金属の生き物と金属を操る少年   作:鯣伊賀耕作

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徒然なるままに~
電車のなかで書き綴れば~
・・・
なんだろう


5話 内燃機関

昼食を済ませた後、私はアリスに魔法を教えてもらっていた。

と言っても二人でひとつの教科書を見て、アリスが解説してくれているといった感じだ。

・・・にしてもすごく分かりやすい。

 

「・・・なるほど」

「分かった?じゃあ早速外でやってみよっか!」

「え?さすがに無理がある気がするが・・・」

「大丈夫よ!隆二は素質あるからすぐ使えるわ!」

「そんな無茶な・・・」

さすがに少々無理があるような気がするが、アリスはお構いなしに私の手を引っ張って家の外へ連れ出した。

 

アリス曰く私には魔法の才能があるらしい。

何でも、普通の人間の倍以上の魔力を持っており、発動さえすればすんごいパワーがあるらしい。

言うなれば、生まれつき体力がめちゃくちゃあるってことらしい。

因みに今、魔法の基礎である発火を教えてもらった所だ。

そしてそれを実際にやってみようとの事。

確かにやる事によって覚えることは納得だが、少々無理がある気がする・・・

だってあの本、ほとんど説明丸投げして感覚的にやれと言わんばかりであった。

ほんとうに『サルでも分かる 魔法基礎』なのか?

アリスの解説がなかったら殆ど分からなかったぞ!

著者に是非とも聞きたいところだ。

 

「さぁ、さっきの本を思い出してね!まず、手を前に向けて開くの」

「こ、こうか?」

そう言って手を広げて前に向ける。

「そう!そして手の先から何か力を出そうとするイメージを持つの」

「りょ、了解・・・」

言われた通りにしようとするも、どんなイメージだか想像がつきにくい。

取りあえず自分の思った感じにやってみた。

「そう。あとは頭の中で詠唱するの!あの教科書の通りに!」

 

詠唱とは、魔力の中にある物質に命令する文章のようなもの。

それを読み上げることによって魔法が発動できる。

しかしこれが難しい。

アリス曰く、慣れれば簡単、らしい。

さらに言えばこれができなければ魔法を扱うのは無理だそう。

ホントに初歩なのだ。

さて、確か・・・。

 

詠唱を終えた瞬間、手の先から熱を感じた。

「あ・・・」

「す、凄いわ隆二!成功よ!」

「お、おぅ・・・」

なんと言うか、少し期待はずれな気がした。

目の前にある火は、まるでろうそくの火のように、小さく燃えていた。

 

「?どうしたの?」

「何と言うか、思ってたより大人しいな」

「そりゃそうよ。確かにあなたにはたくさんの魔力があるといえども、魔法なんて使ったの初めてでしょ?」

「そうだな」

「だったら火がつけば上等よ!さ、感覚を養うために続き行くわよ!」

 

そう言って、アリスはご機嫌に鼻歌を歌いながら私の手を引っ張って家の中へ連れて行った。

その後、万が一のための防御魔法を教えてくれて、今日の講習は終了した(因みに防御魔法は難易度が上がってあまり使えるものではない)。

 

「ふぅ」

私は自室に戻り、ベットの上に腰かけた。

アリスにさんざん振り回され、ドッと疲れた。

しかし、それ以上に魔法が扱えるようになるのは何より楽しかった。

そして、ふと机の上にある義手をみた。

私の義手の動かせない問題。

分解することで分かったこともあるが肝心の動かすための方法が分からない。

 

さて、どうしたものか。

 

私が考え事をしているとアリスが入ってきた。

 

「何悩んでいるの?」

「あぁ、アリス。義手の構造で分かったことがあるんだが、分かったことと同時に謎も増えたんだ」

「あらそうなの?どれどれ私に話してみなさい」

「うん」

 

私は、アリスに分かったことを話し出した。

細かいことは追々説明するとしてとにかく分かったことだけを説明した。

まず、義足の中には内燃機関が埋め込まれていた。

その内燃機関は特殊な構造をしていること。

そしてそれを動かすための火が必要だがその火を発生させる肝心な部品が見当たらないこと。

 

説明するなり、アリスは困ったような顔をした。

デスヨネー。

 

「ないね・・・何それ?」

「内燃機関。動力を産み出す機械のこと。これにより、人では出すことのできない力を産み出すことができる。因みに開発者は親父らしい」

「へぇ~凄いわね。でもそんなの人里では見たことないわ」

「親父曰くこれを使えるのは私の住んでいた村だけだそうな。何でも動力を産み出すには動力源となる燃料が必要で、その燃料がこの村では安く手に入るけど村の外ではとんでもなく高いらしい」

「確かにそれだったら仕方ないわね。因みに燃料は?」

「アルコール」

「あ、そりゃダメね」

 

アリスが教えてくれたが、どうやらアルコールは1Lあたり500円程度だそうだ。

村で使われていたアルコール内燃機関は、一番燃費の良いもので1時間で0.7Lを消費した。

これでは当然経済的に厳しい。

さらに村では1Lあたり10円で水道のように売られていた燃料だが、村では小さな瓶に1Lで売られているらしい。

何てこったい。

 

「普及しないのは当然ね」

「・・・そうだな」

「因みにそれってどうやって動いてるの?」

「ククク、説明しよう!」

「フフ、お願いね」

 

私は内心跳ね上がるテンションを必死に抑えながら話し始めた。

だって好きなんだもの!

 

「内燃機関には様々な構造のものが存在するが基本動作の原理は一緒である。

空気と燃料を混ぜた空気を燃焼室に吸い込んで圧縮し、圧縮したり空気を燃やしてエネルギーを作り出す。

これを延々と繰り返す。

これが内燃機関だ」

「へぇ。なんだか凄いわね。魔法みたい」

「一体これ考えた人、どんな生き方してたのやら」

「って、これ考えたのあなたのお父さんじゃない」

「ははは!でもホントに凄い人だったよ!」

 

もっと親父に教えてもらいたかったな・・・。

 

突然、悲しい気分になった。

その気分を誤魔化すために、話の続きをした。

 

「さて、分からないのはこの燃料を燃やす方法とその燃料なんだ。このタイプの内燃機関は親父の設計図を見せてもらっただけで実際に動いているところは見たことないんだ」

「なるほどね・・・ところで隆二」

「?」

「ちょっとこっちへおいで?」

 

なんだかよく分からないがアリスに近寄ると突然抱き締められた。

 

「あ、アリス?」

「何か思い出したの?」

「・・・」

 

何もなかった。

実はこの形のエンジンは、親父と一緒に作ろうとしていたエンジンだ。

親父は昔これを作ったことがあったらしいが、訳あって壊れてしまった思い入れのある形のエンジンらしい。

これを次組むときは息子と一緒に組みたかったそうだ。

 

気づけば私は号泣していた。

そして親父のことを勝手に話していた。

どうやら人間、大切な人を失った傷はそう簡単には消えないようだ。

なかなかな精神的ショックだったようだ。

 

「全く、辛いのを我慢するのが一番格好悪いわよ?泣きたいときは泣けば良いのよ。人間そんなに強くないんだから」

 

そういってアリスは落ち着くまで私を抱き締めていた。

 

「落ち着いたかしら?」

「う、うん。・・・ごめんなさい」

「全く、子供の癖に強がらないの!それと謝らない!こういうことしてもらったらありがとうって言うのよ!あと甘えたいときはいつでも言いなさい!」

「そ、それは・・・遠慮しておく」

「もう!可愛くないわね!」

そういってアリスはさらに強く抱き締める。

「ちょ、アリス、離して・・・恥ずかしい」

「ダメ!」

「そんな・・・」

 

その日の残りの時間、必要な時以外ずっと抱き締められたままだった(寝るときも抱き枕の如く・・・)。

・・・とにかくすっごく動きにくかった。

でも、慰めてくれたのはすごくありがたかった。

感謝している。

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