僕の見える色   作:A00913

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つぼみ

星「明日の18時に田中さんの家の前に来てくれ」

そう言って一星さんは去っていった。俺はまだ鼓動がドクドクとなっているのを感じていた。そう、世界を股にかける星さんの元でこれから絵を学べるんだと、早く父さんにも伝えたい。

俺は急いで帰路に着いた。

 

寿人「父さん!坂口 星一知ってる?」

健三「なんで星一を?」

健三がかつてライバルと呼んでいた相手は他でもなく坂口だった。彼の圧倒的なスキルに気圧されパリを去っていったのだ。

健三「その顔は、会ってきたんだな?」

寿人「うん、俺一星さんの元で3ヶ月間絵を徹底的に学びたいと思う。」

健三「へぇ、あの一匹狼のあいつが弟子をねぇ」

健三(トップレベルになると人間って変わるんだなぁ)

 

〜翌日〜

 

寿人「行ってきます」

そう言って杖を持ちいつも通り元気よく学校に飛び出した。

恵「聞いたわよ。寿人が絵を教えてくださる人を見つけたってあなたも認めたら?」

健三「俺はいつだって寿人を認めなかった事はない。けど、やはり第一線で闘ってきたからこそわかるんだ。」

そう言ってコーヒーを片手に新聞を読み仕事に出た。

学校が終わり寿人が、飛んで帰ってきた、すぐさま部屋に行き、集中して、手の感覚、耳、肌などといった神経を研ぎ澄ませて、絵を描いていた。不思議と自信にあふれていた。

自分の中で目を言い訳にしていた頃に比べると別人のように上達していってる。約束の時間になり星さんにご指導を受けるこんな日々が続いた。

 

〜3ヶ月後〜

 

一星さんがパリに帰る事になった。だが、人一倍上手くなりたいいや、上手くならねばならなかった寿人は物凄い成長を遂げていたのだった。そうかつてパリで一星さんと共に美大へと通っていたあの父に認められるほどになっていた。

星「俺はこれからパリに戻って仕事に戻らないといけない。」

健三「体には気をつけろよ」

星「寿人の事だが、俺から言うのもあれだが、いずれ俺を越す存在になるって断言できる。」そっいってフランスパリへと行った。

 

健三「寿人、本当に絵を描きにパリに行きたいんだな?」

寿人「うん」

3ヶ月前には無かった自信がそこにはあった。

健三「これから高校卒業、そして美大の試験までは、一星に変わり俺が見る。妥協は許さんぞ」

寿人は大きく頷いた。

 

そこからは一星さんに変わり父 健三が父としてではなく、1人の画家として寿人に打ち込んだ。手が痺れ、寝る間も惜しんだ。そんな日々が楽しくて仕方なかった。絵を描いてると不思議と目が見えるように感じる。

寿人にとっては絵を描いてる時が唯一、色が見えるように感じているのだった。

彼は目が見えないを理由にしたくないという強い気持ちが彼を動かした。そうやって成長してきた。

 

そして時は流れ

 

美大の試験の日となった。試験内容は題材にそった絵を描きそれを試験監督に認められると合格と言った単純なものだった。

 

〜当日〜

 

寿人と健三はフランスへと旅立った。

パリという街自体が芸術そのものだ。だが、寿人にそんな美しさ、景観、は目に見えない。

そうな寿人でも心躍る何かを感じるほどだった。

 

試験会場にて

寿人「父さん、全力で俺頑張るよ」と手を振って行った。

その手はボロホロでとても18歳の手とは思えなかった。不思議と健三はその手を見て安心をした。今までの努力をじかに見てたからじゃない、あの手を見れば一瞬で想像がつくほどの努力をしたのだろうと、寿人は目が見えないから人の2倍努力をしないといけなかった。才能などといったものは持ち合わせていないのだ。

 

〜その日の夜〜

試験が終わり寿人が出てきた。他の受験者たちは自信を失っているようだったが、寿人ただ1人笑顔だった。

健三「どうだった?」

寿人「楽しかった!」

18歳が人生を左右する試験で楽しいと感じれるだろうか。

と心の中で笑った

 

〜数週間後〜

 

合否の決まりは電話によって決まる。今日電話が来ると合格、もし来なければ、不合格。

そわそわした寿人を見て

恵「大丈夫よ、寿人が努力していたのは1番身にしみてわかってる私がいうんだから。」

寿人「うん、、」

刻一刻と時間が経ち昼の15時を回ろうとしたその時。

電話「プルルルル」

その瞬間寿人は泣いて喜んだ。

母さんが受話器を手にして、泣きながらこっちを見ている。

そう合格の通知だったのだ。

その日、寿人はフランスの名門パリの美大へと進む事になったのであった。

 

高校を卒業してすぐに寿人はパリへと行く準備をしていた。

 

寿人「父さんと母さんのお陰だよ。目が見えないこの人生も捨てたものじゃないって思えるようになったんだ。ありがとう」

 

健三「寿人、最後に頼みがあるんだ。目が見えないを売りに使わず名を轟かしてくれ。」

寿人「それはどうゆうこと?」

健三「目が見えない画家だからって理由でファンになってほしくない。寿人の絵の本質に触れ感動をしてほしい。」

切実な願いだった。

寿人「実は俺も同じことを考えていた。」

 

〜パリにて〜

寿人(不安だらけだけど父さん、母さんの為にも頑張るぞ)

「おーい寿人」

聞き慣れた声が聞こえた。

星「どんだけ待たせんだよ」

寿人「約束通り合格しましたよ。これで正式に弟子入りですかね?」

星「これからはビシバシと鍛え上げるからな」

 

最終回 夢の果て編

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