やっぱり他のオルフェンズキャラクターが登場するのは余り良くなかったですかね?一応、後一人か二人出すつもりですが。
では、どうぞ!
「むー」
腕を組み、ティオナは唸る。
「ティオナさん・・・?」
「なに難しい声出してんのよ」
朝の食堂でレフィーヤとティオネに見つめられながら、考え込む。
「アイズ、まだ元気なかった」
朝食を終えた今、自分の隣にいたアイズはもういない。
今日はいつもの四人で食事を取った。話題を振ってやれば、言葉少なながら普段通りの受け答えが返ってきて、その様子は何も変わりないように見えた。
しかしだ。
ティオナには分かる。
空元気と言うほど取り繕ってもないだろうが、今のアイズは本調子ではない。
「ベートに腹を立ててるだけでしょう?放っておけばいいじゃない」
「いや、多分ベートはあんまり関係ないんだよ、あたしが思うには。関係はなくなはないかもしれないけど、アイズは端からあの狼男のことは気にしてない」
「あんた、酒場であれだけベートをのしといて・・・」
「アイズ、別のことでまだ落ち込んでる」
ティオナは考えることが苦手だ。
アイズの心を慮って気を利かせてやれないだろうし、悩みそのものを拭ってやることも無理だろう。
お節介を焼きに行ってもきっと大失敗に終わる。
三日月は何か分かっているみたいだが、"自分で解決しなきゃいけない事だから"と言って何も言ってはくれない。
これまでもこれからも、ティオナは能天気な振る舞いで、アイズから笑顔を引っ張り出してやることしかできない。
「レフィーヤ、ティオネ。今日の予定はなんかある?」
「いえ、特には」
「あたしは今日も団長のお手伝いに・・・」
「じゃあ暇だね、今日あたしに付き合って!」
「ちょっとっ!」
小難しいことは放り出す。
要は、ティオナがアイズのしょぼくれた顔を見たくないのだ。
高嶺に咲く小さな白花のように、控えめで、澄んでいて、風に揺れて綻ぶような、あの微笑む顔を見たい。
アイズノマド親友を自称するティオナは、椅子を飛ばして立ち上がった。
「あたし、アイズを探してくる!」
勢いよく大食堂を飛び出す。
動き出したら止まらない猪のように、迷う事なく空を羽ばたく鳥のように、ティオナはホーム中を駆け回る。
部屋、屋根裏、書庫、応接間。手当たり次第に扉を開け階段を上っては下る。団員達の驚く顔が何度も飛び込んできた。ロキの私室にも足を運ぶが、鼻を突く酒臭さが漂っているだけで部屋の主はいない。うぇー、と鼻をつまんでティオナは再び走り出す。
回廊を行ったり来たり繰り返した。
「・・・・おい」
「わっ!?」
幅狭な廊下を走っていた時だ。
長い足が横木のように壁にかけられ、ティオナの行く手を阻む。すんでのところでどうにか停止したティオナは、いきなり通せんぼをしてきたベートを睨み付けた。
「ちょっと危ないじゃん!どいてよ、ベート!」
酒場の一件も引きずってか、語気を強めるティオナ。
敵意を全開にする彼女に対し、口を引きつるベートは、くいっと窓の外を顎でしゃくる。
「アイズなら、中庭にいるぞ」
「え・・・・」
呆気に取られるティオナを見て、ベートは足をどける。
唇を結び、不貞腐れたようにその灰髪を手でかきながら、すぐにその場を離れだした。
「酒場の件はまた、アイズに謝っとく。俺も言い過ぎた」
アイズの悩み事に気付いてか、ベートはそう言って廊下を歩いて言った。
廊下の奥へと消えた背中に、何時もの様子が違うベートに調子が狂ったような表情をしたティオナは頭をかく。
そしてベートに言われた通り、素直に中庭へと向かった。
「!」
ベートの言葉通り、アイズはいた。
木の下にある長椅子に座り、視線を空へと向けている。
ティオナはぱっと顔を明るくさせ駆け寄ったら、
「ア~イズ!」
「・・・・ティオナ?」
目の前に現れた彼女に、金色の瞳が瞬きする。
ティオナはその細い両手を取り、長椅子から立ち上がらせた。
「買い物行こう!」
◇◇◇◇◇
レフィーヤ達と合流し、ティオナはアイズを連れて街へと繰り出した。
都市の最北端にあるホームから近い北のメインストリート。ギルドの関係者が住まう高級住宅街も近隣に位置するこの大通りは、商店街として活気付いている。
通りの真ん中を何台もの馬車が行き交う中、多くの亜人が路上を闊歩していた。
「ったく、強引に連れ出して・・・」
「いーじゃん、たまにはさ!ぱーっと気晴らしに買い物行きたいって、ティオネだって前に言ってたでしょ!」
「あの、ティオナさん、それで何を買いにいくんですか?」
「服、服買いに行こう!アイズもいいよね!?」
「う、うん」
アイズの手をしっかり握りながら、ティオナは先導するように歩みを進める。
北のメインストリート界隈は服飾関係で有名だ。
種族間に介在する衣装の壁は意外と大きい。小人族や、低身長でがっしりと横幅のあるドワーフを始めとした体格の問題や、風土にあわせて種族ごとの毛色というものが存在する。
例のごとく、世界中の地方から多くの亜人が集まるオラリオはその問題が顕著であり、衣装を仕立てる際に客との間で発生する揉め事が後を絶たなかった。
だが、そこをあえて目を付けたのが商人達だ。
種族ごとの専門店を多数構えることで、信頼と実績をたちまち確保したのである。一部の商業系【ファミリア】が市場に加わったことも、オラリオの服飾事情の発展に拍車をかけた。
オラリオ、特に北のメインストリート周辺は、大陸中でも類を見ない数の服飾店が軒を連ねている。
「ティオナさん、大通りのお店より路地裏の方が品揃えは良くないですか?お店も一杯ありますし」
「わかってる、あたしとティオネがよく行く店が、そこの道曲がったところすぐなんだ!」
「えっ、ティオナさん達のお店って・・・」
レフィーヤの声音がまさかという危惧を抱くのを脇に、ティオナは相変わらずアイズの手を引いてゆく。言葉通り道を曲がり、賑やかで雑多な路地裏を進むと、ほどなくして目当ての店に到着した。
「こ、ここは・・・・」
紫の色を基調とした看板と店を仰ぎ、レフィーヤの動きが固まる。
開け放たれた扉の外からでも、非常に際どいとわかる衣装が窺えるのは、アマゾネスの服飾店だ。
「久しぶりねー、私もちょっと羽目を外しちゃおうかしら」
「アイズ、行こう!」
「え、あの────」
ティオナとティオネに挟まれアイズが連行される中、レフィーヤも慌てて後を追う。
結論から言えば目に毒だったと言って置こう。
◇◇◇◇◇
アイズ達が街で買い物を楽しんでいる中、三日月達はトレーニングを行っていた。
「くそっ、デカい癖に速ぇ!?」
「動きは悪くないぞ、小僧!どんどん打ち込んで来い!」
「言われなくても!」
練習用の剣を持ったハッシュはガレスとの訓練をしており、三日月はその様子を端で火星ヤシに似た何かを口に入れて見ていた。
その横ではフィンがハッシュの様子を観察している。
そしてフィンが三日月に言った。
「ハッシュ君の動き、初心者じゃ出来ない動きだね。モンスターと戦うよりどちらかといえば、対人戦に向いた動きだ」
「まぁ、その辺りは昭弘達が教えてたからね。結構やるよ」
「アキヒロ?その人も君の仲間かい?」
「うん。俺の背中を任せられるくらいにはやれるよ。多分、あのおっさんとも良い勝負するんじゃない?」
三日月はそう言って再びデーツをポケットから取り出す。そしてそのデーツを目を細めて見つめる。
と、前から────。
「ぐわっ!?」
ハッシュがガレスに吹っ飛ばされた。
背中から地面に叩きつけられたハッシュは「痛ってえ・・・」と呟いて再び立ち上がる。
「終わったかな?」
「うん、じゃあ次は俺達の番だね」
ガレスはハッシュにまだまだと言ってはいるが、入って間もないレベル1の状態だ。それでこの動きならすぐに強くなれるだろう。
フィンは準備をしている三日月と一緒に模擬戦の準備を始めた。
感想、誤字報告、評価よろしくです。
ちなみにベートが普段と違ったのは単に前回の話でリヴェリアとアイズの話を通りすがりで聞いてただけです。