ソード・オラトリア・オルフェンズ   作:鉄血

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ここで皆さんに聞いておきたいこと。
ハッシュのレベルアップ時に辟邪を出すか、それともハッシュにガンダムフレームを持たせるか、どちらがいいですか?

ちなみに一部のガンダムフレームは悲惨な状態で出てきます。

活動報告にセットしてありますのでお願いします。
では、どうぞ!


第四話

少し走った後、三日月はいた。

小さな鉢でいくつもの野菜に水を与えている。

背中を向けている彼にハッシュが後ろから声をかけた。

 

「三日月さん!手伝いに来ました!」

 

ハッシュは大声で三日月に声をかける。そのハッシュの声を聞いて三日月は言った。

 

「ん・・・じゃあ、そっちのお願い」

 

「分かりました!」

 

三日月の指示にハッシュは水いれを持って歩いていく。

 

「ん・・・?あれ、アイズもいたんだ?」

 

「うん・・・やる事ないから手伝いに来た。何か手伝える事ある?」

 

三日月の言葉に私はそう言って三日月を見る。

 

「じゃあ、これあそこの日の当たる場所に運んでくれない?ハッシュ一人だと時間かかるし」

 

三日月はそう言って苗が入った鉢を見て、私に言う。

 

「うん、分かった」

 

私はそう言って鉢を手に持つ。

 

「・・・んっ」

 

ずっしりとした鉢を私は手に持ち、三日月に言われた場所へと運んでいく。日に当たる場所に私はその鉢を置いてもう一つの鉢の元へ歩いていく。

 

「ハッシュ、こっちのヤツ水お願い」

 

「はい!分かりました!」

 

ハッシュと三日月の声をよそに私は黙々と鉢を運ぶ。

私が一通り運び終わった後、三日月が私とハッシュに言う。

 

「一通り終わったし、朝飯食べに行こうか」

 

「了解っす」

 

「うん」

 

三日月の言葉に私達は返事をして作業を終える。

私達が作業を終えて食堂へ向かって歩いていると、曲がり角から現れた狼人のベートとばったりと出くわす。

出合い頭にぎょっとした彼は、口端を軽く痙攣させながら、無理矢理とわかる笑みを浮かべた。

 

「・・・よ、よお」

 

どこかぎこちないベートの態度に、首を傾げようとしたが、すぐに原因に思い当たる。

酒場『豊穣の女主人』であった、白兎の一件だ。ベートの暴言に当時のアイズは確かに怒り、そしてその後に落ち込んでいたこともあって、碌に口を利いていなかったような気がする。

ベートも酔っていたとわかっているので―――――好感度はやや減少しつつも―――――アイズはもうそこまで引きずっているわけではない。

ので、おはようと、挨拶を返そうとしたが。

 

「おっはよーアイズ!」

 

「ぐおっ!?」

 

どんっ、とベートを押しのけ、ティオナが正面からアイズに抱き着いてきた。

軽く仰け反り、きょとんとするアイズの体を笑顔で抱きしめるティオナは、背後を振り返りベートに向けて「べーっ」と舌を出す。ぐぎぎぎっ、と歯を食いしばるベートを他所に私の隣にいる三日月やハッシュにも笑顔で挨拶をした。

 

「おはよう!三日月、ハッシュ!」

 

「うん、おはよう」

 

「おはようございます、ティオナさん!」

 

三日月はいつものように挨拶し、ハッシュは礼儀正しく挨拶をする。

 

「アイズー、あのオオカミ男と話してもいいことないから、あっちに行こ?三日月とハッシュも一緒にどう?」

 

「まぁ、飯食いにいくからいいよ」

 

「三日月さんが行くなら俺も行きます」

 

そんな三人の会話にベートが騒ぐ。

 

「おい、こらっ、聞こえてんぞド貧相女!?それにお前らも!勝手に言ってんじゃねぇ!?」

 

「ド貧相とか言うなぁああああああ!!」

 

「あ、あの・・・・・」

 

「――――朝っぱらからうるさいぞ!廊下で騒ぐでない、お主等!」

 

その後、ドワーフのガレスに、アイズ達は食事の時間まで一頻り注意されるのだった。

 

 

「さぁ、団長。私のお手製の料理です、たーんと食べてください」

 

大食堂で朝食が始まる。

湯気が立つスープやふわふわのオムレツに各々手を伸ばす中、上座にいる【ファミリア】団長、小人族のフィンの前には、巨大な魚を丸焼きにした野生味溢れる女戦士料理が置かれていた。

その体の大きさと歪で強固な鱗から度々怪物と勘違いされる魚類、巨黒魚だ。オラリオ南西に存在する汽水湖から取れ、都市にも多く出回っている。子供でありながら一Mを超える魚の丸焼きに、フィンは黙って遠い目をした。

ご機嫌なティオネに強引に食べさせられる彼のもとへ、気の毒そうな視線が集中砲火する。三日月に限っては視線も向けられない。やはり魚が嫌いなのだろうか?

 

「アイズ、今日は何かする予定あるの?」

 

「ん、と・・・・・」

 

五十人以上の団員が一斉に食事をとる大食堂は話し声が絶えない。

ざわめきに囲まれながら、アイズからもらったサンドイッチをひょいっとつまみ、ティオナが尋ねてくる。

 

「一昨日、剣を壊しちゃったからそれの弁償と、この後三日月との模擬戦かな」

 

「それって、フィリア祭で使っていたレイピアのことですか?」

 

隣にいるレフィーヤにコクリと頷く。

昨日のゴブニュとの会話を―――――しばらくダンジョンにこもって必要資金を確保しようとしている意向を、若干羞恥を覚えながらティオナ達に語った。

 

「三日月と模擬戦するの!?いいなー、三日月ってば、模擬戦だと全力出してくれないんだよねー。何でもフィンに全力は出さないように言われてるって言ってさぁ」

 

「三日月、全力出せないの?」

 

私は前に座っている三日月に私は尋ねる。

 

「出せるけど、出すなって言われてる。でないと、勝負にならないって言われてるから」

 

三日月はサンドイッチに手を伸ばしながらそう答え、口に入れた。

おそらくだが、今の三日月の強さは私達の中でも一番強い。

ステータス差もそうだろうが、対人戦の経験が三日月が高すぎるからだ。モンスターと戦うよりも人型の相手に対して三日月の動きに迷いが一切無い。

下手をすれば重傷者が出る三日月との模擬戦に対してフィンがつけた制限が確か・・・。

 

「メイスで殴るか格闘戦しか出来ない・・・だっけ?」

 

「うん。すごいやりづらい」

 

三日月はオムレツを食べながら答える。

魔力を弾丸のように攻撃することもできなければ、尻尾みたいなモノで攻撃することもできない。

本来の戦闘スタイルでないというハンデを持っているのだ。やりづらいことこの上ないだろう。

でも仕方ない事なのかも知れない。何故ならそれ相応の理由があるのだ。

 

「三日月が強過ぎて、私達以外じゃ誰もやりたがらないもん。それに武器で打ちあった時なんて力任せで叩いてくるから、私でも普通に吹っ飛ばされるし」

 

マトモに打ち合える相手がいないというのが理由に他なら無かった。力では上位に入るティオナですら無理なく突破して力負けするくらいだ。私だったら普通に飛ばされる。

 

「レフィーヤも一回やったんだよね?三日月と模擬戦」

 

「あ、はい。詠唱もさせてもらえず、一瞬で距離を詰められて一撃で・・・」

 

詠唱をさせる前に一瞬で叩く。魔道士泣かせだ。

 

「その後、三日月に“チンタラ喋る暇があるなら身体動かせばいいのに”って駄目押しされたもんね。レフィーヤは」

 

「そんな事出来るなら苦労しませんよ・・・」

 

レフィーヤは若干涙目になりながらそう言ってサンドイッチを食べる。

術師にそう言われても困ると言うことである。

 

「じゃあ、この後は三日月と模擬戦かー。私も見に行っていい?」

 

「別にいいけど。特に面白いことなんてないと思うけど?」

 

「いいの!参考になるだけでも見るだけの価値はあるよ」

 

三日月の言葉にティオナはそう言ってサラダを食べる。

 

「ふーん・・・そういうもんか。・・・ごちそうさま。じゃあ先に行ってるね。アイズ」

 

「うん」

 

三日月はそう言って席から立ち上がり、歩いて行った。

 

「じゃあ、模擬戦が終わったらダンジョンに行くんでしょ?私も一緒に行っていい?もちろん三日月も誘ってさ!」

 

「でも、ティオナ・・・」

 

「大丈夫、大丈夫!あたしだって作り直してもらった〈ウルガ〉のお金、用意しないといけないし」

 

「わ、私もお邪魔でなければ、お手伝いさせてください!」

 

ともに資金稼ぎしようとティオナが提案し、負けじとばかりにレフィーヤも協力を申し出る。そういえば、ハッシュはどうなのだろうか?

 

「ハッシュはどうするの?」

 

「俺は・・・まだレベルってやつが低いんで辞めときます。代わりに武器か防具でも探しながら訓練しときますね。三日月さんも連れてくなら野菜の世話もしなきゃいけないっすし」

 

「そっか・・・」

 

確かにそれもある。三日月はあの野菜を大切に育てていたし、私達が行くのは中層だ。ハッシュだとついていけないかもしれない。そんなことを考えていると、ティオナが言った。

 

「じゃあ、決まりだね!三日月との模擬戦を見たら、一緒にダンジョンに行こう!」

 

「はい!」

 

「うん」

 

私達はそう返事をして食事を続けた。




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