Sword Art Online   作:刃狗

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14.Epilogue

SAO事件が解決し、ALO事件と呼ばれるまたもやVRMMOの事件が解決し落ち着きを見せだしていた頃…SAOサバイバー達は一か所に集められ、社会復帰できるようにととある学校へ集められている中、シャオは茅場に呼び出され、とある病院を訪れていた。

 

「茅場さん」

 

「ああ、よく来てくれた。シャオ君」

 

「いえ、…結構色々としてもらってますし意外と楽ですよ」

 

「そうか。少し待っててくれ、今の作業を終わらせる」

 

「解りました。そういえば…悠姫さんは?」

 

「彼女ならユウキ君の所だ」

 

「そうですか…あ、コーヒーもらいますね」

 

「ああ。ユウキ君に関しては順調だよ、後で会ってやるといい」

 

「はい。それで今日はどういった用事で?母さんも一緒って事ですけど」

 

「そう身構えなくていい。キミの経過を見るだけさ…ご家族に説明しなくてはならないからね」

 

「でも、帰還後の検査だと特に何もなかったですよね?」

 

「そうだな、だが今年いっぱいは経過を見る必要があると言っただろう?」

 

「ま、それもそうですね…すぐですか?」

 

「今準備をさせているよ。準備が終わり次第受けてもらうことになっている」

 

「判りました…それにしても…かなりの設備ですね」

 

「そうだな…あの後、様々な事があったものの現状メディキュボイドを調整できるのは

私だけだからな、こうしてこっちにも顔を出しているんだ」

 

「なるほど。母さん、砂糖とかいる?」

 

「…2つ」

 

「ん。何?ぼーっとして」

 

「いや…あれだけの事があったのにって思って」

 

「こっちが騒ぎになってても…SAOでの2年間は確実に現実だったからね。別に茅場さんを

恨んでもいないし…それに、木綿季の事も感謝してる。ま、後で顔合わせる事になるよ」

 

「そ、そう…シャオは詳しくは離さないからどうだったのかなって」

 

「んー…まぁ色々経験したよ。正直、あれほどの事はもう経験できないんじゃないかって

思えるぐらいに」

 

「そう…」

 

シャオは骨髄提供をした事による後遺症や発症する可能性の病気のために経過検診を受け、

発症していないか検査を茅場の元で受けていた。

 

特に発症している気配もなく、普通に健康体であった。

そんな話をしている頃、別の所では―――――

 

「―――――という訳で木綿季にもお誘いがありましたよ」

 

「そっかー…でも、まだ退院できるってわけじゃないし、外出許可も出てないんだよねぇ」

 

「まぁ、シャオのおかげであの世界にいる間も経過は問題なく、今年中には退院できるかも

しれないと聞いてますよ」

 

「ホント?!」

 

木綿季は今年中に退院できるかもしれないと聞いて、興奮していた。

悠姫はSAO事件が解決した後、茅場の研究やらの助手として茅場と行動していることが多く、

女子同士という事もあり、木綿季の所には悠姫が訪れる事が日常化していた。

 

「ええ。それに今日はシャオが経過を見る為にここに来てますし、終わったらこっちにも

顔を出すでしょう」

 

「そっか。それにしても…SAO始まってから今までいろんな事があったよね…

未帰還の人の事とか、アスナの事とか」

 

「ですね…しかし、気になってる事が1つ」

 

「ん?」

 

「シャオとキリトさんの事です。顔を合わせたときにあまりいい雰囲気ではなかったので…

何かあったんでしょうか?」

 

「あー…悠姫は知らないんだっけ…シャオさ、75層攻略の時にキリトと喧嘩したみたいでさ、

キリトもキリトで微妙な反応をするって言ってたんだー」

 

「なるほど…」

 

「そりゃ、大事な人には安全な処に居て欲しいっていうのは解るけど…

傍に居るって約束したなら最後まで傍に居てあげろって…ね。それとシャオが今のお母さんが

本当のお母さんじゃないって教えたみたいで…言い合いになったときに親の顔も覚えてない奴に俺の気持ちは解らないーって言われたんだって」

 

「あの2人がそこまで喧嘩するとは…珍しいですね」

 

「うん。SAOの時は仲良かったのにね…あれからシャオと話す事があってさ、色んな事を

話したんだよ?外の事とか、シャオが休みの日に何してるとか…けど、SAOが終わってから

シャオはVRMMOから少し距離を取るようになってさ。キリトとは連絡も取ってないんだって。

だから今はボクらの間でキリトの話はしないことにしてるんだ」

 

「そうだったんですか…通りで」

 

「それでね?明日菜達も時間作って来てくれることもあるんだけど、キリトの話はしないんだ。退院したら何処に行こうとか、そういう話ばっかしてる。もちろん、そのままっていうのはダメだって解ってるけどさ。こればかりは本人次第だから」

 

「ですね…しかし、世界の種子、ザ・シードの影響でVRMMOが復活してALOは別の会社へ

完全に引継ぎされて運営されて…木綿季はしないんですか?」

 

「うーん、アスナ達からもその話はされてるんだけどシャオがまだだしね。あの時に使ったキャラは消したらしいし…やっぱ一緒に始めたいからさ」

 

「なるほど」

 

「そういう悠姫は?」

 

「私はプレイしてますよ」

 

「茅場さんと?」

 

「そうですね…まぁ、仕事でインしているときもありますけど」

 

「そっかー…にしても、悠姫と茅場さんは同じ家に住んでるんだよね?」

 

「私は家がないですからね…それに義手の事もありますし。処で…話が少し戻りますけど、

木綿季は確かご家族が」

 

「うん。亡くなってるよ…昔は親族の人が来ては遺書を書けやら相続を破棄しろやら

言ってきたけど、こうして治って行ってはいるけど、あの家は売りに出す事になりそう」

 

「どうするんですか?そうすると住む場所が」

 

「茅場さんからウチに来るかって話ももらってるんだけどね…」

 

「…ああ、シャオと会うにも時間がかかって、と」

 

「…うん。それで今度こっちに来るときにお母さんを連れてくるんだって」

 

「そうですか。だから若干落ち着きがないんですね」

 

「い、言わないでよ…会うの初めてなんだからさ、ボクだって緊張ぐらいするよ」

 

今後の事などを話し、楽しくのんびりしている間にシャオは検査を受け―――――

 

「…うん、特に異常はないね。これなら問題はないだろう」

 

「そうですか。どうも」

 

「ありがとうございます。茅場先生」

 

「いえ。処で…シャオ君、あの話はもう?」

 

「いえ、この後ユウキの所に行くのでその時に」

 

「そうか…ならその前に。彼女の親族の方が少し前にここを訪れた」

 

「っ」

 

「こちらで話を聞いて、帰ってもらったが…ユウキ君にも一応来た事は伝えてある」

 

「そう、ですか」

 

「まぁ、ああいう人間もいるという事だな…キミは嫌うだろうが」

 

「そりゃ…そうですよ」

 

「まぁ、経過に異常はなく、もう2,3回受けて異常がなければここへ来ることもなくなるだろう」

 

「そうですか」

 

「そういえば、キミはALOはプレイしていないそうだね?」

 

「うん…まぁちょっとね」

 

「それについては何も言うつもりはないよ。ただ、キミにコレを渡そうと思ってな」

 

茅場から渡されたのは小さな袋。

その中には―――――

 

「…ALOのソフト、ですか」

 

「キミが何を思ってALOをしていないかは解らないが…キミがあの世界に負の感情以外を

抱いているのなら…やってもらいたい。ソレは私からSAOクリアの報酬だ」

 

「…なら、ありがたく。それじゃ木綿季の所に行きますね」

 

「ああ。何かあったら連絡してくれ。すぐに向かわせる」

 

「はい。それじゃ母さん、ついてきて」

 

「案内しなくていいのか?」

 

「何度通ってると思ってるのさ。大丈夫だよ」

 

そういってシャオは母親を連れ、木綿季のいる部屋へと向かう。

 

シュンッ

 

「っと」

 

「悠姫さん、来てたんだ?」

 

「ええ。そちらは終わったので?」

 

「うん。特に異常はなしだったよ…ほんと、今後はこういうのはご免被りたいね」

 

「くすくす、そうですね。っと、そちらは?」

 

「ボクの母親」

 

「初めまして、シャオの母です」

 

「初めまして、天桜 悠姫と申します。シャオとはSAO時代に少しやり取りがありまして」

 

「そうですか。ウチの子がお世話になりました」

 

「いえ。それじゃ私は戻るけど…シャオ、何かあったら、ね?」

 

「うん。ありがと」

 

そうして悠姫は一礼し、その場を後にし、シャオは母親を連れ部屋の中へと入った。

木綿季は順調に回復しており、既に個室ではあるものの無菌室から出るぐらいには回復しており、一般の個室で経過を見ていた。

 

部屋は薄いベージュ色で統一されており、ベットの上で1人の少女が外を眺めていた。

 

「…木綿季」

 

「あ、シャオ。いらっしゃい。どうだった?検査」

 

「異常なしだったよ。どう?気分とかは」

 

「うん、特に問題はないよ?どっちかというと体力が余ってる感じだしさ」

 

「そっか。ならよかった…木綿季、無茶はダメだよ?」

 

「解ってるよー。それに、このまま順調にいけば今年中には退院できるらしいし…

アスナから打ち上げの話ももらってるしね」

 

「打ち上げ、か」

 

「シャオが行かないっていうならボクも行かないけど?」

 

「アスナさんが治ったら参加してね?って言ってたし、断るのもね…あ、紹介するね?

ここに連れてくるのは初めてだしさ…ボクの母さん」

 

「初めまして。シャオの母です…貴方が木綿季さん?」

 

「は、はい。初めまして、紺野 木綿季です」

 

「どもるなよ…そこで」

 

「だ、だって!緊張するものは緊張するんだよ!」

 

「そんなんしないでいいのに…」

 

「シャオから聞いてた以上にかわいらしい子ね。さっきの悠姫さんもキレイな子だったけど。

もしかして…シャオの知り合いって美人さんとかばっか?」

 

「んー…一部違うと思うけど…」

 

「あ、それ…シリカとかリズベットの事じゃないよね?」

 

「え?」

 

「2人が聞いたら怒るよー?2人とも可愛いじゃんか」

 

「ボクから見たら…だよ」

 

「ふーん…」

 

「確かに一般的には可愛いんだろうけどね…木綿季の方がいいし」

 

「シャオ…///」

 

「えっと…木綿季さんと仲がいいのは凄くわかったけど…SAO?じゃどうだったの?」

 

「け、結婚してました///」

 

「あら…そんなシステムまであるの?」

 

「まぁアレはもう1つの現実、みたいなものだったしね」

 

「そう…シャオから?」

 

「どうだったっけ?」

 

「同時だったよ。忘れたの?」

 

「んー…アレからドタバタしてたし、思い返す事もあんまりないしさ」

 

「そっか…でも、向こうでの2年間は絶対に充実してたよね。辛い事とか悲しい事とか色々あったけど」

 

「そうだね…本当にいろんな事があった」

 

「それで…今日はどうしたの?前にお母さん連れてくるとは言ってたけど」

 

「まぁ、それに関しては母さんから。ちょっと飲み物買ってくるよ。木綿季、何がいい?」

 

「うーん…シャオのお任せで。変なのじゃなかったら」

 

「ん。解った…母さん、話しておいてね」

 

「解ったわ」

 

そう言い残し、シャオは部屋を後に病院に設置されている自販機へと向かう。

そして部屋に残された木綿季とシャオの母親は―――――

 

「木綿季さん」

 

「…はい」

 

「シャオから貴方の事をある程度聞いたわ…」

 

「…HIVキャリアとか、ですか?」

 

「ええ…それに、ご親族の事とか…あの子、そういう話するときは辛そうな顔してたわ」

 

「…そうですか。確かにHIVキャリアって事で学校では虐められたし…親族から

遺書を書け、相続を破棄しろって言われて来ました。家も…取り壊される事になったみたいで」

 

「…貴方はそれでいいの?」

 

「はい…ただ、取り壊すのは来年に入ってからなんでそれまでに一度だけでいいから

見に行きたいとは思ってます」

 

「そう…強いのね」

 

「…そんなことは」

 

「シャオもね…昔はあまりしゃべる事すらしなかったのよ」

 

「…え?」

 

「あの子の事だから自分の過去はあまり話していないんでしょうね…あの子の両親が

亡くなってるのは…」

 

「それは聞きました…それで養子として…って」

 

「あの子の本当のお母さんと私は親友でね…あの子が小学校に入ってすぐの事だったわ。

それからあの子は人との関わりをあまり持たなくなったの…学校も休んでる事が多かったし、

ネットに向かってる事が多くなった…まぁ顔見知りって事で私とかにはそれなりには

話をしてくれたけどね?それでも…6歳で親を亡くした事で心に負った傷は消えない。

だから…SAO事件が解決した時に…貴方の話を聞いて驚いたのよ…あのシャオがそこまで

思える相手ができたんだって」

 

「……。」

 

「最初は怖かったわ…この子も居なくなるんじゃないかって。でも、帰って来てくれて、

開口一番が…ユウキ…だったの。だから、あの子にとって特別な子なんだって解ったわ。

それで…シャオが骨髄提供をした先が…木綿季さん、貴方なのよね?」

 

「はい…シャオのおかげでボクはここに…今こうして元気でいられるんです。

それはどれだけ感謝しても足りないぐらいに」

 

「…シャオの事、好き?」

 

「好きです…そうじゃなかったら疑似とはいえ結婚なんてしないです」

 

「そうよね…それで、木綿季さんはいくつなのかしら?」

 

「えっと…今年で15です」

 

「あら、シャオと同い年なのね…ねぇ、木綿季さん、家がなくなったら…どうするつもり?」

 

「…茅場さんから一緒にって…でも、シャオとの距離が遠くなるし、時間もかかっちゃうから…って」

 

「そう…それでね?木綿季さん。貴方さえよかったらウチに来ない?」

 

「…え?」

 

「それならシャオとの時間も取れるわよ?」

 

「…で、でも…ボクは」

 

「そうね…確かに今日会ったばかりでこういう話されても困っちゃうわよね」

 

「い、いえ…その…驚いたというか…その…」

 

「私はHIVについて詳しくは知らないし、一般的に言われてる範囲しか知識はないけど…

あの子が…シャオが大切だって言い切る相手よ?実際こうして顔を合わせて、お話して…

その上でウチに来るかどうか…って感じかしら。勿論、ここで答えを出せなんて言わないわ。

退院するまでぐらいに答えを聞かせてもらえたらいい。今後の事だからしっかりと考える事。

それだけは言っておくわね」

 

「…はい」

 

「それにしても…あのシャオが、ねぇ」

 

「へ?」

 

母親の言葉の意味が解らなかった木綿季は首をかしげる。

 

「ホント…あの子は家じゃ普通に話してくれるけど、外だとほぼ無口…必要最低限しか

関りを持とうともしなかったし、それで喧嘩して帰ってくることもあったの。それが…

SAO事件を経験して…少し大人になったのかしら?木綿季さんは長い事?」

 

「えっと…シャオと一緒に行動するようになったのはSAOが始まって1ヶ月ぐらいしてからです。それからほぼ一緒でした」

 

「驚いたんじゃない?シャオあんな見た目だし、外でも女の子って見られる事が多かったから」

 

「…はい。男の子って言われたときはびっくりしました…でも、仕草とか言葉遣いとか…

そういうところは男の子で…」

 

「ふふ、そうね。あの子…SAOの事はあまり教えてくれないから…木綿季さん、教えてくれない?勿論、いえる範囲で」

 

「えっと…そ、それじゃ…」

 

シャオが戻ってくるまでシャオの母親と木綿季はSAOの話をすることに。

出会ってからどういうことをした、どう感じたなどを話、木綿季も話が終わる頃には

緊張が解けていたのか、自然体になっていた。

 

「―――――という訳で…ゲームがクリアされて…です」

 

「そう…あの子が、怒るなんてね…よっぽど貴方の事を大事に思ってるのね…

それに…キリト君?と喧嘩してまだ気まずいままっていうのもあの子らしいわ」

 

「……。」

 

「まぁ…あの子が年相応に笑ったりして過ごせてるなら私はそれだけで十分なの。

まさかSAOが終わったら彼女を作って帰ってくるとは思ってなかったけどね?」

 

「あ、あの…」

 

「反対はしないわ。あの子が貴方を選んだ…あの子にとって誰かを関係を持つっていうだけでも難しい事だったから…そういう意味ではSAOに参加してよかったのかもしれないわね。

あのデスゲームがよかったなんて亡くなった人達やご家族には悪いけど。だから…

木綿季さん、あの子の事…お願いね」

 

「はい」

 

「…もう入ってきていいわよ?シャオ」

 

「え?」

 

シュンッ

 

「気づいてたの?」

 

「ここに来るまでにあった自販機はそんなに時間かからないし、貴方の事ぐらいわかるわよ」

 

「ふーん…で、母さん的には?」

 

「別に構わないわよ?部屋はあるし、本人にその気があるなら」

 

「母さんなr」

 

「あのねぇ…貴方が選んだ子でしょ?相手の子がどうであれ、こうして顔を合わせて話をして

大丈夫だって思ったから家の話もした。というか、信用ないわね?」

 

「母さんの人嫌いはハッキリしすぎてるしね…その直感は凄いと思うけど。

とにかく、いいんだよね?」

 

「ええ。一応退院する日までしっかりと考えるように言ったわよ」

 

「そっか。あ、木綿季…コレでいい?」

 

そういってシャオが渡したのは―――――

 

「…何?コレ」

 

「新しく入ったっていうドロリ濃厚ピーチ」

 

「おいしいの?」

 

「さぁ?」

 

「…シャオが先に飲んでみてよ」

 

「木綿季のだけど?」

 

「いいからっ」

 

「まぁ…いいけど」

 

シャオがドロリ濃厚ピーチを口にし―――――

 

「…濃いけど飲めるよ?」

 

「ホント?まぁ…それなら飲む」

 

「……。」

 

「んー…ちょっと濃すぎるような気がする…今後は無しで」

 

「ん、了解。寒くない?」

 

「ん、大丈夫だよ。まぁあと1時間もすれば冷えてくるかもだけどね。シャオ、何?ソレ」

 

「ああ、コレ?茅場さんからSAOのクリア報酬って事でALOのソフトもらったんだよ」

 

「やるの?」

 

「んー…あまりファンタジーって好きじゃないんだけどねぇ…」

 

「ボクはアスナ達に誘われてるけど、シャオがしないならいいかなぁって」

 

「そうなの?」

 

「うん。やるなら一緒にやりたいしさ」

 

「そっか…なら帰ったらインストールしてみる」

 

「うん。ボクはキャラだけ作ってる感じだけど…シャオはどうするの?種族」

 

「別にどこでもいいかなぁ…」

 

ALOの話で盛り上がる2人。

その様子を母親は静かに眺めていた。

 

「(シャオにもこんなに話せる相手ができたのね…本当に楽しそうにして)」

 

その後も今後の話などで盛り上がり、面会時間がそろそろ終わるのでシャオ達が帰ることに。

 

「あーあ…楽しい時間ってすぐ過ぎちゃうよ」

 

「そうだね。ま、今度はアスナさんたちも来ると思うよ」

 

「それはそれで楽しみだけどさー…明日は学校だよね」

 

「うん。だから夕方以降になっちゃうけど」

 

「了解ー」

 

「それじゃ、木綿季…また明日」

 

「うん」

 

「それじゃ木綿季ちゃん、今後もシャオの事よろしくね?」

 

「は、はい。今日はありがとうございました」

 

そうしてシャオと母親は部屋を後にし、茅場へ一言かけたうえで病院を後にする。

そしてその後は学業をこなしつつも、シャオやアスナ達が木綿季の元へと顔を出す日々があり、年越しが近づいてきた頃―――――

 

「ねぇ、シャオ君」

 

「ん?何?明日菜さん」

 

「こんな大勢で押しかけて大丈夫かな?」

 

「ちゃんと茅場さんから許可もらってるから大丈夫だって」

 

ビーッ

 

「はーい。どうぞー」

 

シュンッ

 

「木綿季、準備はどう?」

 

「うん。一応やったよ?出る前にもう一回見るつもりだけど」

 

「そっか」

 

「でも木綿季…本当なの?シャオ君の家に住むって」

 

「うん。その方が時間取れるし…シャオのお母さんも是非って…まぁ、花嫁修業やらまってるけど」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「花嫁修業って…アンタ、もう将来決まってるの?」

 

「あ、ううん。そうじゃなくて…ほら、向こうじゃ料理スキルでなんとかできてたけどこっちじゃ料理なんてした事なくてさ…それで料理とか教えてもらえる事になってるんだー」

 

「へぇ、ま…アンタ達見てたらそのままゴールしそうだけど…悠姫も」

 

「私は相手が居ませんが?」

 

「あの茅場と同棲してるだけでもアレなのよ…?それに明日菜とキリトだって…

特に明日菜とキリトは学校でもイチャコラするから…」

 

「してないよ!?」

 

「どうだか…処で、木綿季の荷物ってそれだけ?」

 

「うん。コレだけだよ」

 

「そう。それにしても…よかったわね、木綿季」

 

「うん。これもシャオのおかげだよ…ありがと、シャオ」

 

「提供しただけであとは木綿季が頑張った結果だって…それじゃ、ぼちぼち時間だし行こうか」

 

「うん。その前に…」

 

木綿季は部屋に置かれた小さいタンスなどを確認し、忘れ物がないか確認する。

そして、部屋を出る際、もう一度部屋を見る。

 

「この部屋には短い間だったけど…あの部屋から出てきてこの部屋に入って…今日、退院するんだね」

 

「そうだね」

 

「…それじゃ、行こっか」

 

そうして廊下へ出ると、茅場や悠姫、他にも木綿季の事を担当していた看護婦などが居た。

その後、無言のまま病院の入り口まで来て―――――

 

「…木綿季君。退院おめでとう…長い闘病生活を見事達成してくれた」

 

「…本当に長い間、お世話になりましたっ」

 

木綿季は関係者へ一礼した。

 

「シャオ、木綿季の事、お願いしますね」

 

「うん。絶対に…茅場さんも色々をありがとうございました。マスコミの事とか」

 

「何、マスコミに騒がれるのも病院には迷惑なのでね…木綿季君の退院も年末だと言ってある」

 

「ありがとうございます」

 

「え?なんで?」

 

「木綿季の事を考えて、だよ。マスコミっていうのは記事になりそうなことならなんでも

根掘り葉掘り聞いてくる連中だしね…」

 

「そうなの?」

 

「そうねぇ…それがHIV完治の患者なら余計に、でしょうね。そういう意味ではいい判断だったのかもしれないわね」

 

「そうだね…処で、悠姫もオフ会に来るんだよね?」

 

「ええ。まぁまだ仕事がありますから少し遅れるかもしれませんけど、顔は出します」

 

「そっか…で、2人は」

 

「木綿季の家を見てから向かうよ」

 

「うん、解った。エギルさんにも伝えておくね」

 

「それじゃ駅までは一緒でそこから別行動ね。シャオ、木綿季の事ちゃんと守りなさいよ?」

 

「…リズさんに言われるとなんか腹立つ」

 

「なんですって?!」

 

「妙に年上風ふかすし…シリカを見習いなよ…それじゃ、失礼します」

 

「ありがとうございましたっ!」

 

シャオと木綿季は手をつなぎ病院を後にし、明日菜達もオフ会の準備の為、

台東区にあるエギルの経営しているバーへと向かった。

 

「…ここが」

 

「うん。ボクの家だよ…もう少ししたら取り壊してコンビニになるか、売り払われちゃうけど」

 

「……。」

 

「ここでいろんな事をやったんだ…ねーちゃんと遊んだり、パパと本棚作ったり。

ここはなくなっちゃうけど…その思い出はボクの中に残るから…ありがとう、シャオ。

ここに連れてきてくれて…ボクに、未来をくれて」

 

「…中、入る?」

 

「ううん、オフ会に遅刻しちゃ悪いし、なくなっちゃう前にもう一度見れただけで十分だよ」

 

「そっか」

 

「うん。今まではシャオにもらってばかりだったけど…これからは一緒に」

 

「……。」

 

「ボクね、いろんなことをやってみたいんだ。料理だってそう…シャオや明日菜…悠姫達にも

ボクが作った料理を食べてもらいたいんだ。どれだけかかるか解らないけど…シャオは料理、

できるの?」

 

「少しだけならね」

 

「そっか…それはそれで女の子として負けた気分になっちゃうけど、絶対にシャオより

美味しい料理を作れるようになるよ」

 

「それは楽しみだね…少し冷えてきた、寒くない?」

 

「大丈夫。こうしてるだけであったかいよ…それじゃ…行ってきます」

 

「……。」

 

木綿季は家へと言葉を投げかけ、シャオを連れその場を後にする。

そしてオフ会会場へと到着し、中へ入ると―――――

 

「あ、木綿季、シャオ君」

 

「最後?」

 

「ううん、まだ悠姫が。でも向かってるって連絡あったから」

 

「そっか…エギル、久しぶり」

 

「シャオか…お前、リアルも向こうもそう変わらねぇな」

 

「あはは…そだね。エギルとかクライン程じゃないけど」

 

「おめぇ、見た目は女なのに口を開けばそんな言い方しかできねぇのか?」

 

「いちいちくっつくな…エギル、ジンジャーエールある?」

 

「あいよ。それにしても…よかったな」

 

「そうだね…これからの生活が楽しみだよ」

 

「ははっ、お前も尻に敷かれない様にしろよ?」

 

「ん」

 

そんな話をしていると悠姫も現れ―――――

 

カランカランッ

 

「…おい、遅刻じゃないはずだ」

 

「アンタには遅めの時間を教えてたのよ。主役は最後に来るもんだしね。ほら、入った入った!」

 

「え、お、おいっ」

 

最後にキリトが現れ、リズに押されながら一段高くなった場所にいる木綿季の横に立たされる。

 

「それじゃ、ご唱和ください!せーのっ!」

 

『キリト、ALOクリア…木綿季退院おめでとーッ!』

 

「SAOはいいんだ?」

 

「まぁ、SAOの打ち上げはこれからだけどな?」

 

「へ?」

 

「ほーら、シャオもこっち来なさいよ!」

 

「ちょ、リズさん!?」

 

「えー、それでは…シャオと悠姫のSAOクリアも祝って!」

 

『シャオ、悠姫SAOクリアおめでとー!』

 

「まぁクリアは皆さんの力があってこそ、ですけどね」

 

「だよねー…ま、たまにはこれぐらい騒がしいのも楽しいかもね」

 

「シャオー悠姫ー、こっちで一緒に食べようよー!」

 

「…いきましょうか」

 

「うん」

 

「それはそうと…シャオ、知ってる?ALOにアインクラッドが実装されるって」

 

「…え?」

 

「二次会で行こうって話になってるのよ。どう?アンタも」

 

「ボクALOキャラしか作ってないんだけど」

 

「大丈夫だって、アンタならいけるいける!ってか…種族は?」

 

「ボクと同じインプ…って思ったんだけど、髪色とかがアレだったからケットシーなんだよね」

 

「別にインプでもいいなじゃい?ゲームだし」

 

「解ってないなーリズベットは。この見た目で髪が黒っぽくなるんだよ?もったいないじゃん」

 

「「あー…」」

 

「…なんでそこで納得するか解らないけど」

 

「いい?アンタは自分で思ってる以上に女っぽいのよ」

 

「…本人を前に堂々といえるのは凄いと思うよ…」

 

「別に知らない仲じゃないんだし…細かいことを気にしすぎると禿げる、嫌われるわよ?」

 

「そんな性格だから…」

 

「何よ」

 

「彼氏ができないんだよ」

 

「なんですってぇ!?」

 

「リ、リズ…落ち着いて」

 

「コイツぅ…彼女がいるからって上から言いやがってぇ…木綿季、なんでこいつなの?

こんなかわいげのない…」

 

「リズさんは知らないからそう思うだけだよ。シャオ、朝弱いから寝顔とかすごい可愛いんだから」

 

「…木綿季?」

 

「それに、明日菜達も知らないことも知ってるしね」

 

「面白そうなことを話してるわね、木綿季」

 

「あ、悠姫」

 

「私も混ぜてもらっても?」

 

「うん。いいよ!って事でシャオは外れてね?女子会だから」

 

「…はぁ、あまり変な事言わないでよ?」

 

「大丈夫だって」

 

そうしてシャオはカウンター席へと移動し―――――

 

「おう、いいのか?木綿季と一緒じゃなくて」

 

「女子会するんだって…変な事言わないといいけど」

 

「まぁ、女の子はそういうの好きそうだしな…」

 

「ま、何事も経験だぞ?若者よ」

 

「おっさんは黙ってて」

 

「お、おっさんって…俺はまd―――――」

 

「社会人なんてオッサンだよ。それに…クラインがお兄さんとか不可能すぎるよ」

 

「がははっ、まぁコイツの野武士面じゃ無理だわな!」

 

「エギル、てめぇ!」

 

「それでも…木綿季が楽しそうにしてるのはうれしいよ」

 

「大切人しろよ?」

 

「当たり前。それに…久しぶりだね、キリト」

 

「…ああ、そうだな。学校でも話す事はほぼないし…シャオ…俺は」

 

「別に気にしてないよ?それをうじうじと悩んでるから気に入らないだけ。処で…一緒に来てた子、彼女?」

 

「ばっ…違うっての…妹だよ」

 

「妹、ねぇ…そういえば…SAOが始まったときそんなこと言ってたような…言ってなかった様な」

 

「まぁいいじゃねぇか。ところでシャオ」

 

「ん?」

 

「お前、未成年だろ?」

 

「うん。15だしね」

 

「いいのか?暗くなるのもはえーぞ?」

 

「大丈夫だよ。まぁ終電までには、ね。ちゃんと親の許可ももらってる」

 

「ならいいんだがよ…木綿季は?」

 

「今日から一緒に住むから帰りも一緒」

 

「そうなのか!?」

 

「親公認の同棲生活か…」

 

「ま、まぁ…シャオは女っぽいから…大丈夫だろ」

 

「いやいや、コイツだって男だぞ?」

 

「…クライン達が考えてるような事はまぁ…もう数年待ってね?というか…これからは

これからで大変だしね」

 

「そうなのか?」

 

シャオはジンジャーエールを飲みながら今後の予定を話した。

そんな時だった―――――

 

「えぇ!?」

 

「ん?」

 

「ああ、な、なんでもない!なんでもないからっ!」

 

「明日菜さんの慌てよう…キリト関係かな?」

 

「いや、あれは驚きだな…多分お前だぞ、シャオ」

 

「…まぁ変な事言ってないならいいけど」

 

その後も女子会は楽しそうにしており、途中シャオは巻き込まれたりとし

かなり騒ぎながらも楽しい時間を過ごした。

 

そして時間も時間になり、それぞれが帰路へとつくことになり―――――

 

「っくしゅ」

 

「シャオ?」

 

「ん、へーき…木綿季は寒くない?」

 

「うん。こうしてるから大丈夫」

 

「そっか…なんか、アレからドタバタと時間が過ぎてる気がする」

 

「そうだねー…でも、今こうして楽しく過ごせてるし、ボクは満足だよ?」

 

「まぁ、木綿季が楽しいならいいんだけど…」

 

「今でも思うんだよ…家族が死んで…次に死ぬのはボクだって思ってたから…

ボクだけ助かって幸せになっていいのかなって」

 

「…木綿季」

 

「でも…手を伸ばしていいんだ…幸せになっていいんだって…あの時も言ったけど…

怖かったんだよ?ボクの事を話したらシャオも離れて行っちゃうんじゃないかって」

 

「……。」

 

「シャオには感謝してるよ?感謝してもしたりないぐらい…だから、これからはボクも幸せになってシャオも幸せにするって決めたんだ」

 

「…男前だねぇ」

 

「嫌なの?」

 

「嫌じゃないさ…木綿季との時間は楽しいよ?」

 

「じゃぁ…どうしてそんな顔するの?」

 

「キリトにさ…護るって言った相手を失った事がないから解らない事があるって…言われた事があるんだ。でも…心の底から楽しんだら…また失うんじゃないかって…考えることがある」

 

「…大丈夫だよ。ボクはずーっとシャオの隣にいるから。シャオが嫌って言っても

ボクは傍に居るよ?」

 

「木綿季…」

 

「だから、そんなことは考えないでいいんだよ。ボクはどこにも行かないから」

 

「…うん。ありがと」

 

「うん。それで…何処まで行くの?」

 

「この先だよ」

 

「そっか。それにしても…今日みたいにほかの人と触れ合う事ができるのがこんなにも

嬉しくて楽しい事って…やっと思い出せた気がするよ」

 

「それはよかった。でも悠姫さんとは」

 

「うん。悠姫とは触れ合ってた時間も長いけど…悠姫には茅場さんがいるしね」

 

「茅場さん?どうして?」

 

「もぅ、なんでそういうところは鈍いかなぁ…ま、シャオらしいけどさ」

 

「むぅ…なんか負けた気分だけど…っと」

 

「シャオ?」

 

「ここが、今日から木綿季の家だよ」

 

「ここが…」

 

「立ち止まってても寒いだけだし、入ろうか」

 

「…う、うん」

 

「緊張しないでいいって…ただいまー」

 

シャオと共に家へと入る木綿季。

これからはこの家が木綿季の自宅となり、ここから学校へ通ったりする事となる。

 

そして、何かイベントがあればエギルの店、ダイシー・カフェに集まって騒ぐか、

リアルで旅行したりと…騒がしくも楽しく日常を過ごしていく。

 

鮮烈な思い出を作りつつもシャオや木綿季、悠姫、明日菜、和人達は再びVRMMOの世界へと

向かい、そこで新たな出会いをし、思い出を作り、少しずつ大人になっていく。

 

SAOから始まり、ALO、新生ALOと来て…次なる舞台は銃の世界…プロゲーマーや

このゲームで生活をしているプレイヤー達が集まる硝煙蔓延る世界…その世界の名は―――――

 

GGO―――――ガン・ゲイル・オンライン。

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