緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

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矛盾

―遠山金虎視点―

 

 

 エイトと観光に出て、ふたりで街を歩いている。初めて訪れた街というのは新鮮で、あちこちに目移りしてしまう。弟や妹たちへの土産はなにがいいだろうか?そうだ、リサとパトラにも買って行こう。占いの礼もある、白雪にも買っておかねばな。

 む、不思議な気を感じる、。こっちからだな。小道に入って行き、進むと、怪しげな店が建ち並ぶ通りに出る。気の感じが変ったな。戦いを終えたか、辞めたのか、とりあえず、落ち着いてしまっている。

「確かここ辺りだったと思うが…どう思う?」

 感じた気の感覚を頼りに場所を探るが、正確に分からず、共に観光している友人に声を掛けるが、返事がない。

「おい、聞いてるのか。」

 振り向くが、友人の姿がない。

「迷子か、仕方のない奴だ。」

 全く、あれ程離れるなと言っておきながら、自分が離れるとは。気の正体を探るのをやめ、捜索を開始しようと周りを見る。

 

「ここはどこだ?」

 看板も英語だろうか?で書かれて読めない。参ったな。しょうがないので、適当に歩いていると、男たちに囲まれる。何を言ってるのか分からないが、ニタニタと笑っている。

「日本語で頼みたいのだが。」

 …どうやら通じないようだ。男たちの目的も分からないし、困ったな。そんな時、ひとりの男が、私の胸を目指し、手を伸ばしてきた。

「痴れ者め。」

 手が届く前に、軽く拳を入れると、崩れ落ち、気絶してしまった。弱すぎるな。まあ、男たちの目的は分かった。

「煩わしいな、弱い男に興味はない。」

 気を放ち、通じないのだろうが、一応そう伝えておく。強くなって出直してこい。気を受けた男たちが去った後、

「おい、姉ちゃん、日本人か?何してんだこんな所で?」

 日本語で女から話しかけられる。

「日本語が分かるのか、有難い。友人と観光にきたが、そいつが迷子になっててな。探していたが言葉も分からぬし、場所も分からぬ。」

 事情を説明する。

「友人も日本人か?」

 私と同様に友人が言葉が通じないのでは、と心配してくれてるのだろう。優しい奴だな。

「イギリス人だ。」

 だから心配無用だ。女は少し考えて、

「高いとこから探せよ。」

 と助言をくれた。確かにそうだ、上空から見渡せば道に迷うこともないし、簡単に探せるではないか。

「成程、賢いな。」

 素直に感心してしまう。私も、もう少し柔軟な発想というものを持つべきだな。

 

「助言、感謝する。」

「構わねぇよ、見つかるといいな。」

 いい奴だ。

「上空から見る、盲点だった。」

 そう言いながら、上空へと駆け上る。よく見える、最初からこうしておけばよかったな。

「お、見つけた。」

 エイトを見つけたので、そちらに走って向かい、正面に降り立つ。

「全く、探したぞ。」

 そういえば、あの女に礼を言ってなかったな。

 

 

 

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―008視点―

 

 

「いいか、お前は言葉が分かんねぇんだから、離れるなよ。」

「分かった。」

 そんな会話の数分後、カナコが消えた。

「あのバカ、早速迷子かよ。」

 しばらく捜索を行うが、見つからない。電話も掛けるが出ない。

「どこ行きやがった。」

 人の流れが見やすい場所につくと、溜息をつき、周囲を見みる。いねぇなぁ。

「全く、探したぞ。」

 目の前に突然現れるカナコ。

「と、突然現れるんじゃねぇって、言っただろうが…」

 また寿命が縮んだぞ。あと探してたのは俺の方だ。脈が落ち着くまで深呼吸をし、

「何処行ってやがった、離れるなと言っただろうが。」

「む、離れたのはそっちだろう。」

 何故か俺が迷子になったと言いたいらしい。

 

「カナコ、お前は最初、俺の後ろを尾いてきてたよな。」

「そうだ。」

 よし、それは忘れてないな。

「俺は、途中振り向いたらお前がいなかった。おかしいよな。」

「私は、気になることがあったので小道に入ったぞ?なぜ尾いてこない?あれ、尾いて行くのは私か?」

 首をかしげ、自分が何を言っているのか分からなくなっている。

「迷子になったのはお前だ。いいか、次は離れんじゃねぇぞ。」

「分かった。」

 そう言うと、俺の左腕の肘に、右腕を通し、

「これなら離れないぞ。」

 と、大発見した‼という顔を向けてくる。いや、これは嬉しいが、こいつ、分かってやってんのか?

「どうだ、凄いだろう。私も柔軟な発想というのを身につけたぞ。」

 うん、このバカにそんな計算は出来ないな。

「さあ、行くぞ。」

 カナコが、グイグイと俺の腕を引っ張る度に、巨大な胸に肘が当たる。職業柄、ハニートラップに会うこともあったが、そんな計算高い女とはこいつは違う。

 天然物って恐ろしいな。俺以外にもこんなことしてるのだろうか?柄にもなく、嫉妬の炎が小さくだが燃える。

 

 まあ、今はこの時間を楽しむとしよう。

「土産買うんだろ?何にするか決めたのか?」

「分からん、名産品はなんだ?」

「まあ、ウィスキーだな。あとはタータンチェックの物とか、カシミヤとかだな。」

「ウィスキーは爺様に買おう。あとはよくわからん。」

「見ながら決めるか。」

 エディンバラは観光地でもあり、土産向けの店も多い、ぶらつきながら、建ち並ぶ店舗を見ていくと、目に止まったのか、カナコは妹たちに、タータンチェック柄の帽子とベストをきたテディベアを2匹を買い、その後案内した店で弟たちにハリスツイードのタータンチェック柄のハンカチを買っていた。

「あとはウィスキーか?」

 店を出て、そう尋ねる。

「そうだな。私は詳しくないからな、お前のオススメを教えてくれ。」

「それなら任せろ。」

 ウィスキー専門店へ行き、あーだこーだと言いながら、選ぶ。

「なんだ、お前も買うのか?」

「晩酌用だ。お前こそ買いすぎじゃねえのか?」

 ウルヴァリンの様にボトル持つをカナコにそう言う。というか、握力スゲェな。

「こっちは土産でこっちは私用だ。」

 右、左、と腕を上げながらそう言う。酒好きなのか。

「んじゃ、荷物置いたら酒場でも行くか?」

「おお、いいな。」

 そんじゃあ、こいつは不要だな。晩酌用にと持っていたウィスキーを棚に戻し、カナコの会計を済ませる。そういや、こいつ…

 店を出て、少し歩いたところで、声をかける。

「少しここで待ってろ。すぐに戻るから、いいか、絶対に動くなよ。」

「別に構わぬが?」

 キョトンと首をかしげるカナコを置き、用事を済ませに行く。

 

「悪ぃ、待たせたな。」

「用は済んだのか?」

「ああ、終わったよ。」

 それから宿に戻り、カナコの部屋に荷物を置いていると、

「そうだ、これを渡すのだった。」

 カナコが小さな紙袋を俺に渡してくる。

「開けていいのか?」

「当然だ。」

 袋を開けると、黄と黒のタータンチェック柄のハリスツイードのハンカチが入っている。

「今日の礼だ。お陰で土産もたくさん買えた。」

 そして、同じハンカチを取り出し、

「虎柄だ、いいだろう。」

 ニッコリと笑うカナコ。金‶虎”ってことか。先越されっちまったな。

「ありがとよ。ほれ、俺からも。」

 プレゼント用に梱包された箱を渡す。予想外で驚いたのか、箱を手にし、ポカンとしている。

「開けてくれよ。」

「そうだな。」

 俺の声に、ハッとした様子で梱包を剥ぎ、箱を開ける。

「これは…先程買ったのか?」

 バーバリーの財布を手にし、聞いてくる。

「まあな、いい大人なんだ、財布くらい持て。」

 ウィスキー専門店でこいつが財布を持っていないのを思い出し、急遽思いついたプレゼントだった。

「いいのか、高いのだろう?」

「気にすんな、まあ、今回の謝礼とでも思ってくれ。」

 実際、少々腕の立つ傭兵の契約金と比べれば微々たるもんだ。

「借りを返しに来たというのに、これでは借りを返しきれないではないか。」

 そう言いながらも、顔は笑っている。

「んじゃ、また今度返してくれ。」

 もう一度切り札が手に入るのは有難い。

「ああ、任せろ。」

 頼もしい返事だな。

 

 ふたりで軽く食事を済ませ、酒場に向かった。

 明日の仕事、その心配よりも、今この時間が、最高に楽しかった。

 

 

 

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―ミラ・ミハイロヴィチ視点―

 

 

 暇だな。そういや、昨日見た夢は凄かったな。わけわかんねぇ奴だったな。この世界には、あんな奴もいるのかな…いや、その代表格は俺だな。この防御能力も、他から見りゃ同じだな。…ってことは、あれは夢じゃねえのか?まあ、どうでもいいか。

 依頼されている施設の入口に陣取り、侵入を防ぐ、今すべきことはそれだけだ。自前のPK機関銃以外にも大量の火器を取り揃えてある。俺の防御力とこの火力、正しく要塞だな。

 手榴弾のピンを抜き、ポイっ、と上向きに投げる。俺の頭に当たり、爆発するが、なんともないし、熱も感じない。寒い、暑い、そんな感覚さえこの体には与えられない。体内に入った毒さえ跳ね返すことも分かっている。あん時は突然ゲロ吐いて俺が一番ビビった。

 最強の防御力、この能力は有難いし、助かってるが、

「退屈だ。」

 依頼通り、ここを守っているが、何も起きないし、刺激もない。

「傭兵も飽きてきたな。」

 刺激のない日々に嫌気が差してきた。だからだろうか、昨日の奇怪な女、あれは中々に刺激があった。

「夢じゃない方が面白ぇかもな。」

 そう呟き、酒瓶を煽る。もし今度会ったら名前でも聞いておこう。そんな空想に浸っていた。

 

 だからだろうか?あの女が目の前に突然現れた。

「俺、寝てんのかね?」

 それとも、飲み過ぎだろうか?一口しか飲んでいない酒瓶を見る。そりゃねぇか。

「礼を言うのを忘れていたので、気にしていたが、また会えてなによりだ。昨日は助かった。礼を言うぞ。」

 冗談を真に受けて、感謝までされるとはな。

「おう、姉ちゃん。俺も会いたいと思ってたぜ。」

 ちょっとした願いが叶い、退屈が吹っ飛んだ。

「なんでこんな辺鄙な場所に来てんだ?観光するにも何もねぇぜ。」

 怪しげな施設以外はな。

「人を探しているのだ。」

 また迷子かよ。

「『要塞』と呼ばれている傭兵が、ここにいると言われたのだが。なにか知らぬか?」

 俺をお探しだったか。依頼か?それとも―

「知ってるぜ、教えてもいいが、ふたつ聞いていいか?」

「おお、知っているのか‼有難い。なんでも聞くがよい。」

「んじゃ、まずは、姉ちゃんの名前を教えてくれ。」

「遠山金虎だ。」

 トウヤマの名は聞いたことがあるが、その名前は聞いたことねぇな。まあいい、トウヤマ・カナコ、覚えたぜ。

「ありがとよ。じゃあ次、『要塞』に会ってどうすんだ?」

「手合わせ願いたい。」

 へぇ、俺と正面から殺り合おうって奴がまだいたか。面白ぇが…結局、今までと同じだ、俺に何のダメージも入れられずに終わるだろう。だが、

「そうかい、んじゃ、俺も教えてやる。俺がミラ・ミハイロヴィチ、ご所望の『要塞』だ。」

 ガシャン、とPK機関銃を構えると、口角が上がる。巨乳撲滅委員会のミラ様が、自ら巨乳狩りだ。

「そうか、巡り合わせとは、なんとも奇妙で面白いものだな。」

 カナコと名乗った女も口角を上げる。

「んじゃ、始めっか。」

 そう言って、引き金を引くき、弾丸が連射で放たれる。さあ、どうする?

 

 

 

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―遠山金虎視点―

 

 

 

 人の出会いとは面白いものだ。私に助言を与えた者が、倒すべき強者であるとはな。

「んじゃ、始めっか。」

 ミラと名乗ったその者が、機関銃を乱射する。ではこちらも動くとしよう。

「ふっ。」

 ひとつ息を吐き、駆け出す。飛来する弾丸を撃ち落としながら、奴の眼前に迫り、

「はっ‼」

 拳を叩き込む。ミラの体が僅かに浮くが、この感触は…

「攻撃で体が浮いたのは初めてだな。驚いたぜ、こんな火力のある人間がいるんだな。」

 やはり効いていないか。『要塞』の名は伊達ではないらしい。しかし、

「久々に加減をしなくてもよいようだな。楽しませてもらうぞ。」

 楽しい、こいつ相手なら、存分に拳を振るえる様だ。

「そりゃあ、こっちの台詞だ。俺に刺激をくれよ。」

 ならば、遠慮なく行かせてもらおう。

 

 高速のアッパーカットでミラの体を浮かせると、連撃を叩き込む。…これも効いていないな。ならば、

「これならどうだ?」

 浮き上がった奴の体に、気を纏わせた拳を叩き込み、地面に叩きつける。衝撃で地面が窪み、砂埃が舞う。

「あーあ、壊れちまった。」

 衝撃でスクラップと化した機関銃を手に、起き上がってきた。

「武器チェンジしてもいいか?」

「別に構わぬが。」

 多少障壁に傷を入れたと思ったが、ダメージは通らなかったようだな。

 

 それならば火力を上げても大丈夫だな。

 ロケットランチャーと機関銃を担いでやって来る『要塞』を見て、口角が上がった。

 

 

 

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―ミラ・ミハイロヴィチ視点―

 

 

 楽しい、記憶の始まり以来、味わったことの無い高揚感がこの身に宿る。あいつが動き出してから驚きの連続だ。

 まず、速い、速すぎる。移動も攻撃も全く見えない。気がついたら目の前にいやがるし、気がついたら攻撃されてる。そしてその火力、初めて体験する威力だ。爆撃をモロに受けてもなんともないこの体が衝撃で浮いたのだから。

 それになにより、最後に叩きつけられた一撃。

「俺の守りにヒビを入れやがった。」

 武器を手に取りながら呟く。常時展開されている最低出力の障壁ではあるが、それにヒビを入れやがった。あのままもう一撃入れられていたら破られていただろう。最も、出力を上げればなんということもないのだが。

「これでいいか。」

 ロケットランチャー(SMAW)とM60機関銃を取り、再びあいつと向かい合う。

「悪ぃ、待たせたな。再開だっ‼」

 再開の合図と言わんばかりにSMAWをぶっ放つ。

 

 撃ち落としやがった…、回し蹴りで。

「おい待て、なんで無傷なんだよ‼」

 俺も人のことは言えないが、おかしいだろうが‼

「気合いだ。」

 意味が分からねぇ。

「では、こちらも。」

 そう言ったバカ女の体を金色の光が包む。そんな感じはしなかったが、こいつも超能力者なのか?

「いくぞ。」

 光が右手に集まり、

「はぁっ‼」

 右手を突き出す。これはヤバいっ‼本能的に障壁の出力を最大に上げる。

「くぅっ‼」

 右手から放たれた虎?が俺に襲い掛かる。パリパリと障壁が破壊されていくのが分かる。ヤバいヤバいヤバい、玉葱の皮を剥く様に、一枚、また一枚と障壁が破られていく。

 ドンッ!大きな衝撃音と共に、虎が消える。

 耐えきった…大きなクレーターが出来ており、施設の入口も消し飛んでいるし、火器も全滅だ。マジでヤバかった。バクバクと心臓が脈打つのが分かる。こんなスリル、この身に宿る力を知って以来味わったことが無い。

 思わず笑いが込み上げてくる。

 

「いいよ、最高だよあんた。」

 笑いながらそう言う俺に、ニヤリと笑い、

「私も楽しい、あの技を人に向けたのは初めてだ。」

 そうだろうな、こいつはパンチでさえ爆撃以上の威力だ、普通の人間ならそれさえ耐えられないだろうからな。こいつも、俺と同じで退屈してたのかもな。

「俺以外に向けんなよ。ありゃあ、骨も残らねぇぞ。」

「そうだな、気をつけよう。」

 ふふふ、とお互いに笑い、

「てか、ありゃなんだ?あんたも超能力者…いや、魔女か?」

 純粋な疑問をぶつける。

「何故かよくその質問を受けるが、私は超能力者でも魔女でもない。あれは気合いだ。」

 何故かって、そりゃああれは超常現象の類だろう。その疑問は至極当然だし、気合いと言われる方が理解できない。だが、そんなことはどうでもいい。

「そうかい、まあ耐えれたからどうでもいいか。」

「大した堅牢っぷりだな。正直驚いている。ここまでしても突破出来ぬとは、流石『要塞』と言ったところか。」

 そう、今まで殺り合ってきた奴らは、俺の守りを突破出来ず、俺に殺られるか、尻尾巻いて逃げるかだった。あんたはどっちだ?

 

 

 

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―遠山金虎視点―

 

 

 

 難攻不落、エイトの奴が言っていた通り、『旅順要塞』の様だ。

 しかし、乃木大将の第三軍によって旅順は落ちた。ならばそれに倣うのみ。

 正面突破、それ以外の選択肢など素より持ち合わせていない。

 

 もう使うことになるとはな…

 

 拳を握り、気、力を右手の中指、その第二関節に集中させる。

「そう来なくちゃな。次は何をするんだ。」

「203高地を取る。」

 お互いにニヤリと笑う。

「俺が旅順要塞で、あんたが第三軍か?残念だが、俺の守りはそれ以上に固いぜ。」

「悪いが、これは自信がある。」

「俺の守りは如何なる攻撃も防ぐ最強の盾だ。さっきので分かっただろ?」

 奴も自信があるようだが、

 

「我が拳に砕けぬものなし。」

 

 

 

 

 

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―008視点―

 

 

 

 大丈夫かね、あのバカは。

 施設の制圧を終え、破壊準備を行いながら『要塞』、ミラの足止めを行っているカナコの姿が頭を過る。心配でならない。

 ドンッ!大きな衝撃音と共に施設が大きく揺れる。様子は見れないがなんとなく分かる。

「暴れ過ぎだ、あのバカ。」

 バカが出鱈目なことをしているのだろう。中にまだ俺がいるの、忘れてるんじゃねえか?

 そう、心配なのは、己の身の安全と仕事の内容を忘れていないか、この2点。端からカナコの頭以外、心配していない。あいつが負けることはない。そう信じている。だから―

「頼むから、俺の身の安全を考慮してくれよ。」

 祈ることはそれだけだ。

 

 

 

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