ソード・オラトリア・オルフェンズ   作:鉄血

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投稿!!祝50話目!!

それと大変申し訳ございません!
今週いっぱいはちょっとリアルで胃腸風邪になったので投稿が出来ません!!治り次第両作品投稿しますのでよろしくです!


第ニ十一話

「なにあれ、蛸!?」

 

「タコ!?なんだそりゃ!!」

 

各所で戦闘が続く街の中、突如出現したその巨体に、ティオナと昭弘は声を上げる。

ティオナの言葉通り、そろは巨大な蛸に似た姿をしていた。十本以上もの足は食人花のモンスターからなり、それぞれが意思を持っているかのようにくねり、うねり、蠢いている。複数の足のつけ根より上は極彩色の身体────女体を象った上半身が存在し、遠目から確認できるその全容は、あたかも海辺にひそむと言われているスキュラのようだ。

ぶるぶると震えていた上半身が動きを止め、ゆっくりと無貌の顔を上げると、食人花の女体型は移動を開始した。

都市中央部、水晶広場へ進路を取る超大型級のモンスターにティオナと昭弘は広場へと向かう。

 

「おい!アンタ!あのデカブツの事知ってんのか!!このままだと街にアイツが向かっちまうぞ!」

 

「似たようなのは知ってるけど、よく分かんない!!だから、えーと、ガチムチも手伝って!」

 

「が、ガチムチ?」

 

昭弘はティオナの言葉に困惑しながらも、ティオナと一緒に街の中心へ向かった。

 

 

◇◇◇

 

 

「どこから現れた、と問いただしたいところだが・・・始末する方が先決だな」

 

「ああ、そうだね」

 

「何でてめえ等はそんな冷静なんだ!?ちったあ慌てろ!」

 

ボールスの悲鳴が響き渡る横で、リヴェリアとフィンはその巨体を見上げた。

アイズとルルネを支えながら逃げ込んできたレフィーヤに続き、その食人花の足を侵入させ、轟音とともに女体型が広場へ到達する。リヴェリアの火炎魔法により数が激減したとはいえ、未だモンスターと交戦している冒険者達は、その圧倒的かつ醜悪な威容に息を止める。 

蛸足のごとき食人花達は細長かった身体を一回り以上も太く、大きくさせ、まるで巨木の幹のような直径を誇っている。

幾重もの破鐘の吠声を上げる下半身とは打って変わって、極彩色の上半身は泰然としていた。目と鼻のない顔は人の頭を丸呑みできそうな唇が薄く開いており、後頭部からは波打つ緑髪が腰まで届いている。

 

「50階層のモンスターも、あの胎児のせいでこんな風に・・・?」

 

レフィーヤはアイズ達を支えたまま、そう呟く。

すると、フィンはレフィーヤに支えられたアイズを見て疑問の言葉を投げる。

 

「アイズ?その格好はどうしたんだい?それに、その武器も・・・」

 

「・・・・・・なんでもない」

 

「・・・はあ。なら、後で聞かせてもらうよ」

 

フィンの言葉にアイズは視線を逸してそう言うが、フィンは追求は後で聞くとアイズに言って息を吐いた。

 

「やっと着いた!うわ、近くで見るとさらに気持ち悪い」

 

「此処が街の中心か」

 

ティオナと昭弘が広場に到着する。

 

「・・・ティオナ?ソイツ誰よ?」

 

ティオネが昭弘を見て言うが、ティオナが答えるよりも前にアイズが反応した。

 

「あ・・・アキヒロ」

 

「おう、アンタ。無事だったか。てか、そいつは・・・」

 

昭弘が言い終わる前に、リヴェリアがアイズに聞く。

 

「アイズ、この男とは知り合いなのか?」

 

リヴェリアの鋭い視線がアイズに突き刺さる。

リヴェリアの問いにアイズは答えた。

 

「・・・私の知り合いって言うより、三日月の仲間だって・・・」

 

「なに?」

 

リヴェリアは問いただそうとしたが、食人花の足が一斉にアイズへと襲いかかるのを察知して、全員がその場から離脱する。

 

「アイズと三日月には色々と聞きたい事が増えたけど、今はコイツの相手が先だよ。リヴェリア」

 

「ああ、それが先決のようだ」

 

アイズが発動している魔法に今は反応しているようだが、なにやらアイズの様子がおかしい。

普段なら連発している魔法も、今のアイズは必要最低限にまで使用を抑えている。魔法を使うたびにアイズも苦しそうな表情を浮かべているのも、妙に気になった。

食人花全てがアイズに殺到する光景に、リヴェリアとフィンは杖と槍を提げてモンスターのもとへ接近する。

そして彼等より先に急行するティオナとティオネ、昭弘がアイズを追う足を対応していた。

 

「そりゃあ────ッ!!」

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!?』

 

振り下ろされたティオナの大双刃が、食人花の首を切断する。

大銀塊の斬撃を浴びて断たれた足から絶叫が迸った。

花部を失った足は斬られた断面から血を流しつつ、そこからティオナを弾き飛ばす。

 

「痛ったぁー!?」

 

大双刃がの極厚の刀身を盾にした彼女は、一度地面を転がりすぐさま立ち上がる。

 

「力めちゃくちゃ強くなってるんだけどー!?しかも首落としたのに動くのー!?」

 

「ありゃあもう足の一本に過ぎないでしょうが、そりゃ動くわよ!」

 

妹とは異なり冷静に足の一本を料理するティオネが叫ぶ。

動きの精細を失う足をここぞとばかりに再起不能に追い込もうとするティオネだったが、そこで女体型の上半身が動いた。

アイズを追っていた顔を彼女に向け、腕の触手を槍のごとく放出する。

 

「くそッ!」

 

押し寄せる無数の触手を二刀のククリナイフで切り払う。

 

「リヴェリア、先に行く」

 

「ああ。────そこのエルフ、背の弓を貸せ!」

 

「は、はい!?」

 

フィンが加速して足の一本に長槍を突き立てる中、リヴェリアが一人のエルフの男を呼ぶ。

王族の声に彼は無条件に従った。副武装であった大型の破砕弓を矢筒ごと、走ってくるリヴェリアに受け渡す。

素早く矢筒を腰に固定したリヴェリアはその濃紺色の弓を構え、立て続けに矢を連射した。

上半身に射った矢をわざと触手に弾かせ、本命であるフィンの支援攻撃を次々と着弾させていった。

そして遠距離からはリヴェリアとレフィーヤ以外にもう一人、彼等をサポートする人物が横に立っていた。

三日月と同様の鎧を身に纏い、“四本の腕“に持ったライフルがフィン達を正確に援護射撃を行なっていた。

 

「・・・やるな。援護射撃が得意なのか」

 

「三日月に背中を任せると、いつもこうだからな!アンタもやるじゃねえか!」

 

「当然だ」

 

昭弘の言葉にフッとリヴェリアは笑うと、そのまま彼女達の援護に回った。

昭弘は変なやつだと考えていたが、すぐに考えるのを止め、目の前の敵に集中した。




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