年下少女漫画家とドキドキ!? 共同生活!   作:チャンドラ=グプタ

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好きな漫画

 千尋さんに原稿を渡してから約二週間が経過した。俺は瞳と共に仕事をしていた。

 しばらくの間、アシスタントの方を休んでいた為、こっちの方も精一杯やらなければならない。

 それに、今週は出来るだけ早く仕事を終わらせる必要があった。日曜日に瞳と映画館と水族館を見に行く約束をしているからである。ちなみに遊園地は来週行く予定である。

 作業中にインターホンの音が聞こえてきた。多分、千尋さんだろう。

 俺は玄関に向かい、扉を開けると案の定、千尋さんが外にいた。

 

「お疲れ様、健二くん。岩泉先生、中にいる?」

「はい、いますよ」

 千尋さんと共に仕事場に戻る。瞳は千尋さんの姿を確認すると、すぐに「千尋、ネーム出来たから確認お願い」とネームを渡した。

「ありがとう。それじゃ、読ませてもらうわ。あ、その前にこれ渡しておくわね」

 千尋さんは瞳に来週の月曜日発売のジョークの見本誌を渡した。

「ありがとう。ねぇ、健二くん。先に読む?」

「うん。頼む」

 

 俺は早速、見本誌を読ませてもらうことにした。いつもは見本誌を読まず普通に購入するのだが、今週号は別だ。

 なぜならば、勝負相手である郡山先生の読み切り作品が掲載される号だからである。

 俺は早速、郡山先生の作品を読むことにした。タイトル名は『電脳ゲーム ブラックルーム』――内容は脱出もので、罠だらけの部屋『ブラックルーム』に集められた男女六人がブラックルームからの脱出を目指すという内容である。

 内容はかなり濃く、脱出する途中で話は終わっているが読み切りとしてかなり綺麗に纏まっている。

 

「面白いな……」

 

 思わず呟いた。郡山先生特有の主人公が頭脳を駆使して危機を乗り切るシーン、途中で出くわす謎の怪物との戦闘シーン。

 個人的には郡山先生が連載している『ギャンブル王 匠』よりも面白いと思った。

 これが連載されればかなり人気が出るのではないだろうか。もっとも、少しジョーク向きではないとも感じたが。

 『電脳ゲーム ブラックルーム』を読み終えた後、他の漫画を読んだ。カギリリス先生の『ロボット・プラネット』は相変わらず面白い。

 そういえばもうすぐ出産ということで、パーティには来ていなかったが、休載してないな。

 あらかじめ書き溜めておいているのだろうか。だとしたらかなりの速筆である。

 イチピースも人気があるが、やはり気滅の剣は今一番勢いがある。

 そろそろ、物語も終盤という感じがするがこの人気から察するに編集部はまだ連載を続けてもらおうと画策するかもしれないな。

 終わらせたいところで終わることができない――打ち切りも辛いが人気作品に取ってはそれも辛いところである。

 まぁ、今の俺には縁の無い話か。一通り読み終えるとジョークをテーブルに置き、俺は再び作業に戻った。

 

「健二くん、一志くんの漫画……どうだった?」

 千尋さんとの打ち合わせを終えた瞳が郡山先生の作品の感想を訊いてきた。

「面白かったよ」

 俺は正直に漫画の感想告げた。だが、俺が描いた漫画も負けているとは決して思っていない。

「そっか……健二くん、勝てそう」

「どうかな……瞳も読んでみたらどうだ?」

「うん、そうだね」

 

 瞳はジョークを手に持ち、早速『電脳ゲーム ブラックルーム』を読み始めた。

 瞳はとても真剣な表情で漫画を読んでいる。

 俺は瞳の漫画に向き合う姿勢を心から尊敬している。

 普段の私生活はダラシないが、漫画になるとともかくひたむきに向き合うのである。

 

「うん、やっぱり一志くんの漫画は面白いね」

「ああ、そうだろうな」

 すると、椅子に座っていた千尋さんが急に立ち上がった。

「健二くん、確かに郡山先生の漫画は面白いと思う。けどね……私は健二くんの漫画も負けていないと思うわ」

「うん、私もそう思うよ。健二くんの漫画なら絶対に勝てるよ」

 二人にそう言ってもらえてとても心強い。しかし、結果など結局のところ蓋を開けてみるまで分からない。

「私が全力でサポートしたからね! もしダメだったら私を罵ってくれてもいいわ!」

 

 千尋さんは握りこぶしを作り、『ドン』と自身の豊満な胸を叩いた。衝撃を受けた胸は『プルン』と大きく振動する。

 頼もしいが罵っていいというのはな……てっきりSだと思っていたが本当はMだったりするのだろうか。

 

「そんなことしませんよ……結果が出ないのは作者の責任……そうでしょう?」

 作品を作る以上、結果の責任は全て作者が負わなければならない。少なくとも俺はそう考えている。

 結果が出ないのを編集者のせいにする作者もいるが、そんな考えでは決して上に行くことができない。

とができない。

 当の俺も最初打ち切りになった時は編集の言う通りにしていたせいだと思い込んでいたのだが。

「まぁね……けど、健二くん。編集に頼るというのも作者にとって必要なことなのよ。それを忘れないでね」

「分かりました」

 

 明梨さんは部屋から出ていった。さてと、仕事を再開するか。瞳から指定を受けたコマに背景を書き込む。自分で言うのもなんだがアシスタントを始めてから、背景を描くのもだいぶ上手くなった気がする。もっとも、もし自分が連載になったら、背景はアシスタントに任せることになるが、背景を描くのが上手くなって不都合はない。

 集中して作業に取り組んでいるとあっという間に日が暮れた。

 

「もう、こんな時間か。健二くん、今日はもう終わりでいいよ」

「分かった。それじゃ、夕食を作る。何か食べたいものはあるか?」

「えーと、そうだね。魚料理を食べたい気分かな」

 魚料理か。確か冷蔵庫に鮭が入っていたはずだ。

「分かった。それじゃ、鮭で適当に何か作る」

 

 台所に向かい、料理を始める。鮭をフライパンで炒めて、塩とニンニクを掛ける。

 料理を開始してから三十分ほどで二人分の料理が出来上がった。作った料理は鮭のムニエルである。

 

「お待たせ」

 完成した料理をリビングに持っていった。

「おお、美味しそうだね」

 料理を見た瞳は目を輝かせた。

「そうだろ。早速食べようか」

 夕食を瞳とともに食べることにした。俺が作った料理を瞳は美味しそうに食べている。

「ねぇ、健二くん。ジョーク以外で好きな漫画ってある?」

「ジョーク以外でか? そりゃああるけど……」

「どんな漫画が好きか教えてくれる?」

 俺はどんな漫画を挙げるべきか少し悩んだ。候補がたくさんありすぎて絞り込むことが難しい。

「そうだな……たくさんあるが、強いて挙げるとしたら『リコリスアイランド』とかかな」

 

 俺はかつて夢中になって読んでいた漫画の一つを挙げた。

『リコリスアイランド』とは週刊ヤングマーガレットという雑誌で連載されている漫画であり、内容は主人公がウィルスに感染し、吸血鬼と戦うというものなのだが、登場人物の独特のセリフの言い回し、要所要所で活躍する丸太、シリアスな笑い、迫力の戦闘シーンが見どころでカルト的な人気がある。

 何より主人公の小宮晃さんがめちゃくちゃ強い。

 

「ああ、あの丸太が活躍する漫画ね」

「ま、まあな……」

 瞳はリコリスアイランドを丸太が活躍する漫画で覚えていたようである。確かにそれは間違いではないのだが、この漫画の魅力はそれだけではない。

「瞳は? ジョーク以外の作品だと何か好きなのはあるのか?」

 何気に今まで訊いたことがなかったが、興味はある。

「そうだね……ジョーク以外だと、『鋼鉄の錬金術師』とか好きかな」

「鋼鉄の錬金術師か。あれも面白いよな」

 俺も連載していた当時、読んでいたが最終回までの展開は本当に手に汗を握るものであった。

「うん。後は『追撃のジャイアント』とか『黄金色のダッシュベル』も好きだよ!」

 挙げてきたのはやはりどれもバトル漫画である。瞳の作風的に当然と言えば当然か。

「やっぱりバトル漫画が好きなんだな。バトル漫画以外で好きなのはないのか?」

「そうだね……バトル漫画以外だとミステリーとかスポコンものとか読んだりするよ」

「へぇ、そうなのか」

 個人的にはミステリー漫画は頭を使うため読むのが苦手である。例えば『迷探偵カナン』を小さい頃読んでいて犯人を推理したことがあるのだが、一度も当たったことはない。

「うん。実は今、次回作のことを考えててね」

「次回作?」

 確かに『桃仁少年』の展開はそろそろ佳境に入っていると感じていたがもう次回作のことを考えていたのか。

「そろそろ『桃仁少年』を終わらせようと思っててね。だから、次は何を描こうかなって考えてたんだ」

「それでジョーク以外の好きな漫画を訊いたのか」

「参考までにね。ジョークだとバトル漫画が人気だけど、あえて別のジャンルに挑戦したいと思うんだ」

 ジョークでバトル漫画以外の漫画で挑戦か。実際のところそれは難しい問題である。

 バトル漫画以外でヒット作を出すのは前例がないわけではないが、かなり稀なケースである。

「バトル漫画以外でか……」

「難しいことだとは分かってるよ。けどね、挑戦したいんだ」

 

 意思は硬いようである。『桃仁少年』の人気なら今の章が終わっても続きを書くことができるだろう。それでもな次回作を考えているということは新しい漫画を描きたいということか。

 

「そうか。俺がバトル漫画以外で好きな漫画を挙げるとすれば、『遊んで遊んで遊びまくれ!』っていう漫画かな」

 漫画のタイトル名を挙げると瞳はキョトンとした顔をした。

「ふーん、聞いたことのないな」

「そうか……週刊少年マーガレットで連載されていた漫画なんだが、ジャンル的には日常漫画に当たるのかな。とにかく絵が上手い漫画なんだ」

 

 可愛らしいキャラクターたちが登場し、良い意味で何も中身のない内容である。読んでいると和やかな気持ちになるのだが、人気がなかったのか結構早く完結してしまった。

 

「へー、そうなんだ。あ、そうだ。日曜日のこと、忘れてないよね?」

 日曜日のことというのは勿論、映画館と水族館のことを指している。

「ああ。映画と水族館のことだろう?」

「うん! あー、すっごい楽しみだなぁ」

 ちなみに映画は『オタクに恋愛は向いていない』を見に行く予定である。原作は漫画であり、内容はタイトル通りラブコメものである。

 映画を観に行くに当たって俺は原作を読んでおいていた。登場人物のほとんどがアニメ知識が深いという設定であり、アニメのパロディネタがちょくちょく挟まれていて面白いと思った。

「そうだな。そのためにも今週の仕事を早めに終わらせないとな」

「うん! そうだね」




 好きな漫画について語り合うのいいですよね。彼岸島が好きな人がいましたら是非コメントお願いします。
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