緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

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また、新しいオリキャラが出ます。
オリキャラの説明が長いですが、次の話の為に仕方がなかったんです。


幕間―動き出す人々―

―遠山金一視点―

 

 

 引退、パトラと結婚した時点で考えていたことだ。そして、その挨拶に職場である武偵庁へと赴いていた。同僚や上司に挨拶を済ませ、帰ろうとした時、

「遠山くん、長官がお呼びだよ。」

 内線を受けた上司が俺にそう伝える。わざわざ長官自ら?厄介なことに巻き込まれる予感がするが、まだ籍は武偵庁にある。従わざるをえない。

 重厚な扉を叩くと、

「はい。」

 扉の向こうから声が聞こえる。

「遠山です。」

 扉越しに名乗ると、

「どうぞ。」

 その声を聞き、扉を開ける。

「呼び出して済まないね。」

 長官は、そう言いながら、応接用のソファーに座るように手で促す。一礼し、座る。

「いえ、それでご用件は?」

「優秀な武偵が引退するのは、少し困る。武偵の数は多いが、君ほどの人材は数える程だ。出来れば、もうしばらくいてはくれないだろうか?」

「随分と高い評価を頂いて、恐縮ですが、決めたことなんです。長官も俺の体質はご存知でしょう。本題は何ですか?」

 そう、この引き止めは口実だ。長官は、ふーっ、息を吐くと、

「優秀な武偵が辞めてしまい、人員不足に困るのは本当だ。だからといって無理に引き止める気はない。君の意見が聞きたい。」

「俺の意見?」

「君が一番詳しいだろうからな。」

 嫌な予感がする。良くないことが始まる、そんな予感だ。

 

「君の姉、遠山かなこについて聞きたい。」

「何故です?」

 何故今更聞くのか、その思惑が分からない。

「先日、遠山かなこの戦いを見た。武検と公安相手に稽古をつけていた。」

「は?」

「なんだ、知らなかったのか?」

 何やってんだあの人は。そもそもなんでそんな催しをするんだ。

「ええ、全く知りませんでした。それで?」

「まあ、強くとは知っていたが、やはり実際に見ると違うな。存在を隠す、その判断は間違っていなかったようだ。家族である君には悪いがね。」

 確かに、姉さんの扱いに納得はいっていない。しかし、上の判断もよく分かる。姉さんの力は、世界の均衡を容易く破壊する恐れがある。そもそも、ギリギリで保たれているのだ、そこに姉さんという不確定要素が入れば、碌なことにならない。

「仕方のないことだと、分かっています。」

 だから甘んじて受け入れているのだ。

「しかし、我々が今までしてきた努力は、無駄になりそうだ。」

「どういうことです?」

「新政権。」

 長官はひと言呟き、

「新しい政権のお偉い政治家様たちは、前政権の全てを破壊し、行ってきたことの逆をしたいらしいのは知っているだろう。」

 心底呆れた様に、長官が言う。

「遠山かなこについては、新政権の奴らに知られぬ様、必死に隠してきたが、それをリークした馬鹿…裏切者がいる。最悪の方向に舵を切られる可能性がある。」

「姉さんを公の場に出すつもりだと?」

「それが最悪の選択肢だな。そうならないように動くつもりだ。」

 知られた以上、放置ということはないのだろう。それこそ、証人喚問なんかで姉さんが国家に呼ばれてしまえば、連日報道されるだろうし、あの残念な脳みその姉さんなら、放送事故必至の爆弾発言さえやりかねない。そもそも、質問の意味も理解できないだろう。身内の恥を世間に晒されるのは勘弁願いたい。

 

「落としどころはどのあたりに?」

 しかし、何かしらのアクションは起こされるのは確定事項だ。なら、最悪の状況で最善の手を打たねばならない。

「まだ決まっていないが、諦めてもらおうと考えている。」

「そう簡単に諦めますかね。」

 無理だろう、政治家のしつこさは一筋縄ではいかない。

「いきなり諦めてもらうわけではない。一度渡して、その上で諦めさせるしかないだろう。」

「姉さんを引渡すつもりですか?」

「ああ、心配しないでくれ、直接身柄を渡すわけではない。肩書だけだ。かつての公安0課の様に、総理の私兵にすればいい。最強の武力が手に入ると言えば、虎の威を借るのが好きな奴らだ、食いつくだろう。もっとも―」

「「平和ボケした小動物が、虎を飼いならせるわけがない。」」

 そういうことか、確かに、それなら諦めるだろう。それにその後、姉さんについて追及しようにも、形式上私兵としていたなら、それも出来なくなる。最善の一手だ。しかし、

「そんな分かり切った罠に引っ掛かりますかね?」

「難しいだろうな。だから、最悪に備えて、遠山かなこのそばで、我々のバックアップをして欲しい。そういう依頼だ。」

「成程、了解しました。お引き受けします。」

「助かる。ではよろしく頼むよ。」

 政治家相手、武力でどうこうできない以上、厄介な戦いとなるだろう。だが、姉さんの今後に関わる、大切な一戦だ。

 

 翌日、気を引き締め、準備をしていた俺に連絡が入る。あっさりと条件を飲んだらしい。なにもせずに任務完了。

 あっけにとられる俺に、

「ついでに、遠山かなこの所在が不明らしい。どうやら、国内にはいないらしい。」

 姉さん、武偵高落ちた時もそうだったけど、突然何処かに消えるのはやめろよ…

 溜息をつき、破天荒な姉に心の中で悪態つきながら、

「まあ、姉さんらしいな。」

 今はどこで騒ぎを起こしているのだろうか?想像もつかない姉の行動を予測してみるが、

「全く分からないな。」

 苦笑いしながらそう呟く。

 仕方ないじゃないか、だって『姉さん』なのだから。

 

 

 

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―蘭豹視点―

 

 

 

「蘭豹先生っ。」

 強襲科の授業を終え、教務部へ戻ろうとしていたウチを呼び止める声が聞こえる。

「なんや火野。」

 お気に入りの生徒、火野ライカが走ってこちらに向かって来る。

「すみません、聞きたいことがありまして。」

 少し遠慮気味にそう言う火野。勉強熱心なんはええことやで。

「なんや?」

「先生よりも強い女の人っているんですか?」

 その質問に、姉御の姿を脳裏に浮かび、背筋がゾクリと震える。

「ま、まあ、おらんと言いたいとこやけど、おるな。べらぼうに強い、冗談みたいなのが。世界は広いで、お前もまだまだや。」

 そう言って、バシバシと火野の肩を叩くと、

「本当に…」

 そう呟く。もっと頑張れという意味で言ったのだが、求められている答えは違ったようやな。

「本当にかなこって人の妹分だったんですか?」

「かなこ…?」

 ブワッと冷や汗が全身から噴き出る。

「はい、ブロンド髪で背の高い―」

 姉御の特徴を伝えてくる火野。間違いない姉御や、

「お前、ウチのこと、なにか話したりしとらんよな。」

「はい、まともに話も出来ずに帰られましたので。」

 よかった、余計なことは言ってないようだ。思わず安堵の涙が溢れそうになる。

「先生、大丈夫ですか?」

 様子がおかしいウチを心配そうに見つめながら、火野が聞いてくる。

「ああ、大丈夫や。」

 あかん、生徒の前や、しっかりせんとな。

 

「お前が会ったんは、正真正銘の化物んや。命があっただけ有難いと思とけ。ええか火野、よう聞け、姉御に関わろうなんて考えるな、忘れろ。それが賢い生き方や。」

 可愛い教え子にウチと同じ恐怖を与える程、鬼やない。

「ええな。」

「はい。」

 念を押すウチに、火野は納得いっていないようだが返事をする。それを見て、一目散に立ち去る。

 これ以上逃げられへんのやないやろか?殺される前に事情を説明して、ついでに泣きながら土下座したら許してくれへんやろか?

 もし、会ってしまったらそうしよう。姉御は神出鬼没、もう恐怖に怯えて生きるんは嫌や。

 

 

 

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―遠山金虎視点―

 

 

 

 少しの気の緩みで、力の制御が御座なりになる。分かってはいたが、まだまだ未熟、しかし、まだ伸びしろがあるということだ。

 山に入り、気を練り、鍛錬を行う。力の制御が向上すれば、自身の能力は更なる飛躍を遂げるだろう。力、速度それらが相まって破壊力となる。その為の鍛錬に励んできたお陰で、申し分ない破壊力を身につけた。しかし、如何せん我流、制御はいまいちだった。その為、ここ数年はそれに力を注いできた。そして今、心血注いだ甲斐もあり、真髄へと近づきつつある。

 

 右手の小指、その爪のその先端、その一点に力を集中していく。

「はぁぁっ‼」

 小指を大岩に突き立てる。当てた箇所に小さな傷がひとつ、小指を離すと、ピキピキと大岩が音を立て、バコンという破裂音を響かせ、崩れ去る。

 この感覚を忘れぬ内に、繰り返し行う。三日三晩繰り返し、遂にその境地へと辿り着いた。

「されど道はまだ長い。」

 真髄に至るも、道のりは続いていく、更なる極みを求め続けることが武の真髄だ。

 しかし、ここに至り、ひとつの自信が宿る。己の理想とする戦い方、それに近づいている。『攻撃は最大の防御』、攻めて攻めて攻め続ける戦い方、それが出来なかった理由はふたつ、相手が脆く攻めれないことと、まだ、己の拳に確信的な自信が持てなかったことだ。

 

 だが、今は違う。

「我が拳に砕けぬものなし…」

 確固たる自信がある。

 更なる強者が現れることを願い、山を降りた。

 

 

 

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―008視点―

 

 

 まだ使いたくなかったが、仕方ない。借りを返してもらうべく、去り際に交換していた連絡先を開く。

「あいつのどこに惚れちまったのやら。」

 思い返せば、良かったのは、見た目だけな気がする。世界各国で任務を行う俺は、かなりの数の美女を見てきたが、確かに、あいつはその中でもトップクラスだ。

 しかし、そんな容姿はどうでもよくなる程、出鱈目な強さとアホさを持つ。普通なら、俺が惚れることはない、地雷臭がプンプンする相手だ。なのに何故か惹かれてしまう。あいつのことを上にも、同僚にも隠してしまう程度には。

 

 今回の任務、本来ならば007に回される予定だったが、負傷中の為、俺に白羽の矢が立った。任務の内容自体は00セクションが出る必要もない、簡単なもの。過激新興宗教によるテロを防ぐべく、先手を打つ破壊工作だ。それだけなら、大した戦闘力もない集団相手に00セクションが出る必要はない。では、何故俺にこの任務が回ってきたのか。内部に潜入していたエージェントの情報で、傭兵を雇っている事が分かった。そいつが問題で、並のエージェントでは太刀打ちできない相手だ。

 突如現れた、新進気鋭の傭兵、‶要塞”そう呼ばれている。最近ついた異名は‶動くマジノ線”。調査してみたが、情報はほとんどなく、どこぞの特殊部隊で訓練されたという噂と、あらゆる攻撃を防ぎ、火力にて制圧する様から、その通り名がついたらしい。

 正確な戦力は測れないが、奴の依頼料はRランク武偵よりも遥かに高い、それでもなお依頼が絶えないのを見る限り、かなりの手練れだろう。それこそ、俺たちMI6最強のエージェントたる007よりも強い可能性もある。傭兵故、こちらがそれ以上の金を払い、雇うという方法もあるが、予算的に無理だ。

 そこで、俺の打てる最善の手として、切り札を切ることにした。

 

 数回呼び出し音の後、

「エイトか、久しぶりだな。どうした?」

 トウヤマ・カナコの声が聞こえてくる。

「おう、いきなりで悪いが、お前が言ってた『借り』を返してくれねぇか。」

 

 

 

 

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―???視点―

 

 

 請け負った依頼、その契約満了日、契約延期を頼まれた。金額は増額、期間は同条件、依頼主たちは反吐が出る程嫌いだが、仕事自体は楽だ。それに、そもそもが、好き嫌いで依頼を断ることはしない。金さえ払ってくれればどうでもいい。そういうわけで、契約延期に合意し、多めの前金を受け取り、今日一日だけ休暇となった。

 大通りから小道に入り、入れ組んだ道を歩いていく。久々に来た街だが、なんとなく道は覚えている。普通の人間は近づかない場所、スラム。ここの一角に傭兵たちの斡旋所、溜まり場となっている酒場がある。

 

 自身の記憶は、こことは違う国のスラムから始まった。気がついたらそこに立っていた。それが記憶の始まりで、その前は思い出せない。何日も洗っていない薄汚れたボロボロの服を纏い、服と同様に汚れた体と髪、その姿で立ち尽くしていた。何故ここにいるのか、何があったのか、それは分からない。分かるのは、捨てられたこと、そして、誰も助けてくれないこと、そして、腹が減っていること、それだけだった。

 空腹で幽鬼の様にさまよい、ふらふらと歩いていた時、食料を見つけ、思わず手に取り口にした。当然の如く、持ち主が激昂し、何度も殴られた。止める者はいない、死んでしまってもなんとも思われない。そんな街だ。しかし、殴られながら思った。全然痛くない。それどころか、本当になぐられてるのかと、疑問に思うほど、何も感じない。

 何度殴られようと、平然と立ち、盗んだ食料を食べ続ける姿に、業を煮やし、遂に刃物を手にし、襲ってきた。本能的に避けようとするが、相手は大人でこっちは子どもだ。簡単にその刃物が腹部に届き、思わず目をつぶった。

 

「ば、化け物っ…!?」

 攻撃していた男の震える声に目を開ける。突き出した刃物が折れ、体には傷ひとつない。何故かは分からないが、どうやらこの体には攻撃が効かないらしい。最悪の境遇に絶望していたが、そうではないらしい。知らなかった自身の力に、思わず笑いがこみ上げ、ケラケラと笑う。

 余程不気味に感じたのだろう。攻撃していた男だけでなく、周囲にいた人間までも逃げ去って行く。ひとり佇みながら、残った食料や、価値の有りそうなものをかっさらう。手頃なズタ袋を見つけ、それに詰め込み、ふらふらと歩き出した。

 

 数日もすれば、ここいらの連中は、この体の異常性を恐れ、近づいて来なくなった。記憶がないせいで、年齢も名前も分からないが、体の大きさからして、10歳以下だろう子どもに、荒くれ者の大人たちが怯える、その姿を横目でみながら過ごしていた。そんな日々もすぐに終わりを告げた。

 

 大規模な空爆、あらゆる場所で爆風が起こり、崩れた建物から瓦礫が落ちる。爆風に吹き飛ばされる者、瓦礫に潰される者、重症を負い呻く者、まさにこの世の地獄、阿鼻叫喚の中に呆然と立ち尽くす。なにが起きているのか分からなかった。分かったのは、無事なのは私だけということ、瓦礫が、爆弾が直撃しようと、痛みもなければ、傷ひとつ受けなていないこと、ただ、それだけだ。怪我も痛みもなくとも、所詮は子ども、連日続く爆撃による精神的なダメージと、水も食料も無くなり、干からびるのを待つだけだった。

「対象発見、辛うじて生きている。」

 意識が途絶える直前にそんな声が聞こえた。

 

 目覚めると、白い部屋の中、ベットに寝かされている。訳が分からないし、意識もはっきりとしていない。何よりも、空腹と喉の乾きが尋常じゃない。ベットの脇、小さなテーブルに水入れを見つけ、横にあるコップには目もくれず、口をつけ、そのまま飲んでいた。そんな最中、白衣の大人たち数人が、部屋に入って来た。

「起きたようだな。体に異常は?」

「ない、けど腹が減ってる。」

 喉の乾きが和らぐと、空っぽの胃が気になる。

「食欲があるなら、元気だな。」

「いいから食い物をよこせ。」

 白衣の男が溜息をつき、後ろの白衣の男に、分からない言葉で話し始める。話しが終わると、後ろの男が部屋を出る。

「あの空爆でも無傷とはな…」

 白衣の男が、私を眺めながらそう言う。

「そんなのどうでもいいから、食い物よこせ。」

「今、取りに行かせてる。来るまでこっちの話を聞いてもらうぞ。」

 男から説明を受ける。空腹でそれどころではなかったが、どうしようもないので、仕方なく聞いていた。ここに来る前にいたのはユーゴスラヴィア連邦共和国、その中のセルビア共和国という国で、そこで爆撃にあったらしい。記憶がスラム街での数週間しかないので、そうなのかという程度の感想しかない。そこで行き倒れており、保護されたそうだ。

「ほら、飯が届いたぞ。」

 ボケッと話を聞いていたら、白衣の男がそう言い、器に入ったカーシャを差し出される。それを貪り食う姿を見て呆れた様な視線を受けるが、どうでもいい。

「足りない。」

 空になった器を差し出す。白衣の男が、溜息をつきながら受け取り、また指示を出していた。結局、3度おかわりをして、食事を終えた。

 

 その後、

「ついてこい。」

 という男の後ろを歩き、個室に入れられた。しばらくして、分かったが、ここは超能力者を集めた研究施設らしい。記憶がなく、名前も分からなかったので、適当にМилица(ミラ)Михајловић(ミハイロヴィチ )と名付けられた。セルビアで多い名と父称らしい。

 それからは毎日、超能力と戦闘の訓練、そして言葉の勉強。少しでも手を抜いたり、覚えが悪いと食事を抜かれるので、必死になった。おかげで何か国語も覚えた。超能力者がわらわらといる施設の中でも、この身に宿る力は、群を抜いていた。どんな攻撃も通らないのだ。それを毎日訓練し、能力を向上させ、戦闘能力を身につけていった結果、もはや敵などいなかった。 

 

 施設での生活も数年が過ぎ、外に出る機会が多くなった。目隠しをされ、施設の外に連れ出される。車やヘリに乗せられ、戦場へと送り込まれる。それが終われば施設へ戻る。当時知らなかったが、施設の宣伝を兼ねた、兵器としての売込みだった。何度かそんなことをしていると、施設に買い手が殺到した。

 一方で施設を脅威と感じた連中も当然出た。考えてみれば、人間兵器製造所だし、軍事産業で利益を得ている国家にとっては、権益を脅かす存在だっただろう。例の如く戦場に出て、施設に帰って来ると、そこは、ただの瓦礫の山と化していた。行く当ても、金もないので、飢えない為に自身が唯一知っている生き方、傭兵の道に進んだ。

 

 戦いの中に身を置き、行きついた自分なりの考え、『守りこそ最大の攻撃』。如何なる攻撃も通さないこの体に高い戦闘能力も、素早さもいらない。実際、射撃も格闘も人並みの能力しかないが、他を圧倒している。

 相手の攻撃を気にせずに、ひたすら火力と制圧能力の高い火器をぶっ放せばいいだけだ。それに、攻撃せずとも、相手に為す術は無い。この能力がある限り、負けることはない。そんな自信は、確信に近づきつつある。

 ともあれ、たんまりと貰った前金で、酒でも飲みたい。そんな思いから、酒場の扉を開けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




 オリキャラの名前は、ミラには神の恩寵という意味があるので、ちょうどいいかなと。父称はセルビア系に多いものから適当につけました。
 カーシャは東欧、特にスラブ系国家で食べられる、お粥みたいなものです。違いは、米ではなく、蕎麦の実(場合によっては豆類)使い、ブイヨンと牛乳で煮ることです。
 こう書くと、全然別の料理ですが、あっちの感覚では朝食用のお粥です。甘いので、日本のお粥に慣れていた自分は、衝撃を受けました。
 
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