仕事が忙しすぎて中々投稿が出来ない。デート・ア・オルフェンズが投稿出来るかな・・・。
今回は三日月の出番は少なめです。
それと、三日月っぽくなかったらごめんなさい。
では、どうぞ!
だんまち・・・組み合わせるの結構大変だー!!
走る。走る。走る。
悲鳴の方角と後は勘頼り。
現れるモンスターを強引に振り払い、通路を幾度も曲がったアイズ達の視界に、それは飛び込んできた。
「なに、あれ!?」
「い、芋虫……っ!?」
ティオナ、レフィーヤと声が響く中、アイズは金の双眼で見張る。
巨大なモンスターだ。
全身を占める色は黄緑。ぶくぶくと膨れ上がった柔らかそうな緑の表皮には、ところどころ濃密な極彩色が刻まれており異様に毒々しい。無数の短い多脚からなる下半身はレフィーヤが呻いたように、確かに芋虫の形状に似ている。
ダンジョン深層を探索してきたアイズ達でさえも、一度も目にしたこともないモンスター。
───新種のモンスター?
進行に合わせて上下に振動するモンスターの巨体が、四Mはある天井と何度もぶつかり合い削り落とす。
横幅も道の両端にほぼ届き、通路一杯に塞ぎながらこちらへと迫ってくるその光景は、戦車という言葉をアイズに連想させた。
と、その隣で三日月が若干嫌な顔をつくり言った。
「アイツ、結構面倒なんだよな。近づいて殴ったら周りの壁溶かすし。ああいうのは遠くから殺った方がいいよ」
」
三日月はアイズにそう言って目の前の巨大芋虫を見た。
「団長!?」
そのモンスターに追走される、フィン達二班のパーティが、戦闘を放棄して、モンスターに背を向けながら全力で逃走している。
ティオネが悲鳴に近い叫び声を散らすなか
「っっ!」
最も早く動いたのはティオナだった。
眦を吊り上げ、アイズ達の元から飛び出していく。
敵の進撃を食い止めようと、追われるフィン達と行き違い、モンスターへと斬りかかる。
「止せ、ティオナ!」
制止の声も聞かず、接敵。
肉薄してくるティオナに対しモンスターは顔面と思しき位置から、"がぱっ"と嫌な音を立てて口腔を開く。
そして勢いよく、大量の液体を放出した。
紫と黒が混合したおぞましいマーブル模様の液を、しかしティオナは難なく回避し、懐に飛び込みながらがら空きの胴体へ、大双刃を叩き込む。
が─────
『────────ッッ!』
「っ!?」
モンスターの苦悶の叫び、破鐘のような啼き声が轟く一方、ティオナの瞳もまた驚愕に見開かれた。
敵の傷口から先程のものと同色の体液が迸り、眼前に飛散する。
首をひねり間一髪避けたもの、一粒の細かな液が一本の髪に触れ───じゅぅっ、という音とともに溶かした。
ぞっという悪寒が全身に走り、ティオナは地を蹴ってその場から離脱する。
「えっ……!?」
後方へ着地した瞬間、ティオナは自分の目を疑った。
大双刃の片方の剣身が、"消えている"。
いや、この場合溶けたというべきか。
敵の体内に埋まったことによりあの体液に侵食され、跡形もなく。
目のすぐ横の頭髪と大双刃が煙をあげている。溶解したかのような跡を残す剣身の断面を見つめ、ティオナは言葉を失った。
まさかの武器破壊。
『────────────ァァ!!』
モンスターがいきり立つような咆哮を上げ、再び口腔から液体を噴出させようとした瞬間。
「そこだ」
三日月は両腕に装備された銃口をそのモンスターの口腔へ狙いを定めて発砲する。
オレンジ色の弾丸は真っ直ぐとそのモンスターの口腔へと向かって行き、そして。
"パァン!!"という音を立てながら、まるで花火のように弾けとんだ。
弾けとんだその瞬間、モンスターの中から大量の紫液が周りに飛び散るが、アイズ達はその紫液を回避する。
その様子を見たフィンやティオナ達は一瞬だが動きを止めた。
そう。何故なら自分達でも逃げるしかなかったモンスターを誰かも知らない少年が、正確にしかも一撃で撃ち抜いたのだ。
皆が退散する中、三日月は淡々と彼らに言う。
「あの気持ち悪い奴、口を開けた時に攻撃を撃ち込めば、中で光ってるやつに当たってすぐに倒せるよ。さっさと倒して、ソイツを助けてやれば?」
三日月はそう言って巨大なモンスターを見る。
倒したモンスターの後ろにも、同じ巨大芋虫が群れをなしてこちらへと向かってくるが、三日月はその群れに腕部砲を向けて淡々と一体ずつ確実に殺していく。
その様子を見て、フィン達は呆然とするが、すぐに我に変わりラウルの様子を見た。
ラウルはガレスの大きな肩の上でぶらんと両手を力なく垂れ下げ、時折小さな掠れ声を上げながら呻いている。
身に纏っていた軽装ごと皮膚は溶かされ、さらに黒がかった紫色に変色している有り様だ。
「早く治療してやらんと、こりゃいかんぞ!」
ガレスはそう言って、ラウルを担ぎ直す。
仲間の惨たらしい姿に、レフィーヤは顔を蒼白させていた。
───と。
「え、ちょっと……あのモンスター、ブラックライノスを襲ってるよ!?」
後ろを振り返ったティオナが叫ぶ。
アイズ達が既に過ぎ去った十字路で、横手から現れたブラックライノスを、例の巨大芋虫は出会い頭に攻撃していた。
腐食液で体を溶かし動きを止めた後、その巨大な口を開いて上半身を一呑みにする。
依然として三日月は足止めをしてはいるが、それもいつまで続くかわからない。
「あのモンスターは、僕達も他のモンスターも、近づいたものには全て反応して攻撃してくる」
「見境なしってことですか?」
「いや、どうかな。決めつけるには材料が少ないけど・・・モンスターを率先して狙っている節があるように思う。ほら、先程から攻撃している彼をあまり狙っていないだろう?」
先程から攻撃を仕掛けている三日月に対して、巨大芋虫はそちらへと関心をあまり向けず、モンスターへと攻撃をしている。確かにその節が可能性としてあり得る。
三日月とモンスターを見て瞳を細めるフィンに、ティオネは懐から木の欠片を取り出した。
「団長、実は私達が向かう前に『カドモスの泉』が荒らされていました。カドモスは灰になってドロップアイテムだけが。この木の欠片も同じ場所で」
「うん。……でも、カドモスは三日月とも戦ったと思う。あの子、私と戦ってる時にトカゲより強いって……」
ティオネが言い終わった後、アイズもフィンにそう言う。
おそらくだが、彼はカドモスとあのモンスターと戦ったような言いぐさだった。
なぜなら、あのモンスターの弱点とおもしき場所を正確に撃ち抜き、それでいてなおかつ自分達に教えたのだ。
「ンー……決まりか。カドモスも倒すとはね……それにしても彼は一体何者だろう。一人でこんな階層奥深くにいるなんて」
受け取った樹木の一欠片を見つめ、その後に三日月に視線を向ける。
彼ほどの実力者であれば自分達の耳に入ってくる筈だ。
だが、それすらもなく名前すらも聞いたこともない。
"まるでどこか別の所から来たような"感じの少年にフィンは頭を悩ます。
「フィン、あのモンスターは倒せる?」
一向に走り続ける中、アイズがその言葉を周囲に打った。
何時までも彼だけに任せて置くわけにはいかない。
アイズはそう思って言った言葉だが、仲間達の間では一瞬の沈黙が生まれる。
やや前方を走り、顔だけを向けてくるアイズに、フィンは間を開けて答えた。
「攻撃自体には効果はある。けど、それは一撃に対して一つの武器を犠牲にだ、さっきのティオナのようにね。割に合わな過ぎる」
「・・・・」
「それに、彼の場合は自分達でもよく分からない遠距離での攻撃を持っている。下手に手を出して彼の邪魔をすれば、余計に被害が大きくなりかねない」
ただし、とフィンは続ける。
「魔法ならその限りじゃない。この状況下では難しいかもしれないけど、詠唱するだけの時間を稼いで、"群れを殲滅できるほどの強力な魔法"を打ち込めたなら・・・」
フィンの分析が終わる。
そして言い終わるや否や、アイズの、その場の全員の視線がある人物のもとに集まった。
自分の顔に集中する周囲の視線に、レフィーヤは、「えっ、えっ?」と顔をきょろきょろと左右に振った。
「っ! 前からも来た!」
前方から押し寄せてくる黄緑色の巨体。
ティオナが警告すると同時にフィンも指示を出す。
「全員、右手の横道に飛び込め!」
方向転換し、唯一残された通路へアイズ達は体をねじ込んだ。それに少し遅れる形で三日月もバルバトスのスラスター噴かせながら、滑るように進む。
それまで進んでいた道幅より狭くなった一本道を、一列または二列で駆け抜けていく。
「ティオネ、武器とアイテムのストックは?」
「え……あ、はい、何も消費していません。ティオナの得物以外は、全て無事です」
「よし、ガレス達に武器を渡せ。この先のルームは行き止まりだ、君はラウルを伴い奥まで下がって、アイテムを使って治療しろ」
都市規模と同等以上の51階層の構造を、地図も見ず完全把握している小人族の首領に息を呑みながら、ティオネはすぐに指示に従った。
「アイズ、君は彼に報告して欲しい。この先の広場で迎え撃つって」
「……分かった」
アイズはフィンの言葉にそう答え、方向転換し、三日月の元へと向かう。
「此処から先は持久戦だ!」
モンスターの全滅が先か、自分達か。
その答えはこの先の広場で決着する。
感想誤字報告よろしくです。