暗い空間に私は漂っていた。
多分死んだのか・・・。
周りには無数の額縁が漂っており私の記憶が映し出されている。
楽しかったあの日々、平和だった日々、あまり思い出したくない日々、悪魔のようなあの日、何一つ包み隠すことなく映し出されていた。
どうやらこれが俗に言う走馬灯というものらしい。
まさか本当に存在するとは。
14年、短い人生だったな。
未練はない。
何故なら生きていても私の生きる場所はもうないのだから。
それに人は遅かれ早かれ何時かは死ぬ。
それが自然の摂理なのだから。
抗うことなどしない。
そうばぁちゃんに教えられたから。
そうして私は目を瞑り、空間に身を委ねた。
沈んでいるような浮かんでいるような、まるで高熱が出たときのような浮遊感に襲われつつ私は再び意識を手放した・・・
「まだこちらに来るのは早くないかい?もう少し世界を見てみなさい。偏った考えは間違いの始まりさ」
ふと意識が覚醒し、目を開き体を起こした。
目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。
きれいに片付けられ、生活に最低限必要であろうシンプルな家具が置かれた清潔という言葉を具現化したような部屋だった。
綺麗好きだった私の母でもここまで綺麗に片付けられないぞ。
そして私は窓際に設置されたこれまたシンプルなベッドの上にいた。
そのベッドのとなりには、金髪のショートカットの女性が目を大きく見開いて、驚きを隠しきれないと言わんばかりの表情で私を見ていた。
どこか母ににた雰囲気を感じる。
「ここは死後の世界か?」
「・・・へ?」
私は今の現状を確認するため少女に尋ねると、この部屋の空気と女性の表情は10分間、硬直した。
ーーー女性視点ーーー
私の名前はアリス・マーガトロイド。
私は今、頭の処理に追われている。
というのも、今私の目の前には瀕死だった男の子がいる。
この子は数日前、魔法の森で瀕死の状態で魔物に襲われそうになっていたので保護したの。
といっても私はただ見ていただけで、実際に魔物を倒したのはこの子。
それも瀕死の状態にも関わらず、あり得ないくらいの魔力を使って魔物を消し飛ばしたわ。
そしてありったけの魔力を注ぎ込んだせいか気絶。
はっきり言って無謀だわ。
本当だったら助けるつもりはなかったのだけれどその子の異様な姿と力が気になったから助けてあげようと思ったの。
それに傷が大変なことになっていたから。
だってこの子、腕と脚が機械で出来ていたのよ。
しかもついていると言うよりかは、傷口にめり込んでいると言うような付き方をしていたの。
お陰で腕と脚が血まみれだったわ。
そしてあり得ないくらいの大量の魔力を放ったのよ。
まるであの白黒の魔法使いのようにね。
いや、あれ以上ね。
それに怪我の仕方が余りにも酷すぎたから見てられないから保護してあげることにしたの。
・・・失礼、動揺しすぎて少し余分なことを考えてしまったわ。
そしてこの子、三日間寝続けて起きて一言。
「ここは死後の世界か?」
予想の斜め上過ぎる質問に私は困惑した。
どうしてそうなったの!?
あれ?生きてる?とかならないの!?
なんだこの子!?
取りあえず私はなんとか答えた。
「違うわ。あなたは生きてるわ。ここは私の家よ」
「そっか・・・助けてくれてありがとう・・・ございます。」
なんというか・・・可愛い見た目に反して素っ気ない子ね。
精神的ダメージのせいかしら?
「怪我の具合はどう?どこか痛いとかない?」
「うーん、腕や脚の根元が少し痛むくらい・・・です」
「そこは仕方ないわ。すごく傷が深かったもの。私の魔法で傷は治せたけど腕は治せなかったわ。だから代わりに義手と義足を作っておいたわ。あなたの付けていた義手、重くて扱いにくそうだし日常生活であれはちょっと大変だと思うわ」
それを聞いてその子は私が治癒魔法で結合した腕のあった場所の傷口と、人形の要領で作った義手義足を眺めていた。
「どう?私のお手製の義手は?あなたが嵌めてた義手義足に比べて軽くてぴったりでしょ?」
「・・・」
するとその子は少し考え始めた。
何よ、不満かしら?
「すみません。各関節が動くように加工して、中に鉄芯を入れてくれませんか?」
「鉄芯?まぁいいけど・・・針金で良いかしら」
「構いません」
意外な注文が返ってきた。
関節が動くようには何となく分かる。
魔力かなにかで動かすのだろう。
だが鉄芯?なんで?
私は怪訝に思いながらその子から義手と義足を取り外し、作業台に向かった。
なんと言うか、まだ幼そうなのに変にしっかりしてるわね。
礼儀正しいのは良いのだけど、可愛いげがないわね。
そんなことを思いながら作業を終わらし、再びつけてあげた。
「これでどうかしら?」
「・・・」
義手をつけてあげると、その子は義手をみて黙ってしまった。
考えているのか、何をしているのかは私にはわからなかった。
少し様子を見ていると突然、腕が動き始めた。
そして、脚まで動き始めた。
え?なにしたのこの子?
そしてひとしきり動かした後に、彼は満足といった表情で言った。
「えぇ。完璧です。ありがとうございます」
「え、えぇ。馴染んだのならよかったわ。ところであなた」
「はい」
「色々聞きたいことがあるのだけれど、良いかしら?」
「勿論です。・・・そう言えばまだ名乗っていませんでしたね。私の名前は金田隆二です。助けていただきありがとうございます」
「アリス・マーガトロイドよ。それじゃあまず・・・」
私が最初からずっと気になっていたことを聞いた。
「あなた何歳?」
「14歳です」
違ーう!
やってしまった!
確かにそれも気になってたけども!
てか若!
なのになんでそんな落ち着いてるの!?
もっとはしゃぎなさいよ!
「そ、そうなのね。それじゃあ次に、あなたの身に何があったのか、教えてちょうだい」
「はい。私もそれについて話そうと思ってたところです」
そう言うと彼は一つ一つ話し出した。
彼が数日前に壊滅した村の生き残りであること、助けを求めて人の住む町を目指していたこと。
正直言って、思った以上に無茶ぶりだった。
普通の人間が魔法の森を生きて抜けるのは不可能だ。
しかし、恐らくそうするしかなかったのだろう。
私は思わず架架抱き締めていた。
「あ、アリスさん?」
「あなたよく頑張ったわね。もう大丈夫。安心しなさい」
それを聞いて、彼は年相応の少年のように泣き出した。
嗚咽を漏らし、大きく声を出して私にしがみつきながら。
なんだ、どれだけ大人びてても根はちゃんと年相応じゃない。
何無理して大人ぶってるのよこの子は。
私はその子の頭を泣き止むまで撫でてあげた。
「その・・・すみませんでした。お恥ずかしいところをお見せして」
「いいのよ。少しは落ち着いたかしら?」
「はい」
「なら良かったわ。ところで、あなた人里目指してたみたいだけど引き取ってくれる宛はあるのかしら?」
「それは・・・無いです」
「そう。ならこの家にいると良いわ」
「えぇ!?さ、流石にそれは、・・・迷惑では?」
「じゃぁ人里で野宿でもするつもり?」
「それは・・・」
「きっと野宿なんてしてたら怪しい妖怪に食べられちゃうわよ?」
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて・・・宜しくお願いします・・・」
「はい、良くできました。それと敬語はなしね。堅苦しいもの」
「わ、わかった・・・」
「それじゃ、改めてよろしくね、隆二」
「よ、よろしく・・・お願いします」
私は、何をしているのだろう。
ちょっとした同情心からだろうか。
しかしだからと言って人間を助け、しかもあろうことか一緒に暮らそうとまで言ってしまった。
・・・。
まぁいいや、なるようになってしまえ。
なんだか私らしく無いような気がするけどたまにはこう言うスタンスでも良いのかもしれない。
私、アリス・マーガトロイドは今日、人間の子供を拾いました。
少しかいては保存してを繰り返しながら書いてるので変なところがあるかもしれませんが許してください!(笑)