とある施設にて…
浴衣を着た少女がぼーっと外を見ている…ひざ下まで伸びた髪の毛から見える肩幅は不自然なくらいに狭い。
「悠姫、ここにいたのか」
「茅場さん」
「腕のメンテナンスが終わったよ…さっそくつけてくれたまえ」
「えぇ、お願いします」
少女の名前は「天桜 悠姫(てんろう ゆうき)」…生まれながらにして両腕欠損という過酷な状況で生活をしてきた中、新機軸の義腕を開発している天才ゲームデザイナー「茅場昌彦」からのオファーがあり、義腕のモニターをしている少女でもある。
確かに不自由はある…しかし、その義腕のおかげで彼女はモノをつかみ、移動することができる様になり、当面の生活はクリアになっていた。
「どうだ?」
「そうですね…感覚に関しての強化はほぼできてない…ですね…腕を動かす速度に関しては上がってますけど…」
「そうか…とりあえず整合性を取ろう…ダイブできるか?」
「えぇ…ところであの子は…?」
「あぁ、経過も順調だが、まだ歩くには早いな…今日も元気にVRで遊んでるよ」
「そうですか…では私も義腕のテストがてら…試作2号機起動完了…ダイブ開始します」
目を開けると…草原が広がる
無いはず自分の腕をあげてみる…そこには義腕のようなメカメカしさなど一切ない綺麗な腕が自分が思ったように動いてくれる…でも叩いても感覚は、ない。
「あ、来た来た!おーい、悠姫ー!」
「あら…木綿季さん、こんにちは」
そんな悠姫に対し飛びついてきたのは紺野 木綿季(こんの ゆうき)…HIVキャリアとして治療を受けていたメディキュボイド試作1号機のモニターである
「リアルでの体調はいかがですか?木綿季さん」
「うーん…今はまだ変わりないかなぁ…」
「でも、成功したと聞いてますし、茅場さんも経過は順調だって仰ってますからね」
「確かに薬飲まなくていいよって言われたのは嬉しかったなぁ」
「所で…木綿季さん?SAOってご存知?」
「んー?あぁ、知ってる知ってるー!βテストはいけなかったけど」
「私ベータテスターなんだけれどね…すごく面白いゲームだったから、木綿季さんにもぜひって思ったんだけど」
「えーやりたーい!…でも初期ロット1万本しかないんでしょ?」
「そこは何とかしますから…どうですか?」
「うん、できるならやりたい!」
「では、決まりですね…」
そして数日後…
「(茅場さん、SAOの話するとすごく悲しそうな顔してたけれど…何故だろう)…よし、1号機、2号機インストール完了…さすがに1万本の中の2本を確保するには疲れましたけど…ダイブ開始っと…!」
「悠姫ー!どうだった?」
「えぇ、なんとか用意できましたので大丈夫ですよ…すでに私たちの筐体にはインストールしてありますからね」
「おぉー…お、1時だね~…いこっか!」
「えぇ…SAO…"ソード・アート・オンライン"…起動」
そのままキャラ作成、初期武器などを決めていく…
これがのちにSAO事件と呼ばれる悲惨な事件になろうとはだれも予測していなかった…