黒き小さな男の娘は"学友"と共に"空を駆る"   作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ

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大変お待たせ致しました。
お仕事(アルバイト)が決まり1ヶ月間働いて家事をしてと過ごしていたらいつの間にか時間が過ぎてました。
申し訳ないです。

その話はさておき、それではどうぞ!


6速 藍空

千春side

 

保健室に運ばれていくセシリアさんを見ながら僕はお姉ちゃんに向き直る。

 

「さて、セシリアは第2回戦が不可能だとこちらで判断した上でお前たちに2回戦を行わせようと思うが、どうだ?」

 

確かにあれだけ脳に負荷をかけたセシリアさんをこれ以上戦わせる訳にはいかないか。

それでセシリアさんは途中棄権、僕と一夏の一騎打ちになるんだ・・・。

 

「そう、ですね・・・僕は異存ありません。一夏にも、聞いてあげてください」

 

「そうか、わかった。隣のピットで待機している織斑弟にも確認してくる。・・・千春、本当に大丈夫なんだな?」

 

お姉ちゃんが念押ししてくる。

だからちゃんと大丈夫って伝える。

 

「大丈夫。無理そうだったら、ちゃんと言ってる」

 

「・・・信じるぞ、その言葉。よし、では私は織斑弟に伝えてくるぞ」

 

お姉ちゃんは信じる、と言ってここから出ていった。

・・・ありがとう、お姉ちゃん。

 

 

 

第2回戦開始直前。

 

出撃準備を終えた僕はカタパルトに乗っていた。

スラスターは既に点火してあり、何時でも射出できる。

 

「・・・姫、もう少し、頼める?」

 

【マスター、私はあなたの相棒よ。だから、頼りたい時に頼ってくれていいんだからね?】

 

「・・・ふふ・・・♪ありがと」

 

黒姫との連携は抜群。

なら、あとは。

 

「織斑千春、黒染姫・・・出る!」

 

正々堂々、ぶちかます!

弟だからって手加減は無しだ!

 

フィールドに出ると歓声が聞こえる。

 

「よう、千春兄。」

 

目の前には白い機体が。

 

「・・・一夏・・・」

 

白と黒、相対する2人。

 

「・・・全力で行くぞ!」

 

「・・・こたえようっ!」

 

火蓋が、切られる。

 

「っ・・・ぜぁぁぁっ!」

 

ブザーがなった直後、一夏が雪片片手に突っ込んでくる。

僕は拡張領域にある近接武装を取り出す。

 

【ロックは解除されてるわ!】

 

『ありがとう、姫!』

 

それは先程使ったゲベールとは違う・・・

一振の日本刀。

 

「煌めけ、一文字!」

 

白の柄に白い刀身の綺麗な刀。

僕はそれを腰に具現させマウントされた鞘から抜き放つ。

光を受け輝くそれは、どうしようもなく綺麗で、冷酷で。

正しく、命を奪う物だった。

 

僕はそれを再認識して握り直す。

今は、今だけは人の命を奪う武器でも、相手を死に至らしめることがない。

なればこそ。

 

「・・・閃・・・っ!」

 

一夏の突撃を横薙ぎ一閃ではじき飛ばした。

 

「マジかよっ!?」

 

体制を崩した一夏に、僕は

 

「隙、だらけっ!」

 

返す刃で袈裟斬りを繰り出した。

 

「ぐぁぁっ!?」

 

パワーアシストで増強された力により、刀身による怪我は無いもののそのまま吹き飛ばされる一夏。

しかし空中で体勢を立て直しスラスターを再度吹かして距離をとる。

 

「くっそ、千春兄ってこんなに力強かったか!?」

 

「ぜんぶ、ぱわーあしすとのおかげ・・・!」

 

僕は一文字を握り直し息を整えて正眼に構える。

集中、周りの音が聞こえなくなるまで。

 

「・・・我流剣術、弌ノ型・・・」

 

全ての音が消え、風の流れだけを掴む。

 

「・・・無為之一矢(むいのかずや)・・・っ!」

 

刀を正眼から90度右へ捻りながら勢いよく前へと突き出す。

たったそれだけ。

しかし、近代的な力と古来の捻りを加えられた力は瞬く間に強靭な空気の刃となり一直線に一夏へと向かう。

まるでそれは不可視の矢。

辛うじて空気がネジ曲がるのがわかる程度の飛ぶ刺突。

 

「なっ・・・ぐわぁっ!?」

 

その一撃は彼の胸を貫こうとして・・・

はじき飛ばした。

 

「・・・ふぅ・・・はぁ・・・っ!」

 

しかし、息も切れた。

視界が少しぼやける。

 

まだ白式のSEは半分を切った所。

僕の黒染姫のSEは攻撃にまわしたエネルギーもあり、残量630。

まだ、まだだ!

 

「いってて・・・今度はこっちから行くぞ!」

 

「ぐっ・・・ぁっ!?」

 

一夏の白式がさらに白く輝く。

雪片弍型の刀身が割れ、展開、内側に青いビーム刃が生成される。

 

これが・・・

 

「・・・『零落白夜』・・・っ!?」

 

お姉ちゃんの、最強たらしめる剣。

エネルギーの無効化。

僕の仮称ゲベールとは違い、刃の当たった所の片っ端から根こそぎエネルギーを消し去る剣。

しかし、使用者のエネルギーも無尽蔵に喰らう諸刃の剣。

その証拠に一夏の白式のSEがみるみる減って行く。

一夏はそれに気がついていないのか左手を握ったり開いたりしてる。

 

「・・・俺は最高の姉さん達を持ったよ・・・っ!」

 

一夏がふわりと笑う。

その目が、僕を捉えて・・・

 

影が、ブレた。

 

「えっ・・・?・・・がっ・・・!?」

 

直後、僕は一夏の雪片を真正面から体で受けていた。

激しく散る火花。

逃げようにも一夏もスラスターを吹かして僕を押し流している為逃げることが出来ない。

そのまま轢かれ続けて壁際まで来てしまった。

 

「ぐっ・・・このっ・・・!」

 

僕はなんとか体制を整えようと躍起になるが、ブースト量の差で少し負けてるこの機体では一夏を押し返して逃げるのは不可能で。

 

「がっ!?」

 

壁に叩きつけられ押さえつけられる。

 

SEが削れていく。

半分以上あったそれがものすごい勢いで削られていく様子を見せられ、僕は・・・

 

「ぁっ・・・ぁぁぁっ!!!」

 

【マスター!?しっかりして!】

 

恐怖を、覚えた。

 

このままだと死ぬかもしれない。

 

そう、感じた。

感じてしまった。

 

だから、使うはずではない、こいつを使った。

 

「っ・・・射出・・・っ!」

 

ソレは腰部にマウントされたサブウィング。

の、先端部分にレーザーキャノンを搭載したもの。

普段はスカート状になってるそれを、僕は咄嗟に一夏に向けて・・・

 

ぶちかました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

non side

 

凄まじいエネルギーの奔流。

壁際で起こった事故のような光景に、観戦者は全員息を飲み込む。

 

黒染姫の腰部マウント砲。

それは一夏と千春を飲み込み状態がわからなくなるレベルの着弾爆発を起こした。

 

煙が晴れ、2人の様子が確認出来た。

 

みな、一様に騒然とした。

 

一夏の白式は塗装が剥げ、装甲は傷だらけで脱落もしており、SEなんてもちろん空。

雪片弍型の展開刃もエネルギー切れに伴い消失。

 

千春の黒染姫は装甲が熔け、腰部マウント砲は片方吹き飛び、こちらもSEは空。

美しかった黒き機体は色を失い、沈黙するのみ。

 

しかし沈黙はすぐに破られることとなる。

 

黒から、赫が迸ることにより。

 

 

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