二人の生徒会長 氷霧の姫たちは叢雲と共に   作:竜羽

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まえがき劇場

和麻「おい、凰」

鈴「何よ」

和麻「お前にこれを見せてやろう」スマホを見せる

鈴「誰これ?」

和麻「俺の妹だ。ちなみに去年のやつだ」

鈴「ふ~ん、結構かわいいじゃない。これが何?」

和麻「で、今年のやつ」スマホをスクロール

鈴「……え?これ、同じ子?」

和麻「ああ」

鈴「何で一年でこんなに育っているのよおおおっ!!?」

和麻「Aから一気にDになったらしい」

鈴「理不尽だああああ!!」←万年A以下


気が向いたらやろうと思います。では、本篇をどうぞ


強襲

 

 

 

 

地獄だった。

炎が燃え、瓦礫が散乱する。

人々の泣き叫ぶ声がそこかしこから聞こえる。

何が起こったのか理解が追いつかない。

ただ漠然と、そこに地獄が広がっているのだけはわかった。

それでも、彼女の姿を探した。

飛行機に乗っていた。昨日始まったばかりの春休みを利用して、彼女の故郷に遊びに行くはずだった。

自分の隣に座り、頬を膨らませてそっぽを向いていた幼馴染の少女の姿を。

謝らなきゃ。

仲直りしなきゃ。

いつもみたいに、ごめんと言おう。何でもするからって。そうすれば、きっとこっちを見てくれる。

頬をふくらましたまま、小さい背丈のせいで最近身長が伸びてきた上目使いをしながら睨みつける彼女に更に謝って。

そうして、ようやく許してくれるはずだ。

 

なのに、なのに何で――

 

 

 

――彼女は目の前で胸を貫かれて、血を流し続けているのだろうか?

 

 

 

 

 

五月の上旬。ついにクラス対抗戦の日がやって来た。

第二アリーナで行われるのは、第一試合の組み合わせは一組と二組のクラス代表の試合。つまり一夏と鈴が戦うのだ。

現在、和麻とシャーリーは、一般生徒たちが座っている観客席とは違う場所にいた。

生徒たちで混雑している観客席の少し上、アリーナ全体がよく見渡せる位置にあるガラス張りの部屋に二人はいた。

部屋はかなり広いが、中には通信機械やPC端末などが置かれており、少しゴタゴタしている。

ここはアリーナを監視する場所であり、緊急事態が起こった時に状況を把握し、事態の収拾を図る――いわば、管制室の予備の役割を果たす部屋なのだ。

この部屋は東西南北の四つが設置されている部屋の一つで、二人は南側の部屋にいる。

反対側の北の部屋には虚とサラが、東には刀奈、西には流無が待機している。

 

「凰が出てきたか」

 

丁度和麻がいる南側のピットから、赤い専用機を身に纏った鈴が飛び出す。

棘付き装甲(スパイク・アーマー)が特徴的な非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)を両肩に備え付けたISだ。

美しいというよりも、荒々しい印象を持つそのISの名前は『甲龍(シェンロン)』。

イメージインターフェースを用いた特殊兵装を備えた中国の最新型の第三世代ISだ。

中国語の読みが、日本の大人気漫画に登場するある龍を想像してしまうため、大抵の者は「こうりゅう」と読んでいる。

鈴が指定されたポイントに到達してから、少しして反対側のピットから一夏が飛び出す。

白式が受領されてから続けてきた訓練のおかげで、問題なくアリーナの指定された試合開始ポイントまで飛んでいく。

噂の男性IS操縦者の片割れと、中国の期待のルーキーという注目の試合カードに、観客たちのボルテージが上がる。

そんな中、一夏と鈴は少し言葉のやり取りを行った後、それぞれの主武器(メインウェポン)を呼び出して構える。

一夏は白式唯一の武装である雪片弐型を、鈴は名称では青竜刀となっているが巨大な両刃に持ち手が付いたようなその異形から、とても青竜刀とは思えない武器『双天牙月』を両手で握る。

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

試合開始のアナウンスと共に鳴り響く、ビーッというブザー音。

一夏が雪片弐型を上段で振りかぶって突撃するが、鈴は軽く弾き返す。

体勢を崩してしまうが、三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)で何とか立て直す。

 

「……動きに粗があります。私たちのほうがもっときれいに動けます」

 

一夏の動きを見て、シャーリーがそう零す。

普段無口な彼女がこんな皮肉を言うとは、少し和麻は驚く。

最近、シャーリーにも感情というのか、そう言った人間らしさが出てきた。

おそらく、IS学園でいろんな人たちと関わっているからだろう。和麻としてはなんだか、我が子の成長のようにうれしい。

 

『ぐわあっ!?』

 

『今のはジャブだからね』

 

気が付いてみれば、試合はかなり進んでいた。

一夏はアリーナの地面に落下しており、それを鈴が攻めたてている。

一夏を攻撃しているのは、両肩の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)から放たれている見えない砲撃――衝撃咆『龍咆』だ。

PICの応用によって生まれた空間圧作用兵器で、空間を圧縮し空間に砲身を形成。その反作用で砲身内に溜まった衝撃を撃ち出す兵器だ。

砲身も砲弾も見えないため、避けることが困難なこの衝撃咆に、一夏は一方的に追い込まれていく。

左右交互に砲撃することで、一夏に体勢を立て直す暇を与えない。

それでも、一夏は必至でアリーナの中を飛び回り続ける。

 

「何かを狙っているのか?この状況を覆すには……」

 

しばし、黙考する和麻。やがて、ある一つの手段が浮かんだ。

以前、訓練中に自分が刀奈に対して行った戦法。それは――

 

『うおおおおおおおっっ!!』

 

瞬間加速(イグニッション・ブースト)による、奇襲攻撃。

当たればほぼ一撃で相手を落とせる、雪片弐型のバリヤー無効化能力。それを最も生かせる戦い方であり、一夏が実力が上の相手に勝てるほぼ唯一の手だ。

鈴はいきなり加速した一夏に驚き、動揺している。

心のどこかで一夏を見下していたからか、それははっきりと表れていた。

そんな鈴に、刀身が割れた雪片弐型のエネルギー刃が吸い込まれる様に叩き込まれた。その寸前で、

 

ズドオオオオオオオオオンンッッ――

 

閃光が二人の間に割り込み、アリーナを激震が襲った。

 

「なっ!?」

 

思わず体をよろめかせる和麻。シャーリーも小さく悲鳴を上げる。

 

「一体、何が……!?」

 

アリーナに視線を戻すと、そこには白式と甲龍以外の別のISがいた。

全身装甲(フル・スキン)という異形な出で立ちをした深い灰色のISだ。つま先まで届きそうな手に、肩と頭が一体化して首が無い上半身をしている。体中にスラスター口が見えている。

図書館で目を通した、公にされている世界中のISが載っている専門書にもあのようなISはなかった。

そもそもISに全身装甲なんて必要ないのが、一般の見解だ。

ISの防御はシールドエネルギーと絶対防御の二段構えで成り立っており、物理シールドを装備した防御型のISでも肌が一ミリも露出していないなんてことはありえない。

つまり、あのISは世界で全く知られていないISだということだ。しかも、

 

「アリーナのシールドを抜いてきただと!?」

 

ISのシールドと同じ、アリーナの遮断シールドを貫通して侵入してきたことに和麻は事態の大きさを悟る。もしも、あのISが観客席に突入したりすれば、大参事だ。

 

「避難誘導を急ぐぞ、シャーリー!」

 

「待ってください、マスター!まだ――!」

 

シャーリーの言葉は最後まで和麻に届かなかった。

なぜなら、部屋の天井が崩れ、新たなISが現れたからだ。

 

 

 

 

 

「ふんふんふ~ん♪」

 

薄暗い空間。大小さまざまな機械がゴタゴタと転がっている研究所のような部屋にその女性はいた。

ファンタジー世界でよく描かれるようなエプロンドレスに、機械製のウサミミカチューシャを着た紫ロングヘアーの女性。

顔立ちは化粧をしていないのに整っているのだが、目の下には何日もの間寝ていないのがはっきり分かる濃いくまが台無しにしている。

だが、その顔に浮かぶのは満面の笑み。

子供が楽しみにしていた映画が始まるのを、今か今かと楽しみにしているかのような笑みだ。

 

「この日のために作ったゴーレムⅠ。さあ、いっくん。倒して見せてよ」

 

画面に映る織斑一夏を、いっくんと呼ぶ彼女の名前は篠ノ之束。

ISをこの世に生み出した天才科学者。つまり、すべてのISの創造主だ。

ただし、天才的な頭脳に反比例して、その性格や精神はわがままで気まぐれ。まるで子供のまま成長したかのような女性で、扱いを間違えればぐずって世界を滅ぼすこともあり得る。ゆえに昔馴染みや、一部の国の上層部では天災と呼ばれている。

彼女は今、世界のどの国家も作ることができなかった遠隔操作(リモート・コントロール)独立稼働(スタンド・アローン)機能を備えた無人機IS『ゴーレムⅠ』をIS学園に襲わせ、一夏に倒させようとしている。

そうすれば、一夏は学園を守った英雄(ヒーロー)になり、世間の注目をより一層浴びる。数週間前のクラス代表決定戦の敗北など帳消しにできるほどに。

 

「さてさて、こっちの方もうまくやらないと~」

 

束は別の映像を呼び出し、にやりと笑みを浮かべる。

そこには、通信機を片手に会場の混乱を収めるために動こうとしている和麻の姿。傍らにはシャーリーもいる。どうやら、束が仕掛けたIS学園へのハッキングに対抗するために、自身の演算処理能力を用いようとしているのだろう。端末を操作している。

 

「君は一体なんだろうね~。君みたいな存在は私の筋書きにない、正真正銘のイレギュラーだ。あ、言ってみたいセリフ10位が言えた!」

 

軽口を叩きながらも、その細い指を高速で動かしていく。

IS学園のメインコンピューターへのハッキングで、アリーナの遮断シールドをレベル4に設定し、一夏たちの逃げ道を塞ぎ、邪魔者が入らないようにドアを全てロックする。ついでに通信手段もジャミングする。

 

「残念だけど、君たちには解剖の材料になってもらうよ~」

 

笑顔でさらっととんでもないことを言う束。

画面の向こうでは和麻のいる部屋の天井を突き破って侵入する、別の無人機の姿だった。

その様子を見ている束の目は、すべてが自分の思い通りに動いていることを喜んでいることを物語っていた。

 

「さあ、おとなしく『ゴーレムⅡTypeα』に捕まってね♪」

 

 

 

 

 

天井を突き破って現れたのは、これまた見たことのないISだった。

今、アリーナの中で一夏と鈴に襲い掛かっているISは灰色だが、和麻の目の前に現れたのは、姿かたちは灰色のやつと同じだが、真っ赤な鮮血のようなカラーリングの機体だった。

そいつは床に降り立つと、頭の目の位置についているカメラアイを光らせて、和麻の姿を補足する。

その瞬間、とてつもない悪寒が和麻を襲う。

 

「ッ!シャーリー!!!」

 

「『叢雲』緊急展開!」

 

一瞬で漆黒のISを身に纏う和麻。制服が無くなり、あらかじめ量子化しておいたISスーツが現れる。専用機持ちだけができるパーソナライズと呼ばれる機能だ。ただし、多少エネルギーを消費してしまうので、本当の緊急時にしか使用しないほうがいいのだが、そんなことを言っていられるような状況じゃない。

和麻の叢雲が展開される。ほぼ同時に、侵入してきたIS――和麻は知る由もないが名称を『ゴーレムⅡTypeα』の拳が襲い掛かる。

 

「がっ!?」

 

まさに電光石火のごときスピードで放たれたその拳を、まともに受けた和麻は部屋のガラスを突き破り、アリーナの中に吹き飛ばされる。

 

「和麻!?」

 

「一夏!よそ見しない!!」

 

地面に激突した和麻を見て一夏は気を取られ、そこを黒いIS――『ゴーレムⅠ』の両腕に装備されたビーム砲口から放たれた赤い熱線が襲い掛かる。

間一髪のところで鈴が一夏を掴み、連射されるビームから逃げ惑う。

 

「っく、シャーリー。叢雲は?」

 

『エネルギーが100ほど削られました。パーソナライズしたせいでエネルギーも消費しています。機能に関してはさしたる問題はありません。ですが』

 

「ああ。はっきり言って」

 

和麻の目の前にゴーレムⅡTypeαが降り立つ。

 

「『最悪な状況だ/です』」

 

そして、一瞬のうちに和麻との距離を詰めて再び拳を振り下ろしてきた。

 

 

 

 

 




今回は短いですがこの辺で。さーて、次回ついに叢雲の秘密機能を披露しちゃいますよー!

で、IS最新刊を買いました。

うん、楯無さんむちゃくちゃ乙女だった。そして、実はめちゃくちゃ強かった。ラウラのお株を完全に掻っ攫っていましたね。
っていうかミステリアス・レイディの衝撃の真実の所為でいろいろ設定を練り直さないと?!
なんつーチートに近い能力を持っているんだ、と思いました。AICの比じゃない。
これとミストルティンの槍の組み合わせって凶悪すぎる。
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