俺が、あいつと初めて会ったのは一層。
本当の意味で、あいつと関わるようになったのは何層の時だっただろうか。
あいつは、話さない奴だった。
話せないのか、話していないだけなのか。あいつは、俺と会うといつも不機嫌で、最初は俺の事が嫌いなんだと思ってた。
あいつの戦い方は、不思議だった。まるで、何時までも戦って居たいとでも言うように、攻撃せず、受け流して、受け流して、受け流す。
ある時、興味本位でデュエルに誘った。勿論、初撃決着モードにするつもりだったし、そもそも、断られると思ってた。結果から言うとあいつは、デュエルの申し込みを受諾し、俺は勝った。
それからと言うもの、俺はあいつに会う度にデュエルを申し込んだ。
俺がデュエルを申し込むと、あいつは肩をすくめて、やれやれと言うようにジェスチャーをする。そうしてあいつから、半減決着モードの申請が来たらスタートの合図だ。
デュエルが始まり、既知のソードスキルを発動すると、あいつは、決まってソードスキル発動中の剣の腹に当てるように、ソードスキルを当ててくる。しばらくしてから気づいたが、あれは挑発だ。
あいつの受け流しは、相変わらず上手いが、決着までにそう時間はかからない、俺の勝利でデュエルが終わる、すると、あいつが満足したように去っていく、そんな仲だった。
黒猫団と出会ってから、暫く、あいつと関わるのは避けていた。
見透かされるような気がしていた、ようやく立ち直って会いに行った時、アスナから、あいつは行方不明だと聞かされた。生命碑には、名前があったし、大丈夫だろうと思っていた。
だけど、次にあいつと会った時、あいつは人を殺していた。
ラフィンコフィン討伐戦、俺達がそこに到着した時には、そこに人は数人だけ。メンバーだと思われるプレイヤーに、あいつが襲いかかっている最中だった。
「久しぶりだね、キリト。」
その声は、今まで聞いた事のない声で、あいつが、話しているという事実を、すぐさま理解するのは無理だった。まるで機械のような声、プレイヤーが倒れているのもあって、現実感がなく、とても無機質なものに感じられた。
そこからの事は、良く覚えていない。
75層で、ヒースクリフとデュエルしていた時、あいつとのデュエルを、何故か鮮明に思い出していた。…あいつが、ソードスキルの軌道を読み取れるのは、モーションを正確に把握し、自分の視界に描けるからだ。
自身のモーションと、相手のモーションを交差させ、ぶつける、あいつは紛れもなく、対プレイヤー最強で、そんなあいつと俺は戦ってきた、その事実をあのデュエル中に、俺はずっと体感していた。
俺が、ヒースクリフに勝てたのは、アスナと、あいつ…アキのおかげなのは間違いない、だが、ヒースクリフの戦い方とあいつの戦い方は、似ている、あいつは片手直剣のみ、ヒースクリフは神聖剣、違う筈なのに何処か似ている、それが引っかかっていた…。
エギルに、アスナの画像を見せられた時、そして、画像に添えられた文章を見た時、俺はあいつだと確信できた。
『Akisan e』
ヒロイン力は互角…。