武器を変えてから四ヶ月後の74層迷宮区にて―――――
「せぁっ!」
「ふっ」
パリィィンッ
「ふぅ…この辺も粗方片付いたかな?」
「そだね。ユウキは大丈夫?」
「うん。まだまだいけるよー!」
「そっか。でもインベントリが一杯だから一旦戻ろう」
「はーい。それにしても…70層超えたあたりから結構大変になってきたね」
「だね…階層+10の安全圏でも油断すると一瞬だし…」
迷宮区で狩りをしていたXiaoとユウキ。
ドロップアイテムでインベントリが一杯になったため、街へ戻ることに。
そしてその帰り道で―――――
「それにしても、やっぱ晴れてるとあったかいねー」
「だねー」
ガサッ
「ッ」
「静かに…あ、ユウキ…あそこ」
「ん?アレって…もしかして」
「うん、ラグー・ラビットだね。逃げ足がかなりって聞くけど、会うことすら難しいって
話だから…やる?」
「やってみよう」
茂みの先にラグー・ラビットと呼ばれるSランク食材をドロップするというエネミーが
いた為、Xiaoが投擲スキルを使い―――――
「っ」
「やった?」
「うん。それと、ラグー・ラビットの肉ゲット」
「おー!」
「でもボクは料理スキルないから売却かな?」
「ふっふっふー」
「どうしたの?」
「ボク、料理スキル取ってるよ!この前アスナと一緒に行動したときにコンプリートしたんだー!」
「おぉぅ…ならコレ以外は売却して、ユウキに料理してもらおうかな?」
「なら、ボクとXiaoで半分こだね♪」
「ボクはごちそうになる側だし、任せるよ。とりあえず、エギルさんの店にいこっか」
「おー!」
見事Sランク食材を手に入れたXiaoとユウキは50層・アルゲートにあるエギルの店を訪れた。
カランカランッ
「いらっしゃい。ってXiaoとユウキか」
「こんにちはー!」
「今日の売却しに来たよ」
「そうか。ん?ユウキ、どうかしたか?やけに機嫌がいいじゃねぇか」
「えへへー、74層の迷宮区からの帰り道にXiaoがラグー・ラビットのお肉ゲットしてさー」
「何ぃ!?マジか!?」
「うん。で、ユウキが料理スキルあるからごちそうになろうかなーって」
「まぁその前に買い取りお願いしまーす」
カランカランッ
「お、Xiaoとユウキ。お前達も買い取りか?」
「あ、キリト。そだよー」
「キリトは少し待ってくれよ。今2人の分やってるからよ」
「ああ」
エギルとやり取りをし、買い取りを終えた2人。
その後キリトの買い取りをしていると―――――
「お、お前…コレ、ラグー・ラビットの肉じゃねぇか。金には困ってねぇんだろ?」
「まぁな。けど、俺の料理スキルじゃ焦げ付くだけだからな」
「あ、キリト君。それにXiao君とユウキも」
「アスナー!」
「ふふ、今日は一段と楽しそうだね?」
「Xiaoがラグー・ラビットのお肉手に入れたから!」
「えぇ!?本当なの?」
「うん。アスナさんも料理スキルあるんだっけ?」
「うん。ユウキと一緒にコンプリートしたわ…それでXiao君」
「キリトも持ってるし、ここは2人に預けて料理してもらわない?キリト」
「…そうだな、それがいいか。って事で1口わけt―――――」
「は ん ぶ ん !」
「…はい」
「やったー♪コレは腕によりをかけて作らなきゃだね、ユウキ」
「うんっ♪」
「ってわけでエギル、悪いけど取引中止だ」
「キリト、Xiao…俺達ダチだよな?」
「感想、800文字以内で書いてきてやるよ」
「さーて、移動しよっか」
「そりゃねぇだろ…」
肩を落とすエギルを放って店を後にする4人。
しかし―――――
「アスナ様、何処の誰とも知らない連中をご自宅に招かれるのですか?」
「大丈夫よ、彼らは知り合いだから…今日はここまでで結構です」
「ですがっ」
「結構です!素性はともかく、3人とも貴方よりは強いんですから」
「私より…まさか、ビーターの」
ギリッ
「Xiao、ダメだよ」
「クラディール、副団長として命じます。今日はここまでで結構です」
そう言い残し、アスナはキリトの服を引いてその場から去っていき、
ユウキもまたXiaoの手を引いてその場を後にする。
そして一同は61層・セルムブルグにあるアスナの自宅へと向かうことに。
「へぇ…広いんだな」
「セルムブルグって結構高いって聞いたことあるけど…」
「部屋と内装でざっと400万コルぐらいかな?着替えてくるから座ってて?ユウキもこっちにおいで」
そういってアスナとユウキは奥の部屋へと入り、Xiao達は座って待つことに。
「4Mコルかー…俺もそれぐらい稼いでるつもりなんだけどなぁ」
「そんなにお金ないの?」
「Xiaoはどうなんだ?」
「ボクは家はないけどお金はそれなりに。一応ここぐらいなら…ってところかな」
「へぇ………」
「キリト君、いつまでそんな恰好してるのよ」
「え?あ、ああ…」
「キリト、アスナさんをじーっと見て…変態」
「ち、違う!」
「どうだか…」
「そ、そういうXiaoはどうなんだよ」
「家の中だし軽装になるのは普通だし…ユウキは普段見慣れてるから」
「あはは、そうだねー」
「2人は結構節約してるんだもんね」
「うん。宿は2部屋だけどねー。家あった方がいいのかな?」
「んー…家あると他の人に気を使わなくていいっていうのはあるかな?まぁそれなりに高い
物件とかもあるけどね」
「そっかー」
「ユウキはどういうところがいいの?」
「んー…Xiaoとそういう話をしたことあるけど、ボクらが家持つなら湖畔があるところとか
いいねーって」
「湖畔…下層じゃない?」
「22層辺りがそのあたりになるかなー。けど、この階層も海見えるしこの階層もいいなーって」
「それは思った」
「けど、この階層にFateさんも家あったよね」
「だね。かなりデカかったよね」
「アレはねー…かかってる額が額だし。それじゃ料理始めよう。何がいい?」
「シェフにお任せで」
「同じく」
「それじゃー…やっぱラグー…煮るっていうぐらいだしシチューとあとは付け合わせのサラダとか
かな」
「まぁ量あるし、煮るだけじゃなくて焼くのもいいかも」
「そうだね。香草類でやるといいかも」
「よーし、それじゃやるぞー!」
「おー」
そうしてアスナとユウキによる料理が開始され…
「「おー」」
「け、結構な量になっちゃったね…」
「ま、まぁ…男の子2人いるし…なんとかなるよ…多分」
そうしてSランク食材を使った夕食が始まり―――――
「はぁ…満足」
「ボクもー」
4人全員が満足し、一息ついていた。
「それにしても…長いことやってるけどSランク食材の料理食べれるなんて…
今まで生きててよかったぁ…」
「…アスナさん、1層でおいしいものを食べる為じゃないって…」
「そ、そんなこと言ったっけ…?」
「…気のせい」
「そ、そっかー」
「ん」
その後はのんびりと過ごし、キリト、アスナ、ユウキ、XiaoでPTを組むことになり、
翌日、迷宮区へ向かうことになったのだが―――――
翌日―――――転移門にて
「ふぁぁ…遅い」
「まぁ女の人は準備もかかるし、仕方ないよ」
「Xiaoも眠そうだな」
「少しね…けど、そのうち目も覚めるでしょ…それにしても、血盟騎士団、か」
「どうした?」
「いや…一回でいいからあのヒースクリフっていう人と決闘してみたいなーって。
あの人イエロー以下になったことないって噂だし」
「まじか…アレを使っても?」
「そういう意味でもやってみたいんだよね…」
「なるほどな…それにしても、本当に遅いな?ユウキも一緒だから何かあれば連絡ぐらい
あると思うけど」
「今の所ないよ。まぁ、約束の時間は過ぎてるけど来るって」
転移門で待ち合わせしていたのだが、約束の時間になってもアスナとユウキが現れず、
キリトとXiaoの2人は転移門広場で待ちぼうけていた。
そんな時―――――
「よ、避けてぇぇえええっ」
「へ?」
「……。」
転移門からプレイヤーが現れ、キリトは咄嗟のことに現れたプレイヤーに押し倒された。
「大丈夫?キリト」
「お前なぁ…ん?」
「ッ~~~~///」
ドォォォォンッ
「ごめんねー、遅くなって…ってどうしたの?」
「アスナさんがキリトを押し倒して、殴り飛ばした…というか遅かったね?」
「あー…うん、ちょっとね」
「そ、そうだ。匿って!」
ユウキの言葉に疑問を感じるXiao。
しかしその意味はすぐに理解できた…転移門から前に見た男が現れたからである。
「アスナ様、困ります。勝手なことをされては…ギルド本部まで戻りましょう」
「嫌よ!…そ、それにどうして朝から家の前で張り込んでるのよ!?」
「ぇー…ないわぁ」
「こんなこともあろうかと、1ヶ月前からずっとセルムブルグでアスナ様の監視の任務に
ついていました」
「そ、それ…団長の指示じゃないわよね!?」
完全に怖がっているアスナはキリトの後ろに隠れながらも声をあげる。
「私の任務はアスナ様の護衛です。その為には当然ご自宅の監視も…」
「含まれないわよ、バカぁ!」
「ただのストーカーじゃん…きもちわるぅ…とりあえず、副団長様は今日借りるから
ストーカーはさっさとしっぽ巻いて帰れ」
「貴様…貴様如きにアスナ様の護衛が務まるものか!この私は栄光あr―――――」
「雑魚ほどよく吠える…キャンキャン耳障りな…それにアンタよりボクらの方が十分強い」
「キサマァ…そこまでデカイ口をたたくからにはそれを証明することができるんだろうな?!」
ストーカー…クラディールからXiaoへ決闘申請が届き―――――
「…いいの?」
「…団長には私から報告しておくわ」
「そっか…なら遠慮なく。ユウキも下がっててね…」
「やりすぎはダメだよ?Xiao若干スイッチ入ってるし」
「善処するよ…とりあえず、初撃決着でいいよね?」
「無論…御覧くださいアスナ様!私以外に貴方様の護衛が務まらない事を証明してみせましょう!」
「ホント…煩いなぁ」
クラディールは剣を、Xiaoは槍を構え、開始を待つ。
「おい、アレって…」
「ああ、【銀閃姫】だぞ…それが血盟騎士団のメンバーと決闘か…これは見ものだな」
人の多い転移門広場で騒いでいたら嫌でも注目を集めてしまう。
「Xiao君…」
「大丈夫だよ?アスナ…Xiaoは負けない」
「ユウキ…」
「だって、長いこと一緒に行動してきたからね…多分、キリトとならいい勝負できると思うよ」
そういいながらXiaoから視線を外さないユウキ。
そしてカウントは進み―――――
3…2…1…スタート
開始の合図とともにソードスキルを発動し、突っ込むクラディール。
それに対し、Xiaoはソードスキルを発動させ、槍を突き出した。
キィィィィンッ…パリンッ
「なっ…」
「遅いし弱いね」
Xiaoは5連撃ソードスキル、ダンシングスピアを使い、クラディールの剣が届く前にへし折り、
さらにクラディールの腕と足にも一撃入れていた。
「…すごい」
「5連撃スキル使わなくてもよかったのに…まぁ、槍が見えてなかった時点で実力はしれてるね」
「ユウキは見えてたの?」
「まぁね。Xiaoのあの技は結構見慣れてるから。キリトもアスナも見えてたでしょ?」
「見えてはいたけど、防げないと思うぞ…アレは」
キリトとアスナが驚愕している中―――――
「で…まだ続ける?今のが見えてない時点で勝てないって理解したでしょ?
理解していなくてもいいからさっさとしっぽ巻いて帰れ…ここは圏内だから、続けるっていうなら
…恐怖を植え付けようか?」
Xiaoは槍を担ぎながら笑った。
「…クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。現時刻をもって護衛役を解任。
別名あるまでギルド本部にて待機…Xiao君、ごめんね」
「別にいいよ?ボクがこういう奴が嫌いってだけだから」
クラディールはそのままグランザムへと転移し、姿を消した。
「ふぅ…」
「っと、大丈夫?アスナ」
「う、うん…ありがと。ユウキ…それと、ごめんね、Xiao君。嫌なことさせて」
「別に?ボクが言い出したことだしアスナさんの責任じゃないから気にしないで?
(あの人…少し警戒しておいた方がいいかな?)」
「今のギルドの息苦しさはゲーム攻略だけを最優先にして規律を押し付けた私が原因だと思うし」
「それは…仕方ないっていうか…アスナみたいな人、いなかったら攻略、遅れてたんじゃないかな?」
キリトの言葉にハッとなり振り返るアスナ。
「ソロでやってる俺が言えた事じゃないけど…さ…だから、アスナも俺達みたいな
いい加減な奴とパーティ組んで息抜き位したって、誰にも文句言われる筋合いない…と思う」
「まぁ、ありがとう、と言っておくわ…それじゃお言葉に甘えて今日は楽させてもらうわね…
フォワードよろしく♪」
「ちょ、ちょっと待てよ…フォワードは交代だろ!?4人もいるんだし!」
「キリト、がんば」
「キリト、よろしくねー!」
「そりゃないだろ!?」
転移門広場にキリトの悲鳴が木霊した。
そんなやり取りをしつつ、一同は迷宮区へと向かい―――――
「はぁ…キリト程の人がやってくれるって楽だねぇ」
「そうだねー。普段はペアだし、こういうのも楽しいねー」
「お前らっ…ちょっとは手伝えよ!?」
「「ガンバリマース」」
「くすくす…頑張ってキリト君♪」
4人PTにも関わらず完全にソロ状態のキリト。
文句を言いながらもキリトは戦闘を行いつつ、Xiao達は迷宮区のマッピングを進める。
そして―――――
「…アスナ、アレ」
いつの間にか最奥へとたどり着き、4人の前には青黒く、禍々しい扉が現れた。
「ボス部屋…意外と早かったね」
「キリトが頑張ったもんねー」
「どうする?」
「"5人"では無理ですよ」
「Fateさん…いつの間に」
「こんにちは、Xiao君、ユウキさん、アスナさん、キリト君」
「まぁこれだけ攻略組が居ればボスの姿ぐらいは確認できそうだし…結晶を出して覗いてみる?」
「そうだな…じゃ、開けるぞ…」
キリトが先頭に立ち、ボス部屋の扉を開けた。
中は暗く、ボスの姿が見えずにいたが―――――暫くして青い炎が灯され、ボスの姿が
明らかになった。
「…コレは」
蒼いヤギの頭を持ち、コブラに近い尻尾を付け、巨大な剣を持ったボス―――――
HPバーは4段あり、【The Gleam Eyes】と書かれているボスが吠えた。
その瞬間、アスナはキリトを、ユウキはXiaoの服を掴みその場から悲鳴をあげ走り出した。
そしてFateも他に現時点で集めれる情報はないかと見まわした後、ボス部屋を後にした。
「(ボス部屋に1人残されるとは…私も思わず悲鳴を上げそうになったというのに…)」
一同は迷宮区の入り口付近まで戻ってきた後、少し遅れてやってきたFateに怒られたのは
言うまでもないことである。