二人の生徒会長 氷霧の姫たちは叢雲と共に   作:竜羽

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書き直し終了。

所々変更点があるので目を通していただけるとうれしいです。

お気に入り300人になりました。今後もこの作品をよろしくお願いします


叢雲の秘密

ミーンミーンというセミの泣く声が聞こえる。

夏の風物詩と言われるその声だが、部屋の中で横になって睡眠をむさぼっている和麻にとってはただの騒音だ。

部屋の中に敷かれた布団の上で大の字になっている和麻は、その騒音に眉を顰めながら、うだるような暑さに玉のような汗を浮かべている。

そんな和麻の様子を、和麻は客観的に眺めていた。

そして悟る。

これは夢であり、自分の過去がまるでビデオテープのように再生されている。それを自分は見ているのである。

なんとも懐かしい。

数年前の自分に自分の部屋。おそらく小学校最後の夏休みの様子だろう。そしてシャノンと過ごした最後の夏休みだ。

その年はエアコンが壊れていたのによく昼寝をしていた。

何せ、大体この時間になると彼女がやって来るのだ。

 

「和麻ー!起きろー!」

 

ほら来た。

窓から部屋に侵入してきたシャノンが、和麻を起こそうとしてきた。

和麻の体をゆするシャノン。その瞬間を狙って、小学六年生の和麻は寝返りをうつと見せかけ、手を伸ばし――。

 

もにゅ

 

シャノンの真っ平らな胸に手を当てて揉みしだく。真っ平らだが微かに膨らみ始めている感触があった。

 

「うっきゃああああああっっ!!??」

 

シャノンが混乱する様子に夢の中の和麻は内心でにやりと笑っていた。

ああ、懐かしい。

シャノンに付きまとわれたおかげで前向きに生きられるようになったお礼と称して、よくこんなセクハラ紛いのことをしていた。

また見ていたら、無性にやりたくなってきた。

無理だとわかっているのに、夢の中の過去のシャノンに向かって和麻は両手を伸ばし――

 

もにゅもにゅ

 

二つの感覚が返ってきた。

その瞬間、一瞬で夢から目が覚めた。

ゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。

身体は横になっている。どうやらベッドに寝かされているようだ。

 

もにゅもにゅもにゅもにゅ

 

夢から覚めたはずなのに、なぜか両手に夢で感じた感触がある。

どうゆうことなのかと目線を下げてみるとそこには――。

 

「「……………」」

 

左右からこちらを見る刀奈と流無の顔が見えた。

ただし、二人の顔は真っ赤に染まっており、驚きと羞恥と怒りがごちゃ混ぜになったような複雑な表情を浮かべていた。

一体どうしたのかと気になった和麻は、さらに目線を下げてみると理由が分かった。

 

和麻の左手が刀奈の、右手が流無のその豊満な乳房をがっつりと掴んでいたのだ。

 

どうやら夢の中で伸ばした腕が、現実の体も動かしてしまい、見舞いに来ていた二人の胸を掴んでしまったようだ。

何とも言えない空気が漂う中、とりあえず和麻は口を開く。

 

「……刀奈はボリュームがあってモチモチとした餅のような弾力があるな。流無は大きさは刀奈に少し劣るが瑞々しい張りのある水風船のようなぶふっ!?」

 

胸を触った感想を述べる和麻に二人は同時にビンタをかました。

 

 

 

 

 

「信じられないわよ!起きてそうそう胸を揉むなんて!?」

 

「いや、それはすまんって何度も謝っているだろ?」

 

詰め寄ってくる流無を和麻は謝りながらなだめる。

少し流無の後ろに目を向ければ、そこには刀奈が胸を押さえて和麻を恨めしそうに見ている。

普段は似たような感じの二人だが、刀奈は静かに、流無は激しく怒るようだ。

 

「それでさ、あの後どうなったんだ?」

 

なんとか二人に許しを貰った和麻は、自分が気を失った後どうなったのか尋ねる。

 

「あの後、和麻君に真っ二つにされた無人機は完全に破壊されたわ。後は君が医療室に運び込まれて治療されていたの」

 

刀奈があの後どうなったのか言うと、それに続けるように流無が口を開く。

 

「叢雲のほうもハンガーで修理されているわ。ただ何の反応を示さないで沈黙しているから、シャーリーちゃんがどうなっているのかわからないの」

 

「そうか」

 

二人の報告に、速く叢雲のところに行かないとまずいなと和麻は思う。

 

「そういえばあれから何日たったんだ?長い間寝ていたからか体に力が入らないんだが……」

 

和麻が何気なく口にした疑問。それに対し、更識姉妹は意図せず同時に応える。

 

「「一週間」」

 

「……は?すまん、聞き間違えたかもしれないからもう一度頼む」

 

二人の言葉をすぐに信じられなかった和麻は、もう一度聞きなおす。

 

「だから一週間よ。和麻君は一週間もの間ずっと寝たっきりだったの」

 

どうやら、聴き間違いではなかったようだ。和麻は一週間もの間、意識を失ってベッドに寝ていたようだ。

 

「あの後アリーナからこの医務室に運び込まれて重度の疲労に肋骨の骨折だったんだから。まあ、意識が戻らなかったのは心配だったけど、医療用ナノマシンとずっと寝ていたおかげでもう治っているけどね」

 

刀奈の言葉通り和麻の体には怪我一つない。

あれだけ痛めつけられたのになんと悪運の強いことかと和麻が感心していると、流無が眉尻を少し吊り上げながら、怒ったような、いや実際怒っているのであろう顔で詰め寄ってきた。

 

「それでもたまたまなんだからね!何であの時敵に立ち向かったの!?たまたま無事だったけど何かが少し違えば和麻君はここにいなかったかもしれないんだから!ちゃんと反省うきゅっ!?」

 

「やめなさい、この愚妹」

 

和麻の患者服の胸元に掴みかかりそうな剣幕の流無の襟首を刀奈が引っ張る。

流無は少し間抜けな声を上げながら後ろに引き戻される。

 

「和麻君はあなたに言われないとわからない愚鈍じゃないわ。あの時は責任を持って自分の判断で行動した。そうでしょ?」

 

「……正しかったかはわからない。だけど、俺はあの時そうするしかないと思った。今から思えばもっとましな選択もあったかもしれないけどな」

 

最後に少し自嘲するように締めくくる。

 

「そう。自分で分かっているなら私からは何も言うことはないわ。反省して次に生かしなさい」

 

「ああ、わかっている」

 

「ん、よろしい」

 

和麻と刀奈のやり取りに、しゃべり始めたのは自分のはずなのに蚊帳の外にされた流無は不満げに頬を少しふくらます。

 

「ところでさ、刀奈、流無」

 

「何?」

 

「何よ?」

 

保健室のベッドの上で上半身を起こしながら和麻は目の前の二人に向かって、深刻そうに話しかける。

そんな和麻に、二人も佇まいを直す。

 

「…………すまん。腹減った。何かくれ。マジで死ぬ」

 

が、和麻の腹部から響くグゥゥ……という音に直した佇まいは一瞬で崩れ落ちた。

一週間も横になっていた和麻は、その間点滴での栄養摂取だけだったので胃の中には何もないため空腹になるのは仕方ないだろう。

苦笑しながらも、二人は何か食べられる物を取りに行くために医療室を後にする。

二人が出て行ったあと、和麻は再びベッドに横になり、湧き上がってくる空腹感に耐えるのであった。

 

 

 

 

 

和麻は意識を取り戻したその日のうちに、刀奈が持ってきたカロリーメイトを口にしながら精密検査を受け、どこも異常がないことを認められると退院(退室?)を果たした。

ただ、一週間も動かしていなかった身体は動けないというほどではないが鈍っており、松葉杖を借りることになった。

松葉杖をつきながら、更識姉妹に先導される形で和麻が向かったのはIS学園の整備室にあるISハンガーだった。

 

「悪いな、わがまま言って」

 

「しょうがないわよ。シャーリーちゃんのことが気になるのは私たちも同じだもの」

 

向かう途中で詫びる和麻に、刀奈はそう返す。

検査が終わった和麻はまず最初に叢雲のあるハンガーへ行きたいと言い、安静にしていることを勧めていた和麻の治療を担当した学園医は渋ったのだが、更識姉妹が付き添うことを条件に何とか許可してくれた。

三人は整備室の片隅に鎮座している一機のISのもとに向かう。

漆黒の機体に蒼いラインが刻まれたIS。特徴的な大型スラスターを折り畳んでいる叢雲だった。

その傍らには小さな青髪の少女が寝息を立てていた。

 

「紗夜ちゃん。和麻君が来たわよ」

 

刀奈に肩を揺らされて少女、沙々宮紗夜がゆっくりと眠たげな眼を開く。

シュボシュボと目を擦りながら、その小さな口で小さな欠伸をする。そうして幾分か眠気がとれた紗夜の目のくりくりとした目が和麻に向けられる。

 

「起きたか、八神」

 

マイペースな調子の言葉だった。和麻が目覚めたことに何の気概もないのだろうが、それが紗夜という少女なのだ。

 

「叢雲を見に来たのか?」

 

「ああ。……紗々宮が叢雲を直してくれたのか?」

 

「そう。でも直せたのは見た目だけ。起動はできない。無念」

 

小さな右手で拳を作ってぐぬぬとうめく紗夜。もっとも感情がこもっているように見えない。

 

「紗夜ちゃんがこんなに悔しがるのは久しぶりに見たわね」

 

「あの夏休みの自主作成ポスターで金賞を逃した時以来だわ」

 

訂正。付き合いの長い二人には伝わっていた。

ちなみに、流無の言う夏休みの自主制作ポスターとは、紗夜が小学生のころ書いたゴミ捨て禁止を訴えるポスターで、あまりにリアルすぎる絵で小学生が描いたと審査員に信じられなかったものだ。

 

「とりあえず八神。叢雲に乗ってくれ。もしかしたら動くかもしれない。初めて叢雲を動かした時みたいに」

 

叢雲は和麻が触れた時に勝手に起動した。今回ももしかしたらそうなるかもしれないと紗夜は考えていた。

和麻は紗夜に促されて叢雲に近寄る。

そして、その装甲に右手を置いてみる。

――瞬間。叢雲から何時かと同じく猛烈な閃光が放たれ始める。

あまりの光の量にその場にいた全員が目を抑える中、和麻だけは叢雲から目を離さなかった。

不思議なことに叢雲から放たれ続ける光は、和麻の目を傷つけなかった。

光はその強さを増していき、やがて一つに収束していき……弾け飛ぶ。

衝撃がハンガーを駆け抜け、整備室全体が鳴動する。

 

「きゃあっ!?」

 

「ちょっ?!」

 

「わ」

 

三人は思わずたたらを踏むが倒れ込むようなことはなく、ふらつきながらもしっかりと踏ん張る。

そして光が収まり目を開けると……目の前の光景に息をのんだ。

 

『天使』がいた。

 

整備室の中を燦然と照らしながら蒼く煌めき。

蒼穹のごとく済み割った瞳と髪はより強い輝きを放つ。

頭上には、幾何学的な模様を描きながらゆっくりと回る光輪。

その小さな体を超える大きさの翼を広げる。

叢雲が消え、代わりに光とともに現れた蒼い簡素なワンピースに包まれた天使のような少女――シャーリーはどこまでも神秘的で、可憐で、優美だった。

シャーリーは和麻の目の前にゆっくりと床に舞い降りると、小さく微笑む。

 

「シャーリー……」

 

「はい、マスター。お目覚めになられて何よりです」

 

優雅にお辞儀をし、和麻の前に跪く。まるで神話の一ページのような光景に、マイペースな紗夜まで目を奪われる。

 

「ああ。ありがとうな」

 

和麻は松葉杖を床に置き、屈んでシャーリーと目線を合わせて礼を言う。

朦朧とする意識で記憶もはっきりしないが、和麻が今ここに無事でいられるのは間違いなく叢雲――シャーリーのおかげだ。

唯一無二の相棒にして、和麻の幼馴染によく似たこの少女が守ってくれたのだろう。

和麻の感謝の言葉に、シャーリーは――首を小さく横に振る。

 

「違います。マスターを助けたのは、私ではありません」

 

「……どういうことだ?」

 

「それは……」

 

「それは?」

 

「……秘密です♪」

 

シャーリーは今まで見たことのないような笑顔で、右目を閉じてウィンクした。

 

「おい。この流れでそれは無いんじゃないか?」

 

「ふふ、申し訳ありませんマスター。私にも事情というものがあるのですよ」

 

コロコロと笑いながらそう言うシャーリー。なんというか、性格変わった?

 

「シャーリーちゃん、ちょっとキャラ変わった?」

 

流無が問いかけると「そうかもしれませんね♪」と笑いながらシャーリーは応えた。

その後、シャーリーも加えた五人は、先ほどの衝撃に何事かと様子を見に来た整備室の管理を任されている教員に説明という名のごまかしをして、落ち着いて話ができる場所に移動することにした。

今は平日でしかも授業時間だったため、移動中は誰とも出会わなかった。

それをいいことに、シャーリーはその背中の翼でふわふわ飛んでいた。

やがて目的地であるIS学園生徒会室に辿り着いた。

生徒会室は生徒会役員しか入ることができないし、防音設備や盗聴対策も万全なので密談をするのに最適なのだ。

とりあえず五人は備え付けられているソファーや椅子に腰かける。

だが、そこで流無はふとしたことに気が付いた。

 

「シャーリーちゃん、その翼って邪魔じゃないの?」

 

なぜか背中から生えているシャーリーの翼。ここまでは特に問題なかったが、座るとなると少し邪魔だ。

 

「それもそうですね。……えい」

 

かわいらしい掛け声を出すと、翼は蒼い粒子となって霧散する。ついでに頭の上に回っていた光輪も消えている。

今のシャーリーは初めて和麻の前に現れた時と同じ姿だ。だが、雰囲気というものが違うのだろうか、小さな微笑を浮かべる彼女は別人に見える。

 

「さて、とりあえず改めてお話ししましょうか」

 

刀奈が仕切るように言うと、刀奈に仕切られるのが不服なのか流無が少し不満げな顔をして頬を少しぷくーっと膨らませる。

 

(やっぱ流無の方が少しガキっぽいな)

 

「まずはみんなが一番気になっていることよ。シャーリーちゃんあなたに何があったの?なんで一週間の間あなた、というより叢雲は何の反応を示さなかったの?

あとあの翼とか天使みたいな輪っかは何?」

 

「いきなり容赦ないですね。う~ん」

 

シャーリーは右手の人差し指を唇に当てて少し考えをまとめる。

 

「何と言いますか、すべては叢雲が完全な(・・・)二次移行(セカンドシフト)を果たそうとしていたからですね」

 

『はぁっ!?』

 

シャーリーの言葉に全員が驚愕する。もっとも紗夜は首を少し傾げているだけだが。驚きよりも疑問に思ったことの方が大きいらしく、マイペースに話を促す。

 

「それはどういう意味?」

 

「もともと『叢雲』とは日本製第三世代試作型IS『雷禍』がマスターと触れ合った時に二次移行(セカンドシフト)を果たした名前なんですよ」

 

ISには自己進化機能が搭載されており、一定の経験値を積むと形状や性能を変化させる形態移行(フォームシフト)を行う。

専用機が初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)により操縦者に最もふさわしい形態になるのが一次移行(ファーストシフト)

二次移行(セカンドシフト)とは一次移行(ファーストシフト)のさらに上の進化のことだ。

 

「ちょちょ、ちょっと待って!叢雲が二次移行(セカンドシフト)形態ってそんなのおかしいわよ!稼働時間も戦闘経験も全然足りていないじゃないの!」

 

流無が思わず立ち上がって叫ぶ。

もっともそれは流無以外の全員が思ったことだ。

二次移行(セカンドシフト)には膨大な稼働時間と戦闘経験が必要だ。それがない叢雲――正確には雷禍が二次移行(セカンドシフト)するなんてありえないのだ。

 

「勘違いなさっているようですが――二次移行(セカンドシフト)に必要な条件は稼働時間や戦闘経験などではありませんよ」

 

シャーリーの言葉にまたしても四人の間に衝撃が走る。

 

二次移行(セカンドシフト)に必要な物。それは――コア人格である私たちが操縦者を認めることです。私たちが力を貸したい。操縦者を助けたい。操縦者にふさわしいと認めた時、二次移行(セカンドシフト)、いえ一次移行(ファーストシフト)以降の形態移行(フォームシフト)は起こるのです。ただ、叢雲は少し特殊でして、私が認めてもすぐに完全に二次移行するわけではないんですよ」

 

「どういうこと?」

 

「叢雲はコア人格以外にもう一つ、第二のコア人格と呼べるような何者かの意志を持っているちょっと特殊なISなんです」

 

「はーい。もう驚かないわよー」

 

「やけっぱちになるなよ、流無」

 

さっきから止まらない衝撃の事実の連続発覚に、流無はなんだか投げやりになり始める。

 

流無(あほ)と違って和麻君は落ち着いているわね。自分の専用機のことなのに」

 

「刀奈。実は俺もいっぱいいっぱいだ。だがそれが事実なら受け入れないといけない」

 

「それもそうね」

 

「というかさらりと私を罵倒したわねバ刀奈」

 

「続けますよー。私が認めてもその何者かの意志が完全な形態移行を邪魔していたんですよ。でも今度の事件で完全な二次移行ができるようになったのです。あ、理由はさっきハンガーでマスターに行ったように秘密です♪私にもいろいろあります。大事なことなので二回言いました」

 

「なるほど。わかった。つまり八神が叢雲、いや『雷禍』に触れた時、お前は八神をすぐに認め機体を『叢雲』へ移行させた。そして今回の事件を経て、完全体な二次移行を果たした」

 

「ええ。あの無人機、登録名『ゴーレム・ノーヴァ』との戦いに加え、最大出力解放(オーバードライブ)の使用経験によって叢雲はマスターを真に認め、完全な二次移行を果たしました!単一仕様能力(ワンオフアビリティー)も発現し、機体はさらに使いやすくなりました。きっとマスターの更なるお力になれるでしょう」

 

「理由は分かった。だが、疑問が残る。なぜシャーリーはすぐ出会ったばかりの八神を認めた?」

 

「申し訳ありませんが、それはまだ言えません。ただ、私はずっとマスターを求めていました。マスターに会いたいと。ただそれだけなのです。……いずれお話しできる時が来たら、必ずお話しします。ですので、今はこれでご容赦ください」

 

言葉は短いが、とても深い重みがあった。

それは相手を求める狂おしい愛情とでもいえるような、強い思いが込められていた。

とちょうどいいタイミングで、生徒会室のスピーカーからチャイムの音が流れた。

時計を見てみれば昼休みの時間だった。

 

「もうこんな時間なのね」

 

「時間が過ぎるのは早いな。昼食べるか」

 

「じゃあ、食堂から出前でもとりましょうか。病み上がりの和麻君に無理させるわけには行かないし」

 

そう言うと刀奈は生徒会室に備え付けられた通信機器で食堂に連絡を取った。

 

 

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