第一層攻略から暫くの時が経ち―――――
【第48層リンダース】
「この辺りだと思うんだけど…」
「あそこじゃない?」
「あそこか」
Xiaoとユウキはある人物からの紹介で武器をオーダーメイドする為に【リズベット武具店】を探していた。
カランカランッ
「あれ?誰もいない…武具店みたいだけど」
「奥にいるんじゃない?来るまで見てようか」
「そだねー。それにしてもXiaoは槍だけど戦いにくくないの?近づかれたら大変そうだけど」
「槍は突くだけの武器じゃないよ?石突きで殴る事もあるし、結構扱えたら便利」
「そうなんだー」
「リズベット武具店へようこそ!」
「あ、っと…」
「この子の武器をオーダーメイドしてほしいんだけど」
「…現在鉱石の相場が高くなっていまして…」
「お金の心配はしないでいいよ。仕事さえしてくれれば見合うだけは払うし」
「Xiao、失礼だよ?ごめんなさい、えっと少し上の階層ので手に入る不浄なる秘石で剣を強化
してほしいんですけど…可能ですか?」
「可能ですけど…」
カランカランッ
「あれ…」
「あ、キリトじゃん。おひさー」
「Xiao…それにユウキも一緒か」
「何?キリトの知り合いなの?」
「ああ。2人は武器依頼か?」
「うん。ユウキの剣を新しくしようって事で。少し上の階層で手に入る不浄なる秘石が必要でね」
「なるほどな…リズ、メンテ頼む」
「キリトは常連?」
「まぁ、色々あって剣を1つ作ってもらってからちょくちょくな」
「キリト、初めて来たときにウチで一番良い剣をへし折ったけどね」
「「うわぁ…」」
「し、仕方ないだろ?折れるなんて思わなかったんだから」
「それでもへし折るって…魔剣クラスとか伝説クラス?」
「エリュシデータ…モンスタードロップの武器で魔剣クラスの剣ね」
「…そんなの折れるでしょうに」
「そうだよー…モノは大事にしなきゃ」
「お、おう…そ、それよりその…不浄なるなんとかっていうのがいるのか?」
「うん。それで時間があるなら鉱石を取りに行こうかなって」
「なるほどな…しかし、ユウキは片手剣だからそれとなく武器も解るが…Xiaoの武器はなんだ?」
「ん?コレ?」
「…そういえば私も見たことない武器ね…少し見せてもらっていいかしら?」
「いいけど、大したものじゃないよ?」
Xiaoは槍をリズベットへ手渡す。
「…スピア・ザ・オルタネイター、コレ…何処で手に入れたの?」
「少し下の階層であったイベントの報酬武器を強化しただけだよ?」
「でも、辞典に載ってないって事はまだ本数が少ないか、強化するのが難しいかね…ん?
まだ進化可能なの?コレ」
「らしいけど、闇はらむ水晶っていうのが必要らしいけど、今の攻略されてる階層じゃ確認
されてないらしいから」
「なるほど…確認されたら教えた方がいいかしら?」
「うん、できたらお願いしたいかな」
「その代り、メンテやらはウチに来てね?」
「まぁそれぐらいなら。というか、黒の剣士がこんなところで油売ってていいの?」
「まだボス部屋が見つかってないしな」
「ふーん…」
「そういうお前らはちょくちょく攻略会議に顔出してないよな」
「武器強化したり色々してるからねー。流石にキリト達の速度は疲れるから」
「なるほど…お前らしいよ。それで?その不浄な石?ってのはどこで取れるんだ?」
「50層の外れにある寂れた神殿のエネミーって事ぐらいしかわかってない」
「50層か…アルゲートだな。そこならエギルが店出してるし、物資調達もできそうだな」
「そっか…ユウキ行ってみる?」
「そうだね、でも、寂れた教会って確か―――――」
一同は装備を整え、50層・アルゲートにある目的地へと向かったが―――――
『……。』
「な、なぁ…Xiao?ここか?」
「うん。ここの最奥らへんで出るらしいんだけど…結構暗いね」
「Xiao…怖くないの?」
「幽霊ぐらいゲームなら出てくるだろうしね…ゾンビの方が嫌いだよ」
「うそぉ…ボク幽霊もゾンビも嫌なんだけど…」
「前はボクとキリトでやるから、ユウキはリズさんの護衛してくれればいいよ」
「俺も前か!?」
「男ならやらなきゃね?クラインなら喜んでやるよ?」
「Xiao、アンタも女の子じゃない」
「…リズ、Xiaoは男だ」
「…嘘でしょ?」
「中世的でわるーございますね。ほら、行くよ」
Xiaoは槍を持ち、奥へと進んでいく。
「あ、おいっ!」
キリト達も遅れないようにXiaoの後を追いかけていく。
「…すげぇ不気味なエリアだな…ホントにここか?」
「ここだよ。というか…リズさんとユウキは女の子だからわかるけど…キリト、意外と怖がり?」
「お前が変わってるだけだろ…あ、ゾンb―――――」
「キリト…殺されたい?」
「…わ、悪い」
ゾンビと発言しかけた処で首筋に槍を突き付けられるキリトは素直に謝罪した。
「さっすが銀閃姫、アスナ並みの速さだね」
「銀閃姫?Xiaoが?」
「うん。ボクら、他のプレイヤーと遭遇しないように夜間に活動したりしてたから…
気づいたら銀閃姫って呼ばれるようになってたよね」
「そういうユウキこそ、絶剣って呼ばれてるじゃん」
「…アンタ達も攻略組なのね」
「最前線ではないけどね…キリトよりはレベル下だし」
そんな話をしながらどんどん奥へと進んでいく一行。
そして―――――
「…行き止まり?道を間違ってはいないはずだけど」
「ほぼ一本道だったしね…っ」
ボッ…ボボボッ
「な、何?」
「コイツは…Xiao」
「うん…ネームドボスだね。この神殿の」
「どうする?戦うか?」
「ボクとキリトが前、ユウキとリズさんは後ろに下がってて」
「ボ、ボクも」
「リズさんを護衛しておいて?この階層ならボクとキリトでいけるだろうし」
「…解ったよ」
ユウキがリズベットを連れ、少し後ろへ下がった後…
「デスバーサー…どう見ても骸骨だね」
「だな…ま、やりますか」
神殿のネームドボス、デスバーサーと戦闘を開始し―――――
「「…つ、疲れた…」」
デスバーサーを倒すまで、30分近く戦っていた為、流石のXiaoとキリトも疲弊の色が見えた。
「リズさん、出た?」
「ええ、ちゃんと出てるわよ。それも複数個」
「おー…」
「ユウキの武器に使っても余るけど…」
「それはリズさんにあげるよ」
とりあえず、目的のものがドロップしたため、一同はリンダースにあるリズベット武具店へと
戻り、休息を取る事に。
「しっかし、50層のネームドボスだけあって中々だったな」
「だねー…まぁキリトがいたからかなり楽ではあったけど」
「ボクなんか何もしてないんだけどねー」
「範囲攻撃を防いでたし何もしてないって事はないよ?リズさん、武器はお願いね」
「任せなさい。ユウキ、作るからいらっしゃいな」
「はーい。それじゃXiao、ちょっと行ってくるねー」
「はーい」
ユウキとリズベットが店の奥へと入っていったのを見送った後―――――
「…ねぇ、キリト」
「ん?」
「風の噂で聞いたけど…ギルド、入ってたんだって?」
「…ああ、今はもうないけどな」
「そっか…キリトがソロなのはよく聞くけど…PT組むこともしないんだ?最前線なら
Fateさんとかアスナさんがいるのに」
「攻略会議では顔を合わせてるけどな…そういうXiaoはあれからずっとか?」
「ずっとではないけど…ほぼ、かな?おかげで楽だけどね。まぁ…最前線って言える程ではないけど
ソロする事もあったし」
「そうか。それでもお前達も攻略組だから攻略会議で顔を合わせる事もあるしな…無事ならそれで」
「…キリトもアスナさんとかとPT組めばいいのに」
「…考えておくよ」
「ん」
そんな話をしているとユウキとリズベットが戻ってきて―――――
「できたよーっ!」
「お、できたか。骸骨ドロップだったからどんな武器が…見た目は普通だな?」
「名前は?」
「プログレッシブノヴァだって。数値的にはキリトのエリュシデータと同じぐらいらしいよ」
「そうか…よかったな、ユウキ」
「うん!ありがとね、Xiao!キリト!」
「ユウキの武器ももう1回強化が残ってたけど、Xiaoと同じ闇はらむ水晶がいるらしいから
この先はお預けね」
「そっか…で、いくら?」
「あの秘石で十分よ。それと今後もウチをご贔屓に」
「はーい」
「なぁ、Xiao」
「ん?」
「お前、槍スキル以外何を取ってるんだ?スキル詮索がマナー違反ってのは知ってるけど…
槍使いってほとんどいないからさ」
「別に聞かれたら答えるしいいけど…メインは槍スキルだけど、他だと…疾走スキルと
投擲スキルとハイディングスキルかな」
「投擲…槍を投げるのか?」
「槍スキルの中に投擲スキルが必要な奴があってね。まぁあとは夜間行動が多かったから
ハイディングスキルってところかな。ああ、バトルヒーリングは勿論あるけど」
「そうか…悪いな」
「別に?普段使わない武器使ってる知り合いが居たら気になるのは理解できるし、
まだ他人じゃないだけマシだよ…ちょっと見慣れないスキルとか使うとすぐ広がっちゃうしね」
「おかげで前使ってた寝床に居られなくなったもんねー…」
「どうして?スキルぐらいなら答えれるなら…じゃないの?」
「…それがユニークスキルっていうやつに分類されるからね。ユウキは"絶剣"、ボクは
"魔槍"ってユニークスキルが出たから」
「付け加えるならボクのは11連撃、Xiaoのは一撃だけど、かなりダメージが重いんだよね」
「一撃で…かなりの威力なんだな」
「まぁ、必中とかデバフ付与がついてるから発動条件はあるけどね」
「そうか…」
「それじゃ、ボクらは夜に備えて宿で休むよ。Xiao、ホームまで戻る?」
「そだね。新しい場所は嗅ぎつけられてないし。それじゃリズさん、ありがと」
「ありがとうございましたー!」
2人はリズベット武具店を後にし、活動拠点の階層へと戻っていった。
「…あの2人、恋人?」
「さぁ?そういう噂とか聞いたことないけど…あ、メンテ頼む」
「はいはい。まぁ順調に顧客が増えて行ってるから商売がいい感じだわ」
この日、リズベット武具店はさらに2人攻略組の顧客を手に入れ、商売が潤う事となる。