Fateからユイを紹介されてから1週間後―――――
Xiao達は血盟騎士団ギルド本部を訪れていた。
「偵察隊が全滅?」
「ああ…ボスが現れた瞬間、入り口の扉が閉じてしまったのだ。そして次に開かれたときには
ボスの姿も、中にいたプレイヤーの姿もなかったそうだ」
「…転移無効エリア」
「だが、攻略を諦める、という事しない。大部隊をもって攻略に当たる」
「…協力は惜しみません。ですが、俺は部隊が危険になってもアスナを最優先にします」
「ボクもユウキを優先する。まぁ…命は平等っていうけど、ユウキが一番大事だから」
「何かを守ろうとする人間の力は強い…勇戦を期待している」
「…団長」
「何かな?」
「…いや、やっぱいい」
「そうか」
そうして75層クリアの為に前線メンバーが75層・コリニアの転移門広場へと集まることに。
そんな中―――――
「…キリト?」
「アスナ…怒らないで聞いてほしい…」
「アスナさん、ごめん。少し…外出ててもらっていいかな?」
「え?…う、うん…解った」
「ごめんね…多分数分で終わるから」
Xiaoはアスナが外に出たのを確認した後―――――
「キリト…解ってる?ソレを口にしたら…アスナさんを信じてないって事だよ?」
「…解ってるさ。けど、怖いんだ…お前だってユウキが」
「絶対、ユウキは守るよ」
「…それができると思うか?残りは1/4…それに、第25層、50層とボスの強さが異常だった…
解ってるだろ?どんどん規則性も何もかもが狂ってるって。それなのに大切な人に
安全な場所に居て欲しいっていうのは…可笑しいか?」
「…そう、だね。間違ってはないし可笑しくもないよ…ねぇ、キリト」
「…なんだ?」
「ボクはさ…本当の親の顔、覚えてないんだ」
「…え?」
Xiaoの突然の言葉にキリトは言葉が続かない。
「今、母親はいるよ?けど…血の通った親子じゃないんだ…ボクが小さいころに死んだ。
だからもう…顔も覚えてない。だから、キリトのいう事…よくわかるよ。
ボクだってユウキには安全な場所に居て欲しい…けど、傍に居ようって約束したんだ…
キリトだって…逆だったらどうする?アスナさんだけがボス戦に向かって死んだら」
「……それは」
「誰も望まない…心配なのはわかるよ…けど、約束したんじゃないの?護るって」
「…ああ、約束したさ…けど、怖いんだよ…俺が昔所属したギルドは俺がレベルを隠してたから全滅した。だから人を避けてきた。その上でアスナが大切なんだ…だから…ぐっ」
「ふざけんなっ!」
キリトのコートの襟をつかみ、Xiaoは苛立ちをあらわにする。
「このゲームに絶対なんかない!生きて帰る?そんなのは誰でもどうとでも言える!
キリトは怖いだけだろ!自分に関わった人が消えるのが!違う!?」
「…そうさ、それの何が悪いんだよ…」
「ッ…それで!残された側がどんな思いするかキリトは知ってるでしょ!?なのに…
なのにそれをアスナさんに強いるの!?そんなのキリトが納得する為のいい訳だ!」
「だったら…だったらどうしろって言うんだよ!?」
「ッ」
「前線で護れってか!?それが簡単じゃないってお前だって解ってるだろ!?
アスナを現実に返してやりたい!その為に一番安全なところに居て欲しいって可笑しい事か!?」
「それが可笑しいなんて言ってないでしょ!?ただアスナさんの気持ちも考えてって
言ってるんだよ!」
「お前は…護るって言った相手が目の前で死んで失ったことがないからそんなこと言えるんだよ!」
「ッ」
キリトから予想外の言葉が飛び出し、Xiaoは言葉を詰まらせた。
確かにXiaoが護ると約束したのはユウキだけで、キリトの言葉が正しく、
流石のXiaoも言葉を失ったのだ。
しかし、これだけ言い合いになっていれば外で待つアスナが気づかないわけがなく―――――
「ちょっと、何してるの!?」
「お前は経験してないからそんな事が言えるんだよ!親の顔すら覚えてないお前に
俺の気持ちはわからねぇよ!」
「……。」
「キリト君!」
「…もう、好きにしなよ。思う存分自己満足に浸ってろ」
そう言ってXiaoは部屋を後にした。
「キリト君…今の話、本当なの?Xiao君のご両親が…って」
「…ああ。アイツがそう言ってた」
「…そう、なんだ」
アスナとの空気が微妙なものになり、キリトもそれ以上は口を開かなかった。
そしてXiaoは転移門広場に来ていた。
そこには75層のボス攻略に参加するプレイヤーが続々と集まっていた。
「お、おい…アレ」
「ああ…【銀閃姫】だ…でもやけにピリピリしてないか?」
「だな…何かあったのか?」
「さぁ?」
Xiaoの纏う雰囲気が違うことに周囲のプレイヤー達も気づく中―――――
「Xiao」
「…ユウキ」
「どうしたの?ヒースクリフさんと何かあった?」
「団長とは何もないよ…ただ、キリトと、ちょっとね」
「そっか…何があったかは聞かない。けど…Xiaoが悩んだり困ってるならボクは力になるから…ね?」
「ん…ありがと」
そして数分後…転移門広場へヒースクリフとFateが姿を現した。
それと同時に空気が一気に張り詰める。
「コリドーオープン…さぁ、行こうか」
ヒースクリフを戦闘にゲートをくぐりボス部屋前まで向かう一同。
「……。」
「Xiao、緊張してる?」
「少しね…それよりも気持ち悪い感じがするけど」
「…なんか今までの攻略の時とは雰囲気が違うよね」
そしてボス部屋前にてPTを組み始め―――――
「団長」
「どうした?Xiao君」
「今までのボス…25層、50層はボスが異常だった…ここも今まで以上に気を付けないと」
「ああ…しかしそれは全員理解してるだろう…しかし…」
「何かある?」
「私が設定していないモノがある…そして残り1/4…須郷君であるならこの辺りで
仕掛けてくるだろう…Xiao君達も気を付けたまえ」
「解った…」
その後、ヒースクリフの合図とともにボス部屋へと突入する一行。
しかし、ボス部屋に入ったにもかかわらず、ボスの姿がなかった。
周囲を警戒し―――――
カサッ
「上ですっ!」
Fateの声に全員が頭上へと視線を向ける。
そこには髑髏の顔を持ち、両手が鎌になっているボスエネミー―――――
The Sukull Reaperが居た。
「スカル…」
「リーパー…ッ!」
キリトとクラインの声に反応したのか、The Sukull Reaperは吠えると下へと降りてくる。
その姿に恐怖したプレイヤー達は距離を取る事を忘れ、その場に立ちすくんでしまう。
「何してる!さっさと逃げろ!」
「止まるな!死ぬぞ!?」
動けずにいたプレイヤー達がキリト達の方へ駆け出すが―――――
「―――――。」
ザシュッ…パリィィンッ
「…嘘…だろ?」
「一撃で…」
一撃でプレイヤーを葬ったThe Sukull Reaperに驚愕する一同。
しかし、相手はそんな隙を待つわけもなく―――――
「う、うわぁぁぁあぁあああっ」
ガキィンッ
「さっさと下がりなさい!」
ヒュンッ…パリィィンッ
「ちっ…図体の割に動きが速いっ」
「私達が鎌を防ぎます、他の者は側面から攻撃を!」
Fateの声に残りのプレイヤー達は側面からソードスキルなどを叩き込み始めるが、
ただやられる訳でもなく、プレイヤー側もやられる…そんな攻防が続き―――――
The Sukull Reaperを撃破することができたのだが―――――
「…何人やられた?」
「…全部で14人」
「嘘…だろ?」
75層を攻略するのにプレイヤー14人が死亡していた。
その事実に疲労と絶望の色を隠せずにいるプレイヤー達…そこへ―――――
パチパチパチッ
「いやぁ、実に見ごたえのある戦いだったよ。諸君」
「…誰?攻略始まる前にも見たことない…」
「僕はアルベリヒ…強いて言えば、この世界の神…かな?」
「この世界の…神、だって?」
「そうさ…この世界は僕の思うがまま…だから神なのさ」
「神…という事は管理者権限でも持ってるのでしょうか?」
「なるほど…頭の回転は悪くないようだねぇ?"天桜 悠姫"。そうさ、僕はあの茅場から
管理者権限を奪って茅場が作り出した世界を支配してる。そんなことをできるのはこの僕
だけなんだよ?しっかし…"リアルで腕がない"からこっちでも欠損してるかと思えば…
立派に腕がついてるんだね?茅場みたいな奴もなんでこんな障害者を…それに…」
アルベリヒと名乗った男が周囲を見渡す。
「やぁ、アスナ君。迎えに来たよ」
「…貴方は…誰なの?」
「キミの未来の夫さ」
『なっ!?』
アルベリヒの言葉にその場にいる全員が言葉を失った。
「ふざけないで…何処の誰ともわからない人となんて…お断りよ」
「まぁキミはそういうだろうね?だが、キミの父親はどうかな?」
「…外ではこのゲームは茅場が作り出したデスゲームで既に死者も大勢出ている。
そしてそのゲームにキミが捕らわれていて、僕はそれを助けに来た勇者なんだよ…
キミの父親とは親しくてね?」
「っ」
「このデスゲームが始まってから2年…開始から1ヶ月ぐらい経った頃に管理者権限を奪ってね。ずーっとこのゲームを見ていたんだよ」
「なら…貴方が…このゲームを」
「そうだね。だが、ここで起こる事は全て茅場の責任できる。どれだけ殺そうが、ね?」
「ふざけるなよ…そんなの…茅場さんがした事じゃない…お前がこのデスゲームを操ってただけだろ」
「それがどうした?ゲーム内の出来事はゲーム内の人間しか知ることがない。世間には
なんとでもできるんだよ…それに、キミの顔にも見覚えがあるな…ああ、そうそう…
"小学生なのに骨髄提供をした"イカレた子供か…確か、"シャオ・クロニクル"…だったか?」
「だったらどうした…」
「キミはイカレてるだろうね…この国で骨髄提供をしようとすれば18歳以上でなければならない。それを稀に見つかる変異遺伝子を持ってるからって茅場に見つかって言われるがままに
骨髄提供…未成年ができるわけないことぐらい解るだろう?」
アルベリヒの口から告げられる一部プレイヤーのリアル情報。
「…なら…茅場さんは」
「茅場は僕が英雄になる為の道具にすぎない!いいチャンスだと思ったよ…
このゲームがデスゲームと呼ばれるようになったからね。アイツは僕が欲しいと思ったものを
全て横から攫っていった…だからアイツに復讐してやろうと思った…だからSAOというデスゲームの管理者権限を奪って全ての罪を茅場に被ってもらうつもりだったんだよ…絶剣…いや、
"紺野 木綿季"」
「っ…どうして、ボクの名前を」
「どうして?茅場が開発していたナーヴギアを医療用に転用したメディキュボイドの被検体の
事ぐらい調べればすぐにわかるさ」
「医療用…ナーヴギア…?ユウキが…被検体?」
「そうだよ、アスナ君…絶剣はね…」
「…やめて…やめてっ!」
「"HIVキャリア"なんだよ!だからメディキュボイドの被検体になった!」
「……。」
「まぁ…そんな奴の恋人になろうなんて奴は相当イカレてるだろうけどね。
ま、僕の目的はアスナ君を助けて帰還し、英雄になる事だからね。ほかは始末してしまおうか?」
「っ」
「どうせ、ここで全員死のうと僕とアスナ君だけはリアルへ戻れる…まぁクリア条件が
最終ボスの撃破…だけど、僕は茅場より上位の権限を持ってるからね…どうだい?
自分のゲームが他人に壊される気分は?ヒースクリフ…いや茅場ァ!」
『なっ』
ヒースクリフの正体が茅場昌彦だと告げられ、一部を除く攻略組全員が言葉を失うと同時に
驚愕した。自分達を導いてきたのがSAOの生みの親、茅場昌彦だったのだから。
「…やはり、キミならこの辺りで現れると思っていたよ…須郷君。確かに私は茅場昌彦だ。
そして開始1ヶ月で君に管理者権限を奪われた人間でもある…しかし、その程度だ…
キミでは彼らに勝つことはできない」
「何?」
「もう一度言おう。キミでは彼らには勝てない」
「この僕が…ただのプレイヤー如きに負けるだと?神であるこの僕が!」
「そうだ」
「そんなことがあるはずがない!神である僕はすべての頂点に立つ男だぞ!?」
「…このゲームを作った茅場さんが言ってるんだ。まぁお前みたいな男に理解できないだろうけど」
「なんだと?このガキィ!」
「それがお前の本性だよ…アルベリヒ。それに、ユウキの事をHIVキャリアって言ったけど、
完治に向かってることは知ってる…確かにHIVは治らないって言われてて迫害されるだろうけど…HIVは完治できる。それをユウキが示している…それにさ、ユウキを泣かされて…はいそうですか、なんて納得できないんだよ…だから、管理者だろうと…許すつもりはない。
それに…お前を殺せばこのゲームに囚われてる人達も開放できる…だからお前をコロス」
「…できると思ってるのか?お前みたいなガキに神である僕が負けるはずがない!」
そういうとアルベリヒはコンソールを操作した。
すると―――――
「っ」
「…麻痺?」
「そうさ。動けないようにして殺せば僕は勝てr―――――」
シュンッ―――――ザシュッ―――――パリィィンッ
「だから…どうした?」
「な、何故動ける!?麻痺にかかっていながら何故!?」
「茅場さんに聞いたんだよね…ユニークスキルにはモチーフになった伝承があるって。
そしてボクのユニークスキルは【魔槍】…コレはケルト神話における光の御子…
そして影の国の女王であるスカサハの弟子である…クーフーリンが使ったとされる槍、ゲイ・ボルグ。クーフーリンは有名だし、説明は割愛するけど…槍以外にもクーフーリンはスカサハからある事を教え込まれていた。それが【ルーン魔術】。もちろん全部ではないけど、
状態異常耐性を上げる事もできる。まぁ使えるようになったのはごく最近だけどさ…
おかげで…アンタを殺し、このデスゲームを終わらせることができる」
「…わ、解っているのか!?僕はこの世界の神なんだぞ!?」
「お前みたいなクズが神か…ならお前を殺して、神殺しの称号でももらおうかな?
もらえるかわからないけど…お前は全力で殺してあげる…どうせ、管理者権限で不死化してるんだろうけどさ」
「Xiao」
「…Fateさん?なんで」
「まぁそれは秘密です。言ってみればXiaoの状態異常抵抗に近いものがある、というぐらいですよ」
「そっか…しかし、不死化しているのに腕が落ちたのは?」
「本当なら使うつもりはなかったんだけどね…まぁFateさんのソウルパニッシャーに近いもの、かな?本来対人で使うようなものがじゃないけど…ね」
Xiaoは銀色に光る槍を回しながら答える。
「Xiao…ここは私に任せてもらえませんか?」
「ぇー…リアル情報暴露された上にユウキが泣かされたんだよ?はい、どうぞってわけには」
「ふむ…では、向こうに戻ったら1つ、Xiaoの願いを可能な範囲で叶えるというのは?」
アルベリヒを前に相談する2人。
そこに緊張感はなく、静かな怒りが感じ取れた。
「むー…はぁ、しょうがない。譲る」
「このッ…ガキ風情が僕を無視しやがってぇぇええ!」
アルベリヒが再びコンソールを操作すると―――――
ドォォォォッ
「「……。」」
「ガァァァアアアアッ」
「どうだ!?90層クラスのボスだぞ!お前達2人程度で勝てるもんじゃないんだよぉ!
ビビって声も出ないか!?」
「…はぁ、アルベリヒもらうからアレどう?」
「いりません。あの首を狩るのは私ですから。Xiaoこそ、どうです?」
「グルゥァァァアアッ」
そんな2人に襲い掛かるように動き、噛みつこうとする獣型エネミー、しかし―――――
「「雑魚は邪魔」」
パリィィンッ
「なぁぁああ!?」
「この程度で90層…調整ミスじゃない?」
「そうですね。ま、これで邪魔はいませんしさっさと終わらせるとしましょう」
「や、やめろ…ひぃぃぃっぃいいっ!」
一撃で倒されると思っていなかったアルベリヒは悲鳴を上げて逃げ出そうと
76層へ続く階段へと向かうが―――――
ザシュッ
「ギャァァァアアッ…足がッ…僕の足がァァアアアッ」
「煩いですね…茅場さんを…Xiaoやユウキを侮辱した罪、貴方の命で償ってもらいましょう」
Fateが静かに鎌を構え―――――
「僕を殺せばどうなるかわかってるんだろうな!?このゲームがクリアできn―――――」
「クリアできないなら最上階まで上るだけです。私は怒っているんですよ…?
茅場さんは私に腕をくれた…ユウキを救った…なのに貴方は横取りし神になったつもりでいるだけ。ビーターやらなんやらと貴方のせいで多くのプレイヤー達が死んでいった…それは茅場さんではなく、貴方が行ってきたこと…なら、それを裁く。それが罪だというなら…私は喜んでその罪を背負いましょう。所詮あなたは…神ではなく、泥棒にすぎなかった小物…なのですから。ま、もう聞こえていないでしょうけど」
アルベリヒの首を落とし、アルベリヒは光となって砕け散った。
それと同時にアナウンスが流れた―――――ゲームはクリアされた、と。
「…さて、ここからは私と茅場さんに任せてもらいましょう。Xiao達は順次ログアウトされる
はずですから」
「そっか」
「さ、ユウキと話してきなさいな」
「…また」
「ええ。近いうちに」
そう言葉を交わし、Xiaoはユウキの元へ向かい、その後プレイヤー達のログアウトが完了した。
しかし、悠姫と茅場は別の所へとやってきていた。
それは、浮遊城アインクラッドを見下ろせる場所―――――
「……。」
「何も言わずとも構いません。一応、理解はできてますから。それに、結果として貴方を斬らずに済んで、あの子達も開放できる…過程はどうであれ、SAOはクリアされ、解放へ至った。
貴方のいう…ゲームの法則をも超える存在を見ることができた…なら、後はやるべきことをするだけですよ」
「…すまないな。悠姫」
「本当です。向こうに戻ったら色々と謝罪してもらわないと。それに…Xiaoやユウキ…他にも。だから…まずは1つ、私をあなたの研究の助手として雇ってもらわないと」
「…ああ」
「ならとりあえず、アーガス本社にあるものを」
「それならすでに削除開始している…自然とログアウトが終了し、メインフレームは消え、
SAOという存在はキミのメディキュボイドの中にだけ存在することになる」
「そうですか…でも、どうしてSAOを?」
「…私がフルダイブ技術を…いや、それ以前からあの城を…現実のありとあらゆる枠や法則を超越した世界を作り出す事だけを欲してきた。そしていまだにあの城が現実世界のどこかにあるのだと信じている」
「…茅場さん」
「キミにも迷惑をかけた…しかし、キミだけでなくXiao君やユウキ君が私に人の可能性という
モノを見せてくれた…その点は満足している。それに…人に怒られるなどという事は
初めてだった…おかげで、囚われる前に置き去りになってたであろう人としての感情を少しは
取り戻せた」
「…また、SAOの様な世界を?」
「ああ」
「そうですか…では、またデスゲームにならない様に、私も微力ながらお手伝いします。
勿論、ゲームだけでなく、メディキュボイド等の方向でも」
そうして、崩れ去っていく浮遊城を見届け、2人はSAOからログアウトした。
そして、世界中を震撼させたSAO事件は幕を下ろし、リアルへ戻ったプレイヤー達も徐々に目覚め始め、茅場はSAOに関する全ての事を世界へと報道した。
その結果、VRMMOだけでなく、フルダイブ環境そのものの見直しがされる事となった。
SAOに囚われていたプレイヤー達が解放され、目覚め家族などが喜ぶ中―――――
約300人のプレイヤー達がログアウトされたにも関わらず眠りから覚めず、そんな300人を
一部では未帰還者と呼んだ。
そしてSAOプレイヤー達を世界はSAOサバイバーと呼び、それぞれが国などからSAOであったことを詳しく問いただされる事となったのは言うまでもないことだろう。
フルダイブ技術が進化し、世界がその恩恵を受けると同時にリアルとネットの境界が
あやふやになっていく事も事実なため、その辺りと安全面を第一にVRMMOの開発や
フルダイブ環境の見直しが開始されと同時にフルダイブ技術やメディキュボイドなどの開発などには茅場が関係し、複数の目で確認され、徐々にフルダイブ技術と環境が改善されていった。