とうとう、『迷宮の孤王』の登場!!
ウダイオスって上半身だけで、10m強ですけど、ハシュ○って全長35mちょいなんですよね。
プルーマが全長10mちょっとと考えると、プルーマデカすぎねえ?
「・・・ありがとう、リヴェリア、三日月、昭弘」
四人しかいなくなったルームで、アイズは口を開いた。
隣合っているリヴェリアは見返すこともなく、淡々と答える。
「これっきりにしてほしいところだが、今更だな。あまり手をかけさせるなとだけ、愚痴を言わせてもらおう」
「・・・ごめん」
リヴェリアの前では、あやゆる意味で自然体の自分となっている、とアイズは自覚があった。
フィンや主神を前にする時とは違う、それこそティオナ達や三日月といる時とも異なる、赤裸々に近い自分だ。
彼女の小言にも、自分の謝罪にも、心を通い合わせているような二人だけの繋がりが確かにある。
上手く言葉にはできないが、それは仲間に寄せる信頼とも少し違った、温かい何かだ。
「・・・・・」
暗い広間の中で、何かをするわけでもなくしばらく沈黙を重ねる。
モンスターの雄叫びは遠かった。この広大な『ルーム』に近付こうとする気配は何もなく、不自然とも思える静寂がアイズ達のもとに流れ込んでくる。
防具と戦闘衣を包む階層の空気は肌寒い。頭上が高く、燐光も乏しい37階層には体をひやりとさせる冷気があった。
寒気を喚起するダンジョンの吐息に、首筋を撫でられる。
「・・・・・なんだ?」
「・・・・どうした?三日月」
三日月が顔を上げる。
顔を上げた三日月に昭弘も戦闘態勢に入る。
アイズも少し遅れてバッと顔を上げた。
思考を働かせるアイズが、息を凝らしその時を待ち続けていると、不意に。
小さな、本当に僅かな震動が、身につけているブーツを揺らした。
───────やはり。
「来た」
「なに?」
アイズはやなぎ眉を鋭く構え広間の中心を見据える。リヴェリアが問いただそうと口を開きかけたが、彼女も気付いたようだった。
地面が揺れ、少しずつその震動は大きくなっていることに。
「まさか・・・」
リヴェリアの呟きが下さい落ちるのと同時、『ルーム』の中心の地面一帯が隆起する。
そして───────ビキッ、と。
岩の悲鳴とともに、夥しい亀裂が生じた。
地割れのごとく、大地が割れる。周囲に走り抜ける裂け目はとどまることを知らず、次には目を疑うような漆黒の巨体が地面を破り、遥か頭上までその身を伸ばしていく。
「なんだ・・・コイツは・・・」
昭弘は呆気に取られた表情でその怪物を見る。
三日月に関しては、表情から感情を読み取る事は出来なかったが、驚いているのは確かだろう。
巨体に引っかかった岩と土砂が揺れ落ち、土石流のように降り注いだ。広間の揺れは一向に収まらず、鼓膜が潰れるような轟音を撒き散らしながら、やがてそれは完全に姿を現す。
アイズ達の視線の先で、その漆黒のモンスターは闇に塞がった天を仰いだ。
『────オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
果てしない産声を上げるのは超大型、『リヴィラの街』に出現した食人花の女体型にも劣らない巨大なモンスター。そして全身から放たれる圧倒的な威圧感は、女体型を倍するほどと言っていい。
他ならない階層主。
37階層に君臨する『迷宮の孤王』。
Lv.6、『ウダイオス』。
「そうか。もう、三ヶ月経ったか・・・」
一定周期のインターバルを必要とする『迷宮の孤王』は一度撃破されると、時が満ちるまで迷宮に姿を現さない。
約三ヶ月前、他ならない【ロキ・ファミリア】が全戦力をつぎ込んで打ち倒した存在に、リヴェリアはその巨躯を見上げながら半ば呆然とこぼす。
昭弘達が呆然と『ウダイオス』を見上げている次の瞬間。
凄まじく巨大な弾丸が『ウダイオス』の頭部に直撃した。
爆煙と共に、ウダイオスが身体を仰け反らせる。
『オオオオオオオオオオオオッ!?』
あまりの威力からか、ノックバックし、上半身しか出ていないウダイオスの巨躯が地面に激突した。
「「は?」」
「えっ?」
昭弘、リヴェリア、アイズはさっき起こった出来事に目を丸くする。そして先程、攻撃を仕掛けたであろう三日月に顔を向けた。
「やっぱりあんまり効果ないか」
大型レールガンを腰だめに持ちながら、三日月はそう呟く。
そんな三日月に対し、昭弘が三日月にこの場の全員が思っているであろう言葉を口にする。
「・・・撃ってよかったのか?」
「?当たり前じゃん」
半ば無防備に近い状態で三日月の不意打ちを食らったウダイオスが地面に倒れ伏している中、三日月の声が部屋に響き渡った。
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