すみません皆さん。
投稿が遅くなってしまってばかりで……
今現在もバスの中からの投稿となっています……。
もっと早く書き上げられるようにして、皆さんを楽しませようと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします!!
それでは、本編をどうぞっ♪
オレンジ色の夕日に染まった高台の公園には今、俺と十香以外の人影は薄らとも見受けられない。
まさに絶景の貸し切り状態。
やはり美しい景色はいつでも心を豊かにさせてくれる。
【トリトニスの大滝】しかり、【神の間】しかり。俺の心に深く残っている。
「おぉ、絶景だな!!」
十香は先程から、落下防止用の柵から身を乗り出しながら、黄昏の天宮の街並みを眺めている。
偶然に此処に足を運んだのだがどうやら十香も気に入ってくれたようだ。
「ヨヅル!あれはどう変形するのだっ!?」
十香は遠くを走っている電車の方を指さして、目を輝かせながら言った。
「ふふふっ。
残念だけど変形はしないかな」
「何、合体タイプか?」
「ん〜……連結はするよ?」
「おぉ」
十香は妙に納得した調子で頷くと、くるりと身体を回転させ、手すりに体重を預けながら向き直った。
夕焼けを背景に佇む十香は、それはそれは美しくて世界に名だたる絵画にも負けないような、そんな美しさを醸し出していた。
「―――それにしても」
十香が話題を変えるように、んー、と伸びをした。
そして、にぃッ、と屈託のない笑みを浮かべてくる。
「いいものだな、デェトというのは。実にその、なんだ、楽しい」
「うん。俺も凄く楽しかったよ」
俺はそんな十香に微笑みを返して、そう言った。
十日前、そして昨日。
十香の顔に浮かんでいた鬱々とした表情は、随分と薄れていた。
俺は軽く息を吐き出すと、一歩だけ足を引いて十香の方を向く。
「―――どうだった?
十香を殺そうとする人なんていなかったでしょう?」
「……ん、皆優しかった。
正直に言えば、まだ信じられないくらいに」
「そっか……」
「あんなに多くもの人間が、私を拒絶しないなんて。私を否定しないなんて。
―――あのメカメカ団……えぇっと、なんといったか……。エイ……?」
「ASTのことかな?」
「そう、それだ。街の人間すべてが奴らの手の者で、私を欺こうとしていたと言われた方が真実味がある」
「それは……」
流石に発想が飛躍し過ぎていたが……俺はそれを笑うことが出来なかった。
何故なら、十香にとってはそれが【普通】だったのだから。
否定されるのが、そしてされ続けるのが【普通】。
なんて―――――悲しいのだろう。
「……それじゃあ、俺もASTの手先ってことになるのかな?」
俺がそう言うと、十香はぶんぶんと首を横に振った。
「いや、ヨヅルはあれだ。
……きっと親兄弟を人質に取られて脅されているのだ」
「ふふふっ……。なんだいその役柄は」
十香の発言に俺は口元を隠してそういった。ついつい笑ってしまう。
「わ、笑うなっ!……ともかくだ!……お前が敵とか、そんなのは考えさせるんじゃない……」
弱々しく呟いた十香を俺は微笑みながら見詰めた。
十香はそんな俺から直ぐに顔を背けると、無理矢理表情を変えるように、手で顔をゴシゴシとやってから再びこちらに視線を戻した。
「―――でも本当に、今日はそれくらいに有意義な一日だった。
世界がこんなに優しいだなんて、こんなに楽しいだなんて、こんなに綺麗だなんて……私は……思いもしなかった」
「そっか……」
しかし十香は、その次に眉を八の字に歪めて苦笑を浮かべた。
「あいつら―――ASTとやらの考えも、少しだけわかったしな」
十香の顔は悲しそうに哀しそうに歪む。
見ているだけでこちらの胸が締め付けられるような、悲壮感の漂う顔。
「私は……いつも現界する度に、こんなにも素晴らしいモノを壊していたのだな……」
「……けど、それは君の意思とは関係ないだろう?」
「……ん。現界も、その際の現象も私にはどうしようもならない」
十香はそこで一度言葉を切るとふぅ、と息をひとつ吐いて再び口を開いた。
「だが、この世界の住人たちにしてみれば、【破壊】という結果は変わらない。
ASTが私を殺そうとする道理が、ようやく……知れた」
最後の言葉を発した十香の悲痛な面持ちに胸が引き絞られる。
「……ヨヅル。やはり私は―――いない方が良いな」
言って―――十香が笑う。
今日の昼間、デートをしている時に覗かせた無邪気な笑みではない。
まるで自分の死期を悟った病人のような―――弱々しく、痛々しいそんな笑顔だった。
俺はそんな十香に拳を握りながら口を開く。
「そんなことは―――ない」
十香は喋り始めた俺の方を向きながら黙って聞いている。
「今日は空間震……起こしていないだろう?
この方法なら何も問題ないじゃないか」
「この方法は私とて理解しているわけではない。
それに不定期に存在がこちらに固着するのは止められない。
現界の数は減らないだろう」
「なら……もう向こうに帰らなければいい」
俺が静かにしかし力強くそう言うと十香は顔を上げて目を見開いた。
まるで、そんな考えを全く持っていなかったというように。
「そんなことが―――可能なはずは……」
「試したのかい?今まで一度でも」
「………………」
十香は、俺の言葉に唇を結んで黙り込んだ。
やはり試したこと……いや、考えたことすら無かったのだろう。
「で、でもあれだぞ。私は知らないことが多すぎるぞ?」
「俺が全部教えてあげるよ。
もうこれ以上知ることはないっていうくらいに」
「寝床や、食べるモノだって必要になる」
「そんなもの問題の範疇ですらないよ。
俺の家に来れば良い」
「予想外の事態が起こるかもしれない」
「俺に対処出来ない事態は存在しない。
箱庭の【規格外】を舐めて貰っては困るよ」
十香は少しの間黙り込んでから、小さく唇を開いてきた。
「……本当に……本当に、私は……生きても良いのか……?」
「うん。勿論だよ」
「この世界に居ても良いのか?」
「存分に楽しめば良いよ」
「……そんなことを言ってくれるのは、きっとヨヅルだけだぞ。
ASTは勿論、他の人間たちだってこんな危険な存在が、自分たちの生活空間にいたら嫌に決まっている」
「ふふふっ……。AST?他の人間?
……そんなものは関係ない。
もし十香。君を全ての人間が拒絶し、否定するのなら、俺はそれ以上のモノで君を包み、
そういった俺は十香に向かって右手をスッ、と伸ばした。
それを見た十香の肩がビクッと小さく震える。
「―――俺の手を取って。今は―――それだけで良い」
十香は顔を俯かせ、数瞬の間思案するように沈黙したあと、ゆっくりと顔を上げ、恐る恐るといったように手を伸ばしてきた。
「ヨヅル―――」
と。
俺と十香の手と手が触れ合おうとした瞬間。
俺は己のその愚かさを痛感した。
「くっ!十香っ!」
自然と口からその名を叫んだ。
その声に十香が答えるよりも早く。
「…………っ」
俺は両手で十香を突き飛ばした。
……なんと愚かな行動なのだろうか。
咄嗟の反応としては赤点はまぬがれない程の愚策。
細身の十香は突然の衝撃に耐えられず、漫画のようにごろんと後ろに転がった。
それから刹那も間を置かずに。
「―――――――あ……」
俺は胸と腹の間くらいに『貫かれる』というダメージを感じた。
「な、何をする!!」
砂まみれになった十香が非難の声を上げてくるが、それには答えられそうにない。
「―――ヨヅル……?」
十香が俺の方を見ながら呆然といってくる。
俺はダメージを受けた部分を右手で触れてみる。
しかし、俺の手には何も当たらない。
完全に貫かれ、抉られている。
……仕方がない。
一度
俺の視界は暗転した。
~~~~~~~~~~~~~~~~
Side 十香
「ヨヅル……?」
初めて覚えたその名を呼ぶが、返事は無い。
ヨヅルの胸には私の手のひらを広げただけでは足りないような大きな穴がぽっかりと空いている。
鼻孔をくすぐる生臭い鉄の匂い。
―――頭が混乱して……意味が……わからない。
「ヨ―――ヅル…………」
私はヨヅルの頭の隣に膝をおると、その頬をつついた。
反応は、無い。
数瞬前まで私に差し伸べられていた優しい手は一部の隙間も無く……血に濡れていた。
「ぅ、ぁ、あ、あぁ―――――――」
数秒の後、頭がようやく状況を理解し始める。
……辺りに立ち込める焦げ臭さには覚えがあった。
いつも……いつも私を殺そうと襲ってくるあの一団―――ASTのモノだ。
そして、あの研ぎ澄まされた一撃。
おそらく―――――あの女。
如何に私とて、【霊装】も纏っていない状態であの一撃を受けたのなら……。
良くて重症……悪くて致命傷はまぬがれない。
まして何の防護も持たないヨヅルがそんな攻撃を受けたのなら……。
「――――――」
私は、その事実をしっかりと理解すると共に途方も無い眩暈を感じた。
未だ空を眺めるヨヅルの目に手を置き、ゆっくりと瞼を閉じさせてやった。
そして、私の着ている上着を脱ぐとそっと、ヨヅルの亡骸にかける。
ゆっくり、ゆっくりと立ち上がった私は大きく広がる空を見上げた。
―――嗚呼。嗚呼。
駄目だった。やはり駄目だった。
一瞬―――私はこの世界で生きられるかもしれないと思った。
ヨヅルがいてくれるのなら何とかなるのかもしれないと思った。
凄く大変で難しいだろうけど、できるかもしれないと思った
―――だけれど―――
嗚呼、だけれども。
やはり、駄目、だった。
この世界は―――――
―――――やはり私を否定した。
それも、考え得る限り最低最悪の手段を以て―――――ッッ!!!!
「―――〈
喉の奥から、腹の底から、全身から、その名を絞り出す。
【霊装】。絶対にして最強の私の領域。
―――瞬間、世界が、啼いた。
まるで私の心情を表すかのように、けたたましく。
私は身に纏った霊装の感覚に笑みを零した。
―――やはり、コレが私の
ぎしぎし、ぎしぎしと。
広がる空が軋む。
まるで私を拒絶するかのように。
やはり否定する。
私は視線を少しだけ下げ、幾許かの距離のある高台を見詰める。
……嗚呼、あそこに……あそこに……。
私が初めて殺したいと思った……
踏みしめた大地に踵を突き立てる。
瞬間、そこから巨大な剣が収められた玉座が現出した。
トン、と軽く地を蹴り、玉座の肘掛に足をかける。
そして、勢い良く背もたれから剣を引き抜いた。
その瞬間、私の中でナニカが溢れた。
「あぁ……」
喉を震わせる。
「ああぁぁあああぁああああぁ……」
天に響かせるように。
「あぁああああぁぁあああぁぁあぁ―――ッッ!!!」
地に轟かせるように。
私の頭を麻痺させて、自我を磨滅させるような、そんな感覚。
「……よくも」
目が、湿る。
「……よくもよくもよくも」
胸が、締め付けられる。
「よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもッッ!!!」
剣を握る手に力を込めると視線の先まで距離を
「な―――ッ!!?」
「―――――」
目前には驚愕に目を見開く女と―――
―――無味な表情の少女。
―――コイツがヨヅルを……ッ!!!
憎しみの感情が私の中で膨張した。
「〈
私はその名を吼えた。
刹那、私の足を置いていた玉座に亀裂が走りバラバラに砕け散る。
そして、その玉座の砕けた破片は私の握る剣にまとわりつき、そのシルエットをさらに大きなモノに変えていく。
全長一〇メートル以上はあろうかという、長大過ぎる剣。
これこそ私の〈
私はソレをただ当たり前に振りかぶると、二人の女に向かって振りおろした。
刀身の光が一層強いモノになり、一瞬でも遅いと思える程のスピードで太刀筋の延長線上である地面を這っていく。
瞬間、爆発が辺りに拡散し襲った。
「な…………ッ!」
「―――――く」
惜しい。
二人の女は左右に逃げたようだ。
「この……ッ、化物め―――!」
長身の方の女が何かほざいているが興味はない。
何やら剣のようなモノを振るって私に攻撃を仕掛けてくるが……烏滸がましい。
私は視線をそちらに向けるだけで攻撃を霧散させる。
「嘘―――――」
女の顔が絶望に染まる。
しかし、やはり私には興味がない。
興味が……憎しみがあるのはもう一人のほうだ……ッ!!!
「―――嗚呼、嗚呼。貴様だな、貴様だな」
自身が驚く程に静かな声。
「我が友を、我が親友を、ヨヅルを殺したのは、貴様だな」
私がそう言うと、少女は表情を歪めた。
だが、そんなのは関係ない。
【
今の私を止められるモノはこの世界に存在しない……いや、
だから、だから私は―――――
―――――
「―――
コイツだけは……許さないッッ!!!!
久しぶりの投稿でしたがいかがでしたでしょうか?
後1話で原作第1巻は終了となりますのでここからは気合を入れて行こうと思います!!
……その前にテスト勉強ですが……(涙)
少なくとも1週間に一話はあげて行けるようにしますのでどうぞ宜しくお願いいたします!!
では、また次回お会いしましょう♪