緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

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金虎の帰宅後(GⅢ視点)とその翌日の話(キンジ視点)です。


姉、弟と遊ぶ

―GⅢ視点―

 

 

 パチッと目が開き、脳が活動を開始する。

―和風な天井…、ジジイの家の居間だな―、そこに寝かされている。横になったまま、頭を動かし、横を見る。かなめとかなでが寝ている。ようやく、自分たちが寝ている理由―キンイチが襲われ、その実行犯へ強襲するも気絶させられた―を思い出す。

「クソっ、兄貴たちはっ!?」

 ここにいない、兄貴やキンイチ、ジジイたちは無事か?突如現れた強敵の目的は不明だが、兄貴たち…、遠山家を意図的に攻撃している可能性がある。

「おい、起きろ。」

 かなめたちを揺り起こす。

「うぅん、あれ?」

 目覚めたかなめは、まだ脳が動いていない様子だ。かなでも同じく、寝起きの目をこすっている。 

「ボーっとしてんじゃねぇ‼兄貴たちを…」

 探すぞ。そう言おうと立ち上がると同時に、

「起きたか…。」

 ブロンド髪の女が俺たちの前に現れた。いつの間に…‼俺とかなめは驚き、すぐに戦闘態勢を取ろうとし、かなでは、ビクッと震え、縮こまっている。

 女が少し動いた。「クソっ」、左脇の銃を握った瞬間、

「お前たちの事情は聞いた。すまない、怖い思いをさせてしまったな。」

 女が頭を下げた。どういうことだ…?かなめたちも、この女の行動にポカンとしていると、

「それじゃあ、伝わらないぞ。」

 キンイチがそう言いながら現れる。無事だったのか。それでも俺が女への警戒を解かずにいると、

「全然言葉が足りてないんだよ、姉さんは。」

 キンイチが、俺たちに『安心しろ』と目線を送り、女へ呆れた様に話かける。…は?姉さん…?横の2人も「えっ…?」と声を漏らしている。キンイチに姉…。いたのか…、しかし、なんで俺たちも、ペンタゴンですら知らなかったんだ…?腕を組んで立っている、姉と称された人物は、「説明は苦手だ…」と呟いている。

「混乱しているな…、まあ、当然か。突然、弟や妹が増えた、俺やキンジもそんな感じだった。姉さんは説明が下手だから、俺が説明する。いいか?」

 キンイチが、俺たちの様子を見て、口を開いた。

「ああ、早いとこ説明してくれ、訳が分からな過ぎて、頭がパニックだ。」

 俺がそういうと、

「これから話すことは、信用できる人間以外には、他言無用だ。」

 そう言い、いいな?そう目で問いかけるキンイチに、俺たち3人は、こくりと頷く。

「よし、まず、この人は、俺たちの姉―」

「遠山金虎だ。」

 キンイチが言いきる前に、姉といわれる人物が口を開く。カナコか…。キンイチは「姉さんは、お前たちについて、爺ちゃんたちから話を聞いている。」と言って、説明を続ける。

「お前たちが、姉さんのことを知らないのは、無理もない。姉さんは、ぺンタゴンだろうが、MI6だろうが知りえない、日本の最重要機密だからな。」

 キンイチ曰く、この姉は、異常なまでの強さを誇り、その力が悪用されない為の処置らしい。…そんなことがあるのか?疑いを持つ俺に対し、キンイチは、

「撃ってみろ。」

 姉をちらりと見て、そう言う。百聞は一見に如かず、「面白れぇ」そう言って一瞬で銃弾を放つ。的となる姉は、「ん?」、何でもないというように弾丸を掴む。放たれたばかりの銃弾を掴み、熱いという感覚さえない様子で、ポイ、と弾丸をこちらに放り投げ、

「キャッチボールがしたいのか?」

 首を傾げ、俺に聞いてくる。どんな皮膚してんだ?

「それは…、今度頼むぜ‼」

 次は、両手に銃を持ち、姉に向かって、弾倉すべての弾を打ち尽くす。さあ、どうする?

「むう?」

 カナコはまた、なんの問題もない、といった感じで、拳の連撃を放ち、全て撃ち落とした。…早すぎて、腕が千手観音の様に何本にも見えた。

「最近は、このような遊びが流行っているのか?」

 床の落ちた、俺の放った弾丸の成れの果て―潰れてコインの様になっている―を、恐る恐る見ていた、かなめとかなでに問いかけるカナコに、ふるふると首を振る2人。…こいつにとっちゃ、これも遊び程度か。

「納得したか?」

 キンイチの問いに、「ああ。」と答え、銃を仕舞う。強い、それは分かる。…だが、こいつの本当の強さはこの程度じゃ測れねぇな。まあ、この出鱈目っぷりは、兄貴に似ている。…兄貴が比にならない出鱈目っぷりだがな。俺は、この一連の流れで、カナコへの警戒心は消え去る。へへっ、面白れぇ姉貴ができたな。この姉貴には間違いなく、遠山の血が流れていることを確信する。かなめたちも察したみたいだな。

「これから、よろしく頼むぜ、姉貴。」

 俺だ笑って、そう言うと、

「「かなこお姉ちゃん(様)」」

 かなめとかなでもそれに続く。

「うむ、私も、新しい弟と妹が増えて嬉しいぞ。」

 姉貴は、そう言って、「金女、金天」と名前を呼びながら、2人の頭を撫でる。そして、

「金三。」

 俺を見て、そう言う。そうか、ジジイたちから、俺たちのことを聞いていたからな。

「俺は、ジー―」

 GⅢだ、と訂正しようと口を開いた時、

「遠山家の三男、遠山金三だろう。」

 そう言って、優しく俺の頭を撫でてきた。…まあ、姉貴になら、そう呼ばれるのも悪くねぇか。…いつまで撫でてやがるっ‼姉貴の手を払い除けるが、…びくともしねぇ。が、意図は伝わったのか、姉貴は、「むう…」と少し残念そうに手を除けた。

「そういや、兄貴は?」

 すっかり忘れていた兄貴の存在を思い出す。

「座敷で、まだのびてるよ。」

 キンイチがそう答えると、

「まったく、軟弱者め。」

 と腕を組む姉貴。

「とりあえず、俺たちだけでも準備しよう。」

 キンイチがそう言って、庭を指す。倒れてしまっているバーベキューコンロが見える。そういや、今日はBBQだったな。

「しゃあねぇ、やり直すか。」

 かなめを見てそう言うと、「うん。」と、かなめも頷き、「かなでちゃんも行こっ。」と、かなでの手を取って、一緒に立ち上がる。

 そんな俺たちを見た姉貴は、キンイチの首根っこを捕まえ、

「すまないが、お前たちに任せてもよいか…?私たちは少し話さねばならぬ。」

「えっ!?」とキンイチが驚き、藻掻くが…、逃げられないみてぇだな。

「りょーかい、かなめ、かなで、行くぞ。」

 庭へ向かう俺たちに、

「おいっ、お前たち、待て、待ってくれ‼クソっ、姉さん、放してくれ‼」

 キンイチが助けを求めるが、

「ええい、黙れ‼お前には説教が必要だ。そこに正座しろっ‼」

 姉貴の声を背に一目散に3人で逃げる。君子危うきに近寄らず。キンイチには悪いが、俺たちは無関係なんでな。

 

 

「姉貴に、とびきり旨い肉を焼いてやろう。」初めて出来た姉の為に、俺たち新参者3人はせっせと準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

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―キンジ視点―

 

 

 恐怖の大権化たる、姉さんが帰ってきた翌日、実家に泊まっていた俺は、目覚めると、自室を出る。

 昨日はいろいろあり過ぎて、疲れのあまり、寝坊してしまった。幸いにして、今日は塾は休みだが、

「勉強しなきゃならねぇのに…。」

 東大に合格しなければならない俺は、人一倍、勉強しなければならないのに…、と寝坊したことを悔やむ。居間へ行くと、庭で、昨日姉さんが壊した塀を直していたGⅢが俺に気付く。

「遅ぇぞ、バカ兄貴。」

「うるせえ、俺は受験生で、日夜勉強に忙しいんだよ。」

 俺の言葉に、「だったら、早く起きろよ。」と、正論をたれながら、塀の修理に戻るGⅢ。

「なんでお前が、修理してんだ?」

 本来であるならば、壊した本人がやるべきことだ、姉さん、さっそく新しく出来た弟をこき使ってるな。

「最初は姉貴がやってたんだけどよ…、姉貴がやると、修理してるはずなんだが、何故かさらに破壊されてくんでな。」

 GⅢが作業の手を止めずに、話す。こいつ随分と姉さんに懐いてるな。俺の気絶している間に何があったんだ?そう思っていると、

「代わってやる対価に、姉貴が技を見せてくれんだぜ。」

 楽しそうに言うGⅢ。お前って、そうゆうのホント好きだよな。しかし、姉さんが技?力技の間違いだろ。弟よ、残念だが、姉さんは、父さんの教育方針で、遠山家に伝わる技を教わっていない。あの強さは、生まれた時からだし、戦い方も全て我流だ。そんなこととは知らないGⅢは、せっせと塀を修復して汗を流している。

「まあ、頑張れよ。俺は飯食ってくる。」

 労働に勤しむ弟を背に、俺は台所に向かう。

「婆ちゃん、おはよう。」

 台所でお茶をわかしている婆ちゃんに挨拶する。

「おはよう、キンジ。朝ご飯、テーブルに置いてるから、早くお食べ。」

 テーブルには、丁寧にラップされた朝食が並んでいる。

「ありがとう、婆ちゃん。いただきます。」

 あまり婆ちゃんを待たせたくない俺は、急いで食事をする。

「ご馳走さま。」

 流しへ食器を持って行くと、

「食器は私が洗っておくから、金三にお茶を持って行ってくれるかい。」

 婆ちゃんに、熱々のお茶の入った湯飲みが2つ載せられたお盆を渡される。そのうち1つは、GⅢ用なのだろう、ド派手な湯飲み-こんなの家にあったか?-、もう1つは、普通の湯飲み。

「分かった。婆ちゃん、ありがとう。」

 そういって居間に向かう俺に、婆ちゃんは、「熱いから、溢さないように気を付けてね。」と声を掛け、食器を洗い始めた。居間へ行くと、作業を終えたGⅢが、縁側に座りタオルで汗を拭っていた。

「お疲れさん、ほれ、婆ちゃんが淹れてくれた、お茶だ。」

 ド派手な湯飲みを渡してやると、「おう。」と言って、それをうけとると、ふーっ、と息を吐いて、冷ましながら、ズズッとお茶を啜る。

「凄い、湯飲みだな。」

 思わず、俺が感想を述べると、

「いいだろ、俺用に買ったんだぜ。」

 自慢げに湯飲みを見せてくるが、相変わらず、こいつの美的センスは分からん。俺もお茶を飲もうと湯飲みを取ろうとするが…、あれ、無いよ?キョロキョロと探していると、GⅢの後ろ―俺とGⅢの間―に姉さんが立っていた。

「姉さん、いつの間に‼」

 俺の驚いた声に、GⅢも驚いて振り向き、そこに立つ姉さんの姿に口をあんぐりと開けている。そんな俺たちの驚愕も、どこ吹く風な姉さんは、

「見事に直っておるな、でかしたぞ、金三。」

 と言って、俺の探していたお茶を一気に飲み干す。この人には、熱いという概念がないのだろうか?そもそも、いつ取って、いつ現れたのかも分からない。GⅢも戸惑いながら、「と、当然だぜ。」と姉さんの称賛に応えているが、作業を終えた時よりも、汗をかいている。そりゃ、焦るよな。俺も一瞬、心臓止まったもん。

「それで、金三よ、場所は準備できたのか?」

「ああ、問題なしだ。部下たちも呼んでるんだが…、いいよな?」

「私は、別に構わんぞ。」

 姉さんとGⅢの会話を聞く。…場所?

「場所ってなんだ?」

「兄貴、さっき言っただろ、姉貴に技を見せてもらうって。周辺に被害が出ないくて、頑丈な対象物がある場所がいるんだとよ。」

 俺の質問に、早く見たくてワクワクしたようすでGⅢが答える。…被害が出るレベルのことすんなよ。あと、あんまり姉さんのこと人に言うなよ‼まあ、GⅢの部下なら大丈夫だろうが…、あいつら、このバカ弟に心酔してるからな。

「では、昼食をとったら、向かうとしよう。」

 姉さんが言うと、

「了解。あいつらに連絡入れとくぜ。迎えも寄越させるから、任せてくれ。」

 GⅢは答え、スマホを取り出し、電話を掛ける。姉さんは、

「婆様に、夕飯はいらぬと伝えねば。」

 と、台所へ向かう。ん?姉さん、そのまんまどっか行くのか?まあ、姉さんの行動は、予測不可能だからな、あんまり考えないようにしよう。それに、俺は勉強しなくちゃな。俺は自室に勉強しに戻る。

 

 

 自室に戻り、教材と睨めっこをしていると、襖の開く音がしたので、机から顔を上げる。GⅢの野郎、退屈だから邪魔しにやがったか?そう思い振り返るが…、えっ?誰もいないし、襖も開いてない。襖の開く音はしたが、閉まる音は無かった。気味が悪くなり、確認の為に廊下へ出ると、姉さんの部屋が開いている。恐る恐る覗き込むと、姉さんが、何か段ボールをごそごそとやっていた。なんだ、姉さんだったのか。

 しかし、久しぶりに見た姉さんの部屋には、驚くほどに物がない。布団と姉さんが漁っていた段ボール、それだけだ。いい歳した大人の女が、こんな部屋でいいのだろうか?と、姉さんのことが心配になったが、それ以上に心配なことが多い人だし、この程度なら、『姉さんだから仕方ない』の一言で片付く問題だ。実際、兄さんと俺は、大抵のことはそれで済ませてきたし。

 とりあえず、音の原因も分かったので、部屋に戻ろうとしたが、喉が渇いていたので、一旦、一階へ降りた。台所で、冷蔵庫からお茶を出して飲んでいると、姉さんが、二階から下りてきて、台所へ来て、

「金次、先程、部屋を覗いておったが、何か用があったのか?」

 そう言いながら、戸棚からコップを取る姉さん。気付いてたのか。ずいっ、とコップを差し出す姉さん。それにお茶を注いでやりながら、

「いや、別になにも。音がしたから気になっただけ。」

 そう答えると、姉さんは、「そうか。」と、お茶を飲みながら呟く。

「ところで姉さんは、なにしてたんだ。」

 逆に俺の質問に、

「探しものをしていただけだ。もう見つかったから大丈夫だ。」

 そう答える姉さん。

「探しもの?」

「これだ。」

 そう言って、足につけているポーチから取り出したものを、姉さんが机の上に置く。置かれたものに俺は、ぎょっとする。帯封で留められた一万円札の束があった。なんで無職の姉さんが、こんな大金をもっているんだ!? 

「姉さん…、これ…。」

 俺が、恐る恐るは札束を指すと、

「以前貰ったのだが、使わないので仕舞っておってのだ。無くなったら連絡しろといっていたが…、連絡先を忘れてしまったな。」

 札束をポーチに入れ、「婆様なら覚えておるかな?」と立ち去って行く。いやいや、怖ぇよ、その金‼

 俺も知らない秘密が姉さんにはあるようだが、知ると碌なことにならない気がするので、詮索はやめよう。…十万くらい小遣いとしてくれませんか、お姉様?

 

 

 

 部屋に戻り、勉強をしていると、

「なあ、姉貴、キャッチボールしようぜ。」

 GⅢの声が聞こえてくる。仲いいな、と思いながら、勉強に集中しなおそうとしていた時、「いくぜー。」というGⅢの声と同時に、パァン‼という銃声が響く。驚いて窓から庭を見ると、GⅢが姉さんに向けて銃を向けていた。-あの馬鹿弟、キャッチボールってそっちのかよ‼

 銃を持っていない姉さんは、掴んだ弾を親指で弾き、GⅢに向けて飛ばす。…なんで普通の銃弾より速いんですかね?GⅢも、「うおっ‼」って辛うじて避けてるし。

「もう少し加減できるか、次は取るからよ。」

 と言って弾を拳銃から、姉さんに寄越すGⅢ。銃声が響く。弾を受け取った姉さんは、それをまた弾き、今回は、掴めたGⅢ。「よっしゃ‼」とはしゃいでおり、姉さんも弟の成長を喜ぶように、頷いている。微笑ましい姉弟のふれあい…、な訳あるか‼あと、うるせぇよ。物騒極まりないキャッチボールのせいで、全く集中出来なかった俺は、婆ちゃんの「お昼出来たわよ。」と言う声を聞き、昼食ったら、さっさと帰ろう、実家にあのふたりがいると集中できねえ。そう決意し、部屋を出る。

 居間へ行くと、既に昼食が並べられており、婆ちゃんとバカ姉弟も座っている。俺が座ると、みんなで「いただきます。」と言って、食事を開始する。

「おい、バカ弟、なんつーキャッチボールしてんだよ。」

「なんだ、アホ兄貴もやりたかったのか?」

「誰がやるか、あんなもん。俺は、うるせえって言ってんの。」

 俺たち兄弟が、アホだバカだと言い合っている間、姉さんは、婆ちゃんと1,2言だけ会話し、「ご馳走さま。」と言って席を立つ。その後、俺たちも食事を終え、俺は部屋に行き、荷物を入れたカバン取ってから、婆ちゃんに帰ることを伝える。

 靴を履いて玄関を出ると、GⅢが立っており、俺を見て、

「さあ、行こうぜ。」

 こいつ、姉さんの技を見る云々に俺を連れて行く気だ。

「断る‼」

 駆け出した瞬間、体が浮き上がる。

「行くぞ、金次。」

 姉さんが、俺の首根っこを掴み、片手で持ち上げている。姉さんは、「嫌だ、行きたくない」と暴れる俺を俵担ぎにして、GⅢの後ろをついていく。

「お待ちしておりました。。」

 GⅢの部下で初老の執事、アンガスが車の前に立ち、一礼する。それにGⅢは、おう、と返事し、

「姉貴たちは、後ろに乗ってくれ。」

 と後部座席を指す。俺は行くとは一言も言ってないぞ。逃げるべく、バタバタと打ち上げられた魚の様に暴れるが、抵抗虚しく、車内に放り込まれる。反対側のドアから逃げようとするも、車内に入った姉さんに押さえ込まれ、車が発進する。

 

 

 

 信号で停車する度に、脱出を試みる俺だったが、その度に、隣に座る姉さんによって阻止される。そんなことを繰り返していると、GⅢが

「姉貴、もうすぐだ。兄貴も、あきらめて大人しくしてろよ。」

 と言う。車外を見ると、見慣れない田園風景が広がる。ここで逃げても、帰れない。絶望に打樋がれる俺は、大人しく、外を眺める。車は、人里を離れるように進んでいき、山に入る。長年整備せれていない山道を進むと、

「ここだ。」

 GⅢが、フロントガラスを指し、俺たちに言う。木々に同化し、ぱっと見では気付かないが、シャッターがある。車が、それに近づくと、開き、通路が現れる。そこを進んでいき、停車した。

「よし、降りてくれ。」

 GⅢの言葉で姉さんが、車外に出る。諦めた俺も、それに続く。

「んじゃ、行こうぜ。」

 GⅢが先導し、歩き始める。

「おい、なんだここは?」

 俺が前を歩くGⅢに問う、

「俺の拠点の一つだ。防衛寄りのな。んで、この先だ。」

 会話しながら、GⅢが扉を開ける。扉の先は、巨大な箱の中のような空間だった。

「ここは、核シェルターになってる。ここなら気にせずやれるだろ。」

 GⅢは、姉さんをみて、そう言うと、姉さんは「うむ。」と頷く。それを確認したGⅢは、

「揃ってるみてぇだし、ついでに紹介といくか。」

 シェルターの中には、GⅢの部下たちも集合しているようで、そちらへ歩いていく。

「おう、おめぇら、よく来たな。これが姉貴とバカ兄貴だ。んで、こっちが、俺の部下たちだ。」

 俺たちと部下たちの紹介をするGⅢ、俺の紹介いらないよね。お前、バカ兄貴言いたいだけだろ。GⅢの部下たちの視線が姉さんに集まる。警戒している目だ。そんな視線と空気を受け、姉さんは、

「見事な忠誠心だ…、良き部下を持ったな。」

 と、GⅢへ言い、

「弟への忠誠、感謝に耐えん、これからも支えてやってくれ。」

 と、部下たちに頭を下げる。

「おい、やめろよ。」

 GⅢが照れて、姉さんの頭を上げさせる。

 

 

 

 一連の流れで、警戒が少し解けると、

「ところで、こんなんもの用意させて、なにするのぉ。」

 オネエ黒人のコリンズが、設置された2m程の分厚い鋼鉄の板を指して、GⅢに聞く。GⅢは、ニヤリと笑い、

「おめぇらに面白れぇもん見せてやる。」

 そう言って、姉さんを板の前に誘導し、全員の視線が、姉さんと板に集中する。

「姉貴、こいつは訳あって、戦艦大和の主砲防盾を想定して作ったもんだ。頑丈な的って言ってたが、こいつなら、大丈夫だろう?」

 バンバン、とそれを叩きながら、姉さんに話すGⅢ。おい、それって、藍幇の孫が、如意棒という名のレーザービームで貫けなかった、厚さ67cmの高張力鋼だろ‼なんでそんなもん…、と思ったが、負けず嫌いのGⅢだからな、孫対策にいろいろ試行錯誤していたんだろう。姉さんはそれをノックするように、コンコンと軽く叩いた後、

「ふん。」

 殴った。

 ガンッ、という拳がぶつかる音が響く。姉さんの背中しか見えない、俺やGⅢの部下たちには見えないが、

「オーマイ…。」

 姉さんの横に立っていたGⅢは、ゴッドの言葉が出ない程驚愕している。

「むう、少し脆いが、仕方ない、加減してやるとしよう。」

 姉さんは、そう言って、打ち出していた拳を引っ込め、口を開けているGⅢを見て、「どうした」と言って高張力鋼から離れる。

 姉さんが離れたことで、ようやく理解した。穴が開いている、高張力鋼は見事に貫通し、向こう側の景色が見えている。意識を取り戻したGⅢが「マジかよ…」と言いながら、穴に手を通している。俺たちも近づいてそれを見る。GⅢが穴から手を抜き、目をキラキラさせながら振り返り、

「おい、見たか‼スゲェ、マジで貫通してやがる‼」

 そう言って、姉さんの元へ走って行く。俺たちが恐る恐る穴を覗いたり、触ったりしていると、姉さんとGⅢがやってくる。

「おい、おめぇら、こっち来い。」

 GⅢがそう言って、俺たちに手招きする。ぞろぞろと移動し、ふたりの後ろに立つ。姉さんと高張力鋼の距離は5m程離れている。

「姉貴、やってくれ。」

 GⅢが姉さんに頼むと、

「構わぬが、あの程度の強度だと、どんなに加減しても、あれは消し飛ぶが…、よいか?」

 高張力鋼を指し、GⅢに問う姉さん。普通に考えれば、有り得ない、馬鹿げたことを言っている姉さんだが、先程のこともあり、全員の喉が、ゴクリと鳴る。

「構わねぇ‼」

 とにかく早くみせてくれと、目を輝かせるGⅢ。

「了解した。金次、後ろより横の方がよく見える。…もう少し距離を取れ。金三もだ」

 姉さんの指示で、姉さんの両側に、GⅢと俺が立つ。その後、全員が俺やGⅢの後ろに立つ。姉さんは、全員が移動を終えるのを確認すると。

「では、やるぞ…。」

 そういうと同時に、姉さんの両手が金色の光を纏う。そして、その手を『かめはめ波』の様に突き出すと、カッ‼という光を放ち、巨大な虎が現れ、高張力鋼に襲い掛かり、それがぶつかると、強烈な衝撃波が起こる。

「ぐぅっ。」

 声が漏れる。姉さん以外の全員が、衝撃波に吹き飛ばされそうになり、踏ん張る。衝撃波が消え、顔を上げると、高張力鋼のあったはずの場所には、クレーターができており、高張力鋼は跡形もなく消え去った。 全員が言葉を失い、呆然とその光景と姉さんを見ている。これをやった姉さんは、

「床に穴が開いてしまったか、最低出力だったが…。」

 と呟いて、右の手のひらを眺めている。

「おい、姉貴…、なんだ…、今の…、なにをしたんだ…。」

 GⅢが、想像を遥かに上回る、出鱈目な技を見せた姉さんに、尋ねる。

「あれか?あれは気合いだ。気合いをこう、ぐっと込めて、バッ、とすれば出る。」

 姉さんが訳の分からない説明をする。とりあえず、姉さんは人間辞めてるどころか、化物辞めてるのは分かった。

 

 

 

 

 姉さんの技を見終え、俺とGⅢは2人で話している。姉さんは、警戒が、恐怖や怯えに代わったGⅢの部下たちに「怖くないぞ。」と近づき、余計怖がらせている。そりゃあ、あんなの見せられたらね。

「んで、見た感想は?」

 俺の問いに

「スゲェ、マジでスゲェけどよ…、流石にあれやんのは無理だな。兄貴は?」

「同じく。」

 しかし…、

「「気合いってなんなんだ。」」

 俺たち兄弟に、哲学的疑問を残し、姉さんの技のお披露目会は終了した。

 

 

 




予定していたよりもかなり長くなってしまいました。

もう少し、短くしたい、程よく話を切りたいと試行錯誤してますが、難しいです。
程よい長さで簡潔に文章をまとめられている方々は本当に凄いですね。
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