ソード・オラトリア・オルフェンズ   作:鉄血

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2巻は終わった!!次は3巻だ!!


最近エクバでヘビアの他にドルブ(戦車)にはまった鉄血です。
あえて言わせてもらおう!苦手機体が多すぎる!!


第二章エピローグ

アイズがウダイオスを倒した後、リヴェリア達はアイズが倒したモンスターの魔石やドロップアイテムを回収していた。

アイズにいたっては、戦闘の疲弊とそして自身が手にした力が望んでいたものとは違う事にショックを受け、その場に顔を埋めて座り込んでいた。

そんなアイズに近づいてくる足音があった。

そしてその足音はアイズの前で止まると、布のすれるような音と共にアイズの隣に座り込んだ。

アイズは隣に座る人物に合わせる顔が無かった。

力を求めた癖に、その力が自身が欲していたものとは違う、他人に頼るだけの力を手に入れてしまったその事に。

そんな自己嫌悪に苛まれているアイズに三日月が口を開く。

 

「その力を手に入れて後悔してるの?」

 

「・・・・・・・」

 

三日月のその言葉にアイズは顔を埋めた状態で首を縦に振る。

力ならなんでもいいと思っていた。だけど、こんな知らない誰かに頼るだけの力は欲しく無かった。

アイズの反応に三日月は黙ったまま、ポケットに手を入れる。

そして、未だに顔を埋めているアイズに言った。

 

「でも、後悔した所で何も変わらない。アイズはその力を受け入れて持ってなくちゃいけない」

 

悪魔との契約。その対価は必ず払わなければならない。

アイズがキマリスの力を手に入れた以上、それを受け入れて生き続けなきゃいけなくなる。

そんな現実にアイズは更に顔を深く埋めた。

アイズのその反応を見て、だけどと三日月は言う。

 

「だけど、そこは俺達と“一緒に頑張って”いこう。俺はこんな風になって、昭弘は弟やラフタが死んじゃったけどさ、それでも俺達は前を向いて生きなくちゃいけない。アイズにはまだ“大切なモノ”が残っているから、だから気を落とさなくていい」

 

三日月の言葉にアイズは顔を上げる。

 

「私の・・・大切なモノ?」

 

そう聞いてくるアイズに三日月は言った。

 

「アイズには“仲間っていう家族”がいるでしょ?だったらアイズはその家族を守る為に、その力を使えばいいと思う。俺達と同じようにね」

 

だからと三日月は言った。

 

「だから、一緒に頑張ろう。みんなを死なせない為にも」

 

その言葉に、アイズは─────

 

「・・・うん」

 

目に涙を浮かべながらも、力強く頷いた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

ウダイオスを撃破し、37階層を後にしたアイズ達は、三日間ほどの時間をかけてダンジョンの『上層』に到達しようとしていた。

最短ルートを選択し、消耗したアイズを庇いながらも、三日月と昭弘が戦闘を円滑にこなしていたため、『深層』から『下層』、『中層』まで脱出するのは比較的速やかだった。また18階層の『リヴィラの街』でゆっくり休息を挟んだこともあり、疲労の影も薄い。

アイズ達は現在、6階層を進んでいる最中だった。

 

「アイズ、本当にあのドロップアイテムを預けてしまってよかったのか?」

 

「うん・・・私は、大剣はあまり使えないし」

 

リヴェリアの問いかけにアイズは答える。

 

「それに、またあの調教師に襲われるかもしれないから・・・強い武器があると、心強いって」

 

「全く、本当にものは言いようだな・・・」

 

自分に巡り帰っているようではないか、とボールスが口にしていた台詞をリヴェリアは吐息とともにこぼす。

そんな中、アイズは三日月達の会話に耳を傾けていた。

 

「昭弘。この後、上に出たらどうするの?」

 

「まあ、だいぶ長い間帰っていないから、一度帰るつもりだ。弟分にも顔を見せておかないとな。三日月は?」

 

「俺?俺はハッシュと一緒にトレーニングとか畑の水やりとか、あとは・・・仲間探しくらいかな。昭弘やハッシュがこうやっているから、他のみんなもいるかなって」

 

「そうか・・・なら、俺も一緒に探すぜ。三日月も最近トレーニングサボってねえようだから、模擬戦もやりてえしな」

 

「まだ根に持ってるの?」

 

「当然だ」

 

二人の会話もいつも通りらしく、そんな会話をしながら歩いていた。と─────。

 

「・・・・・?」

 

「どうした、アイズ」

 

やがて5階層に到達し、しばらく進んでいると。

アイズはルームの中でぽつねんと転がっている、冒険者の姿を発見した。

 

「人が倒れてる」

 

「モンスターにやられたか」

 

眉を曇らせるリヴェリアと三日月達と共に、アイズは冒険者に歩み寄る。

近付くにつれ、アイズと昭弘は驚きに顔が染まっていた。

下級冒険者を思わせる軽装に、まだ成熟仕切っていない細身の体、そして雪のような白髪。

倒れていた冒険者は、まさに、アイズが再会を望んでいた少年だったのだ。

 

「ベル!!」

 

昭弘はそう言って、少年の元へ駆け込む。

少年の体を起こす昭弘にリヴェリアは膝をついて少年の体を診断した。

 

「外傷は無し、治療および解毒の必要性も皆無・・・典型的なマインドダウンだな」

 

「・・・そうか。ならよかった」

 

昭弘が安堵の声を出す中、アイズは食い入るように見ていたその白髪の少年に対し、思わず呟きをこぼす。

 

「この子・・・」

 

「何だ、知り合いかアイズ?」

 

「ううん、直接話したことはないけど・・・あの、前に話したミノタウロスの・・・」

 

「・・・なるほど。あの馬鹿がそしった少年か」

 

そう呟くリヴェリアに対しアイズは、以前から謝罪したいと願っていた思いに加え、今の少年の姿を見て、胸の中で感じるがままの言葉をこぼす。

 

「リヴェリア。私、この子に償いをしたい」

 

「・・・言いようは他にあるだろう」

 

以前に「お前はどうしたい?」と彼女に尋ねられた際の、そのはっきりした答えを伝えたつもりであったが、「硬すぎる」と溜息をつかれてしまった。

あれ?とアイズは瞬きをしてしまう。

 

「まぁ、この場を助けるのは当然の礼儀として・・・」

 

こくこくと頷くアイズがリヴェリアと一緒に少年を見下ろしていると。

リヴェリアは何かを考え、ちらり、と横目でこちらを見やってきた。

 

「・・・アイズ、今から言うことを少年にしてやれ。償いなら、恐らくそれで十分だ」

 

「何?」

 

アイズが訪ねると、彼女は気軽そうに告げる。

 

「起きるまで、膝を使って寝かせてやるんだ」

 

再び、アイズは瞬きをした。

 

「・・・そんなことでいいの?」

 

「確証はないがな。だが、この場を守ってもやるんだ、これ以上つくす義理もないだろう。・・・それにお前なら喜ばない男はいないさ」

 

自分のなら、と言うリヴェリアに、戸惑うアイズは正直な気持ちを伝える。

 

「よく、わからないよ・・・」

 

「わからなくてもいいさ」

 

考え込むアイズに、昭弘は言った。

 

「俺からも頼んでいいか。コイツはお前に憧れていまもこうやって頑張っているんだ。だから、俺からも頼む」

 

「私に憧れて・・・?」

 

そう呟きをこぼすアイズに対し、リヴェリアは立ち上がる。

 

「私は戻る。残っていても邪魔になるだけだろう」

 

「俺達はどうする?昭弘?」

 

三日月の言葉に対し、昭弘は言葉を返した。

 

「なら、俺達はベル達の邪魔にならないように周りのモンスターを狩るか。どっちが多く倒すか勝負だ三日月」

 

「いいね。負けないよ昭弘」

 

そう言って三日月達は部屋から出ていった。

 

「けじめをつけたいのなら、二人きりで行え」

 

「うん。ありがとう、リヴェリア」

 

「ああ」

 

礼を告げると、リヴェリアはその場を後にする。

その後ろ姿を見送ったアイズは、再び倒れた少年の後頭部を見つめ、膝を折り。

おずおずと、ちょこんと、その場に腰を下ろした。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

❲・・・・・」

 

細い腿にかかる重みは、どこか新鮮なものだった。

少年に膝枕をするアイズは、今は瞼が閉じられているその顔を静かに見下ろす。

 

(・・・恥ずかしい、かな)

 

いざ少年の頭を乗せてみると、初々しくも、少々の羞恥を感じる。

自分と彼の体勢に頬をうっすらと染めながら、アイズは軽く体を身動ぎさせた。眠りこける少年には、振動が伝わらないよう、小さく、優しく。

遠くでモンスターの叫び声が聞こえる。恐らくは三日月達がこの辺りのモンスターを倒しているのだろう。

アイズ達の前にモンスターが来ることはなく、ただ、静かな時間だけが過ぎていく。

 

「・・・頑張って、るんだね」

 

以前見かけた軽装とは、防具が変わっているだろうか。

しかしそれも既に、かすり傷や欠けた跡など、使い込まれているのが見て取れる。おそらく毎日ダンジョンにもぐってモンスターと戦っているのだ。爪や牙にひっかかれている全ての跡を目で数えて、アイズはそう察する。

少し撫でたくなってしまって、その兎のような髪や、額をそっと指でなぞった。

 

「・・・おかあさん?」

 

柔く撫で続けていると、少年の唇が、開いた。

その夢現のつぶやきに、アイズの肩が揺れる。

 

(・・・君も、いないの?)

 

抱いてはいけないと親近感と、少しの寂寥感を覚えながら。

アイズは、そっと白い前髪をよけながら、謝った。

 

「ごめんね。私は、君のお母さんじゃない・・・」

 

直後、寝ぼけ眼だった深紅の瞳が、見開かれた。

時間をかけて覚醒の光を宿していき、見下ろしているアイズの金の瞳と、真っ直ぐ見つめ合う。

視線を絡め、唖然と時を止めている少年の顔を、アイズは再びそっと撫でた。

髪をすき、瞼に触れると、やがて彼はのろのろと体を起こす。

彼は腰を下ろしたまま、アイズに振り返った。

 

「・・・幻覚?」

 

「・・・幻覚じゃないよ」

 

間抜けな顔をして指してくる少年に、思わず、むっ、としてしまった。眉を少し斜めに上げて、普段は見せないような表情を作る。

少し、それは、失礼ではないだろうか。

この短い時間の間に色々なものをもらっていたアイズは、口を尖らせる思いで少年の顔をじっと見つめる。

─────そうだ、謝らなくちゃ。

アイズがそう思い立ち、口を開こうとすると。

少年は首から上がみるみる内に赤くなっていき。その様子に気付いたときには、あっという間に欄塾し過ぎた林檎が出来上がっていた。そして少年は立ち上がる。

そして、

 

「────だぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

全力で、アイズから逃げ出した。

 

「・・・・・」

 

ぴょんぴょんと逃げる兎もかくやといった速度で、少年が広間から姿を消す。

膝を貸していた同じ体勢で、固まったアイズは全く動けない。

ゲエッ、ゲエッ、とどこからかモンスターの笑う声が聞こえたような気がした。

 

「・・・何で、いつも逃げちゃうの?」

 

アイズはちょっぴり泣きそうになった。




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