投稿ペースですが、ちょっと落ちます!!
理由?リアルがまあ、忙しくなっていますので!!
ですが、デート・ア・オルフェンズと交互に投稿していきますので、お楽しみに!!
アイズ達が大型モンスターと戦っている頃────
超硬レアアロイで出来た巨大な鉄塊が食人花に振り下ろされる。
轟音と共に食人花の魔石は食人花と粉砕され、灰へと変わった。
街を覆い尽くさんといた食人花は一匹の狼王によって壊滅させられようとしていた。
「ふっ!」
三日月は手に持つ巨大メイスを近くにいた食人花に向けて、フルスイングで振り回す。直撃した食人花はグチャリと頭部にあたる部分を一撃で吹き飛ばされた。
血のように吹き出す体液を無視し、近くの地面から伸びている触手を三日月は掴み取ると、それを全力で引き千切る。
『────オオオオォ!?』
遠方の方でモンスターが悲鳴を上げる。
だが、そんなモンスターに対し、三日月は両腕に装備された腕部砲で、モンスターを撃ち抜いた。
撃ち抜かれたモンスターは巨体を揺らしながら地へと倒れ伏し、灰へと変わる。
みるみるうちにモンスターの数を減らしながら三日月はボソッと呟く。
「何体出てくるんだ?こいつら」
三日月は半分うんざりするような声でそう言って、近くにいた食人花の頭部らしき部分を太刀で上から突き刺し、地面へと縫いつける。口を開ける事が出来ずに触手を周りに叩きつける食人花に三日月は大型のレールガンの銃口をつきつけると、迷わず撃ち抜いた。
“パアン!”とモンスターの上顎が吹き飛び、その肉片が辺りに散らばる。
グロテスクな下顎と舌らしき肉の塊が飛び出てくるが、三日月は気にすることなく、その肉片の中で光輝いている魔石を抜き取ると、周りを見渡した。
敵、敵、敵。
どこを見渡しても敵だらけのその光景に三日月は諦める事もなく────。
「まあ、一匹一匹プチプチ潰すしかないか」
そう呟いて、モンスターが蠢く群れの中に一人、突っ込んでいく。
テイルブレードが遠方の食人花の触手よりも不規則な動きで、根元部分に突き刺さり、そして引き千切った。
三日月の近くにいたモンスターには、巨大な腕から放たれたレクスネイルによる貫手がモンスターを貫き、魔石をえぐり取る。
数の暴力で攻めるモンスターの猛攻も、三日月の圧倒的な個人の力の暴力が上回り、どんどんと数を減らしていく。
「これなら、あと少しで終わるか」
少なくなったモンスターを見て、三日月はそう言いながら一人、湖沿いで防衛戦を行うのだった。
◇◇◇◇◇
三日月が一人で防衛戦を貼る頃、アイズ達は大型モンスターを倒すため、走り出す。
「レフィーヤ、以前やった連携を覚えているな?あれをやるぞ」
「わ、わかりました!」
近づいてきたリヴェリアにレフィーヤは頷く。
お互いに別方向へ走り出し、女体型の前後に回った。
『────────!!』
アイズが広場から離れていった一方、大型のモンスターとの戦闘が続いていく。
フィン達を中心に女体型攻略が進められていく中、手の空いた冒険者達は勇み、戦列に加わろうとした。
後衛の位置で魔道士が詠唱を始め、そして昭弘を含む前衛壁役が、敵の攻撃を受け止めようとするが────昭弘以外、モンスターに取っては意味をなさなかった。
健在である十以上もの食人花の足を広げ、纏わりつく蟻を吹き飛ばすがごとく、冒険者達を薙ぎ払っていく。
「うおおおおおおおっ!?や、やべえっ!」
「ちょっと、周りのやつ等避難させなさい!庇いきれないわよ!?」
広場を破壊していく衝撃と強風にボールスが悲鳴を上げ、ティオネも叫ぶ。
その混乱の中、一人女体型の食人花の足を捌いている昭弘は、苦悶の声を出す。
「くそっ!!数が多い!!」
ハルバードを片手に両腕とサブアームを駆使して、捌いていくいくが、いかんせん手数が圧倒的に違った。
「ガチムチ!もうちょっとだけ抑えられる!?」
ティオナの叫び声が昭弘の耳に聞こえてくる。
「やっている!!」
昭弘はそう言って、ハルバードで食人花の足を切り落とす。
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ】」
広域に展開する魔法円。
何重もの翡翠色の円が輝きを放ち、その存在を誇示するかのようにまばゆい光粒と光条が足元から立ち昇る。
同じ魔道士達を震撼させるほどの魔力が、彼女の身から発散されていった。
「【押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ】」
『!!』
ぐるんっ、と女体型が顔と上半身を振り向かせた。
莫大な魔力に反応し、広場の中心から這いながら猛進する。
「【帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢】」
『────────────ッッ!!』
食人花の足が大きく吠え、目標の魔力に飛びかからんとする。
そしてお互いの距離が二十Mを切ったところで────リヴェリアは退避した。
魔法円の中心から矢のように真横へ跳び、女体型の前面から消え失せる。当然のように光の円は消失し、魔法に装填されていた魔力もただ消費するだけに終わった。
あっさりと魔法を中断し、モンスターの突撃を回避する。
側面へ逃げるリヴェリアを食人花の足が追う中、女体型の上半身は腑に落ちないように後頭部の緑髪を揺らした。
「────【雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」
『!?』
女体型が、震えた。
中断された筈の詠唱が未だ続き、その美しい声音が空間に鳴り響く。
モンスターが後方を振り返ると、広場の最奥、たった一人で山吹色の魔法円を展開するエルフの少女の姿があった。
リヴェリアは囮だ。
彼女の抜き出た魔力の出力を隠れ蓑にすることで、レフィーヤがモンスターの意識の外で魔法の構築を着々と進めていたのである。
強力な魔道士を二枚用いた囮攻撃。
リヴェリアの詠唱と重ねて響いていたレフィーヤの玉音の声が、最後の詠唱文を唱える。
「総員、退避だ!」
「でけえのが来るぞぉっ!?」
フィンとボールスの呼びかけに全冒険者が射線から撤退する中。
モンスターを残し誰もいなくなった広大な視界へ、レフィーヤは砲撃を繰り出した。
「【ヒュゼレイド・ファラリーカ】!!」
『────────────────アアアァァァ!?』
炎矢の豪雨が女体型に降り注いだ。
夥しい紅蓮の魔力弾がモンスターの全身を削り取る。花部を断たれた足が、ずたずたに切り裂かれた体皮が、触手が、爆砕しながら弾け飛んでいく。
「たたみかけさせてもらおうか」
「お供します、団長!」
「────せぇーのッ!!」
砲撃終了から、秒を待たず、三つの影が女体型に肉薄する。
長槍を持ったフィンが、二刀のククリナイフを打ち鳴らすティオネが、そして大双刃を振り上げるティオナがモンスターへと跳躍した。
神速の刺突が見舞われ、二振りの斬撃が交差し、破壊の一撃が黄緑の身体に叩きこまれる。
繰り出される攻撃は止まることなく、燃え盛る敵の身体を解体しようと三人の第一級冒険者は嵐のように傷を刻みこんでいった。
『アァァァァァァァァッ!?』
悲鳴とともにぐらりと仰け反る女体型は、フィン達の攻撃から逃れるように重心を後方へ傾けていく。
そして次の瞬間、極彩色の上半身を下半身から切り離した。
「逃げた!?」
「あいつ、湖に飛び込む気!?」
広場を越え、街の斜面へ転がり落ちていく女体型の上半身。
それを追いかけるように三人は疾走するが、女体型が転げ落ちるスピードの方が早い。
そんな中で、一つの影が三人を追い抜いた。
その疾走する影は凄まじいスピードで、女体型に向かっていく。
その影の正体は三人に見覚えがある人物だった。
「三日月!?」
「ごめん、遅れた」
ティオナがそう叫ぶ。
そう。今の今まで、行方不明になっていた三日月が合流したのだ。
驚くティオナ達に対し、三日月は手にしたランスメイスを女体型に向けて投擲した。
螺旋を描きながら、凄まじい速度で投擲されたそのランスメイスは女体型モンスターに吸い込まれるように進んでいき────。
ランスメイスの先端が女体型に突き刺さり、その部分から先端につけられた大量の火薬が衝撃によって大爆発を引き起こした。
魔石もろとも爆散した女体型を見て、三日月は「あっ」と呟く。
「ちょ、三日月!魔石ごと吹き飛ばしてどうすんのよ!」
「ゴメン」
ティオネに三日月はバツが悪そうにいいながらも、視線をアイズがいる方角へ向ける。
バルバトス越しで映るアイズの姿に三日月は何も喋らずにただ、じっと見つめていた。
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