緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

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乙女大乱―女子力競う、料理大会―

―リサ視点―

 

 

「遠山かなこ、今度こそ貴様が敗北を味わう番だ!!」

「今回も私の勝ちだ。」

 

 私を挟み、一触即発の気配、銭形様から、意識を失ってしまいそうな程に放たれる殺気と、余裕の笑みを浮かべるかなこ様に今にも倒れてしまいそうです。

 

 何故、こんな怪物ふたりの間に私が立っているのか。

 それは、ご主人様のお部屋に行ったことがきっかけでした。

 

「ご主人様、これはいったい…」

 無惨にも破壊された玄関の扉、ほのかに残るかなこ様の気配。メイドとしての務めを果たすべく、ご主人様のお部屋にやって来た私が見たのは、そんな惨状に茫然と佇むご主人様と、白雪様に理子様やアリア様、そしてレキ様のお姿でした。

 茫然とされるご主人様たちが、何が起こったのかを説明して下さいます。

「…モーイ…」

 精神が崩壊しそうな説明に、リサはなんとか言葉を絞り出しました。

 リサにご主人様たちが説明されたことを整理するに、かなこ様、あのかなこ様と殴り合える、この世のものとは思えない方、銭形様が現れ、ふたりで散々暴れた後、姿を消したということですね。

 …リサの理解出来る範疇を超えてますね。

 かなこ様の底の見えないお力。その気になれば、殺気だけであのシャーロック卿さえ再起不能に出来そうなかなこ様と殴り合うことが出来るというだけで、その銭形様という方が、この世の理を外れた方だと、痛い程分かります。

「ご主人様、まずは扉の修理が先決だと思います。」

 まずやるべきことを進言しました。

 

 リサが交渉し、本来の三分の一迄に抑えた修理費用で扉が修理されている間、リサは部屋の中を整理します。

 信じられない怪物ふたりが暴れたにしては、部屋の中は思った程壊れていませんでした。

「ご主人様、この様子だと、今日中に終わりそうにありません。」

 荒れた室内の整理をリサは精一杯行いますが、どうにも間に合いそうにありません。本来であれば、ご主人様にお料理を作る予定でしたのに…

「あーもういいぞ、リサ。後はやっておく。暗くなる前に帰ってくれ。」

 お優しいご主人様の言葉、

「モーイ!!ご主人様のお優しい配慮は大変嬉しいですが、この様な現状でご主人様をひとりには出来ません!!」

 アリア様たちも帰られ、リサとご主人様だけになった部屋で、リサはそう伝えます。

「な、なら、また明日来てくれ。俺はこれから予備校に行かなきゃならんからな。」

 焦った様に言うご主人様。残念です、せっかく一晩中ご主人様のお世話を出来ると思っておりましたのに…

 しかし、リサはメイド、ご主人様の命令に従う他ありません。

「では、また明日に…」

「ああ、本当にリサには感謝している。」

 モーイ!!ご主人様のお褒めの言葉に、リサは歓喜し、明日も頑張ろうと思えます。

 

 頑張るつもりでした。

 

 朝にご主人様の部屋向かい、かなこ様より頂いた部屋の鍵を使い、寝ているご主人様を起こさぬ様に朝食の準備をします。

 食事の匂いが室内に漂い始めると、ご主人様が大きな欠伸をし、目覚められます。

「おはようございます、ご主人様。」

「リ、リサ。もう来てたのか…」

 

 朝食を食べ、部屋の片付けをしていると、

「白雪!!何しに来た!!」

「キンちゃん!!私もお手伝いします!!」

 白雪様が来訪します。その頃には、部屋の片付けも大方終わっておりました。

「モーイ!!流石奥様です!!」

「ふふっ、リサはいい子だね。」

 白雪様と台所に並び、そんな会話をしながら昼食を作り、ご主人様の座るテーブルに並べていき、食事を始めます。

「美味い!!」

 ご主人様がそう言って下さり、白雪様ふたりで、喜びの笑みを浮かべておりました。

 

「なにやら旨そうな匂いだな。」

 かなこ様、何故いるのですか?

 あの恐ろしい程に感じる強者の気配を感じさせずに席に着いているかなこ様に、心底恐怖します。

 今までは、如何に隠そうと感じられた、圧倒的強者の気、リサの中に流れる百獣の王の血が、本能が感じ取る、絶対に何者さえも勝てない、最強の気、それを完全に消したかなこ様。気配を察知することさえ不可能となった彼女に、もうなんの言葉も出ません。

「か、かなこ様!!い、いえ、義姉様!!今すぐお食事をご用意します!!」

 何事もない様に席に着くかなこ様、白雪様は大慌てしてしまいます。

「お、奥様!!私が準備いたしますので、お座り下さい!!」

 勿論、私も大慌てです。

「よい、私は食事は済ませて来た。」

 そう言って、ガサリと食卓に袋を置くかなこ様。

 スーパーの袋、様々な食材が入っている様に見えます。

「偶には、愚弟に料理でも作ってやろうと思ったが、不要だった様だな。」

 少し残念そうに仰るかなこ様。私たちはとんでもない異なるをしてしまったのではないのでしょうか…

 かなこ様の意向に反する事をしてしまい、白雪様とふたり、顔が青くなりますよ

「姉さんの手料理…」

 ご主人様も顔を青くされております。

「勘弁してくれ!!そんなものを食べるくらいなら、猫じゃらし食ってる方がましだ!!」

 ご主人様がとんでもない速度で壁に激突します。

「キンジよ、そんなに私に殴られたかったのか?」

 猫じゃらし以下の料理…以前ご主人様が思い出話の様に語ったかなこ様の生焼け肉の話以外にも、何かあるのでしょうか…?

 

 かなこ様へ何度も土下座するご主人様を見かね、思わず飛び出してしまいます。

「か、かなこ様、お、お料理でしたら、リサと一緒に作りませんか?」

 我ながら、とんでもない事を言ってしまったのだと、すぐに理解します。しかし、時すでに遅し、

「おお、そうか!!なら、愚弟を泣かせる程のものを作ってやろう!!」

 リサの提案に、すぐに乗っかってしまわれます。

「不味すぎて、普通でも泣く出来だろ…」

 ご主人様の呟きを、聞こえぬ振りをして、台所へかなこ様を誘導します。

 我ながら、信じられぬ程青い顔をしていたでしょう。

 

「モ、モーイ…流石、かなこ様です。しかし、お料理には包丁を使いましょう…」

 手刀で食材を刻まれるかなこ様に、リサは提言します。

「成程、しかし、こっちの方が切れるのだが?」

 そう言って、右手を見せるかなこ様。仰っていることに間違いはないのですが、根本的に間違っています。人は何故、刃物を生み出したのか、そう考えると、如何にかなこの方が間違っているのか分かる筈です。

 勿論、そんな恐ろしいことは言えず、無難な回答をします。

「かなこ様、包丁を使えねば、料理を出来るとは言えません。」

「そうか、なら仕方ない。」

 そう言って、包丁を握られるかなこ様。

 危なっかしい手捌きで包丁を振るわれます。

「危ない!!」

 勢いよく振りかざされた包丁が、かなこ様の左手に落ちて行きます。

「扱い辛いな。少し力を込めれば、柄を握り潰してしまうし、やはり、手で切る方がいいな。」

 まな板の上に落ちる、包丁の刃、柄から離れ、グニャリと曲がり、二度と使えない状態となってしまっています。信じられない速度で振り落とした包丁が左手に当たったというのに、無傷でそんな事を仰るかなこ様。

「ほらな、やっぱり無理なんだよ。」

 そう呟いたご主人様の元に、衝撃波が届き、ご主人様が窓を突き破って吹き飛んでいきます。

「私に相応しい包丁が無いのだから仕方あるまい。」

 そんなもの、色金で作った包丁があったとしても、無理な気がします…

 

 白雪様とふたりで、かなこ様への地獄の様なお料理教室を繰り広げるます。

 何度も心が折れそうになりながらも、なんとか(私と白雪様のふたりでお料理を進め、かなこ様の出番を無くす様に努める)被害を最小限に食い止めて肉じゃがを作っていきます。

「遠山かなこぉーーーっ!!此処だなぁーーーっ!!」

 昨日直したばかりの扉が吹っ飛びました。

 

「遠山かなこ!!貴様のせいで、減給だ!!この屈辱、絶対に晴らしてやる!!」

「料理中だ、後にしろ。」

 乱入者の言葉を流し、真剣に食材(肉じゃが用の牛肉)を見つめるかなこ様。

「このまま焼いた方が美味いのではないか?」

 そう言って、肉を指します。

 それでは肉じゃががじゃがになってしまいます…

「ふふふ、やはり、貴様に料理など出来る筈は無い!!所詮貴様は人間兵器、女子力など皆無!!先に結婚するのは私の様だな!!」

 そんなかなこ様を見て、心底安心した様に笑う乱入者、かなこ様にこの様な口を聞けるということは、恐らく、この方があの銭形様ということでしょう。

 

「ほざけ、昨夜貴様と私、どちらが女子力とやらが上か、拳で決着を着けたであろう。」

「あの時私は酔っていたし、何より、肉じゃがから肉を抜こうなど、貴様に女子力とやらがあるとは思えぬ!!やはり、私の方が女子力とやらが高いと見える!!」

 どちらも壊滅的だと思うのは、私だけではない筈です。勿論、そんな恐ろしいことを口には出しません。というより、出せません。

「ならば、どちらが上か、料理で決着を着けようではないか。」

「望むところだ!!」

 なんだか、絶対に良くない方向へと進んでいる気がします…

 

 

 

 

 

 

 

 

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―キンジ視点―

 

 

 

「料理とは、食材を選ぶところから始まります。」

 姉さんに吹っ飛ばされ、意識が戻ったら、白雪がそんなことを言っている。

「なるほど、食材調達も女子力とやらの見せ所というわけか。」

 白雪の言葉に頷き、納得した様に姉さんが言う。その隣で、同じく頷く銭形。なんでまたいるんだ…

「では、まずは食材の調達というわけだな。遠山かなこ、貴様に勝ちの目は無い!!最高の食材を持って来てやる!!」

「いや、私の勝ちに決まっている。」

 火花を散らし、部屋を飛び出すふたり。いや、ホントなんなのこの状況…

 

「あ、キンちゃん!!起きたんだね。」

「ご主人様、お怪我はありませんか?」

 ふたりが去った後、俺が目覚めたと気付き、白雪とリサが駆け寄ってくる。

「ああ、なんとかな。しかし、どういう状況なんだ?」

 勢いよく壁に叩きつけられたのに、なんで骨折どころか、怪我ひとつしてないんだろう、ホント、姉さんは理解出来ん。

「えっとね、キンちゃん―」

 白雪の口から語られる、俺が気絶した後の出来事。うん、バカかな?いや、姉さんがバカなのは世界の真理みたいなもんだけど、銭形、お前もか…

 理子から聞いた銭形の情報は、東大法学部を首席で卒業する程の秀才の筈なのに、その行動の節々からは、姉さんと同じ匂いがする。

「女子力って、あいつ等に最も足りない能力だろ…」

 そんな感想を抱く。ああ、姉さんは違うな。姉さんに一番足りないのは知性だ。

 

「私の勝ちだ!!遠山かなこぉっ!!」

 5分後、先に帰ってきたのは銭形。スーパーの袋を掲げ、部屋に飛び込んできた。お前、普通に入って来れないの?

「なんだ、まだ来てないのか。ふふ、速さでは私の勝ちだな。」

 勝ち誇るが、お前本当にまともな食材選んだんだろうな?速けりゃいいってもんじゃないぞ。

 それから2分後、リサが鼻をすんすんと鳴らす。

「血の匂いがします…」

 ああ、姉さんだな。

「待たせた。」

 扉の吹き飛んだ玄関を、更に吹き飛ばし、姉さんが到着する。

 その姿を見て、白雪の顔が青くなり、ふらっ、と貧血の様に倒れそうになる。

 マズい、白雪の幼少期のトラウマが蘇ってしまった。

「以前、シベリアを横断した際に見つけていたのだが、以前よりも強く、大きくなっていたのでな、正しく最高の食材だろう。」

 姉さんが背負うのは、突然変異としか思えない程大きく育ったグリズリー、グリズリーの平均身長は198cm程、なのにそれは、それの倍以上の大きさだ。

 並の大きさのグリズリーでさえ、地上最強の生物と評される程に強いというのに、それの数倍大きいそれは、恐らく、ライフルで撃っても勝てる相手では無いだろう。

 そんな大物の喉を一突きで仕留めたのか、喉以外に傷は見られない。それを軽々と担ぎ、此処まで往復7分でやって来た我が姉は、やはり何かがおかしい。

「クッ!!しかし、如何にそんな大物といえど、造り手が未熟であれば、意味など無い!!私の勝ちは揺るがんぞ!!」

「ふん、何を勝ったか知らぬが、己の手で狩ってこその馳走だ。私が勝ったも同然だな。」

 お互いに自分の勝利を宣言する。現状だと、銭形の勝ちだな。だって、あんな巨大熊を狩るなんか嫌だもん。

 

「で、では、お料理を開始しましょう。」

 白雪に変わり、場を仕切るリサ。白雪はうなされながら寝ている。

 素早く台所に向かうふたり。

「邪魔するな!!私が先だ!!狭いんだ、退け!!」

「貴様が退け!!早く捌かねば、鮮度が落ちるだろうが!!」

 狭い台所で悪かったな。勝手におっ始めて、文句言うなよ。

 ヤカン片手に姉さんを押しやろうとする銭形と、台所どころか、部屋に入りきれない程巨大な熊を置こうとする姉さん。

「か、かなこ様、それは入りきれませんよ…」

 見かねたリサが姉さんにそう声をかける。

「仕方ない、私は外で捌いてくる。」

 姉さんは渋々姿を消す。

「戻って来た時、貴様の敗北は決定する!!」

 銭形はウキウキとコンロに火をかける。

 どっちも碌な物が出来る気がしないなぁ…

 

 ピーッ!!とお湯が湧いた事を告げるヤカンの音。

「勝負あった!!」

 その音を聞き、勝利宣言する銭形。素早くスーパーの袋から取り出したのは、様々なカップ麺。いや、料理って言ってんじゃん…

「ふふっ、遠山かなこ、貴様の敗北まで、後三分だ!!」

 まあ、アンタが何か作るよりも、確かに、そっちの方が美味いだろうけどさ。それでいいのか…

 流石のリサも頭を抱えている。

「遠山かなこ、貴様にこれより美味いものが作れるか!!」

 いや、作ったのは日清だろ…

 

「どうせ、貴様の女子力とやらでは、そんなものだろうと思っておった。」

 銭形がお湯を注いで2分、美味そうなカップ麺の匂いが漂いっていた時、姉さんが帰って来た。

「貴様、それは!?」

 驚愕する銭形。それもその筈、姉さんが持って来たのは、誰がどう見ても表面だけが黒焦げになった、元の姿を残したままの肉。

 ホント、相変わらず最悪の出来栄えだな。

「捌こうかと思ったが、丸焼きの方が美味そうだと思ってな。まあ、私の勝ちだろうがな。」

 何故そんな自信を持てるのか、姉さんの頭の中を覗いてみたいものだ。捌くと言っても、どうせ手刀でぶった切るだけなんだけどさ。

 キッチンタイマーが音を鳴らす。カップ麺の完成を告げる音だ。いよいよ実食となる。…これ、誰が食うの?

 

「ほれ、キンジ。さっさと食わんと冷めてしまうぞ。」

 手刀で熊の手を切り落とし、俺に差し出す。冷めるとかそういう問題じゃないぞ。だって表面が焦げただけで、ほぼ生肉じゃん!!ほら、血が滴ってるし!!

「私が先だ!!伸びたら勿体無いだろうが!!」

 姉さんに対抗する様に、カップ麺を突き出す銭形、ちゃっかり自分の分も作ってやがる。

「待て、待ってくれ!!なんで俺が食うことになってるんだよ!!」

 カップ麺はいい。金欠の俺にとっては寧ろ有り難い。しかし、姉さんの差し出す生肉は、腹を下す未来しか見えない。

「なんでだと?当然だろう。女子力とやらの上下を決める戦いなのだ、男のお前が決めるべきだろう。」

「そうだ!!」

 姉さんと銭形から圧が掛かる。マズい、これはマズい状況だぞ…逃げようにも、このふたりから逃げおおせるなど、ヒステリアモードの俺でも不可能だというのに…

「ほれ、さっさと食わぬか。」

 グイグイと血の滴る熊の手を押し付けてくる姉さん。

「だから、私が先だと言っているではないか!!」

 カップ麺を押し付ける銭形。スープがかかって熱いんですけど…

 

「「さっさとせぬか!!」」

 俺の口に、両方共がねじ込まれる。なんなのこいつら…

 臭い、獣臭い!!というより、やっぱり完全に生肉だこれ!!そしてその間を縫うように慣れ親しんだカップ麺の味が混ざり…

「不味っいっ!!」

 正直な感想が飛び出た。

「「なんだと貴様!!」」

 烈火の如く怒るふたり。いや、正気かお前ら…

「肉だぞ、不味いわけがなかろう!!」

 生の熊を美味いと言えるのは姉さんくらいじゃないかな…アンタ、本当に肉ならなんでもいいんだな。

「ラーメンが不味いなど、貴様おかしいのではないか?」

 いや、ラーメンは美味しいよ。でも、あの状況で無理やり流し込むか、普通?

「ご、ご主人様…」

 パキパキと拳を鳴らすふたりに恐怖し、俺に縋り付くリサ。すまんな、流石にこのふたり相手では、仮にヒスっても一秒も保たんぞ。

「では聞こう、どっちが上だ?」

「聞く迄もない、私のカップ麺の方が勝ちだ。」

 いや、どっちが美味いかで言われれば、圧倒的にカップ麺だけどさ、今回は女子力とかいう謎のパラメーター勝負なんだろ?それを文字通り評価するなら…覚悟を決め、口を開く。

「どっちも最低以下だろ。」

 少なからずとも、俺の方がまだ料理が出来る自信がある。というより、こいつらのは料理じゃない。

 方や狩ってきた熊(熊を狩って来た時点でどうなのかという話なのだが)に火を着けただけ。対するもう一方は、お湯を沸かし、注いだだけだ。

 どっちも料理とは言えないだろう。

 

 すぅっ、とふたりの目の中に宿る色、光が変わる。ああ、死んだな。そう直感が俺に警告を告げる。

 しかし、俺にとっては幸いであり、最悪の方向にふたりの闘志が向かった。

「なるほど、我が愚弟には、私の女子力とやらは理解出来ぬらしいな。」

「全くだ、やはり、決着はこっちで決める他にないらしい。」

 向かい合うふたり、認識出来たのはそこまでだった。一瞬で姿を消したふたりが、何処ヘ行ったのか、俺が知る由もない。

 

しかし、その2時間後、太平洋沖で強烈な衝撃波が観測されたと、後に冷泉から聞かされることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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―リサ視点―

 

 

 

 女子力とはなんでしょう?

 

 かなこ様と銭形様、共にこの世の理から外れられた、規格外の生物の共演を目の前に、お二方の口から時折出てくる女子力というワードが、不可思議なものに感じられてしまいます。

 そもそも、本来の意味はなんなのか、それさえ分からなくなってしまいます。

 

 そしてお二方の辿り着いた結論は、拳での勝負だったのでしょう。意識が遠のく程の闘気をぶつけ合うお二人は、姿を消しました。

 リサが思ったこと、それは、お二人はリサとはつ違い、誰かに守られる必要も、守られたいという思いもないのでしょう。逆に、あのお二人を守れる程強い方がおられるとしたら、それこそ世界は終焉を迎えるのではないのでしょうか?

 

 リサは悪いメイドです。かなこ様は、私を家族の一員と仰って下さったお優しく、大切な方。

 それだというのに、かなこ様の底知れぬ、それでも尚分かる圧倒的な力を恐ろしく感じてしまうのですから…

 

 

 

 

 

 

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