ソード・オラトリア・オルフェンズ   作:鉄血

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ガンダムがTVアニメで来年放送!!

水星の魔女、楽しみだなぁ!!

ウルズハントも来年からだし、やろうかなぁ。


第七話

アイズとレフィーヤは『上層』の深部───10階層に向かっていた。そこに四人がいると言う情報を、他の冒険者から聞いたのだ。

聞いた話によると、この短期間の間に10階層に到達しているらしい。

たった二十日いう日数で当時のアイズでも、一人で辿り着くまでに半年以上はかかったこの場所に。

 

(・・・成長、した?)

 

それは───ありえない。

 

(速過ぎる───)

 

いくらなんでも荒唐無稽だ。

そんな冒険者は、聞いたことがない。

いくら三日月達が一緒とは言え、短い期間とはいえ、三日月や昭弘の性格状、それをすることはないだろう。

そこまで考えたアイズは頭を振った。今はそのような思考に囚われているべきではないと、己を叱咤する。

階層間を繋ぐ階段を駆け下りながら、アイズは三日月に対する言葉を考える。

何時から彼と一緒にダンジョンへ潜るようになったのか。なぜ、自分に話てくれないのか。

聞きたいことは沢山あったが、氷解しない疑問と共にアイズは振り払った。

やがて、階段を下り終え10階層に到着する。

始点となる広間を飛び出すと、迷宮に立ち込めるのは白い霧だった。

視界を妨げるこの霧は『上層』における10階層からの特徴だ。ダンジョン・ギミックの一つと言ってもいい。

充満する視野のベールは方向感覚や接近するモンスターの察知を鈍らせ、下位冒険者を苦しめる。人の探索が難しくなった環境の中、アイズとレフィーヤは地面に生える緑草を蹴りつけ、霧が立ち込める迷宮を進んだ。

通路の出合い頭襲いかかってくる『インプ』をすれ違いざま瞬殺し、僅かにも速度を緩めない。

と、レフィーヤが顔を横へ向けた。

それにつられてアイズもそちらへ視線を向ける。先が見えない霧の奥。そこから神経を研ぎ澄ませていると───聞こえた。

 

「「!」」

 

モンスターの醜い雄叫びと、激しい戦闘音、そして人の咆哮が。

荒くれ者達の野太い声ではなく、少年のような高い声音に、鳴り響く火薬のような音。その二つの音で二人は確信し、アイズとレフィーヤは転進した。長い通路を疾走し、音の出どころである広間へ突入する。

広々とした広間の中央付近では、霧の中で複数の巨大な影が暴れ回っている。間違いなく大型級モンスターの『オーク』だ。そしてモンスター達と交戦するのは、見覚えのある四人の影。

 

『───【ファイヤボルト】!!』

 

次の瞬間、砲声とともに繰り出された炎雷が、霧の海を切り裂いた。

見開かれたアイズの金の瞳に映ったのは、爆砕するオーク、そして腕を突き出した白髪の冒険者。そして、三日月。

アイズは三日月を見て目をキッ、と吊り上げる。

どうやってあの少年と一緒にダンジョンに行っているのか、問いただしたい。何だったら、二人と一緒に冒険したい。

疑問半分、欲望半分・・・いや欲望八割と言った完璧な私情を胸に、アイズはその中へずかずかと急ぎ足で進んでいく。

オークを倒し終わった彼等を見ていると、白髪の冒険者はハッシュがハイタッチをしている。何だったら、昭弘や三日月とも。

 

「───ッ!!」

 

三日月の普段は見せない困惑の顔が浮かぶ中、アイズが声をかけようとしたその時。

 

「勉強をサボって随分と楽しそうですね?ハッシュさん?」

 

「!?」

 

レフィーヤのドスの聞いた黒い声に、ハッシュが顔を上げる。

顔を上げるハッシュは、明らかにヤバいと言った表情を作りながら冷や汗を流し続けていた。

笑顔のまま近づいてくるレフィーヤに対し、ハッシュはウサギのように固まったままだ。何だったらあの白髪の少年はもういなくなっていた。

せっかく会えたのに。と、アイズは思いながらも、三日月へと近づいていく。

重い空気の中、レフィーヤはハッシュに言った。

 

「ダンジョンも良いですが、今日はさっさと帰って私と勉強です」

 

レフィーヤはハッシュに杖を頭に振り下ろした。

ガスッ!!と嫌な音が鳴り、ハッシュが昏倒する。

そして──────

 

「では、ハッシュは連れて帰りますので三日月さん。すみませんでした」

 

「あー・・・何サボったか知らないけど、ハッシュも悪いから。いいよ気にしなくて」

 

彼女から何かを察したのだろう。三日月はそれ以上何も言わなかった。

隣で昭弘が鬼かと言っていたが、気にしなくていいだろう。

ではと言ってハッシュを連れて帰るレフィーヤを横にアイズは三日月に向けてカツカツと靴音を鳴らし歩いていく。

そして──────

 

「三日月。どうやってあの子と仲良くなったのか教えて」

 

「は?」

 

アイズは三日月の肩を掴んでそう言った。




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