。司令官が言ったことに従えば、自分は羽黒と――因縁の相手と二人っきりで鎮守府中を回ることになるからだ。本来ならば、もっと警戒感を持つべきくらいである。だが。

 

 

 「そ、それじゃあ、早速ご案内しますねっ!」

 

 

 何かを誤魔化すように張り切る羽黒に、どうしても警戒感が霧散していく。何しろ、あれだけ武闘派で、一見美人さんでもあるのに、ガンビーが抱いた第一印象は変な帽子かぶって呪文を唱えていた女性、なのである。恐れを継続するのも難しい。

 

 

 「ま、まず、もうお分かりだとは思いますが、ここが護衛総隊の司令室ですっ」

 

 

羽黒が何かを思い浮かべるような顔をしながら言った。事前に内容を考えていたらしい。

 

 

「ここでの詳細な業務は、またあとで詳しく説明すると思いますのでまずは概略だけ。基本的に輸送任務の指揮・監督はここで行います。基本的に日中の時間帯に居るのは司令官さんと」司令官が羽黒の声に合わせて手を上げてみせた。「私になります。夜間は夜勤任務を割り振られた娘が当直将校として業務を担当する形ですね」

 

 

 ガンビーがコクコクと頷いた。その様子に安心したのかそれとも少し自信を取り戻したのか、羽黒が言葉を続けた。

 

 

 「ガンビーさん、たぶんここで事務仕事をする機会はまず無いと思いますが、基本的に帰還する娘をお出迎えして報告書を処理するのが業務になりますから、最悪帰ってきた娘に聞いちゃえば何とかなります。後は、置き菓子さえ絶やさなければほぼ問題ないはずです」

 

 「オ、オキガシ? Candyですか?」

 

 「んー、お煎餅もありますし、必ずしもキャンディというわけでも……」どこか勘違いした羽黒が、ともかく、と続けた。「置き菓子を絶やすのだけはダメです。効率に関わります」

 

 「は、はぁ」

 

 「要するに、そう身構えるような任務はない、ということさ」司令官が笑った。「ま、兵站業務が劇的なのは問題だからね。そういうことがないように整備しているのが俺の仕事だし、実際今は何とかそういう風に」

 

 

 と、司令官がドヤ顔で補足していると、電話の着信音が鳴った。机から立ち上がっていた羽黒より、座ったまま条件反射で手を出した司令官のほうが早い。

 

 

 「はい護衛総隊司令室――はぁっ!?」

 

 「ひぃっ!?」

 

 

 司令官が極めて男性的な大声だったので、ガンビーの悲鳴はかき消されてしまったらしい。全く気づく様子もなく、司令官が電話にかじりついた。

 

 

 「いやいやいやいやいやおかしいおかしいおかしいおかしい! その鉄鋼、今日の9時までに生産完了してるはずだろう!? 俺ちゃんと確認を――はぁ!? 夜の9時と言い張ってる!? それなら21時――わかった、電話変わってくれ」

 

 

 忙しなく書類を確認し始めた司令官。なんとなく何が起きたか察したガンビーが、恐る恐る羽黒を見やった。何かを決心したような顔をした羽黒が、ガンビーの視線に気づいて、優しそうな笑みを返した。そのまま口を開く。

 

 

 「そ、それじゃあ、次の施設をご紹介しますね!」

 

 「ちょ、ハ、ハグロさん!? C, captain何か大変なことになってますよ!?」

 

 「ガンビアさん。日本には触らぬ神に祟りなしという言葉があるんです逃げますよ」

 

 「言った! 今逃げるって言いました!」

 

 「こ、こほん! ほ、ほら、行きますよ」

 

 「は、はいぃ!?」

 

 「あ、ちょ、羽黒! 待て! 面倒事だ! 中止! 今の任務中止! おい! おぉーい!!?」

 

 

 誰も居なくなった司令室に、司令官の悲鳴だけが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 

 

 「こちらが、護衛総隊管理施設の一つ、鎮守府物資主集積施設になります」

 

 

 所変わって、鎮守府管理棟から少し離れた敷地内。朗らかに羽黒がそう言い、目の前の巨大な建物を手で指し示した。だが、案内されるガンビーとしては別件で気が気でない。

 

 

 「あ、あの、ハグロさん」

 

 「なんですか、ガンビアさん?」

 

 「Captain, 置いてきちゃって本当に良かったんですか……?」

 

 「変な発音と変な挨拶を覚え込ませようとしていた司令官さんなんて知りません」

 

 

 羽黒が笑顔で答えた。根に持ってるんですね、という言葉は、背筋を駆け抜けていった震えでかき消される。笑顔って怖い、とガンビーが覚えた瞬間である。このムダ知識を使う日は、妙高に会う時まで来ないのだが。

 

 

 「こほん! と、ともかく。こちらが鎮守府の主集積所です」

 

 

 羽黒が誤魔化すように咳払いしながら先程の言葉を繰り返した。強調するように、ぶんぶんと腕を振っている。

 

 取り敢えず羽黒から視線を外すことにしたガンビーが、目の前の建物をしげしげと観察した。規模は体育館ほどと多少大きいものの、至って普通の倉庫と言えるが、入り口に当たると思われる大きなシャッターが複数個並んでいた。中には、地表から1m程度間隔を開けたものも見受けられる。トラックか何かが着けることも想定してるんだろうか、とガンビーが思った。

 

 

 「基本的に、液体と食料以外のあらゆる物がここに集積されています」羽黒が言った。「と言っても、あらゆるっていうのはあくまで種類であって、全物資がというわけでは無いんですが」

 

 「分散配置、ですか?」ガンビーが訊ねた。

 

 「はい」羽黒が頷いた。よく出来ました、という風に笑う。ガンビーの頬に少し朱が差した。「艦砲射撃対策と空襲対策です。まぁ、ここは開闢以来攻撃を受けたことはありませんが、用心は必要ですから」

 

 

 ガンビーが頷いた。一箇所に物資を纏めて置いておいて、そのまま纏めて吹き飛ばされるのがあまりにも間抜けなのは流石に理解している。

 

 

 「ただ」羽黒が表情を真面目なものに改めた。「一言に分散配置と言っても、行うは難し――というか、面倒くさいです」

 

 「め、面倒?」

 

 「例えばこの主集積所はある意味簡単なんです。他の集積所の予備も兼ねて、繰り返しになりますが液体と食料以外の全てが揃っていますから」羽黒が続けた。「ただ、例えば入渠施設近傍に第4集積所があるんですが、そこには修復資材が主に備蓄されており、開発資材はありません。同じ様に、補給施設備え付けの集積所に修復資材の備蓄は皆無だったり」

 

 「あー」ガンビーが羽黒の言葉の意味を察した。「各集積所の備蓄傾向を把握して、全体量を管理ですか?」

 

 「その通り」羽黒がげんなりとした顔をした。「今度、棚卸し一緒にやりましょうね」

 

 

 うわぁ、とガンビーが嫌そうな声を出した。羽黒が微笑んだ――が、微妙に失笑気味になっているあたり、本気で面倒くさいらしい。

 

 

 「と、ともかく」羽黒が気を取り直したように咳払いした。「実際に、中に入ってみましょうか」

 

 

 無論ガンビーに否応はない。羽黒の後についていく。大きなシャッターを上げた羽黒とともに、薄暗い倉庫の中へと入っていった。羽黒が電気電気、とつぶやいた後、スイッチを押す。一瞬目がくらんでから、ガンビーの目の前に整然と並ぶ物資の山が現れた。

 

 

 「このあたりは、鉄鋼類の保管場所になります」羽黒が言った。「主に艤装の修理、建造用途ですね。それぞれ、用途別に分けて保管してあります」

 

 「ヨ、ヨウト別?」

 

 

 ガンビーが鉄鋼の置かれたスペースをよく見てみる。何かよくわからないアルファベットと数字の組み合わせが書かれていた。

 

 

 「これでも、鎮守府は明石さんたちが頑張ってくれたお陰で、一般よりはよっぽど汎用性があるらしいんですけどね」羽黒がまた遠い目になっていた。「実際に触ってみますと……大変です」

 

 

 その大変ですの4文字にどれだけの感情が籠もっているのか。ガンビーが身震いした。思ったより大変なところに配属されてしまった気がしてきたのだった。

 

 

 「それに、鎮守府は提督さんと司令官さんを除くと、私達艦娘しかいませんから。そのあたりの作業も大変で――」

 

 「あれ、羽黒さん?」

 

 

 羽黒の声が、聞いただけで可愛げを感じる少女の声で遮られた。ガンビーの視界に、ジャパニーズトラディショナルスタイル(きもの)に身を包んだ小柄な少女が現れる。

 

 

 「あ、神風ちゃん」羽黒が気安い口調で少女の名を呼んだ。「いつもお疲れ様。今日は、この前のJY船団がらみの片付けですか?」

 

 「ううん、鉄鋼の整理です」神風が頭を振った。「ほら、今夜に結構な量の鉄鋼資材が入ってくる予定じゃないですか。その前に片しちゃおうかなと思って」

 

 「あぁ、今夜の――あっ」羽黒がうなずこうとし、慌てて身振り手振りし始めた。「ご、ごめんなさいっ! それ、何か先方の方でトラブってるらしくて、もしかすると延期か計画変更になるかもで」

 

 「あー……」神風が遠い目をした。「……入荷遅れしそうです?」

 

 「細かいところは何とも……たぶん、司令官さんに聞いてもらうのが一番早いかなって」

 

 「わかりました。取り敢えず聞いてみます……」

 

 

 ぺこり、と黄色いリボンが上下して、神風が携帯電話を取り出しながら離れていった。コール音が距離に合わせて小さくなっていく。

 

 

 「あ、あの、ハグロさん。カミカゼさんは、なんでこちらに?」ガンビーが小声で訊ねた。

 

 「鉄鋼の輸送です」羽黒が答えた。「神風ちゃん、トラックとトレーラー運転できるんですよ」

 

 「えっ」

 

 「トレーラー」

 

 

 ガンビーがどんどん小さくなっていく神風の後ろ姿をしげしげと眺めた。全く似合わない、と言うか、あの身長でアクセルとブレーキに足が届くんだろうか、と心配になる。

 

 

 「神風さんに限らず、駆逐艦の方々には鎮守府内での輸送任務で活躍してもらうことも多いんですよ」羽黒が説明した。「大規模作戦(いべんと)時でも、駆逐艦が払底することはほぼ無いですし。もちろん、戦闘部隊に出ずっぱりの娘も居たりするので、そのあたり考えなきゃなんですけどね」

 

 

 はえー、とガンビーが感嘆のため息を漏らした。訓練で武器弾薬燃料と用意されていたものを普段遣いしていたものの、それがどこから来ているかまでは考えを回らせる余裕はなかったのである。が、言われてみれば、資源はどこかから勝手に生えてくるわけでもなし。

 

 

 「あ、羽黒さーん!」

 

 

 ガンビーが感傷に浸っていると、再び神風の声がした。見れば、小さな体を目一杯飛び跳ねさせながらこちらに向かってきている。

 

 

 「羽黒さんの言う通り、やっぱり入荷遅れするらしくて」神風が苦笑いしながら言った。「片付けは後で良いから、羽黒さんとガンビア・ベイさんを連れて司令室まで戻ってきて欲しい、と」

 

 「司令室まで、ですか?」

 

 「脱走兵を確保してほしいそうです」

 

 

 羽黒があははははと乾いた笑い声を上げた。額に冷や汗も見える。神風が何かを察した顔になった。

 

 

 「ちなみに、ご本人の要望としては、羽黒さん?」

 

 「つ、次は、遠征部隊の詰め所紹介と思ったんですが」

 

 「幸いにして、確保した脱走兵の連行先は指定されてませんでしたよ」

 

 

 神風がいたずらっぽく笑った。羽黒がぱちんと手を合わせてジャパニーズオジギの姿勢を取った。悪い人たちだ、とガンビーが冷や汗を垂らしながら愛想笑いを返した。

 

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 

 

 「あっ、はぐはぐじゃん! どしたのー? お菓子の補充?」

 

 

 神風のトラックで各集積施設の外観だけ確認しながら鎮守府を進み、目的地らしいそれなりに大きいもののお世辞にも立派とは言えないプレハブの中に入った一行を出迎えたのは、軽巡洋艦那珂であった。フリフリの制服を着ている割には、アイドルと言うよりは苦労している職業人のように見える。

 

 

 「補充も兼ねてますけど、ガンビアさんに護衛総隊の施設を見学してもらおうかと」

 

 「ふーん。あ、そう言えばまともに自己紹介もまだだったか。艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー。よっろしく、ベイちゃん!」

 

 「は、はじめまして! Casablanca級航空母艦のGambier Bayです! よ、よろしくおねがいします」

 

 

 ガンビーが『ガンビア』というところを強調しながら自己紹介した。那珂の略し方だと、今後姉妹が来た時に大変なことになりそうだった。

 

 

 「うん、元気があってよろしい! これなら何れ那珂ちゃんのバックダンサーもいけちゃうよ!」何やらガンビーの努力をあらぬ方向に受け取った那珂が、でも、と不思議そうに首を傾げた。「はぐはぐ? こんなところ見せてもしょうがなくない? 何の変哲もない休憩所兼出撃前待機施設だけど」

 

 

 確かに那珂の言う通りである。掘っ立て小屋に近いこの部屋は、空調こそ見かけに反して真冬の暴風にも耐えるほどの快適性を有しているが、後はテレビにソファ、机と飲み物の自販機くらいしか無い寂しい部屋なのだ。軍隊っぽい要素すら、部屋の隅に追いやられている警報装置と無線装置くらいしか無い。せいぜい6人入れば満杯の施設である。

 

 

 「いえ、だからこそ、ですよ」羽黒が首を横に振った。「その『何の変哲のなさ』を見て貰おうかと思いまして」

 

 「あー、なるほどね」那珂が得心したように頷いた。「なら、那珂ちゃんお邪魔? 帰ったほうが良い?」

 

 「いえ、別に大丈夫ですよ。というか、那珂ちゃん今夜もまた出撃じゃないですか。使うべき人を追い出すわけにはいかないですよ」

 

 「えー別にいいよー? 今夜は簡単な海上護衛の引率だし。少なくとも、この前のJY船団みたいなことにはならないでしょ。今日はさっと帰ってきてシャワー浴びて寝るんだぁ」

 

 「那珂さん、それ、フラグでは……?」

 

 

 神風のツッコミはさておいて、ガンビーが部屋の壁に主張無く掲げられているホワイトボードを眺めた。思わず顔がひきつる。目の前で繰り広げられた会話の意味がようやくわかったのだ。『出撃表』なるそのホワイトボード、月曜日から金曜日まで、那珂の名前で埋め尽くされていたのである。

 

 

 「な、ナカさん、大活躍なんですね」ガンビーが己の日本語知識を総動員した当たり障りのない表現をした。

 

 「人呼んで地方巡業の主だよー」那珂が言った。自嘲する様子はないが、自慢する様子もまた、無い。「まー、行く先々で大人気なのは嬉しいんだけどねー」

 

 「……大人気、なんですか?」

 

 「那珂ちゃん、サービスでアイドル興行してくれるんですよ」

 

 

 ガンビーの疑問に答えたのは羽黒だった。どこか誇らしげに続ける。「現地港湾の方とか、商船団の方とか。那珂ちゃんの慰問、すごく好評なんですよ」

 

 「ファンにお願いされて断るアイドルなんてアイドルじゃないよー」と那珂。

 

 「あ、それで毎日護衛に出撃なんですね!」

 

 

 ガンビーがなるほど!と言葉を続け――再び微妙な表情で固まった羽黒と那珂を見て、冷や汗を流した。

 

 

 「残念ながら因果が逆」いつの間にやらコーヒーを入れながら神風が口を開いた。「ほぼ毎日護衛に出撃して、アイドルやったから人気が出たの。だから人呼んで地方巡業の主」

 

 「そ、その。大規模攻勢時はともかく、平時だとどうしても那珂ちゃんとか神風型のみなさんとか、護衛業務に出ずっぱりの艦って偏っちゃって……」

 

 

 結果、こうして遠征詰め所で管を巻く羽目になる艦娘が出てくるらしい。なお、軽巡では他に鬼怒や多摩、駆逐艦なら睦月型がそんな役回りに落ち着いている。

 

 

 「まぁ、詳しい面子は説明するまでも無いと思うよー。すぐに戻ってくるだろうし――あ、帰ってきた」

 

 「た、ただいま戻りましたー」

 

 

 噂をすれば影、であった。詰め所の扉ががらがらと音を立て、神風とはまた別種の和装に身を包んだ少女が現れる。

 

 

 「あれ、羽黒さんに神風さんに――あ、えーと、ガンビア・ベイさん?」

 

 「ア、大鷹さん。え、えーと、お疲れさまです」

 

 

 どこかぎこちなく護衛空母二人が挨拶を交わしあった。というのもこの二人、同じ護衛空母ということもあってガンビーの着任からすぐ自己紹介を交わしあったのだが、その後あまり会う機会もなく暫く経ってしまったのである。大鷹の方はともかく、引っ込み思案のガンビーにとっては致命的な期間であった。

 

 

 「大鷹さん、お疲れさまです」固まってしまったガンビーの背後から羽黒が顔を出した。「ガンビーさん、今日から護衛総隊専属って形になったんですよ」

 

 「え、本当ですか!?」

 

 「うぇぇ!?」

 

 

 ガンビーが悲鳴を上げた。大鷹に両手を掴まれたからである。が、こちらもどちらかと言えば控えめなタイプであるはずの大鷹に引く気配は無い。むしろ、輝かせた目が真っ直ぐにガンビーを射抜いている始末である。

 

 

 「やっと! やっと護衛隊の空母にも増勢が……っ! 私と神鷹が育ったからって異動になった瑞鳳さんの代わりの空母艦娘が……っ!」

 

 「え、えーと、ハグロさん!?」

 

 

 いよいよ涙すら流しそうになってきた大鷹に、ガンビーが助けを求めるかのように羽黒へと振り返った。居心地悪そうな首席幕僚がそこに居た。乾いた笑いが漏れている。

 

 

 「うち、空母って凄く貴重なのよ」代わりに答えたのは神風だった。大きなため息を吐いている。「空母は戦闘部隊でも任務が多すぎて、元々鳳翔さんと瑞鳳さんで回すのが常態化しててね。その後、大鷹姉妹が参加してそれなりに楽にはなったんだけど」

 

 「鳳翔さんは居酒屋に専念したいって事実上出撃からは引退したでしょ? で、三隻体勢で長らくやってきたんだけどさ、ずほちゃん、改二実装で戦闘部隊からも引く手あまたになっちゃって」

 

 「わ、私と神鷹の二人で、あの仕事量回して来たんですが、やっと、やっと仲間が増えてくれる……!」

 

 

 目の前から感じる圧力に、ガンビーが引きつった笑みを浮かべた。あれ、これブラックなのでは???

 

 

 「あ、大鷹ちゃん、これ。いつもどおり砂糖たっぷりですよ」

 

 

 羽黒が誤魔化すようにコーヒーカップを大鷹に渡した。ちっちゃな少女が、そのイメージに似合ったせかせかした動きでカップを受け取ると、こくこくと飲み干していく。ふぅ、と色んな意味で深さのあるため息が漏れ出した。

 

 

 「ありがとうございます」カップを返しながら大鷹が着衣を正した。「それじゃあ、那珂ちゃんさん、行きましょうか」

 

 「はいよー」

 

 「へ? い、行くって、あの、再出撃ですか……?」

 

 「? はい、そうですよ?」

 

 

 今回、距離的にはそうでもないですから、と大鷹。いや、そういう話じゃ、とガンビーが口に出そうとするが、駆逐艦たちがわらわらと入ってきてタイミングを逸してしまう。と言うか、もしかして。

 

 

 「あの、ハグロさん」

 

 「は、はい」

 

 「お菓子を絶やすなって、執務室でも仰ってましたけど、これ、任務の合間の栄養補給に必須だからですか……?」

 

 

 羽黒がニコニコと笑みを浮かべた。冷や汗と時折引きつっている筋肉さえなければ何も問題なかった。

 

 

 「も、もしかして、私が戦闘はほぼないっていうのは」

 

 「た、多分、航空機輸送とか哨戒とかに悩殺されて、それどころじゃないかなー、なんて」

 

 

 羽黒があらぬ方向を向きながら言った。なんて、とか言葉を濁しているが、護衛総隊の幕僚長のお言葉である。ほぼ確定事項であった。

 

 

 「一緒に頑張りましょうね!」

 

 

 お菓子を何個か胃袋に納めきった大鷹のキラキラとした瞳に、ガンビーの胃がキリキリと鳴った。

 

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 

 

 往時に比べ、明らかに寂しくなった詰め所で、ガンビーが一人ぽつねん、と部屋の中を見つめていた。もはやため息さえ尽きた程である。

 

 結局、大鷹と那珂が揃って出撃していった後も、詰め所は大賑わいであった。見知った駆逐艦も見知らぬ駆逐艦も、詰め所に来ては去っていく。お陰で知り合いだけは異様な数増えていったが、ガンビーに人見知りしている暇はなかった。羽黒と一緒になって、棚からお菓子のおかわりを取り出し、コーヒーを注いでやり、見送るの繰り返しである。気づけば、そろそろ鉄鋼を整理しなきゃと神風すら去っていったから、後半に入ってからも大変さは尚更だ。

 

 

 「お疲れさまです、ガンビアさん。はい、コーヒー」

 

 「あ、ありがとうございます……」

 

 

 いつの間にか、最後の一仕事とばかりにコーヒーを淹れてきた羽黒からコーヒーカップを受け取る。音を立てて啜った。苦い中の甘さと、カップの暖かさが酷く心地よかった。寂寥感よりも達成感の方が大きな、不思議な気分だ。

 

 

 「今日は、これでもう護衛部隊の帰還と出撃はおしまいですなんですか?」ほっと一息入れたガンビーが聞いた。

 

 「いいえ」羽黒が首を横に振った。「ガンビアさん、時計、時計」

 

 

 ガンビーの視線が、言われるがまま時計を探して彷徨い、呆気にとられたように固定された。いつの間にかお昼を過ぎていたことに驚いたのではない。むしろ、まだ午後2時くらいであることに驚いているのであった。慌てて窓の外を見ても、まだ日は高い。けれどもガンビーの肌感覚としては、もうそろそろ空が赤くなり始めるのではないかと思っていたくらいなのである。

 

 

 「一旦山が終わって一心地ですけど、夕方にかけてもう一度ピークが来て、夜はさっき出ていった娘達がぼちぼち帰ってくる、そんな感じですね」

 

 

羽黒が事も無げに言う。ガンビーが呆けたようにそれを聞き、体から力を抜いた。

 

 

 「……ハグロさんが、私をここに連れてきた理由、なんとなくわかりました」

 

 

 力なく呟かれたその言葉に、羽黒が失笑する。ガンビーが拗ねたように唇を尖らせてみせた。そこには、朝に抱いていたはずの隔意はもはや存在しなかった。

 

 

 「正直、見てもらった通り、大変ですよ」羽黒が口調に含まれる真面目なもの大きくした。「軽んじられることだけは無いですけど、少ない人数で回してますし、書類仕事も付随してて、しかも面倒くさいですから。ただ」

 

 「じゃないと、誰も戦えなくなる?」

 

 「その通りです――って、ガンビアさんには釈迦に説法でしたか」

 

 

 護衛空母ですもんね、と羽黒。ガンビーが頭を横に振った。実際、この活況を見ないとわからないものがあるのだ。それに。

 

 

 「皆さん、だからあんなにやる気いっぱいなんですね」

 

 「はい」

 

 

 ガンビーの感傷に、羽黒が力強く言った。この、一見オドオドした艦娘が、有数の武勲艦である事実を思い出させるような返事だった。

 

 

 「ガンビーさんたちは違いますけど、私達は一度失敗しましたから」羽黒が何かに語りかけるように続けた。「だから、避けて通ることだけはしません」

 

 

 ガンビーが、かつて敵味方であり、自分を沈め、そしてそれ以上に沈んでいった陣営の言葉を噛み締めた。何を言うべきかは思いつかなかったが、何をすべきかだけはすぐに分かった。

 

 

 「ハグロさん、私――」

 

 「あ、羽黒! ここに居たのね!」

 

 「うぇぁ!?」

 

 

 いきなり、詰め所の扉が勢いよく開かれた。如何にも活発そうな、茶髪の女性がずかずかと入ってくる。羽黒と同じ色を主体にした、けれども意匠の異なる制服を着ていた。

 

 

 「あ、足柄お姉ちゃん? 何でここに?」

 

 「ちょっとお願いされてね。それに、私だって時々遠征に出るんだから入って来たって良いでしょう?」

 

 「そ、それはもちろんそうですが……」

 

 

 当惑げに応対する羽黒に、ガンビーがようやく、目の前のこの女性と羽黒が姉妹艦である事実に気付いた。が、そこはかとない違和感に襲われる。

 

 

 「ん? 羽黒、ちなみにこの娘は?」足柄が、ようやくこの場に羽黒以外の艦娘が居ることに気付いたらしい。

 

 「G, Gambier Bayです! ハ、ハグロさんにお世話になってます! そ、その、アシガラさんは、ハグロさんの」

 

 「姉よ。改まって自己紹介してなかったわね。妙高型三番艦の足柄っていうの。こっちこそ、妹をよろしくね」

 

 

 足柄が手を差し出す。おっかなびっくり、ガンビーがそれを握り返した。妹に似て、暖かな手だった。

 

 

 「……お姉ちゃん?」

 

 

 だが、ガンビーの感じた温かみを打ち消すほどの凍えた声が吹き付ける。震え上がってそちらを見れば、ニッコリと笑みを浮かべた羽黒がいた。「この前、提督さんが全体訓令で新規着任の皆さんを紹介されてたはずなんですが」

 

 「え、あ、あー、あの娘か! ごめんごめん、あの日ちょっと二日酔い気味で……」

 

 「お姉ちゃん? 那智姉さんと一緒に飲むのは良いけど、お酒への耐性が天と地ほど違うんだから気をつけてって私言いましたよね?」

 

 「は、羽黒、わかった! わかったから、妙高姉さん直伝のスマイルで責めてくるのはやめて!」

 

 

 足柄が腕で顔を隠しながら叫んだ。確かに、羽黒の迫力たるや相当のものである。少なくとも、マジギレした時のシスター・サラ(サラちゃん)並の迫力である。が、そうであるはずなのに、どこか子供のじゃれ合いにしか感じられないというのは、どう考えても仲の良さの証明に他ならなかった。で、あるから。

 

 

 「あ、あの、アシガラさん?」

 

 「な、何々!? ベイちゃん!」足柄が救いの女神を見つけたような声を出した。

 

 「G, Gambierです。って、そうじゃなくて、その。姉妹艦なのに、なんで制服が違うのかなって、ちょっと思いまして……」

 

 

 ガンビーの言葉に、羽黒が急に頬を真っ赤にした。足柄があちゃー、と額を手で抑える。ガンビーが慌ててえっえっと声を上げながら二人を眺めた。何か、不味いことを言ってしまったのだろうか。

 

 

 「あ、あの、ガンビアさん、それは、そのぅ」羽黒があたふたとしてから、足柄を見つめた。

 

 「あー、私の口からはちょっとね」足柄が苦笑いした。「たぶん、羽黒からいつか聞き出せる日が来ると思うわ。ね?」

 

 「う、うぅ」

 

 「はぁ」

 

 

 呻くように頷く羽黒に、ガンビーが怪訝そうに頷いた。結局、何がなんだかわからなかったからだ。

 

 

 「ただ、羽黒?」足柄がウインクしてみせた。「ゲロるの、今じゃないほうが良いと思うわよ?」

 

 「…………? お姉ちゃん、いったい何言って」

 

 「みいつけた」

 

 

 底冷えする声が詰め所に響いた。ガンビーはぎこちなくそちらを見ただけで終わったが、羽黒はそれだけでは済まなかったようである。びくんと震え上がったあと、飛び跳ねるように振り向いて声の主を確認している。

 

 

 「探したぞ、幕僚長」

 

 「し、しししし、しれいかんさん」

 

 

 護衛総隊司令官が、目を怪しく光らせながらのっしのっしと詰め所に上がりこんだ。羽黒が恐る恐る後退していくが、既に述べた通り詰め所は小さいので、逃げ場なんてあるわけもなく。

 

 

 「え、えーと、は、羽黒、無事、ガンビア・ベイさんへの説明任務、終了いたしました!」

 

 「うん、それはそれはご苦労さま。俺が、鉄鋼系の生産調整とか、船団出撃スケジュールの変更とか、降って湧いた工廠からの品質不良クレームとかで悩殺されている間に無事仕事を進めてくれていたようでありがとう」

 

 「し、司令官さん! 知らない! 羽黒、最後のは知らないですっ!」

 

 「良いんだ良いんだ。怒ってない怒ってない」提督が言葉って全く信用おけないんだなということを実践しながら羽黒の首根っこを掴んだ。「ただ、さっきガンビア君に言っていたあの言葉、気に入った。避けて通ることだけはしない、か。素晴らしい言葉だよ、うん。だから、羽黒には今から次の任務を伝えたくてだな」

 

 「つ、次の任務とは」

 

 「なぁに、身構えなくとも、ただの書類仕事だよ」司令官が幽鬼のようになった。「ただ、今日一日司令室に俺以外居なかったせいで処理すべき物が溜まっちゃって、ちょっと、ほんのちょっとだけ、量が多いけれども。羽黒と二人で掛かったならばたぶん大丈夫だよ」

 

 

 羽黒が助けを求めるように周りを見る。だが、ガンビーはオロオロするばかりだし、足柄に至っては笑顔で頑張れと手を降っている。どうやら、そもそも羽黒を探していたのは司令官の依頼だったらしい。つまり、四面楚歌というわけで。

 

 

 「羽黒、今夜は寝かせないぞ?」

 

 

 司令官がセクハラっぽい発言をした。が、羽黒的にはむしろセクハラを意図していたんなら嬉しいくらいであり――もちろん現実はそうではない。そのまま、力任せに引きづられていく。

 

 

 「ご、ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!!!!」

 

 

 呆然と見つめるガンビーとああいうのは犬にでも食わせておけば良いのよと笑う足柄の耳に、羽黒の叫び声がリフレインしていった。

 




なお、深夜0時は回ったけど取り敢えず寝ることだけは出来た模様
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