ソード・オラトリア・オルフェンズ   作:鉄血

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第四話

アイズがLv.6に至った夜から次の日の朝、【ロキ・ファミリア】ホームでは彼女の【ランクアップ】の話題で持ちきりになった。

派閥幹部である孤高の少女の偉業に、多くの団員は口々にし、興奮で頬を彩る。

当の本人はというとドンヨリとした空気と考えているような仕草を取り、話しかけられても禄な反応を示さず早々に───ふらつきながら───朝の大食堂から姿を消したが、女性団員を中心にした下位構成員達は彼女が消えた後も色めき立った。

男性団員達も燃えるような口ぶりで熱く称え合う。強く美しい【剣姫】の存在は、これまで以上に【ロキ・ファミリア】の憧れと、誇らしさの対象になりつつあった。

一方で、アイズに近しい者達の中では悔しがる者も多い。狼人の青年は不機嫌そうに肉を食いちぎりながら興奮して話しかけてくるラウルを蹴飛ばし、アマゾネス姉妹の妹は「先に行かれたー!!」と身体全体で悔しがって「やかましい」と姉をげんなりさせている。彼女達の側では後輩であるエルフの少女が紺碧色の瞳を揺らしながら、様々な思いを募らせていた。 

朝から騒がしさが途切れないそんな団員達を尻目に、アイズはキョロキョロと首を振る。

 

三日月はどう思っているのだろう?

 

アイズはその事が気になり、三日月とハッシュの姿を探す。

だがどこにも見当たらない二人に、アイズは畑かなと思い、応接間を後にしようと身を翻した時だった。

 

「・・・あ」

 

三日月とハッシュが玄関を出て行くのが見えたのと同時に、アイズは小走りで駆け出した。

応接間を抜けて、玄関の門へ手をかける。そして周りを見渡すと・・・いた。ダンジョンの方へと二人で歩いているのが見える。

そんな二人の行き先を知るべく二人の後を、アイズはバレないように後を付けていった。建物の壁を使ったり、樽の影へと隠れたりと、ゆっくりとそして着実に近づいていく。

傍から見れば【剣姫】と呼ばれる程の彼女がストーキングまがいの事をしているのだ。その様子を見てしまった冒険者達は、驚きのような避けるような表情でその様子を眺めていた。

そんな中、三日月とハッシュ達はダンジョンの入口で足を止めると、その前で話始める。

 

「・・・誰か待っているの?」

 

近くの茂みで隠れるアイズに二人は気づく事なく数分間待っていると、別方向から昭弘が歩いてやってきた。そしてその隣には───

 

「──────!?」

 

自分が探していた『白髪の少年』だった。

その光景にアイズは息を呑む。

そんなアイズに四人は気づかないで、一緒にダンジョンの中へと入っていった。

 

「─────────」

 

その光景を間近に見たアイズは何も言えずにその場で立ち尽くす。そんな中で、アイズは最近三日月達がホームにいない時の事を思い出した。

そしてすぐに結論を出す。“そう言う事かと“。

自分があの少年の事で頭がいっぱいになっているというのに、三日月はハッシュ達と一緒にあの少年とダンジョンへ潜っていたと?

 

「・・・・・ずるい」

 

アイズがそう呟くのと同時、“バキィ!!“の街路樹の幹の一部を握り潰す。

そして──────

 

「・・・私も行かなきゃ」

 

アイズはそう呟いたのと同時に一度、ホームへと足を向ける。

ダンジョンに行くとなるとそれなりの準備が必要だ。それに三日月の事だ。二人に合わせてそこまで深くは潜らない筈。

そんな事を考えながら、アイズはホームへと駆け足で戻っていった。

三日月への嫉妬と、羨ましさで頭がいっぱいになりながら。

 

 

◇◇◇◇

 

「なあ、いつまで俺の後をついてくんだよ?そもそも“三日月達“が此処にいるのか分かんねえんだぜ?それなのによぉ・・・」

 

“シノ“はそう言いながら“彼女”を見る。

あのモビルアーマーの件で助けた獣人の少女にあれからずっと付き纏われているシノは参った顔をしながら彼女を見る。

べっぴんな子供だとは思うが、まだ子供だ。自分達のように戦いに慣れている訳でもなければ、長期間の長旅に慣れているわけでもないだろう。

そんなシノの言葉に、少女は唇を開く。

 

「・・・気にしなくていい。私はアイツを殺せるなら、それで」

 

「・・・・・・」

 

シノは彼女の目を見て嘆息する。これは説得するのは無理だと。

今の彼女の目は昔、ヒューマン・デブリの連中と戦った時にソイツ等がしていた目だ。

仲間を殺されて復讐に走る奴等の目。鉄華団にもそんな連中はいたが、最終的には鉄華団を止めていったものや戦場で死んだ奴が殆どだった。

いくら自身が女好きとはいえ、そんな彼女を近くに置きたくはない。だが下手に置いておいて、勝手に死なれたりでもしたら目覚めが悪すぎる。

そんな状態がしばらく続いたが、シノは諦めて彼女に言った。

 

「まぁ・・・なんだ。嫌になったら何時でも言ってくれよな。一応聞くが、名前はなんつぅんだ?流石にずっとついて来るんだったら知っといた方がいいだろ?」

 

シノの言葉に獣人の少女は少し考えた後、口を開いた。

 

「・・・・ヨナ」

 

彼女の言葉にシノは歯を見せて笑いながら言う。

 

「ヨナか。いい名前じゃねえか!俺はノルバ・シノ!シノでいいぜ!」

 

そんなシノの言葉に彼女はジト目で呟く。

 

「・・・うるさい人ですね。ノルバさん」

 

「ヒッデェな!?」

 

そんな凹凸コンビは三日月達を探しに、彼方此方へ旅をする。

そして、あのモビルアーマーを一刻でも早く殺らないといけないのだ。人類が滅びるのが先か、彼等悪魔が倒すのが先か。

彼等の旅はオラリオに辿り着くまで終わらない。




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