Sword Art Online   作:刃狗

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06.休息と運命(さだめ)

とある階層にて…1人の少女が身の丈倍以上の鎌を振り回して狩をしている

 

その後ろには、道に咲いている植物や樹木以外…モンスターと呼べるものは1体たりとも出現することはなかった…

 

「まだ…足りない…」

 

そう呟いて息を整える少女の名はFate…人の前ではまず戦闘をしないが、偶然目撃したプレイヤーからの情報から

"撃破エフェクトが紅く散り、目のピンクが拍車をかけるように光る"との事から「桜鎌」という2つ名がついていた

 

「もう、いないのね…帰るとしましょう…」

 

自分の家のある61層・セルムブルグへと疲れ切った体を向ける…

 

自宅に入り、ベッドに身を投げ出したとたん、腕が消える

 

「やっぱりゲーム世界とはいえ、1年も腕つけっぱなしじゃ寝られないですし…ずっと外してきましたしね…おやすみなさい…」

 

翌朝、ドアノックがされる

 

「んゅ…どちら様ですか…?」

 

「あぁ、Fateさん?アスナです、覚えていらっしゃいますでしょうか?」

 

「アスナ、アスナ…あぁ、1層の時の赤頭巾ちゃんでしたか、鍵はかけてないのでどうぞ入ってくださいな」

 

義腕をONにするとほぼ同時に玄関のドアが開き、居間へと行くアスナと対面する

 

「あ、お邪魔します…私と同じ階層に居宅があった上に…こんな広い場所にお住まいなんですね…参考までに…どれくらい…?」

 

「素材からチョイスをしたので内外全部合わせて10億コルくらいでしょうか?とはいえ、ここに越してきたのは1週間くらい前ですけれどね…それで、何かありましたか?血盟騎士団の副団長ともあろう方がこんな朝早くからソロの私に用などと…」

 

「じ、じゅうおく…!? あ、ううん…用ってほどでもないんだけれど…そろそろ攻略始まりそうだし、生存確認ってところです」

 

「なるほど…そういえば、アスナさんはお料理のスキルどのくらいまで?」

 

「昨日コンプリートしたばっかりよ?」

 

「凄い…ぜひ教えてくれませんか?実は私最低限しかできなくて。」

 

「丁度今日は休みだし…喜んで」

 

朝から晩まで…少し低めの階層に狩に行ったり、あとは自宅に戻ってその食材の料理をしたり…そして夕方になる

 

「Fateさんってホント大きい鎌使うよね…それ身長の倍以上あるでしょ?」

 

「そうですね…どうも他の武器はしっくり来なくって…さて、食材も揃いましたし…帰りましょっか?」

 

「結構な量取れたわね…折角だし、キリトさんにシャオ君、ユウキさんも呼んでパーティしましょっか」

 

「1層攻略時のメンバーですか…良いですね、そうと決まれば連絡しつつ戻りましょうか…それに、私の家は見てのとおり広いので宿泊機能もありますし…個人の趣味ですけど、露天風呂も完備してますからね」

 

「そんなものまで作ればそれは10億飛ぶわね…」

 

そうこうして5人で食事をし…日も落ちる

 

「さて…お風呂は用意できたのでみなさん順にどうぞ」

 

「んじゃ一番風呂は貰うかな…」

 

「あ、キリト、ボクも行くよー」

 

キリトとシャオがそのままささっと入りに行く

 

「彼ら、疲れてたんでしょうね…まぁ、あとの方がゆっくり入れますから、いいとして…」

 

そういうとアスナの前にコーヒーを出し、ユウキの前にジュースを出す

 

「で、2人とも…その後はいかがですか?」

 

「シャオ凄いんだよー?大き目の槍をブンブン振り回すし…」

 

「キリト君は…キリト君もだけど、ユウキもよくあれで戦えるなぁって」

 

「っていうと?」

 

「2人とも、片手剣のメリットってわかるよね?」

 

「んー…」

 

「左手用の盾の装備、でしょうね」

 

「うん、でも2人とも装備してない…私はレイピアだから速度落したくなくて装備してないし、

Fateさんは武装が大きすぎるから両手で扱うだろうからつけてないんだろうけど」

 

「ボクはアスナと同じ理由かな?…動き遅くなるから、装備してない」

 

「よけるタイプですね…そう考えるとキリトさんが余計に謎なんですけれど…まぁ、詮索は無粋でしょう」

 

「いやはや、すっごいな…風呂…人がいないところだから静かで開放的だわ…」

 

「ふふ、気に入っていただけたのであれば何より…あら、シャオ君も上がったの?」

 

「流石に長風呂は慣れてないよー…」

 

「そうだったのね…とりあえずアスナさんとユウキさんもどうぞ、行ってらしてください?」

 

「(悠姫…じゃない、Fate、腕外すんでしょ?大丈夫?)」

 

「(ユウキさん…ありがとう、大丈夫ですよ)」

 

「(時間差で来てよ、ボク背中流すから)それじゃ行ってくるねー」

 

「(わざわざすいません…)はいな、ごゆっくり~」

 

「とりあえず2人にはお水…でしょうか?」

 

「ん、あぁ…済まないな…」

 

「ありがとー」

 

「お風呂の後は水分補給大事ですからね…ところで…2人とも進展はありましたか?」

 

「(ごくごく)進展?」

 

「あの2人は遠目から見ても可愛いとわかる子ですよ…?誰かに取られないうちにアタックしてもいいんじゃないでしょうか?」

 

「ブーッ!」

 

「キリトさん、何吹いてるんですか」

 

「い、いや、だって…」

 

「んもぅ…女性に免疫ないんですねぇ…シャオ君は?ユウキさんとずーっと組んでるわけですし」

 

「そうなんだけどー…ほら、中性的すぎてさ?向こうがそういう意識無いみたいなの」

 

「あぁ…なるほどねぇ…こればっかりは仕方ないかぁなぁ…っと、良い時間ですし、お風呂行ってきますね」

 

服を消し、さっと湯を浴びて入り、その際に義腕を消す…湯煙が隠しているために「腕」は見えていない為…2人が入ってるとこに近づく

 

「2人とも、気にって頂けましたか?」

 

「あ、Fateさん」

 

「ところで…2人とも男性陣についてはどう思います?」

 

「どうって…」

 

「ユウキさん、シャオ君がね…中性的な顔立ちだから男だとみてもらえてないって少し凹んでたわよ…」

 

「うげ、マジ?」

 

「えぇ、マジです…意識してみるといいかもね?…で、アスナさんはどうなの?」

 

「えぇ!?私ですか?」

 

「えぇ、ほらキリト君と最近仲良さそうですし…?」

 

「そ、そんなことないわよ…そ、それにしても…凄いですよね…SAOのリソースって…こんな湯煙まで精密に再現していくし、風だって…!?」

 

露骨な話題展開に一陣の風が吹き…湯煙が飛ぶ

 

「どうしました?アスナさん」

 

「Fateさん…腕…!」

 

「…ばれちゃいましたか」

 

「もー!Fate油断しすぎ―!」

 

「ごめんなさいね…アスナさん?どうかしましたか?」

 

「ユウキは…知ってたの…?」

 

「一応、リアルでも知り合いだしねぇ…」

 

「まぁ、共に医療器具の試験運用役だったんですよね…で、私はカヤバさんが作ってくれた義腕のテストに…ユウキはちょっとした治療で…ですね」

 

「腕のない生活…私には考えられない…そんな生活をしろなんて言われたら間違いなくつらいだろうって思う…」

 

「……」

 

「でも…なんでFateさんは笑って生活ができるんだろうなって…今、考えちゃって…さらに、そんな自分の腕じゃないのにあんな大鎌をいとも簡単に…」

 

そこまで言うと自分の口を押えて静かに涙を流すアスナ

 

「人はそれぞれの星の下で生まれると言われます」

 

「………」

 

「私は、ただ、"そういう"星の下に生まれた、というだけなのでしょう」

 

「でも…」

 

「世界にはいろんな人がいます…生まれてすぐに両親が死んで、親戚に引き取られた者、血液製剤から病に引っ掛かってしまった者…このSAOから強制ログアウトさせようとして脳がやられて死んでしまった者…彼らもすべて"そういう"星の下に生まれた…運命としか言いようがない…考えたくはないですが、アスナさん…今の瞬間に貴女のご家族がお亡くなりになっている可能性もある…でも、それって私達にはどうしようもないでしょう…?」

 

「…それは…」

 

「人生とは残酷です…最初から与えられたもので勝負するしかないのですから。」

 

「私も生まれてから10年以上、手がない生活をしてます…それが私には普通なのです」

 

「……そんなのであきらめるなんて…悲しすぎる…」

 

「受け入れはするけれど…あきらめたわけじゃない、とだけ言っておきますね…で、なければ試作義腕の提供とモニターなんて受け入れるわけがないですから…」

 

「そう…そうよね…」

 

「さて…ご覧のとおり手がないので…背中、流してもらってもいいですか?」

 

「あ、うん、やらせて!」

 

「あ、アスナずるーい!ボクもやるんだーっ」

 

「あはは…まぁ、そこは仲良く決めて…ね?」

 

そこからは楽しい女子会になっていたという…そして全員が寝静まった夜…

 

トントン

 

「ユウキさん、アスナさん」

 

「んぅ…Fate?」

 

「どうしたの…もう真夜中よ?」

 

「だからこそ、見せたいものがあります…ついてきてください」

 

そういって連れてきたのは73層郊外

 

「こんなとこに何があるの…?」

 

「アスナさん、お昼に言ってましたよね…層ごとの敵が消えるって…」

 

そのままPOPしたモンスターに深紅の鎌「テンペスト・Ⅰ(アイン)」を一閃、紅い塵と消える

 

「な…!?」

 

「私ですよ、その犯人は…鎌を扱いに早くなれないとって片っ端から狩りしてたんですよ…で、その結果…1つ上の段階に踏み込んだみたいでして…それに慣れるために狩ってると

気が付くと1層丸ごと敵がいなくなってる…というわけなんですよ…で、今日はこの73層でやろうかなと思ったわけです」

 

「Fateさん…今レベルいくつなの…?」

 

「多分トップじゃないでしょうか?ランキング、見れるはずですよ」

 

その声にユウキが確認する

 

「うっそ!?トップ集団よりも25も上なんだケド!?」

 

「それくらいしても鎌を扱えてる気がしないんですよね…」

 

「うちの団長よりも高いなんて…それだけの力があるならギルドはいればいいのに…テスターがなじまないのは知ってるけれど…」

 

「私の場合は…それもありますし…何より、腕がない…そのハンデを抱えてなおレベルが高いとなると疑い持たれるので、ソロでいいのですよ…さ、私は終わり次第戻りますが、2人はどうされますか?」

 

「ボクは折角だから見ていくよ?」

 

「私もいい…?範囲型の狩って見たことないから…」

 

「分かったわ…なら、本気で行きましょうか…」

 

そういうと左手から鎌がもう1本出てくる

 

「え!?そんな大きさの鎌を2本も使うの!?」

 

「内緒ですよ?普段は1本で運用してますからね…!」

 

モンスターの群れに突撃、すべて一閃で紅い塵に変えていく

 

「確かに"桜鎌"…噂通りの動き…」

 

「え?Fateってそんな二つ名で呼ばれてたんだ…」

 

そして日が昇るころ…

 

「あら…やっと5上がったみたい…今回はここで切り上げましょうか…」

 

「というかこれ多分階層全体で敵がいなくなってるよ…」

 

「ま、そんなこともありましょう…今日はゆっくり休んで…ね?」

 

そうやって3人でFateの家ならぬ屋敷へと戻り、夜が明ける

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