ADVENT CIRNO~もう1人の脇役主人公 作:牙の道化師
―――その日は雪が積もっていた。
気温は肌着だとくしゃみをする程だった。
そんな場所に、1人の男が木にもたれ掛かっていた。
「………。」
外傷は無い。
服装はかなり変だ。
おまけに仮面を被っているから表情は覗えない。
覗えないが―――酷く憔悴していた。
そんな時、足音が聞こえてくる。
ズシリ……ズシリ……
その足音は男の居る場所に近づいている様だ。
そして、足音の主は男を発見した。
「………大丈夫?」
「………。」
話しかけてきたのは女性だった。
特徴的な帽子が印象的だった。
男は返事もせず、ただ頷いた。
「………本当に?なんだか落ち込んでいる様に見えるけど?」
「………。」
男は顔を横に振り、手で伝える。
シッシッ!
犬猫を追い払う様な態度を取られたにも関わらず、女性は怒りもしなかった。
「あはは!それだけ動けるなら特に問題無いかな?でも、ここら辺は危ないから早く街に戻ろっか?」
「………。」
男はうんざりした様な雰囲気を醸し出すが、相手にするのが嫌になったのかその場から立ち上がり女性が来た方向へ向って歩き出す。
ザッザッザッ
男の後を付いてくる様に女性も付いてくる。
会話などない。
ただ、何処か物悲しい雰囲気ではあった。
「……ねぇ。」
不意に女性が話しかけて来た。
男は無視をした。
しかし、そんなやり取りが数分続いた。
「………なんだ?」
男は初めて声を出して返事をする。
「なんだ、ちゃんと喋れるじゃないの。」
笑顔で言う女性。
「何の様だ?」
「そうねぇ、貴方は何であそこに居たのかしら?」
「別に……あんたには関係ないだろ。」
「う~ん、気になっちゃう性分なのよね。」
「………友達いないだろ。」
「失礼ね、これでも多いわよ。この前なんか小さな子とも友達になったわ。」
「それ友達って……言えるな。」
男は仮面をつけているが、笑った様な雰囲気を出していた。
「……俺があそこに居た理由を知りたいのか?」
「ええ。」
「………何、ただ逃げてきた話だ。」
「ふ~ん、鬼ごっこでもしてたの?」
「ボケてるのか?」
「どっちでしょう?」
「……まぁ、あれだ。一夫多妻制とハーレムを作ろうとしたら女性達の親の逆鱗に触れて殺されそうになって逃げたっていう情けない話さ。」
「………あー。」
もの凄く微妙な顔をする女性。
「まぁそういう訳だ。あんたはこんな所に何をしに?」
「私?そうねぇ……自分探し、かな?」
「……そうかい。」
「あら?以外に聞かないのね。」
「人の悩みに口出せる勇気が無いだけさ。」
そんな会話をしていた時。
―――グルルッッ!―――
「………危険、だったな。」
「………そうね。」
「どうする?武器なんて無いぞ?」
「―――大丈夫、私に任せなさい。」
女性はカードを取り出す。
そし足元から“アイスバー”が出現した。
しかも普通のアイスバーでは無く、大きいアイスバーだった。
「………何物だよあんた?」
「―――正義の味方よ。」
その後、襲ってきた獣―――モンスターは成敗され気を失っている。
女性はボールの様な物をモンスターに投げつけると、モンスターをボールの中に吸収した。
「………見事な腕前で。」
「お褒めにあずかり、て所かしらね。」
「………なぁ、あんたは何の為に“その力”を使う?」
「………。」
その質問に、彼女は答えない。
「………それじゃあさ、あんたは“なんだ”?」
「……どういう意味かしら?」
「様は、あんたはどういう存在なんだ?戦士か?勇者か?英雄か?」
捲くし立てる男。
女性はこう返す。
「私は―――最強の矛をも殴り飛ばす最強の盾―――なのかな?」
困った様子で返答をする。
「………あんたが盾ならさ、俺は―――。」
そこで目が覚めた。
男に取って酷く懐かしい夢であり、あの日以来会ってない女性を思い出した。
「………噂じゃ自警団なんてやってるらしいが、何処にいるのやら。」
そんな事を呟く男―――直人は借り部屋を出た。
あの後、紆余曲折の末に女性の友人と言う少女に出会ったのだが、その話はまた後日。