全体的におかしいシンフォギア   作:わんたんめん

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いきぬきー


第1話

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

少女の気迫のこもった声が戦場(いくさば)に響くと同時に拳が放たれると辺りに拳圧のような衝撃波が生まれ、少女の周囲に粉々になった灰のような粉塵が舞い散る。

普通であれば吸い込んだ灰から咳き込んだりしそうなものだが、少女はそのような雰囲気を一切感じさせず、自身を囲んでいるような半透明のマスコットもどきな異形に籠手のような無骨なガントレットの付いた拳を叩きつける。

 

「肘打ち!!裏拳!!正拳!!とおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

首に巻かれたストールのような白いマフラーをたなびかせながら放たれた拳のラッシュはあまりの速さに残像を残しながら異形を蹴散らし、少女の通る道を自らの手で切り開く。

 

「ッ………毎回思うが、ノイズはどうしてこうもいつも数が多いんだ!!だが!!所詮は烏合の衆!!私に叶う相手ではぁぁぁぁぁないッッッッッッッッ!!!!!」

 

 

ノイズ。それが意味する言葉はただの騒音にあらず。さわれば即、体が灰のような炭素の塊と変化して死んでしまう認定特異災害。

だが、その灰と化してしまうのはなぜか人類だけであり、それらもなぜか人間しか狙わない文字通りの人間だけを殺す機械のような災害である。

さらにはノイズには位相差障壁と呼ばれる一言で言ってしまえば自身の存在そのものをコントロールすることによって現代兵器による攻撃を無効化、ないしは減衰することを可能としている。

しかし、その触れられば身体の炭化により即死亡、さらには攻撃の無効化を行うノイズに対して、少女の拳は装着したガントレット型の装備により直接肌を介して触っているわけではないが、攻撃自体が届いているどころかノイズを撃破している。

 

本来攻撃を通すことが極めて難しいノイズに対して、まるでその位相差障壁を無視して攻撃を可能としているのは彼女の纏っているシンフォギアと呼ばれる代物である。

 

そのノイズに対する唯一の対抗手段とも言われているシンフォギア。その原動力は身に纏っている者の歌である。それ故にシンフォギアを動かしている間はいくらかシンフォギアによる補正があるとはいえ常に歌ってないといけないが、さっきから歌の『う』の字も出てこないことは指摘しないでほしい。

 

少女がいくらその神速の域に到達した拳をその半透明の異形、ノイズに叩き込んでも数が減ったようには感じられないことに少女は悪態を吐くも何か考えがあるのか、猛烈な勢いを出していた拳を腰に据えて構えると気を高めるように瞳を閉じる。

 

「ハァァァァァァ…………………!!!!!」

 

少女の低く、重い声が周囲に響き渡ると、その高められた闘志に呼応するように少女の金色じみた黄色にショートカットの髪が重力に逆らって、揺らぎ始め、心なしか少女を中心にして風景すらも陽炎が立ったように揺らぐ。

さらに高められた闘気は少女の体だけに及ばず、足元の地面がひび割れ、砕けた地面の破片が浮遊を始める。

 

「わたしのこの手が真っ赤に燃えるッ!!!お前を倒せと轟き叫ぶッ!!!」

 

瞳を開いた少女は腰に据えていた手を構えると、その手の甲にトランプのそれぞれハートとキングが組み合わさり、二つの剣をクロスさせたような紋章が出現する。

その紋章の浮かんだ手を掴みかかるように開いた状態で構えると今度はその手が少女の言葉通りに相手を倒すという意志の現れというように赤熱を始め、真っ赤に燃え上がった。

 

「ばぁぁぁあくねつッ!!!ゴット!!フィンガァァァァァァ!!!!!」

 

少女の背中から迫り出すように展開した八つの先端が日輪のような光円を生み出しながらその赤熱した神の指をノイズに向けて突進しながらぶつけるとノイズはその指に触れることを叶わず消滅し、エネルギーの余波は周囲のノイズすらも焼き払う。

 

「すぅ……………ハァァァァァァ……………!!!」

 

ノイズが焼き払われ、そのエネルギーがまだ残っているのか焼け野原のようになっている中心で少女、立花響は拳を腰で構えると残心のように深い息を吐いた。

 

「……………そういえば、この前未来と一緒にフラワー行ったのはいつだ?そろそろ膨れた顔を見せられるのも読めてきたからな…………今度誘うか。」

 

 

 

 

「翼、思い切りいっちまえ!!アタシも付き合ってやる!!クリス、空から近づく奴らを頼むぜ!!」

 

「心得た!!」

 

「了解した。援護する。」

 

オレンジ髪の少女の言葉に対し、戦えることに歓喜しているような笑みを見せ、ノイズに向かって手にしていた刀のような武装で斬りかかる翼と呼ばれた少女とその翼とは対照的に無表情と淡白な返事からまるで機械のような印象を受けるクリスと呼ばれた少女は互いのもっとも得意とした得物でノイズを殲滅しにかかる。

 

「斬り裂くッ!!」

 

「翼!!今日のライブの観客はバカみてえに盛況だ!!大技決めて、さっさと終いにしようぜ!!」

 

「元よりそのつもり!!共に行くぞッ!!フラッグファイター!!」

 

「一体それは誰のことを言ってんだよ!?相変わらず意味がわからないことを言うなぁ!!」

 

刀を手にした少女、風鳴翼が刀を振るえば、ノイズはまるで柔らかいものでも切ったように胴体を真っ二つに泣き別れにされる。翼に指示を出した天羽奏も手にしていた槍を横薙ぎに振るうと衝撃波と共にノイズを広範囲に吹き飛ばすと、悠然と槍を盾のように構えた。

 

「飛ばすぜ?」

  

構えた槍の向こう側で奏がそう呟くと槍に足をかける人物が現れる。その瞬間、奏は思い切り槍を真上に向けて押し出し、槍に足を乗せた翼を空中へ打ち上げた。

空中にロケットのように打ち上げられた翼は刀を放り投げるとその刀が巨大化を始め、一本の巨剣に姿を変える。

 

その地面に向けられた巨剣に翼は接近するも目に見えた攻撃を許すほどなんだかんだ空気を読んでくれるとまことしやかに噂されているノイズも甘くなかったのか羽の生えた個体が翼の妨害に奔る。そのノイズの圧倒的な物療の前に翼の退路は一瞬で潰され、このままでは集中攻撃を受けるのは目に見えて明らかだった。

 

「迎撃する。」

 

しかし、そのノイズの侵攻を阻むように下方から放たれた実弾とミサイルの弾幕にノイズは体を穴だらけにされるか爆発に消えていった。

 

「戦略的に見て、退路を塞ぎ、集中攻撃を行うは少数に対して有力な戦法だ。だが、こちらの戦力を把握する前に行動を起こすべきではなかった。もっともノイズにそのような知性があるとは到底思えないのも事実だが。」

 

撃墜され、灰となって消えていくノイズに少女、雪音クリスは静かに淡々と述べる。二連装型のガトリングガンを両腕にこさえたその姿はひどくアンバランスを感じさせるが、彼女のやり方は実弾兵器を弾切れするまで攻撃するスタイルなため、いっそ清々しいものもあった。

 

蒼ノ一閃

 

「切り捨て、ごめぇぇぇんッ!!!!」

 

そしてクリスの援護を受けた翼は巨大化した剣の取手を手にするとまるでその巨大化させたはずの重量を感じさせないように軽々と振るうと蒼を纏った飛ぶ斬撃が地上のノイズを蹴散らした。

 

「うっし、ここら辺のノイズはあらかた叩いたみたいだな。玄十郎のおっさん、ほかのみんなの様子はどうだ?響とか一人で行かせちまったけどよ。」

 

『ああ。響君の方も問題なくノイズの殲滅を行なっている。しかし、流派東方不敗…………ネフシュタンの鎧の起動実験の時からだが、驚かされてばかりだ。』

 

奏は担当するエリアを制圧したことを報告するついでに響の戦況を聞くために自身の上司でもあり、親代わりのような存在である特殊災害対策科機動部第二課の司令官であり、翼の叔父である風鳴玄十郎が唸るような声を上げる。

 

「まぁ…………そこまで唸るような声出してる時点で響の実力はおっさんとどっこいどっこいなのが丸わかりなんだけどな。切歌達の方はどうだ?アイツもアイツでかなり濃いキャラだろ?」

 

『切歌君達は…………相変わらずだな。マリア君のフォローに回っている。』

 

「あ…………そう…………よし、割り切ろう。割り切らないとあたしの胃が死ぬ。」

 

 

 

 

 

 

「バエルッ!!!!!」

 

 

その名乗り声と共に空に白い流星が奔る。その白い流星は不規則にカーブを描きながら高度を下すと地上にのさばっているノイズの軍勢に真正面から突っ込む。本来であればノイズの集団から真正面から突っ込むというのは自殺行為以外の何者でもない。しかし、その流星は炭に成り果てるどころか、逆にノイズを有象無象の如く蹴散らし、両手に握った西洋風の剣でノイズの残骸を撒き散らす。

 

「フッ……………実にわかりやすい状況だ……………!」

 

その少女は自身が今戦場に立っていることも関わらず、その表情に不適な笑みを見せる。その表情はさながらこの戦場という状況を楽しんでいる、というよりはノイズを蹴散らしているというはたからみれば英雄的な行為をしていることに高揚感を感じているように見える。

しかし、シンフォギアという常人では簡単には扱えないものを使っているし、少女自身の身はそれなりに鍛えているとはいえ普通の人間とほとんど差異はない。

単身ノイズの渦中にその身を落とせば、自然とノイズの攻撃も少女自身に集中する。

 

「ったく、少しは尻拭いをするこっちの気持ちにもなれよなぁ!!」

 

だが、そのノイズの攻撃が少女に届くことはなく、別の少女の声が響いたと同時に何か緑色の光が一瞬見えたかと思うと次の瞬間には襲い掛かろうとしたノイズは柄の長い鎌のようなもので断ち切られたように広範囲に真っ二つにされた。しかし、その鎌の軌跡を別のノイズが埋まるようにすぐに攻撃を重ねてくる。

 

「接近戦用の装備しかないってのに…………調ぇ!!そっち任せた!!」

 

「任された!!スクリューウェップ!!」

 

舌打ちのような声と共にその少女が別の人間を名前を叫ぶ。その声が聞こえるところに人の姿は見えないが、そこにマントのようなものを被っているのか、布をはためかせている人影が割り込み、横薙ぎに腕を振るうとチェンソーのような金属音と共にノイズを切断する。

 

「援護感謝するぜ!!」

 

「お前との仲だ。あまり気にすることはないが、今はマリアを追った方がいい。もうかなりノイズの軍勢の奥深くに突っ込んでしまっている。」

 

「だぁー!!もう!!アイツの英雄願望にはほんとについていけなくなるっての!!」

 

マントを羽織ったツインテールの少女がそういうとその視線を向けた先の空間が歪み、そこから呆れたようにの金髪のショートカットを手でぐしゃぐしゃとかき乱している少女が現れる。手に鎌のような大きな得物を持っていることから最初の攻撃が彼女によるものなのが窺える。それより目を引くのはその金髪の少女の背中から伸びる漆黒の翼。

純粋なまでに黒く、コウモリのような形をしたその翼はさながら死神のような印象を少女に覚える。

 

「行くしかないだろう、切歌。なんだかんだでマリアは私達を頼ってはくれているんだろう。だからあんなバカができる。」

 

「それを別の方向で表してくれよ………………こっちはいっつも心労だってのに。」

 

淡々というが、調と呼ばれた少女は表情が硬いことから面倒だとは思っているようだ。その様子にがっくしと肩を落とす切歌と呼ばれた少女。

 

それでもそのマリアという少女が心配なのか二人は急いで先を行っているはずのマリアの後を追い始める。

 

 

そんなこんなもあったが今日も少女達はノイズを殲滅していく。その少女達の歌には血は流れている、はずではある。

 

 




調ちゃんがああなったのはぶっちゃけKRSMニキの動画のせい
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