黒き小さな男の娘は"学友"と共に"空を駆る" 作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ
僕は天涯孤独で。
唯一の拠り所は幼なじみの□□親子で。
血を吐いては入院する、の繰り返しな僕に優しくしてくれたあの子は。
最後まで、僕を案じてくれていた。
正直、僕が死んじゃった後のあの子が心配で仕方がない。
全て、僕の事がいの一番で、それ以外を二の次にしてたもんね。
だから、伝えたい。
"もう、大丈夫"って。
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千春side
授業が終わって、閑散とした教室。
一夏は鍵を貰ってすぐ寮へと移動した。
僕は教室に残って机でデバイスを弄っていた。
「・・・今日も調整、終わったよ」
『いつもありがとうございます、マスター』
仮装デバイスのウィンドウを全部消した後、呟くと返事が返ってくる。
僕の白い専用機のコア人格、
「僕の方こそ、いつも僕を支えてくれて、ありがとうね。このメンテナンスは、そのお礼だよ」
これくらいしか出来ないのが悔やまれるけどね。
『そう思ってくださるだけでいいんです・・・私は、本当に・・・』
・・・泣いちゃった・・・
まぁ普通のISはこうやって意思疎通を取れるようになるまでものすごく時間が掛かるもの、入学時点でこうして意思疎通が取れる人達は居ないんじゃないかな。
だからこそ、彼女は幸せだって言ってくれる。
それがたまらなく嬉しい。
今日整備したのは白い指輪の機体。
まだ名前は言えない。これは代表決定戦で出す予定だからその時まで外でも内でも名前は言わない。
【眞白、嬉しいのは分かるけど落ち着いて。】
もう1人の声が頭に響く。
黒い指輪のコア人格・・・黒姫。
『ぐすっ・・・』
【・・・まぁいつもの事だから、落ち着くまではそっとしておいてあげましょ】
黒姫はそれだけ言って再び声を消した。
こうして2人とお話出来るのも束さんのおかげ。
勿論、僕も恩返ししたりしてる。
違法研究所をハッキング、データ消去したり人体実験の被験者を秘密裏に救い出したり。
でも、救えなかった命もある。
僕に出来ることなんて、片手で数える程度しかない。
それでもこの命尽きるまで、僕はこの世界で救える限り救っていきたい。
色々考えながらウィンドウを消し、席を立った瞬間だった。
「・・・」
誰かが、教室のドアからじっと見つめてた。
「・・・」
目が合った。
青い髪の、少し跳ねっ毛があるメガネを掛けた女の子。
どこかで見たことあるような・・・でも、思い出せない。
「・・・どうしたの・・・?」
無言に耐えきれず、僕はついに口を開いた。
「・・・貴方は・・・ISと話せるの・・・?」
僕はその言葉を聞いて漸く、彼女の表情を理解した。
驚いていたんだ。
「・・・うん・・・僕は・・・喋れるよ」
彼女にだけ、話す。
どうしてだろう・・・彼女に聞かれると、真実を話したくなっちゃう。
信じてる・・・?
まさか・・・出会った当日、かつまだ出会って数分なのに?
「・・・少し、着いてきて欲しい」
目の前の少女はそう言って、僕の手を掴んで教室から出る。
「うわっ、ちょっと・・・!?」
僕はされるがまま、階段を昇っていく。
その後ろ姿から感じる必死さに、僕は声をかけることも出来なかった。
Others side
「・・・」
荒野に一人、白い騎士が佇む。
「どうしたのかしら?」
その騎士に話しかけるのはゆっくり歩いてきた黒いドレスの少女。
瞳は蒼く、左手にレースの着いた手袋を嵌めている。
その手の甲には大きめの無色の宝石が煌めいて、中の数字が浮び上がる。
Ⅲ、と。
「・・・いえ、此度の主の体調が不安で仕方がないのです・・・」
白い騎士は剣を地面に突き立て両手を柄頭に置き目を閉じて答える。
彼女はこの空間では異質な存在だ。
なぜなら・・・
「大丈夫ですよ・・・白騎士」
さらに後ろから声がかかる。
真っ白のワンピース、右手に手甲、手の甲に赤い宝石が着いている、片目が髪に隠れた少女。
コア人格の眞白だった。
「彼は必ず、生き延びます。私と貴女がついてますから♪」
白騎士と呼ばれた彼女はその言葉にふっ、と微笑み一言。
「そうですね・・・あなたもついています。どんな困難が立ちはだかっても、彼ならきっと乗り越えてくれる。」
呟いた彼女が見上げた荒野の空は、青く澄んでいて。
「・・・私は、彼の成長を見守ることにしましょう・・・」
そう小さく紡いだ彼女の言葉は荒野に溶けて消えていった。
千春side
「あなたに、ISのコアについて聞きたいことがあるの」
唐突に連れてこられた屋上。
そこで僕は1人の女子に詰め寄られていた。
「え、えっと・・・」
とても顔が近かった。
彼女はそれにまだ気づいてない。
というか、め、目がキラキラしてる・・・!?
「・・・あっ・・・ごめんなさい、私・・・抑えられなくて・・・」
ようやく気がついた彼女は顔を赤らめて少し離れる。
「ううん、大丈夫・・・貴女なら、話してもいい、かな」
僕はそんな彼女を見て確信した。
彼女なら、ISの事を真に理解してくれる。
「・・・今更だけど・・・貴女の名前は?」
「私は簪。更識簪。」
「僕は織斑千春」
ようやく自己紹介をして彼女・・・簪さんと微笑み合う。
「それじゃ、色々、教えようか?」
「お願い!」
こうして僕と簪さんの奇妙な関係がスタートしたのだった。
『えっ、同じ部屋だったの!?』
その日の夜、鍵を貰った僕が部屋に向かったら簪さんが居てお互いびっくりしたのはまた別の話。