緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

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 オリキャラが敵として出ます。


女子会と二次会

―キンジ視点―

 

 

 俺の嫌な予感は、何故か当たるもので、姉さんの『女子会』発言から、数日後にカナから、連絡があった。

「キンジ、今日、姉さんが奢ってくれるから、食事会をするわ。店と待ち合わせ場所を送るから、来なさい。勿論、クロメーテルでね。」

「嫌だ、絶対に嫌だ‼」

「そう、残念だわ、キンジとも今日でお別れになるのね。」

「カナさん、どういうことでしょうか?」

「姉さんが、そちらに行くことになるわ。これが、キンジとの最後の会話になるのね。寂しくなるわ。」

「行きます‼女装でも何でもするから、それだけはご勘弁を。」

 最悪の札を切られたら、折れるしかない。

「あら、よかったわ。キンコも来るから、遠山6姉妹全員集合ね。」

 うふふと笑うカナ。6人中3人男ですけどね。まあ、この間の5人中3人よりもまし…なのだろうか。というより、GⅢの奴、こっちに来てたのか。

「じゃあ、キンジ、後でね。」

 そう言って、電話が切れる。その後すぐに、カナから、メールが送られてくる。都内の高級和牛専門店と、最寄り駅が記載されている。和牛と、俺の命の為、仕方ないんだ。そう、自分に言い聞かせ、クロメーテル変装セットのダンボールを開く。

 

 クロメーテルとなり、待ち合わせ場所に着く。既にかなめとかなで、そして、全ての元凶たる姉さんが、立っている。

「あっ、かなこお姉ちゃん、クロメーテルお姉ちゃん来たよ。」

 かなめが、俺を見つけて、姉さんに教えながら、俺に手を振る。俺は、ため息をつき、3人に歩み寄る。

「カナさんとキンコさんは、まだですか?早く店に入りたいのですが。」

 これ以上衆目に晒されたくない俺が、そう言うと、

「もうすぐ着くってよ、クロメーテルお姉ちゃん。」

 2人を待つ間、俺たち4人が、行きかう人々の注目を集める。傍からみりゃ、美女・美少女4人組で年齢もバラバラだし、何かの撮影でもするのか、とでも思われているのかもしれない。

「ごめんなさい。待たせたわね。」

「おーう。」

 そこに、美女2人組(女装)が合流する。ますます注目を集める中、移動を開始すると、それまで無言だった姉さんが、口を開いた。

「しかし、カナは知っていたが、クロメーテルにキンコ…。お前たちまでとはな。遠山家の男らしさは何処へ行ったのやら。」

 姉さんが、女装3人衆を見て嘆く。俺だって好きでやってる訳じゃない。男らしさは…、全部姉さんに行ったんじゃないですかね。

 

 

 ほぼ貸切状態の店に入り、6人で席に着く。

「それで、なんでこんなことになってるんですか、姉さん?」

「『女子会』をしようと思った。」

 男女比が3:3のこの会を、『女子会』と呼ぶ気なのだろうか、この姉は。

「それで、パトラに相談に行ったら、ややこしくなった。私もよく分からん。」

 この姉は、大丈夫なのだろうか、主に頭が。自分で企画しておいて、分からないって。

「キンジ、その話は、食事の後にしましょう。折角、姉さんが奢ってくれるんだから、楽しく、美味しく頂きましょう。」

 カナが、話題を切り上げる。それと同時に、姉さんに酒、俺たちには、水が運ばれてくる。それで、乾杯し、前菜が運ばれてくる。

「それで、キンコさんは、いつこちらに来たんですか。」

「一昨日だ。急用があってな。」

「急用?」

「まあ、仕事の話は、後にしようぜ。折角かなこが、奢ってくれんだからよ。それよりも、姉貴こそ、勉強は大丈夫なのか?」

 さっきから、話がことごとく食後に持っていかれるな。姉さんを『姉貴』から『かなこ』に変更されたのは、クロメーテルを姉貴と呼ぶからか。

 結局、たわいのない会話をしながら、運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。姉さんは、店員が心配するくらいには、酒を飲んでいるが、ケロッとしている。

 

 

 コースの最後、デザートが運ばれたところで、カナが話を切り出す。

「キンジ、食後に話すっていってたわね。今回、姉さんが、事の発端ではあるのだけど、色々とややこしいことになってしまったのよ。」

「どういうことですか。」

 話がさっぱり見えない、俺は、首をかしげる。

「順を追って話すわ。まず、姉さんが『女子会』をすると言って、パトラを誘いに、家に来たの。で、私とパトラが巻き込まれた訳ね。」

 まあ、姉さんは友達いなさそうだし、身内を誘うのは、なんとなく想像できる。

「それで、それじゃあ後日改めてって、追い返したわけなんだけど、それからややこしくなってね。」

 カナがそう言って、キンコさんを見る。

「面倒な奴に目ぇつけられてな、アメリカから、戦略的撤退して、来たんだよ。」

 キンコさんが、苦虫を嚙み潰したように言う。負けたって言いたくないんだな。

「その、面倒な奴っていうのは?」

「フレディ、フレディ・ジェイソン。」

 ぼそりと、キンコさんが名前を口にする。

「誰です?」

「元SDAランク、総合で13位のヤローだ。」

 バケモンじゃねぇか。

「何をやらかしたんです。」

「何もしてねぇ、勧誘を断っただけだ。」

 どういうことだ。首をかしげる俺を見て、カナが、

「フレディは、SDAランク、総合13位になる実力者だったけど、その裏で、任務以外での、大量の殺人が発覚したの。すぐに、各国の武偵や、警察が逮捕すべく動いたけど、逃げられたの。」

「んで、追手を殺しながら、仲間を集めてんだよ。恐怖で支配する世界を作るとかほざいてな。」

 吐き捨てる様に、キンコさんが言うので、俺が疑問を口にする。

「その仲間候補として目をつけられたと?仲間になるわけないのに?」

「フレディは、自身よりも弱く、それでいて優秀な相手を勧誘をするの、断られても、消せるようにね。でも、キンコは上手く逃げることができたのよ。」

「それで、日本に来たんだよ。流石に、あいつ相手に、俺ひとりじゃ、分が悪い。」

「一昨日、家に来たから、匿いながら、作戦を立てたのよ。それがこの会。」

 この『女子会』が作戦?

「日本に逃げ込んでるのは、バレてるし、フレディは、必ず殺しにくるわ。現に昨日、この近辺で目撃されてる。更に、遠山家の兄弟も顔が割れてるみたいね。だから、この格好になってもらってるのよ。」

「遠山家を狙って来るってこと?」

 かなめがカナに尋ねる。

「ええ、恐らく。ついでに勧誘をして、誰かひとりでも、仲間なったらそれでよし、ならなかったら殺すって感じでしょうね。」

 無茶苦茶な奴だな。それだけの実力と、自信があるってことだろけど。

「カナさん、それで、勝機は?」

 俺が質問する。防衛にせよ、奇襲にせよ、俺ひとりでは勝てそうにない。

「普通にやり合えば、私と妹たち全員で奇襲しても、良くて相打ち、まあ、全滅は必至でしょうね。」

 SDAランク、総合13位。父さんよりも弱いが、それに、近い実力者。そうなるだろうな。

「でも、私たち、遠山家に喧嘩を売ったのが、奴の運の尽きね。」

 ふふ、とカナが笑い、姉さんを見る。

「あいつ、かなこのことを知らねえ。俺たちを5人兄弟と言いやがった。つまり、あいつは何も知らずに、のこのこと俺たちを追いかける。」

「後は誘導して…、ね。」

 カナとキンコが、安心感を持って言う。成程、確かに、父さんよりも弱い奴が、姉さんに勝てるわけがない。でも、

「姉さんが、暴れても大丈夫何ですか?」

 姉さんのことは、特秘だ。普通に暴れたら大問題になる。

「ええ、そこは大丈夫よ。根回しも済んでるわ。」

 

 

「準備が終わったようね。」

 カナが立ち上がると、貸切状態だった店内に、数人の男たちがいる。あの感じ、

「武装検事…」

「そうよ、フレディが日本で発見されて、まだ被害は出てないけど、野放しにしていたら、間違いなく被害が出るわ。」 

 カナに続き、キンコが、

「ついで、フレディは、世界中で超一級のお尋ね者だ。身柄を抑えて、希望する国に引き渡して、手柄を譲ってやりゃ、その国の武偵や、政府にデッケェ恩が売れるって訳だ。」

「でも、武装検事も、公安も、慢性的な人材不足だし、負傷者や殉死者は出したくない。フレディ相手だと、武装検事でも、かなりの被害が出るの。」

「じゃあ、なんでここに武装検事が…」

「バックアップってことですか。」

 俺の疑問にかなでが答える。

「そうよ、遠山家で身柄を抑える。その時の監視兼、警戒ってわけ。姉さんのことが知られない為にね。それじゃあ、始めましょう。」

 カナの言葉の後、ひとりの武装検事が近づいてくる。

「これを。」

 俺とキンコに紙袋を渡す。

「着替えてらっしゃい。」

 カナがトイレを指す。紙袋の中には、俺たちの服が入っていた。

「女子会は終わり、二次会に行きましょう。」

 

 

 着替えを終え、遠山家が集結し、作戦の最終確認を終え、

「姉さん、店を出たら、完全に気配を消して、キンジたちに着いてくれるかしら。」

 カナが姉さんに指示する。

「分かった。」

 カナを先頭に姉さん以外の兄弟が店を出る。カナと妹たちは、タクシーに扮した武装検事の運転する車に乗り込む。

「んじゃ、行くぜ、兄貴。」

「ああ。」

 俺たちが移動を開始し、人混みに入る。俺たちが油断していると見せかけ、見つけてもらうのが、俺たちの任務だ。マバタキ合図でGⅢと会話する。

「掛かったか?」

「ああ、誘導するぞ。」

 しばらく、普通に歩き、予定通りのルートを進み、第一予定地点から、尾行に気付いたふりをして、走り出す。

「兄貴、おかしいぞ。あの野郎、作戦に気づいたみてぇだ。」

「どういうことだ‼」

「尾行の気配が消えた。」

 失敗した!?どうする、作戦の地点はもう目の前だ。

 

「随分と稚拙な作戦だな。思わず先回りしてしまった。」

 作戦地点に、顔に火傷の痕のある男が立っている。

「兄貴、避けろっ‼」

 GⅢが発砲しながら、叫ぶ。ヒステリアモードではない俺は、訳が分からず、横っ飛びをする。男は、右手に持つナイフで、GⅢの弾丸を弾くのが見える。と同時に、俺のいた場所に、ナイフが飛んでくる。そのナイフはそこで止まり、男の左手に戻る。

「今のは、挨拶だ。殺す気もない、GⅢにトウヤマ・キンジ、俺の仲間になれ。力を持ちながら、正義だ、法律だに縛られていくのか?力を持つ者たちが、支配してやるべきだと思わないか?」

 フレディが両手を広げて、俺たちには問いかける。

「己の欲望のままに生きられる世界、俺と作ろうではないか。」

「「お断りだな‼」」

 俺とGⅢが、フレディに向かって発砲する。両手のナイフで、弾丸を切り払い、フレディが笑顔を見せる。

「残念だな。仕方ない、殺すとしよう。」

「残念?そっちが目的だろ。」

 GⅢがフレディにそう言って、発砲する。

「ふふ、その通りだな。だからこそ、お前たちの稚拙な作戦にも乗ってやった。武装検事とやらを、数十人配備している様だが、俺が気づかないとでも思ったのか?確かに、全員と殺り合うのは、骨が折れるが、お前たちを殺し、逃げる程度であれば、造作もないこと。俺のターゲットになった時点で、お前たちは、終わっているんだよ。」

 飛来する弾丸を又しても切り払い、そう告げるフレディ。武装検事数十人を相手に逃げ切れる自信、そして、殺すと宣言してからの殺気、こいつは、父さんクラスの化け物。元SDAランク総合13位は、マジみてぇだな。しかし、

「終わってる?終わってるのは、お前だ。この作戦に乗り、ここに来た時点で、お前の負けなんだよ。」

 俺の言葉に、フレディが、ピクリと眉をひそめる。

「武装検事どもの位置は、全て分かっている。お前たちを殺すのには、数秒あれば十分だ。それでも、勝機があると…。面白い見せてくれ、この俺に、どう抗う。」

 フレディの言葉に、俺とGⅢが思わず吹き出す。そんな俺らを不気味に思ったのか、フレディが、一瞬動揺する。

「どうした、恐怖でおかしくなったか?」

「いいや、『見せてみろって』って、ずっとお前の後ろにいるんだ。いい加減気づけよ。」

 GⅢが、腹イテェ、と笑いながら言う。その言葉の後、フレディの肩を、背後にずっといた姉さんが、ちょんちょんとつつく。

「ば、馬鹿な…、いつからいた…。」

 フレディが、びくりと反応し、振り向きながら、驚愕している。

「お前が、ふたりを追い始めた時から、ずっと後ろにいたが?」

 なに言ってんだこいつ、という感じで姉さんが答える。瞬時に、フレディの顔色が変わる、攻撃姿勢…、いや、違う。

「絶対に逃がすなっ‼」

 GⅢが、叫ぶ。一瞬で彼我の戦力差を見抜き、逃亡の選択肢を選ぶあたりは、流石だな。でも、相手が悪すぎるぜ、フレディ。

 

「ぐっ‼」

 GⅢの叫びと同時に、ゴシャァ、という音と共に、フレディの身体が、宙に浮く。顎が砕けている。逃げる隙も与えず、姉さんのアッパーがもろに入った様だ。そして、姉さんが、宙に浮いたフレディに連撃を叩き込む。オラ、オラ、オラ…、と聞こえてきそうなラッシュが、フレディの骨を砕いていく。

「終わったな。」

 GⅢがそう言って、端末を弄る。武装検事たちに連絡している様だ。見事にボロ雑巾となったフレディが、地面に落ちる。

「死んだのか?」

 俺が姉さんに尋ねる。

「逃げぬ様に、手加減して、骨を粉砕したが、死んではおらん。…多分。」

 姉さんが、こちらにそう言って、ボロ雑巾となったフレディに歩み寄る。

「まあ、そいつは、捕まりゃ、確実に死刑になるんだから、死んじまっても、問題はねぇよ。必要なのはフレディ・ジェイソンの死体なんだからよ。」

 連絡を終えたGⅢが、殺してしまったか、と心配する姉さんに声を掛ける。

「殺すのは、私の信念に反する。どんな悪人であろうと、私に、殺す権利も資格もない。その判断は、然るべき人物に任せる。」

 そう言いながら、ボロ雑巾の脈や呼吸を見る姉さん。どうやら気絶しているが、生きてるみたいだな。ショック死してないし、タフな奴だ。改めて、こいつが、化け物だったと思い知らされる。

 

 

 数分後、武装検事数人と、カナが現れる。かなめたちは、帰したみたいだな、学校もあるだろうし。

「流石姉さんね。もう二次会が終わっちゃったわね。」

 カナが、フレディをチラッと見て、姉さんに言う。

「流石もなにも、お前たちが騒ぐ割には弱かったぞ。加減が難しかった。」

 姉さんの発言が聞こえた、武装検事たちがドン引きしている。まあ、姉さんだからね。

 武装検事たちが、いそいそとフレディの身柄を抑え、搬送の準備を行う中、ひとりの武装検事が近づいてくる。

「お疲れ様です。ご協力、ありがとうございました。」

 物腰柔らかな、若い武装検事が俺たちに、軽く一礼し、そう言う。姉さんと、同じくらいの歳だろうか。

「こちらこそ、突然の出来事に、対応して頂きありがとうございます。」

 カナがペコリと頭を下げる。

「いいえ、こちらにもメリットの大きい話でしたから。労せずして手柄を貰え、挙句、他国にも恩を売れる。何よりも、抑止力も手に入れた訳ですし。」

 若い武装検事が、チラチラと姉さんを見ながら言う。

「それでは、身柄は頂いて行きます。遠山家の皆さんには、後日改めてお伺いさせていただきます。謝礼もありますので、都合の良い日をご連絡ください。」

 カナに、紙切れを渡して、去って行く。謝礼、金欠の俺には、随分と心躍る言葉だな。まあ、あいつの懸賞金に比べたら、子どもの小遣い以下になるんだろうけど。 

 

「それじゃあ、帰りましょうか。それとも、三次会でもする?」

 カナがいたずらっぽく笑い、俺たちに声を掛ける。

「奢りならな。」

「相変わらず、しみったれてんな、兄貴。」

 GⅢが、俺を小突きながら、言う。

「それじゃあ、今度こそ姉さんの奢りで行きましょうか。」

 カナが姉さんの手を取り、促す。

「いいだろう、では行くか。」

 俺たち4人は、夜の街へ向かう。

 

「ところで、姉さん。『女子会』の感想は?」

 姉さんの隣を歩くカナが、尋ねる。

「二次会の方が、楽しかったな。あれなら、普通に家族との食事の方がましだな。」

 そりゃ、ただの家族の食事会だったからな。女装3人いるし。

「そう、三次会も『女子会』にしようかと思って、持って来たけど、いらないみたいね。」

 カナが、俺たち兄弟の女装セットの入った袋を、残念そうに下ろす。

 俺たち兄弟は、普段の姿で、夜の街を、姉さんとカナの後ろを着いて歩く。途中、姉さんとカナがナンパされたりしながら、手頃な店に入る。大捕り物の後、なんやかんや興奮状態にあった、俺たちアホ兄弟は酒が入り、謎のハイテンションに。結局、何軒か梯子することになり、4姉弟は朝まで、遊び尽くした。

 

 

 

 

 

 俺は、翌日、二日酔いと、まったく、勉強していない事実に、酷く後悔することとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 オリキャラの名前は、エルム街の悪夢と13日の金曜日からです。名前だけで、まったく、関係ないです。彼はもう出ませんし、あんまり深く考えずに出したので、書きながら、動かすのが面倒になって、ほとんど描写なく、再起不能にしてしまいました。
 

 極力オリキャラは出したくないのですが、話を進めるのには、必要となったので、次回は、別の新オリキャラ視点で、進める予定です。過去編も一部入ると思います。
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