緋弾のアリアif~遠山家最強の姉~   作:トリプルツレー

59 / 59
最強の警察官

ーキンジ視点ー

 

「雑魚ばかり…しかし、市民の平和と安寧の為、見過ごすことは出来んな。」

 そう言って俺の肩を叩くベージュのコートとハットを被った美女、最強の警察官と評される銭形平静。

「アンタ一人でなんとでもなるだろ!!俺を巻き込むなよ!!」

 得物を手にし、血気だった男たちが俺と銭形に今にも襲い掛かろうとしていた。

「真面目で善良な人々を糧にし、不当に奪う連中が裕福に生き、奪われた者が泣き寝入る…そんな不条理を許せんだろう?」

 確かな怒りを込めた瞳で男たちを睨む銭形。

「そんなもん綺麗事だ、現実はそんな不条理しか存在しないだろ。」

 そう返す俺の背中を銭形が勢いよく叩いた。

「流石、金叉さんの息子だ。捻くれようと、確かな正義を持っている。」

 嬉しそうに一瞬だけ微笑んだ銭形は、

「背中は任せたぞ!!」

 そう言い放つと、不可視の銃弾よりも早く弾丸を複数放ち、最前列の男たちの得物弾いた。

 

 いや、アンタ一人で十分どころか、戦力過剰だろ…

 

 弾丸飛び交う中、無傷で一方的に、瞬く間に十数人を徒手で無力化する銭形を見てそう思う。

 兄さんの不可視の銃弾よりも早く正確な射撃と、ヒステリアモードの俺たち兄弟(姉は除く)以上の格闘術、正しく最強と言える実力者。

 そんな銭形の快刀乱麻の逮捕劇を見ながら思う。

 

 姉さんって、本当に人間なのだろうか?

 

 正直、銭形よりも強い人間が存在するのなら、全盛期のシャーロックや初代リュパン等、歴史に名を刻む者たちであるだろう。そんな偉人を指先一つでダウンさせる怪物である我が姉。

 

 姉さんについて考えるのはやめよう。

 

 俺は普通に生きたいんだから。

 迫りくる男の攻撃を辛うじて躱し、ベレッタを構える。

 ヒステリアモードでもない俺でも、こいつら程度なら二、三人くらいなら相手に出来る。

  

「正義って言葉は狡いだろ…逃げたらご先祖様にあの世でボコられるんだよ!!」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−

 

 

 

 遡ること十数分前、塾帰りの俺は日の沈んだ町の中を歩いていた。

 家に帰って復習しよう。

 そんなことしか考えていなかった俺の肩は突然肩を掴まれた。

「未成年が不用心に出歩くな。通常なら補導対象だ。」

 肩を掴んだのは見覚えのある化物、銭形平静だった。

「塾帰りで、寄り道もせず家に帰る未来ある若者なんだが。」

 気配を微塵も感じることもなく接近されたことに動揺したが、それを隠す様に言い放つ。

「遠山金虎の弟だ、学力はあまり期待しない方が良い。」

 ポンポン、と優しく肩を叩かれ、無礼極まりないことを言われる。

「宇宙一の大馬鹿と一緒にするな!!流石にあれは例外だ!!」

 姉さんの頭脳と同等扱いされ、遺憾の意を唱えた。

「…勉強、教えてやろうか?」

 同情的な表情と言葉で返され、不安に駆られる。

 もしかして、俺はあの姉さんと同レベルなのか!?

 無意識に懐のベレッタに手が伸びる。

 もしそうなら、こめかみを自分で撃ち抜きそうだ。

「それで、その宇宙一の大馬鹿はどこにいるのだ?」

 俺の首に腕を絡め、身体と顔を近づけて銭形は言う。

 ムニュ、と柔らかい感触が左腕を襲い、血流が速まりヒスの前兆を感じ掛けたが、それ以上に恐怖が勝る。

 あれだ、こいつは見た目にはヒス的に非常によろしくないが…

 姉さんと同列か…

 ヒステリアモードのトリガーとなる以上に、生物としての恐怖が上回る相手だ。

 

「知らない、あの人の動きが分かるなら俺はとっくに公安か武検…世界のそういった組織に拘束されてるさ。」

 神出鬼没の我が姉は、一度姿を消したら最後、その姿や位置を捉えることが出来る者は存在しない。

 そんな姉を追う異常な人物に正直にそう答えたら、

「使えん奴だ…」

 そうやれやれと溜息を吐かれる。

 正直、相手が化け物でなければ全力でぶん殴っていたと思う。殺されるからしないけど。

「まあいい、お前も遠山金虎の弟、私的に言えば危険分子、しっかりとマークしていくつもりだ。」

 そんな恐ろしいことを言って俺から離れる。

「まあ、そうは言っても金叉さんの息子だからな、ある程度は赦してやろう。」

 ハハハと笑いながら俺の背中をバシバシと叩く。

 痛ぇ…姉さん程ではないけどアリア以上の馬鹿力だ。

 

「さて、そんなお前に嬉しい一報だ。」

 笑いながら動く所作さえ見せず俺を逮捕術で拘束した銭形は、

「ここいらで不穏な動きをする連中がいるらしい、少し協力しろ。」

 有無も言わせぬ力を掛けてそう言った。

「痛ッたたたた!!分かった!!協力する!!協力するから離せ!!」

 これはお願いではない、強迫だ。

 そんな不満は言えそうにない。俺は大切な両腕を守る為に嫌々ながら協力を申し出た。

 

 

 全部姉さんのせいだからな!!

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。