デスゲームが開始されてから1か月が経過した。
しかし、いまだに第一層が攻略されておらず、さらにはその一か月で2000人ものプレイヤー達が死亡した。
そして、始まりの街でXiaoはキリトと共に行動することを決め、キリトと共にレベルを上げたりしていた。
そんなある日、第一層攻略会議が開かれると聞いてキリトとXiaoも会議場所へとやってきていた。
「ふぁぁ…」
「Xiao、寝不足か?」
「少しね…こっちのベットが堅いのなんの…しかし、一か月で2000人が死んで、まだ一層もクリアできてないとなると…キリト的には?」
「難しいな…確かに俺の予想以上に攻略速度が遅いっていうのはある」
「だよねぇ…安全帯にはいるんだっけ?」
「ああ…大体レベルが階層+10もあれば十分だと思ってる。けど、コレが茅場のいう通りのデスゲームなら絶対はない」
「仕様変更の可能性も?」
「ないとは言い切れないな…とりあえず、攻略会議次第かな」
そんな話をしながら2人は会議場所の適当な場所に座る。
そして、待つこと数分―――――1回目の攻略会議が開催された。
「それじゃ、そろそろ始めさせてもらいまーすっ」
「…剣に盾か」
「普通じゃない?」
「まぁな」
「まず、今日は俺の呼びかけに答えてくれてありがとう。俺はディアベル、気持ち的に
ナイトやってます!」
ディアベルと名乗った男の自己紹介に笑いが起こる。
「くだらな」
「Xiaoはゲームあまりしないのか?」
「それなりにするけど、SAOにジョブシステムなんかないし」
「ま、まぁ…そうだな」
「今日、俺達のPTはボス部屋を発見した」
第一層の迷宮区でボス部屋が見つかったという報告にザワつき出す。
「ボス部屋を攻略して、始まりの街にいる人達にいつかクリアできるって事を教えてやらないといけない。それがここにいる俺達の使命なんだ。それじゃ、まずは6人のPTを組んでみてくれ」
「っ」
「キリト?」
「…俺、ずっとソロプレイだったし、今回はXiaoとぺアなだけだから…」
「あー…コミュ障」
「ち、違うぞ?」
「ま、なんでもいいけど…」
そう言いながらXiaoは周囲を見渡す。
大抵のプレイヤーは近くにいるプレイヤーとPTを組み始めていた。
そんな中少し離れた場所にいるプレイヤーが居たのでキリトを連れ、向かう。
「ねー、お姉さん達。もうPT組んじゃった?」
「まだ2人ですね」
「…そっか。こっちも2人なんだけど他の人達組んじゃってるっぽいし、どうかな?」
「私は構いませんよ。ユウキさんは?」
「ボクも大丈夫だよー」
「―――――。」コクリ
「それじゃ、私達がそちらへ入るということで」
「ありがとー。ほら、誘って」
「あ、ああ…」
Xiaoに言われキリトはそこにいた3人をPTに誘った。
これで一安心かと思った瞬間―――――
「ちょお、待ってんか!!」
そう言うと関西弁の男が乱入してくる
「ワイはキバオウってもんや、ボスと戦う前に言わせてもらいたいことがある!
こん中に、死んでいった2000人に詫び入れなあかん奴がおるはずや!」
「キバオウさん、その人っていうのはβテスターの人達の事かな?」
「決まってるやないか!β上がりの奴らはこんクソゲームが始まったその日に、ビギナーを
見捨てて消えおった!奴らは上手い狩場やら、ボロいクエストを独り占めして自分らだけ
ぽんぽん強なってその後もずーっと知らんぷりや!こん中にもおるはずや!
そいつらに土下座さして溜め込んだ金やアイテムを吐き出してもらわな、PTメンバーとして
命は預けられんし、預かれん!」
「…何?あのモヤっとボールみたいな頭の悪そうな人」
「「プッ」」
Xiaoの言葉にユウキと呼ばれた少女とキリトが噴出した。
「発言いいか?」
そういうと巨漢が中央へと歩み寄り、キバオウの前に立つ。
「俺の名はエギルだ…キバオウさん、あんたが求めているのはβテスターに対する謝罪と賠償か」
「そ、そや」
「そのガイドブック、アンタももらっただろ…道具屋で無料配布してるからな」
「もろたで?それがなんや!」
「配布していたのは元βテスターたちだ…いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ…
なのにたくさんのプレイヤーが死んだその失敗を踏まえて俺たちはどうボスに挑むべきか、
それがこの場で論議されるんだと俺は思っていたんだがな」
そこまで言うとキバオウはすごすごと席へ戻り、エギルも戻る…
「実はさっき例のガイドブックの最新版が配布された…ボスの名前は
【イルファング・ザ・コボルトロード】、それと【ルインコボルト・センチネル】という
取り巻きが居る。ボスの得物は斧とバックラー…4段あるHPの最期の1段が赤くなると
曲刀カテゴリのタルワールに持ち替え、攻撃パターンも変わる…最後に、撃破の報酬だが…
金は自動均等割り、経験値は倒したPTの物、アイテムはゲット人のものとする。
異存はないかな…明日の朝10時に出発する、解散!」
ディアベルの合図でそれぞれが狩りや明日に備えて武器等の調達へ向かった。
そしてその日の夜、にぎやかな町中とは違った場所にキリト達はいた。
「向こう、行かなくていいの?」
「いいんだよ」
「ふーん…まぁ、キリトがコミュ障だろうとなんでもいいけどさ」
「お前なぁ…気になるなら行ってきていいんだぞ?」
「あのモヤっとボール頭嫌いだし騒ぐの疲れるからいいや…ねぇ、そう思わない?赤ずきんさん」
「…別に。あと、赤ずきんって呼ばないで」
「そっかー…ごめんね、おねーさん。お詫びにコレ使って?あげる」
Xiaoは赤ずきんの横に小瓶を1つ置き、離れた。
「とりあえず、自己紹介かな?」
「そうですね、攻略までの、とはいえPTメンバーですし」
「それじゃ、ボクから。ボクはユウキ!このゲームは初心者になるかな?よろしくねー」
「では、次は私が…私はFateといいます。よろしくお願いしますね。後、一応テスターです」
「…いいの?教えて」
「ここにいる人達が口外するとは思えませんから」
「んじゃ、次はボクかな?ボクはXiao。ボクも初心者だよ。よろしくー」
「次は俺か…俺はキリト。元テスターだ。一応流れでPTリーダーやってるけどよろしく」
「テスターが2人。今回の攻略にもほかのテスターっているのかな?」
「いるんじゃない?まぁあのモヤっとボール頭のせいで名乗り出る人なんていないだろうけど」
自己紹介している間に赤ずきんの女性は宿へと向かったようでその場にいなかった。
「明日の10時からで私たちは取り巻き相手ですね」
「俺達は1人足りないしな…」
「まぁディアベルのPTがレイドPTのリーダーだし、いいんじゃない?参加できない訳じゃないしさ」
「…そうだな」
「キリトさん、現時点でテスト時と違った部分などはありました?」
「いや、俺とXiaoがこの町に来るまで通ったところは特になかったよ」
「そうですか…ただ、ボスまでは判らないですよね?」
「だな…情報では斧とバックラー装備でHPが減るとタルワールって話だけど…変わってないとは
言い切れないからな…」
「でも、その情報通りって事もあるんでしょ?」
「ああ。だから今は何とも言えない」
「そっかー」
「ふぁぁ…キリト、眠いしそろそろ宿戻らない?」
「…そうだな、明日は早いし攻略だからしっかりと休んでおくべきか」
「そうですね。では明日9時ぐらいに広場に集合ということで」
「ああ。解った」
そうして解散となるが―――――
「Xiao君、少しいいですか?」
「ん?別にいいけど…」
Fateに声をかけられXiaoは少し離れる。
「…まさか、其方までこのゲームに参加してたんですね」
「そっちこそ…まさかテスターだったなんてね」
「知り合いがいたから驚きましたが…生き残っててくれたのはうれしいです」
「それはボクも同じだよ…ふぁぁぁ」
「ごめんなさいね、眠いのに」
「ううん、別にいいよー。それじゃ、明日」
「ええ、また明日」
Xiaoはそういってキリトと共に宿へと向かい、Fateもユウキと共に宿へと戻っていった。
そして翌日、10時―――――攻略組は迷宮区最奥へと向かい、問題なく最奥へたどり着いた。
「ここが…ボス部屋」
「なんだ、怖いか?」
「キリト程じゃないよ」
「お前なぁ…」
「あはは、2人は仲いいんだね?」
「そう?まだ知り合って一か月ちょいだけどね…まぁゲーム開始からほぼ一緒に行動してたからそう見えるのかもね」
「一緒に?キリトは男だよね?」
「あー…ユウキ、Xiaoも一応男だぞ?」
「「…え?」」
キリトの言葉にユウキと赤ずきんが絶句した。
「嘘…でしょ?女の子じゃないの?」
「男だよ?中世的だからっていうのはリアルでもさんざん言われてるから別にいいけど」
「…リアルに男の娘っているんだ…」
「…なんでもいいけど、Fateさん、武器は鎌なんだ?」
「ええ、これが一番しっくりきますから」
「デカいし、扱い難しそうだね」
「慣れが必要なのはどの武器も同じですよ。そういうXiao君だって槍じゃないですか」
「ボクはリアルで槍術をかじってたからだよー。剣はあまり好きじゃないっていうのもあるけど」
「コレ一応剣が主流なんだけどな?」
「知らないよ。槍とかメイスとか斧だってあるんだしさ。自分が使いやすいのを使うだけ」
「そうですね。っと、おしゃべりはこの辺にして…今はボス攻略に集中しましょうか」
Fateの言葉にうなずき、一同はボス戦へと頭を切り替えていく。
序盤は順調にボスのHPを削っていけてたものの、HPバーが最後の一本になると情報通り、
ボスは武器を持ち変えた。
しかし、それを見てキリトとFateは驚愕する。
確かに情報通りHP減少による武器変化はあった…しかし、情報にあった武器はタルワール。
目の前でボスが握っているのはタルワールではなく…
「アレはッ」
「野太刀!?ダメだ!下がって距離を取れ!」
「あん?」
キリトの声にキバオウが反応を示すものの、ボスへと突っ込んでいたディアベルは致命傷を受ける。それを見て、キリトとFateが回復薬をもって駆け寄る。
「ディアベルさん、どうして…」
「君たちも…βテスターならわかるだろう…」
「…ボスのLAボーナス…アンタもテスターだったのか」
「ああ…俺の分も…皆を、頼む…ボスを倒してくれ」
そういうとディアベルは光の欠片となり、2人の前で砕け散った。
その後、キリトとFateの攻撃でボスを倒す事には成功したが―――――
「なんでディアベルはんを見殺しにしたんやっ!?」
「なんでや!なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」
急に叫ぶキバオウ。
「見殺し?」
「そうやろが!自分はボスの使う技知っとったやろが!事前に伝えとったら死なずに済んだんや!」
「きっとあいつ、βテスターだ!だから知ってたんだ!他にもいるんだろ、出て来いよ!」
そのままざわめく中…乾いた笑いが1つ
「元βテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」
「なんやと!?」
「当選者の1000人のうち大半はレベリングも知らない初心者だったよ…あんたらの方がまだマシさ」
「!?」
その言葉に引きつった顔を見せるキバオウを余所に、キリトは続ける
「俺はβテスト中に他の誰も到達できなかった層まで登った!あの技を知ってたのも、
ずっと上の層で散々戦ったからだ!他にも知っているぜ?情報屋が泣くレベルでな!」
「な、なんやそれ…βテスター処やない…チートや!チーターや!」
「βテスターのチーター…ビーターだ!」
「チート…か」
「Xiao?」
「なら…ディアベルって人もチーターってわけだ?」
「なんやと…?」
「キリト…ボスの武器が変わったとき、普通ならPTで囲むじゃない?」
「あ、ああ…それがセオリーだからな…」
「なのにディアベルは飛び出した…その理由は?」
「…ボスにはLAボーナスっていうのが設定されている…レアアイテムがほとんどだ」
「つまり、そんなことを知ってるのはテスターのみ…結果、ディアベルはアンタがいう
チーターってわけ?理解できる?」
「…そ、そんなわけあるか!ディアベルはんがテスターやなんて!」
「彼はテスターでしたよ…それは覆しようのない事実。だからボスの武器が切り替わった瞬間に
飛び出した。セオリーを無視して…そして私もまた…其方達のいうビーターの1人ですがね」
「なんやて?」
「先程から黙って聞いていれば…喧々諤々うるさい奴ね…そんなにディアベルさんを見殺しに
したくなければ体当たりしてでも逸らせばよかったじゃない…まぁ、そんなこともできない意気地なしに何言っても無駄か…これでも私は回復薬持って駆け寄ったんだけど…まぁキリトさんもね?」
「……。」
「それに、私は貴方達の持っているガイドブックを作成したグループの中に私の名前もあります」
「…なのに、このモヤっとボール頭は見殺しにしたって言い張るか…少なからず使ったにも
かかわらず…こんな奴が…」
Xiaoは槍を構えようとするもFateに止められ…
「別に理解し、納得しろとは言いません。言ったところで其方達には無駄でしょうから。
2層へのアクティベートはしておきます。其方達はビーターが歩いた安全な道を通って先に進めばいいでしょう…まぁそれでも遅くなれば安全とは言い切れませんが」
そう言い残し、Fateとキリトは歩き出す。
「キリト」
「Xiao…お前も"アスナ"もユウキも…もっと強くなれる。だから、信頼できる人に
ギルドへ誘われたら断るなよ…ソロプレイは絶対に限度があるからな」
「Fateさんも…それでいいの?」
「ええ…ユウキさん、其方も絶対にソロプレイは避けた方がいいです。それとキリトさんの
言葉は忘れないように…そうですね、この先はXiao君とPTを組むのもいいでしょうね。
では、私はお先に」
そういってFateは第二層へと続く門の奥へと消えていき、キリトも続いていった。
「…Xiao」
「ボクは行くよ?ビーターとかどうでもいいし…あんなクズ達と同じなんて嫌だから」
「ソロプレイするつもり?」
「さぁ…どうだろ」
「なら、ボクも一緒に行くよ」
「…好きにすればいい」
「ちょっと待って」
「「ん?」」
「どうしてあの人達は私の名前が分かったの?」
「…この辺に自分のHPバーがあるでしょ?その下にPT組んだらメンバーの名前とHPバーが出るんだ。だから赤ずきんのおねーさんがアスナだって解った。それだけだよ」
「…シャオ君に…ユウキちゃん?」
「ん…それじゃ、ここまでだね。アスナさん…またこの先会うことがあったら」
「ばいばーい」
階段をのぼりながらPTを解散させたXiaoはユウキからPT申し込みされ、ペアPTが組まれた後
門の奥へと歩いて行った。
この攻略後、2階層からビーターやらの情報がプレイヤー達の間で認知されるのにさほどの時間はかからなかったのは言うまでもない余談である。